コラム

校正とは?
意味や目的・校閲との違いについて
詳しく解説

  • TOPPAN CREATIVE編集部

校正は、印刷物やWebコンテンツを制作する際、文章を伝わりやすく信頼のおける内容にすることで、品質を引き上げる重要な役割を担っています。
本コラムでは、校正の必要性について解説するとともに、校正とよく似た作業である校閲との違いや、実際の校正作業の流れなどを説明します。


校正とは

はじめに、校正を行う目的や、必要となる場面、具体的な作業内容などについてみていきましょう。

校正ってどんなもの?

校正は、文章同士を比べ、正していく作業を指します。校正には、大きくわけて3つの方法があります。
1つ目は、記事の原稿を通し読みし、誤字・脱字・衍字(言葉が不適切に重なった状態)などの文章としての誤りや、記載内容の矛盾などを指摘する校正です。素読み校正とも呼ばれます。
2つ目は、修正の指摘が入った前段階の出力と変更した現段階の出力を引き比べて修正具合をチェックする校正です。修正箇所を赤色で指摘するところから、赤字校正とも呼ばれます。
3つ目は、最終の制作物と同じ紙やインク、印刷方法で出力し、色味や風合いを厳密に確認する校正です。色校正や本紙校正とも呼ばれます。

目的と必要性

校正の目的は、文章表現や記載内容を正しくすることです。校正によって文章は読みやすくなり、正しい情報が伝わりやすくなります。内容の正しさや伝わりやすさはコンテンツの品質の高さとなり、ひいては発信者である企業の品位やブランドといった存在価値に直結するのです。
校正チェックが甘いと、単に印象を悪くするだけではなく、大きなトラブルを招くリスクもあります。日付や商品名などの固有の情報が間違っていれば全面的に刷り直してコストがかかります。修正が間に合わず誤った金額で取引してしまえば、大赤字が発生することも。また、法的な問題がある内容をそのまま発信してしまえば、トップの辞任に問題が発展するおそれもあるのです。

校正が関わる業種・業界と校正が必要なコンテンツ

校正は、世の中に出る文章すべてに必要な作業ですが、実際には原稿を作成するライターのセルフチェックにとどまる記事も少なくありません。
特にしっかりとした校正が必要とされるものには、新聞や雑誌、書籍、企業レポート、会社案内や商品カタログ、チラシ・パンフレット、社史・記念誌、周年誌、カレンダーなど、一度印刷して公開されてしまうと簡単には修正できないコンテンツが挙げられます。Webコンテンツでも同様です。信頼性や厳密性を求めるページには校正作業が必ず入ります。
これらの記事においては、品質の高い校正のため、新聞社や出版社、編集プロダクション、印刷会社などが工程管理を行い、校正作業を一連の制作工程に組み込み、ライターやデザイナーと同じように校正者を配置した協力体制でプロジェクトを進めることが多くなります。
なお、校正は文章のクオリティを高める作業であることから、執筆と校正を兼務できる人も中にはいますが、それぞれの工程で担当を分けて作業するのが基本です。


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実際に校正した原稿例

校正時には、原稿または刷り上げた校正紙に赤色で指摘事項を書きこんでいきます。確実に修正しなければならない誤りを指摘するものは赤を入れ、修正が必要かを確認してほしい箇所は、消しやすい鉛筆書きなど他の色で書き入れます。
実際に修正してほしい文字と指摘コメントの文字が容易に見分けられるよう、校正には独特の校正記号が用いられます。
紙に直接書き込む方法だと集約と共有に時間がかかるため、データ上で入力し合うタイプの校正もあります。いずれにせよ校正のポイントは、確実に修正できるようにすることです。このため、目立つ色(警告色である赤)を使い、余白などにはっきりと表示するのが基本となります。



校正と校閲の違い

校正とよく似た文章チェックに、校閲があります。一般的に、表現の誤りを見つける校正作業は作業がしやすく、内容に踏み込んで事実確認を行う校閲は高度な確認を必要とすることが多いです。校正と校閲を混同した作業依頼もあるため、文章のチェックを求められた場合は、作業の範囲を明確にしておくとトラブルが減ります。

校正は表記の誤りを見つける作業

校正は、文章としての整合をとるため、主に表現の誤りを見つけていく作業です。表現の誤りとは、表記の誤り、言葉の用い方の誤り、文章の構造的問題などを指します。
表記の誤りには、誤字、脱字、衍字、英文のスペルミス、同音異義語の誤用、文字化け、記号ゆれ、表記ゆれ、文体ゆれ、重言、ラ抜き/イ抜き/サ入れ/レ足す言葉、二重敬語、約物などがあります。
言葉の用い方に誤りがないかのチェックでは、業界(専門)用語、法律用語、差別用語、同音異義語、慣用表現、呼応表現などがないか確かめます。
文章の構造的問題がある場合も指摘します。構造的問題とは、例えば、1文章内での受動態と能動態の混在、主述表現の歪み、後続文章との係り受けの歪み、接続詞の誤用、文末表現(常体と敬体の混在、不必要な体言止め)、列挙された項目数と総括した値の矛盾、明らかな論理的矛盾などです。

校閲は内容の誤りを見つける作業

校閲は、記載内容の整合を図る作業です。固有の名称や数値、時系列情報といった事柄について、出典などの根拠資料や、データ元となる一次情報、統計などを調査し、事実確認を行います。
固有の名称に関するものでは、人名・アカウント名、肩書、組織名、商標、資格名、書名、商品・サービス名、作品名、地名、地域・地方名、国名などがあります。
数値に関するものでは、日付、時刻、西暦/和暦、年齢、金額、単位、合計、割合、範囲、順位、最大表現・最小表現などがあります。
時系列情報に関するものでは、時間の経過(朝/昼/夜の関係)、月齢、季節、時差、距離と所要時間、歴史的整合、因果関係の誤りなどがあります。
その他の事実確認では、風聞、キャッチコピーなどのタイトル、記者会見などの発言内容、判決文、論文、引用、各種権利・法などがあります。


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校正作業の流れ

校正は、文章を正しく整える作業です。このため、修正が必要な箇所がなくなるまで、何度も校正と修正を繰り返すことになります。
一般的には、次のような流れで校正をやりとりした後、最終的な印刷・製本に至ります。期間や予算などの事情によって工程が省略されることもあります。
 l 初校:原稿をもとにデザインを施し、第1回の校正を行うこと
 l 再校:初校に入った赤字修正の指示を反映させたもので、第2回の校正を行うこと
 l 三校:再校に入った赤字修正の指示を反映させたもので、第3回の校正を行うこと
 (以降、状況に応じて四校、五校と繰り返すこともある)
 l 校了:修正箇所の指摘がなくなり、校正が終了すること
 l 責了:修正指示の箇所が少ない場合、印刷所の責任で修正を行って校正を終了すること(時間がなく急ぐ場合などに行われる。責任校了の略称。)

紙媒体の場合は、上記の工程の何処かで、制作時のインクと用紙を用いた色校正(本紙校正)を行います。色校正はコストが高くなるため、より厳密な風合いや写真の色味などの確認に、校了に近いタイミングで行うことが多い作業です。



オンライン校正ツールで校正作業を効率化

校正は、印刷物やWebコンテンツの質を保ち、企業のブランド力を高めるための工程です。
一方で、作業期間やコストが制限される中では、紙へ出力した校正を専門の校正者が確認した後に執筆者へ送り、たくさんの赤字修正を矛盾なくとりまとめて調整するのは至難の技です。アナログの校正はすべて人の目と手に頼るため、見落としや転記ミスも多く、校正紙をやりとりする時間もコストもかかります。
こうした紙ベースで行うアナログ校正の課題を解消するのがオンライン校正です。

オンライン校正では、文字がデジタルデータになっているため、人の目では見落としがちな微妙なフォントの違いやわずかな線の違いなども見逃さず、前回の原稿との差分チェックも正確にすばやく行います。いつでもどこからでもアクセスでき、修正を一元化することが可能なため、複数人で校正する場合の管理もしやすくなります。

TOPPANのデジタル校正ツール「TOPPAN PRINT ONLINE」は、上記のオンライン校正の特長に加え、TOPPANならではのクオリティで色校正と同様の確認がモニター上で可能な「カラーマネジメント機能」を搭載。完全ペーパーレスでの校正作業を実現します。


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2023.12.13

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