コラム

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「デジタル校正ツール」導入成功のコツ

  • 株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ
  • 事業企画本部 事業戦略部 生産技術・開発T
  • 加藤 泰司

デジタル校正ツールとは、従来の紙ベースでアナログ・オフラインで実施していた印刷物等の校正作業を、専用ソフトウェアを使ってオンラインで作業・管理を一元化するツールのことです。
テレワーク・DX推進・ペーパーレス化の動きなどにより、今後さらに必要とされるシーンは増えていくと思われます。本コラムでは、デジタル校正ツールを活用し、校正業務の効率化を果たしている事例をご紹介します。


この記事は以下のような課題を持った方向けの内容です。

 ✓ 校正業務をオンラインで完結できるサービス・ツールを探している
 ✓ 制作会社・印刷会社とのデータのやり取り、確認・チェック作業が煩雑でどうにかしたい
 ✓ 印刷物の校正・校閲作業を効率化したい


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デジタル校正と従来の校正の違い

デジタル校正と従来の校正で決定的に異なるのは、紙に出力するかどうかです。紙に出力した場合、実際の印刷物にかなり近い状態で文字の大きさや見え方を確認するため、どんな雰囲気になるかをイメージしやすくなります。本紙校正といって、仕上がりと同じ紙や印刷方法で出力したものだと、ほぼ実物と同じ状態でのチェックが可能です。
一方で、紙媒体での校正には弱点もあります。紙媒体での校正はすべて目視で行うため、校正作業の重要な目的である「一つ前の状態から、意図どおりに変更されているか」を確認する際に、見落としが生じやすくなります。
人の脳は、目が見たものを既知の情報と紐付けて情報処理する傾向があり、いくつかの文字が入れ替わっていても支障なく読み進めていけます(タイポグリセミア現象)。校正作業ではこの情報処理が邪魔をして誤植を見つけづらくしてしまうのです。離れた箇所にある表記ゆれにも気づきにくく、語句の統一を目視で行うには限界があります。
デジタル校正では、このような人の目に頼った校正作業では見落としやすいポイントを、より正確に、効率的にしていくことが可能です。特にテキストデータの処理は、変更履歴や引き比べといった大量かつ正確なチェックに向いています。
紙媒体での校正ではコンテンツのブラッシュアップに集中し、正確さが求められる部分にはデジタル校正を活用する。そのように使い分けることで、印刷物のクオリティ向上が期待できます。

デジタル校正のメリット・デメリット

デジタル校正のメリット

デジタル校正は、変更前後の違いをすばやく確実に洗い出すのが得意です。校正する対象が大量にある時ほど、作業時間を大きく短縮できるでしょう。また、履歴や差分の記録が簡単にとれ、何度繰り返しても精度が変わらないというメリットもあります。
紙媒体での校正では、修正指示が他の箇所にも影響を及ぼし、指示していない箇所の変更が必要になるケースも少なくありません。人の目だと赤の入った箇所のみに目がいき、その他の箇所に気づかないまま作業が進んでしまう場合がありますが、デジタル校正であれば一律に全体の変更箇所を確認することが可能です。また、人の目ではわかりづらいフォントや罫線の厳密な違いも検出できます。
オンラインで共有することによる業務の一元的管理が可能となることも、デジタル校正の大きなメリットです。特にクラウド上であれば、関係者が一斉にアクセスして作業できるため、紙資料を回覧する時間が短縮でき、各自の修正内容を転記する手間も省けます。ペーパーレスでスペースやコストの削減にもつながるでしょう。

デジタル校正のデメリット

デジタル校正は、その特徴を理解せずに導入すると、うまく定着しない場合があります。
デジタル校正は、手順や基準が決まっている引き比べ作業や、大量で時間のかかる全数検査などには強いですが、変更の意図を汲み取ったり、正誤の判断を下したりすることはできません。したがってデジタル校正を利用する場合も、最終的には人の手で調整していく必要があります。
また、複数人が同時にアクセスできるからといって、修正を入れる作業者が多くなると、指示内容が競合したり、修正だらけでわかりづらくなったりするなどの問題が発生します。
これまで人の目で行っていた作業をデジタル化するため、パソコン操作に慣れていない人へのフォローや、使用デバイス、通信環境の整備も必要になるでしょう。
デジタル校正は、ただ導入すれば効率が上がるというものではありません。導入にあたって、制作フローを見直し、明確なルールのもとで運用する必要があります。デジタル校正の特徴を最大限に発揮するのはどの作業工程なのかをよく見極めて効果的に活用しましょう。

デジタル校正導入の成功事例

では「デジタル校正ツール」の導入成功事例をご紹介していきましょう。TOPPANのデジタル校正ツール、「TOPPAN PRINT ONLINE」を導入いただいた企業を例に見ていきます。

「TOPPAN PRINT ONLINE」の導入で、ギフトカタログを手がける企業様からは、
「複数の人間が同時に校正作業ができるので、コミュニケーションのスピードが上がった」
「お客様からの赤字の重複、矛盾した赤字も減り、結果として問合せの回数が減った」
「赤字の集約作業が必要なくなった」
「校正紙の紛失リスクがなくなり、セキュリティが向上した」
「商品メーカーの担当者さんに来社いただく手間が省けた」
「カタログの中身を考える時間が増えた」
といった声をいただいています。

他にも製品カタログの制作を手がける企業様からは、「本社・支社・工場など離れた場所へ校正紙を運んでいた輸送コストがゼロになり、環境保護への貢献ができた」というご意見を、また旅行パンフレットを手がける企業様からは、「在宅勤務での校正業務が可能になり、テレワーク中の工数が削減。校正の質も向上した」という声をいただいております。

一方で、導入前のお客様から「これまでのアナログ環境の方が慣れているから…」という声をいただくこともありますが、その点もご安心を。紙で確認をしたいという方むけにプリントアウトにも対応、撮影した赤字画像の添付も可能で、アナログ作業の利点を活かしながら輸送コストやコミュニケーションコストの削減が実現できます。



比較機能で品質も大幅アップ

導入のメリットはまだまだございます。「TOPPAN PRINT ONLINE」には訂正前後の差分比較機能もあり、気づきにくい訂正外変化などが簡単に見つけられます。さらに、データ自体が印刷に適しているかの確認も可能です。

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以上、他社の成功事例をご紹介しました

最後にもうひとつだけ。これは校正作業に限らずですが、新たな施策成功のためには全体を見渡した上でのワークフロー構築も重要です。TOPPANでは、ワークフローの設計や導入前のご相談から、実際に「TOPPAN PRINT ONLINE」を使っての作業レクチャーといった現場支援まで、印刷会社ならではの手厚いサポートをさせていただきます。ご興味がございましたら、まずは以下のリンクからぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。


またさらに「デジタル校正ツール」自体のメリットをもっと知りたいという方や、開発者が語る「TOPPAN PRINT ONLINE」の特徴が知りたいという方は、下記のコラムもぜひご覧ください。

2023.01.26

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