コラム

D&Iの現状と課題を解説

  • TOPPAN CREATIVE編集部

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは「年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などにとらわれない多種多様な人材が、お互いに認め合い、自らの能力を最大限発揮し活躍できること」(厚生労働省)を指し、社会的に関心が高まっている概念です。企業も社会の一員として、D&Iの実現を目指すことが求められています。

しかし、D&Iの重要性は認識していながらも、推進には苦戦する企業が多いのが現状です。どのように進めれば無理なく取り組むことができるのでしょうか。

本記事では企業におけるD&Iの現状を整理し、直面しやすい課題とその解決策を紹介します。


D&Iの現状


株式会社JobRainbowが2022年9月1日~9月7日に実施した、企業のD&I推進担当者41名に対する調査によると、73.1%がD&Iを重視していると回答しました。一方で、D&Iが進んでいるとの回答は41.5%にとどまり、その実現には苦慮している様子がうかがえます。

推進の妨げとなっている要素としては、多様性やD&Iに関する社内での理解度の差などが挙げられています。

D&Iの課題と解決策

D&I推進に関して企業が抱える主な課題としては、以下のようなものがあります。

● 管理職登用や採用における多様性の不足
● 経営層のコミットメント不足
● 従業員のD&Iに関する理解度の差
● 具体的な取り組み策定や実行の不足

解決策とあわせて、それぞれ見ていきましょう。

管理職登用や採用における多様性の不足

日本企業は均一性・同質性の高さで生産効率を高めてきました。その反面、多様性が十分とはいえない実情があります。

たとえば、内閣府 女性活用と経済成長の好循環実現に向けた検討会報告書(2023年5月)によると、日本の上場企業における役員に占める女性の割合は、2022年時点でわずか9.1%です。一方、日本を除くG7諸国の平均は38.8%で、大きな隔たりがあります。
ほかにも、外国人の雇用を進めたくても制度や意思疎通の環境が整わないなど、D&Iの浸透を阻む壁が少なくありません。

こうした課題に対しては、在宅勤務や柔軟な勤務時間など、ライフスタイルに合わせた働きやすい制度を導入したり、役員や管理職などへの女性の登用を一定の割合で義務付けたりするなど、経営方針として環境整備を図ることが重要です。

経営層のコミットメント不足

D&I推進は経営戦略と密接な関係があります。採用や人事など企業としての根幹に関わる要素が多く、経営層の理解と積極的な関わりが不可欠です。いかにリーダーシップをもって旗振りを行うかが、推進の成否を左右するといっても過言ではありません。

D&I推進が企業の持続的な発展につながるのだと経営層が認識し、積極的に関与することにより、社内全体へと浸透させていきましょう。

従業員のD&Iに関する理解度の差

いくらトップがD&Iの重要性を意識していても、社員全体での理解と実践がなければ、絵に描いた餅になってしまいます。経営層やD&I推進関連部署だけが躍起になり、一般社員はD&Iの意味すら知らないといった隔たりも、大きな課題となっています。

とはいえ、D&Iの推進を人事・評価制度に反映し、強制的に推し進めてしまうと、社員は給与や人事評価、昇進などに不利になるのではと不安になり、D&Iについて誤った認識をもってしまうかもしれません。

D&Iを正しく認識し、その重要性を理解できるよう、全従業員に対する意識啓発を図る資料・教材や研修などの機会を設けて、会社としての取り組み方針を明確にしましょう。D&Iを人事制度などに反映させる場合は、どんな行動を期待しているのかを明確にすることも重要です。

具体的な取り組み策定や実行の不足

D&Iの重要性を理解しても、具体的な取り組みがなければ推進はできません。企業としての方針や目指す状態が明確になったら、実現させるための取り組み内容を決めていきましょう。対策には、主に環境面での整備と心理面での仕組みの構築があります。

たとえば、妊娠・出産を機に離職する女性が多ければ、在宅勤務を導入して場所を問わず働ける環境の整備が考えられるでしょう。
ほかにも、年功序列的な評価制度など、一部の属性に有利な仕組みがないか精査し、関係各部署と連携して改善を図ります。

D&Iの推進に課題を抱えているならTOPPANへご相談を!

D&Iの推進は、単に多様な人材が集まればよいものではなく、相互の理解と尊重のなかで互いの強みを最大限に発揮させて企業価値を高めていくものです。
しかし実際には、D&Iの概念や重要性を理解しているものの、具体的な実現には苦戦する企業が多くみられます。

D&I推進を成功させるポイントは、経営トップの理解と企業の経営戦略への組み込み、そして全従業員へ浸透させるためのアクションです。
単なる知識だけでなく、関心や気づきを高めて多様性・包含性の意義を受け入れるため、意識向上や価値観の醸成に向けた社員教育が必要といえるでしょう。

TOPPANではD&Iに関する意識醸成や社員育成プログラムの導入推進をサポートするほか、社内ですぐにご活用いただける「D&I表現ガイドブック」を制作・販売しております。お気軽にお問い合わせください。

2024.03.04

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