ハウス電子マネーとは?
共通電子マネーとの違いや導入のメリットを解説!
ハウス電子マネーとは、自社の店舗やグループのみで利用できる電子マネーです。
使う場所が限定されるため、独自の運用により顧客の囲い込みやロイヤルティ向上が期待できます。
本記事では、ハウス電子マネーの特徴を説明するとともに、運営側/消費者側の視点から活用のメリット、具体的な導入事例、導入時によくある疑問と解決法を紹介します。
ハウス電子マネーとは?
ハウス電子マネーとは、会社独自で発行・運用する電子マネーシステムです。
自社独自のポイントカードと一体化したチャージ式が主流で、日常使いのほか、ギフトや販促キャンペーンなど多様な展開が可能です。
独自の特典やクーポンの付与による顧客の囲い込みのほか、購買データに基づく施策が可能となり、リピート率や顧客単価の向上などが期待できます。
また、プリペイド式で事前に入金があるため、キャッシュフローの改善にも繋がる可能性があります。
ハウス電子マネーと共通電子マネーの違い
電子マネーには、ハウス型のほかに共通型があります。両者の運用では主に、利用可能な店舗、支払い方式、顧客データの取り扱いの3点が異なります。
【ハウス電子マネー】
● 自社グループの店舗のみで利用が可能
● 商品購入前に現金をチャージするプリペイド(前払)式が基本
● 自社独自のキャンペーンを自社内で管理できる
【共通電子マネー】
● 電子マネー運営会社に加盟する全国各地のさまざまな店舗での利用が可能
● プリペイド式、ポストペイ(後払い)式、デビット(即時払い)式など多様
● 顧客や購買データは電子マネー運営会社が管理し、加盟店側の利用は限定的
【事業者】ハウス電子マネーを導入するメリット
ハウス電子マネーの特徴である「独自運用」「前払式」により、導入すると、顧客の囲い込みやマーケティング・販促活動、キャッシュフローなど、多くの効果が期待できます。
顧客の囲い込みができる
ハウス電子マネーは、あらかじめまとまった金額をカードにチャージして利用します。この預かり金があるため、店舗へ足を運ぶ消費者心理が働き、前払いした分の購買行動を起こそうとします。
さらに、利用金額に応じた利用特典などを活用し「使うほど得になる」仕組みをつくることにより、繰り返しの来店や客単価アップを促すことができ、リピーターの確保やロイヤルティ向上も期待できます。
顧客データに基づいた施策が実施できる
ハウス電子マネーのメリットの一つが、顧客データを有効活用できる点です。
ハウス電子マネーと、登録者の情報や購買履歴を保持している店舗アプリなどを効果的に組み合わせていくことにより、顧客の属性や来店の傾向、時間帯や気象別の購買傾向など、さまざまな角度から行動分析を行い、商品・サービスの品質向上や、顧客別のきめ細かな販促キャンペーンを打ち出すことができます。
(※ハウス電子マネー自体には個人情報や購買履歴は保持されないため、マーケティング活動には別途個人情報を保持しているシステムとの連携が必要です。)
キャッシュフローの改善が見込める
ハウス電子マネーは購買前にチャージするプリペイド方式が基本です。未来の売上が先に自社の中に確保されるので、キャッシュフローの改善に繋がる可能性があります。
クレジットカード決済や共通電子マネーの場合、運用会社から売上に応じた金額が月単位でまとめて支払われるため、場合によっては手元に回収できるのが2~3カ月後になってしまうこともあります。
この点、ハウス電子マネーであれば、売上よりまとまった金額を先に前受金として回収できており、安定した経営が望めます。
(※キャッシュフローの改善については条件により状況が変わる可能性がございます。)
キャッシュレス決済手数料の軽減ができる
クレジットカードや共通電子マネーの場合、運用会社のブランドやシステム構築・運用に関わる代理店や代行事業者など、複雑な利用体系となり、システム利用料や決済金額に応じた決済手数料など、加盟店の手数料が高額になりがちです。
この点、ハウス電子マネーはシンプルなシステムの構築が望めるため、手数料の大幅な低減が期待できます。
失効したチャージ金額は退蔵益として収益になる
ハウス電子マネーはプリペイド(前払)方式のため、顧客がチャージした金額は前払金となり、チャージしたまま消費せず有効期限を迎えて失効となった金額は退蔵益として会社の収益になります。
共通電子マネーでは、利用の汎用性を高めるため、数年から10年といった長い期間の設定が多くみられます。ハウス電子マネーでは、発行者が独自に決めることができ、最後の利用日から1~2年といった短い期間の設定もあります。
【ユーザー】ハウス電子マネーを利用するメリット
プリペイド式・独自運用・データ活用ができるハウス電子マネーは、発行者だけでなく、顧客にとっても、共通電子マネーやデビットカード、クレジットカードにはない利点があります。
お気に入り店舗のキャンペーン情報を手に入れられる
独自運用とデータ活用がうまく進んだハウス電子マネーは、顧客にとって「かゆいところに手が届く」パートナーのような存在になります。
店舗アプリやSNSと紐づけ、登録した顧客の年齢や嗜好といった属性に応じて、お気に入りの店舗のイベントや、商品、ポイントといった情報を受け取ることにより、機会を逃さず満足度の高い購買ができるのです。
店舗独自のポイント還元を受けられる
前払方式は与信審査を必要としないため、銀行口座を持たない低年齢層や年金暮らしの高齢者層など、現金決済が主力の顧客層でもカードを持つことができます。
また、チャージ額別の特典やボーナス特典など、店舗独自のサービスを利用することにより、満足度も向上するのです。
TOPPANのハウス電子マネーの導入事例
タリーズカード
ハウス電子マネーを導入した事例として、大手コーヒーチェーンのタリーズカードを紹介しましょう。
タリーズカードは、ドリンク利用で1杯ごとに10円引きとなる特典や、公式アプリとの連携によりポイントが貯まってチケットなどと交換できるハウス電子マネーです。
また、クラブタリーズに登録すると、季節限定商品や会員だけを対象としたキャンペーンなどの情報を得ることができ、より満足度の高い店舗利用ができます。
導入時には、店頭での積極的な販促や季節限定カードの発行などにより、売上の2割まで拡大しました。クラブタリーズへの登録も進み、会員情報を販促活動にも活用できています。
ハウス電子マネーに関するよくある疑問
ここからは、ハウス電子マネーを導入する際によくある質問から、導入によるデメリットとその解決法について、また具体的なチャージの方法について解説します。
ハウス電子マネーを導入するうえでの課題とは?
ハウス電子マネーを導入するうえでの注意点として、運用が軌道に乗るまでの業務負担が増えることがあります。
例えば、カード導入時には、申込の受付・手続き処理、使い方など問い合わせ対応、新規ユーザーなどの操作サポート、従業員の端末操作教育などの業務が新たに発生します。
また、システムを導入しただけでは利用者へ浸透させるのは難しいため、導入当初は新規申込や、ポイントカードからの移行を促す特別キャンペーンの実施が望まれます。
このため導入時には、システム構築に加えてイベント展開に伴うプロモーションの展開や勧誘要員の配置、従業員への周知浸透など、総合的に取り組みを展開すると効果的です。
例えばTOPPANでは、会社独自の目的やビジョンに合わせ多角的なサービスをワンストップで提供し、ハウス電子マネーを強みにして戦略的に展開する機会をご提案しています。
チャージ方法は?
ハウス電子マネーのチャージは、店頭とオンラインに大別されます。店頭ではチャージ機を使って顧客が自分で現金を入金する場合と、レジで店員が現金を預かって入金する場合があります。チャージ機を活用すると人手不足の店舗でも運営が楽になります。
オンラインチャージの場合はクレジット決済が主流です。オートチャージといって、一定の金額を下回ると自動的にチャージされる設定をつけることのできるサービスもあります。
TOPPANならポイント一体型電子マネーの構築が可能
人口減少に伴う消費の縮小が不可避の現在、ハウス電子マネーは、独自運用による効率化、前払方式による安定経営、顧客データ活用による戦略的ビジネス展開と、効果的なマーケティングや販促活動に欠かせないキャッシュレス決済方法といえます。
ポイントシステムを導入済みであれば、ポイント会員をうまくハウス電子マネーに移行できるよう促し、店舗アプリやSNSなどを効果的に連携させて顧客との接点の頻度を高めつつ、データをフル活用して適時適切なサービスで品質向上を図りましょう。この積み重ねにより、単なるリピーターから「特別なお客さま」となり、店舗に愛着をもつロイヤルカスタマーが育ちます。
TOPPANのハウス電子マネーサービスは、2006年から他社に先駆けて提供を始めたプリペイドカードの運用ノウハウをもとに、流通、飲食、エンタメなど多様な業態・規模で、有名ブランド約170社・30万店舗以上の導入実績を誇ります。
ポイントシステムや店舗アプリ、業務効率化システム、販促ツールなどを有機的に組み合わせた総合展開により、日常利用、ギフト利用、販促利用など、目的に応じた導入の仕組みをご提供します。さまざまなマーケティング・販促関連のサービスと連携した総合的な事業の展開も可能にします。
ぜひご検討ください。
2023.12.01