コラム

校正を外部に依頼する際の
費用相場・ポイントを解説

  • TOPPAN CREATIVE編集部

Webコンテンツや印刷物を制作する上で校正、校正作業では、文章の品質を引き上げるため、伝わりやすさや内容の信頼性を緻密に確認する必要があります。
特に重要なコンテンツについては、専門の校正者への依頼を考えましょう。自組織の中で行う校正のことを内部校正と呼ぶのに対し、客観的な視点を持つ外部の校正者が行う校正のことを外部校正と呼びます。
本コラムでは、専門の校正者へ依頼する際に把握しておきたい費用感や、発注前や依頼時に注意したいポイントについて解説します。


校正を外部に依頼する際の費用相場

外部校正に依頼を出す際には、校正の相場を知った上で、費用感を考えておきましょう。
校正の依頼は書籍などのまとまった印刷物で発生する場合が多く、ページ単価での受発注が一般的とされています。ただ、見積時にはページ数どころか文字量すら確定していないことも多いため、まずは文字単価でざっくりと計算してみるのがおすすめです。
校正の単価は、次に示すように、チェック内容や依頼先によって大きく変わります。

【A社】
・単純照合(シングルチェック):0.66~1.0円/1文字

・単純照合(ダブルチェック):1.1円~/1文字

・赤字照合(シングル・ダブル):価格は応相談(赤字の量による)

・素読み校正(シングルチェック):0.66円~/1文字(余白含む)

・素読み校正(ファクトチェック):0.715~2.2円/1文字(余白含む)

【B社】
・単純照合:0.5~1.0円/1文字
・赤字照合:応相談(赤字の量による)
・素読み校正(表記統一):0.6~1.0円/1文字
・素読み校正(ファクトチェック):0.65~2.0円/1文字

【C社】
・素読み校正(表記統一):2.5円~/1文字
・素読み校正(文法チェック):5.0円~/1文字
・校閲(専門的裏付け調査):12.5円~/1文字

各社とも、校正の内容に応じて段階的な料金設定をしています。
単純な突き合わせの校正で1円程度、単純な素読み校正で2円以上、文法的な書き換えの提案や専門知識を必要とするチェックまで依頼するとその数倍が必要になると考えておくとよいでしょう。


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校正の外注費用を決める要素

ここからは、外部校正に依頼する際の費用感を見積もるにあたり、校正の費用を決める要素や、注意点などをみていきましょう。

原稿の種類・テーマの難易度

専門性の高い分野の原稿だと、記載内容の正誤を判断するのに専門的知識が要求されます。また、新規性の高いテーマも、照合する根拠が少なく最新の研究の知識が必要となります。いわゆるYMYL(Your Money or Your Life;健康や財務に影響を与えるコンテンツ)の校正は、金額も期間もかなり大きくなると考えましょう。

<難易度の高い分野の例>
・金融関連
・法関連
・医薬、美容、健康関連
・科学的根拠に基づく検証が必要なもの
・外国語、翻訳もの など

原稿のボリューム

ページ数や文字量が多いほど校正に時間がかかるため、必要な金額・期間は大きくなります。
また、校正の金額は、納品までの期間によっても左右されます。同じボリュームでも短期間で行う場合、校正人数を増やすなどして対応するため、校正料金が高くなります。

校正作業の範囲

どこまでのチェックを依頼するかでも金額は大きく変わります。単純な突き合わせであれば費用は低めですが、赤字の修正箇所が多い場合、そのまま量に応じて別途見積もりになる場合が多くなります。ダブルチェックなど、複数人の体制で行う校正も高めです。
原稿と校正・校正同士の照合以外の素読み校正で、語句の表記チェックや文法チェックを依頼した場合も金額が高くなります。

<校正作業の例> ※下に行くほど金額は高い
・赤字が正しく修正されているかの単純照合
・誤字脱字の修正、表記統一など
・文法チェック、読みやすい文章の提案
・掲載内容が存在することを前提とした出典の確認
・より踏み込んだ形での記載内容の精査、誤りの指摘や修正


依頼先の料金テーブル

校正を請け負う企業によっても料金設定が大きく異なります。最終的には人の目による確認作業を行うため、所属する校正者の得意分野や専門性に品質が左右されるからです。
単純な突き合わせであればそれほど差は生じませんが、原稿の種類や難易度の高い作業範囲までを依頼したい場合は、数社に問い合わせて得意な領域を確認し、費用と期間の見積もりを依頼することをおすすめします。
また、依頼先がフリーで活動する校正者か、企業かでも金額は変わってきます。
個人の場合は、専門性により校正料金(報酬や契約額)に幅があります。企業の場合は、組織運営上の間接経費が料金に組み込まれ、割高になる場合もありますが、逆に他の工程(印刷や別のプロジェクトなど)に組み込む形で割安になるケースもあります。

校正を依頼する際のポイント

校正の費用感を踏まえながら、外部校正に依頼する際に気をつけておきたいポイントをみていきましょう。



必ず伝えるべき項目を押さえる

校正は、原稿の分野と作業内容によって難易度が大きく変わります。高品質の校正を受け取りたい場合、もっとも重要なのは、何をどこまで作業してほしいのかを正確に伝えることです。最低でも、次の内容は明確に伝える必要があります。
・原稿のジャンル(特に専門性の有無)
・媒体の種類とボリューム(総文字量、ページ数とページあたりの文字数など)
・校正作業の内容(赤字の引き合わせの場合はおよその赤字の量)
・校正期間(いつ頃の引き渡しでいつ頃の返送の想定か)
・かけられる予算
・連絡/情報共有の手段(郵送、TEL/FAX、メール、チャットツール、ドライブなど)
校正にかけられる費用が決まっている場合、先に挙げた費用相場をもとに、予算の範囲内でどこまでの校正作業を依頼できるかを逆算し、依頼項目を決めるとよいでしょう。
また、制作側の都合により、原稿が差し替えになったり大きく変更されたりする場合があります。うっかりすると校正作業が増え続け、予算を大幅に上回ってしまいかねません。
内容や期間が変更になった場合の対応と費用についても予め取り決めておくと安心です。

記事のルールを決め漏れなく共有する

原稿の記載内容に関する校正(表記統一や文法チェック、出典チェックなど)を依頼する場合、統一基準を決めて共有する必要があります。
校正者が勝手に基準をつくることはありません。校正を依頼するときには必ず、統一させるためのルールを一覧表にして共有しましょう。統一基準は、書籍など紙媒体では仕様書または執筆要項、Webコンテンツではレギュレーションと呼ばれることもあります。
大きな統一事項では、文章全体の取り決めとして、文字フォント、大きさ、文頭表現(1字下げを行うかなど)、文末表現(常体か敬体か)、約物(句読点や記号の使い方)、見出しの字取り(文字数の上限・下限)、図表や引用箇所などの記載方法などがあります。
表記ゆれのチェックにかかわる項目としては、漢字とひらがな(送り仮名や接続詞の書き分けを含む)、漢数字と算用数字、全角・半角、西暦・和暦の仕分けや、出典の記載方法、省略表記の可否などを共有しておきましょう。

テスト発注をする

得意なジャンルや、一度に確認できる項目、作業スピードなどは、校正者によっても異なります。他からの評判が高いようでも自社のコンテンツに合っているかはわかりませんから、まずはテスト発注することをおすすめします。
テスト発注でチェックしたいのは次の項目です。
・納期を守るか
・指定した作業は抜け漏れなくできているか
・JIS(印刷校正記号一覧表)に沿った赤字の入れ方をしているか
・専門性を感じさせる指摘や提案を行っているか
・連絡への返信が早く、進捗などの情報共有をこまめに行っているか

テスト発注の依頼は、少なめの文字量で行うほうが負担は少なくなります。ただし、あまりにも少ないと、校正の品質やスピードは正確に把握できません。
ページ数の多い書籍などの校正を新規で依頼する場合、万一の際のリカバリーができるよう、バックアップ体制やバッファ期間を設けた上で、数回に分けて依頼量を増やすなどのリスク管理も必要です。

余裕を持ったスケジュール感で依頼する

新規依頼時のテスト発注で、リスク管理のために余裕をもった校正期間にすることをお伝えしましたが、スケジュールに余裕があると、その他にもメリットがあります。
校正作業は、ある程度はデジタル化されるようになりましたが、最終的な確認は人の目で行い、品質の引き上げを図ります。このため、校正期間が短いと作業の負荷が大きくなってしまうのです。
逆の視点に立てば、校正にかける期間を長くとり、繁忙期を避けると次のようなメリットが考えられるでしょう。
・表記ゆれなどの校正の抜け漏れが減る
・同じ校正者が作業するため、文章を改善する提案の水準が統一される
・同じ作業内容でも請求額が抑えられる
・技術の高い校正者を指定できる可能性が高まる


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校正依頼の費用相場と依頼時のポイントまとめ

以上、校正を外部に依頼する場合に気をつけておきたい要素を、費用相場とともにお伝えしました。
コンテンツの品質を確保するためには、執筆者と別の視点でチェックを行う校正者の存在が不可欠です。

内部に校正者を確保できない場合は、外部の校正者に依頼する必要があり、その際には費用面だけでなく、チェック内容や期限などを、事前にまとめておくことが重要です。
一方、校正作業のすべてを専門の校正者に依頼するとかなりのコストになります。近年は文章の解析の精度も上がり、データで一括させるデジタル校正も普及し始めました。特に大量の文字データを扱う書籍などでは、それぞれが得意とする作業をうまく組み合わせ、効率化を図るとよいでしょう。
オンラインで行うデジタル校正であれば、複数人の校正の統合管理が可能で、校正者の得意を伸ばした校正を集約することもできます。タブレットなどを使えば手書きでの校正指示も可能で、直感的に操作できる上、差し替えのデータファイルの添付や注釈、チャットでの議論なども校正と連動させることが可能なため、紙へ書き込む校正より効率よく作業を進めることができます。
TOPPANのデジタル校正ツール「TOPPAN PRINT ONLINE」は、上記のオンライン校正の特長に加え、TOPPANならではのクオリティで色校正と同様の確認がモニター上で可能な「カラーマネジメント機能」を搭載。完全ペーパーレスでの校正作業を実現します。


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2023.12.13

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