データテクノロジー&プラットフォームサービス コラム

BX(ビジネス変革)支援

ユースケース紹介 ①

宅配食料品メーカーA社[メーカーBX]

TOPPANでは、企業の経営課題に対応したBX(ビジネス変革)支援事業を強化しています。
今回は、宅配食料品目メーカーA社におけるユースケースをご紹介します。


<ユースケース概要>

■クライアント:宅配食料品メーカーA社様
■目的・狙い:デジタル活用で現場の負荷を軽減・データを活用し顧客理解を深め、新たな販売施策が実行可能な基盤作り
■プロジェクト概要:アプリ開発/CDP構築/キャッシュレス決済開発(個別コンペで受注)


宅配食料品メーカーA社の課題

A社は全国数千か所の販売会社を通じて、自社製造の食料品を宅配でお届けするビジネスモデルです。同社の強みは、その多くが家庭の主婦の「セールススタッフ」による、ラストワンマイルのきめ細やかな戸別訪問の販売スキームです。しかしその一方、下記の課題を抱えていました。

✓肉体労働
・セールススタッフは腰のポーチに現金を入れて集金している。
・ポーチの重さは3㎏、腰への負担が大きく負担となっている。
・また、毎日、宅配を終えてから現金の集計業務に2-3時間を要している。

✓時間に縛られない自由な勤務体系
・セールススタッフの大半は個人事業主。基本的には販売目標の強制はなく、本人の希望する収入に応じて販売テリトリーや勤務時間が決定する。
・そのため、新規アプローチはセールススタッフに依存する傾向が強い。

✓年齢も経験も千差万別
・新卒~70代まで非常に幅広い年齢のセールススタッフが在籍。
・主婦、営業経験者などさまざまなキャリア背景を持つ集まりであり、スキルが均一化されておらず、属人的な販売手法となっている。

このように、セールススタッフが戸別訪問する販売スキームは同社の強みであると同時に、アナログな対面販売のためスタッフの負荷が高く、本部側としては新規アプローチなどの統制が取りづらい、販売スキルが属人化してしまうといった悩みがありました。また、現金を持ち歩くリスクに加え、帰社後の集計業務に時間がかかる点も課題でした。


課題解決の全体像

これらの課題を解決する手法として、A社では以下の全体像を描かれました。

全体像

①エンドのお客様向けに「会員アプリ」を配布
②会員アプリには「キャッシュレス決済」と「ポイント還元」の仕組みを付与
③アプリで収集した顧客データを統合する「CDP*1」を構築
④CDPと「MA*2」を用いて、顧客ひとりひとりのニーズに合った情報を発信
⑤セールススタッフにはアプリと連動したリアルな営業活動支援
⑥本社・販売店では営業データを顧客向けの営業企画に活かしPDCAを回す

*1 CDP: Customer Data Platform(カスタマー データ プラットフォーム)、顧客情報基盤
*2 MA:マーケティングオートメーション、マーケティング施策に関する業務を自動化・効率化するツール

このプランの裏付けを得るため、A社は特定の1販売会社でデジタルマーケティングのPoC(概念実証のためのテスト)を実施。メール配信を起点とした「商品サンプルお渡しキャンペーン」を実施したところ、高い成果が得られたことで、本プロジェクトをスタートされました。


メーカーBXプロジェクトの経緯

本プロジェクトは一括ではなく、3部構成でのコンペが実施されました。

①キャッシュレスベンダー選定
②アプリ開発ベンダー選定
③CDP構築ベンダー選定

結果として、TOPPANがこれら3つのコンペすべてに勝利し、トータルでの支援を行わせていただくことになりました。

各コンペにおいてTOPPANが評価されたポイントは、以下の通りです。

①「キャッシュレスベンダー選定」でTOPPANが評価されたポイント

・TOPPANが提供する、特定の企業やグループのみで使える独自マネー「ハウス電子マネー」が高評価。

TOPPAN「ハウス電子マネー」とは:電子マネーの残高管理の仕組みをサーバー上で提供する残高管理機能や、カード製造や販促物・キャンペーンなどの施策をトータルで支援。多数の導入実績を誇ります。

ハウス電子マネー

②「アプリ開発ベンダー選定」でTOPPANが評価されたポイント

・TOPPANが流通・小売業向けに提供する「お買い物アプリ」をベースとした機能性および早期開発(スピード感)
・中でもA社のエンド顧客と親和性の高いUIデザインが高評価

お買い物アプリ

*UI画像はイメージ

③CDP構築ベンダー選定

・日本では構築実績の少ない「Salesforce CDP」を活用する提案
(TOPPANは事前に自社で導入し、構築実績を提示できた)

これらに加えて、本プロジェクト前から数年に渡って、TOPPANはA社様に対し各種のデジタル案件創出に向けた提案活動を実施。その活動が、同社のBX推進のコンペベンダーとしての認知につながり、安心感と期待値を持って当社にご発注いただけたと考えています。


プロジェクトの成果

プロジェクトにおいてTOPPANは「キャシュレス開発」「アプリ開発」「CDP構築」の3チームを束ね、A社を支援。約6か月間で無事、予定通り開発が完了しました。

プロジェクト後の姿として、A社様は「運用、管理は自社内で完結したい」とのご意向でしたので、開発・構築のプロジェクトを通じて、TOPPANはA社の社員様に対してのスキルトランスファーおよび、運用マニュアル作成の支援も実施しました。


まとめ

いかがでしょうか。今回はTOPPANのBX(ビジネス変革)のユースケースとして、宅配食料品メーカーA社様の事例をご紹介しました。

あらためて、BXの3つの要素である「CX」「DX」「EX」に置き換えると、以下のような成果につながりました。

●CX:顧客接点にデジタルを「プラス」することで、顧客側の利便性も向上(キャッシュレス決済)し、商品の提供機会を向上

●DX:テクノロジー(CDPとMA)を適用することでデータによる顧客理解とマーケ活動のPDCAを向上

●EX:セールススタッフの営業活動を支援し、業務を効率化することでプロジェクトの持続的成長が進む

BXにおいては、この3つの循環が、成功のカギとなります。

デジタルを活用したBX(ビジネス変革)を推進したいお客さまは、ぜひTOPPANまでお気軽にご相談ください。

2024.08.29

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