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ECサイトのリニューアルのポイントや手順を徹底解説!

ECサイトは一度構築しても、事業拡大やリプレイス、収益性の改善など、さまざまな場面でリニューアルの機会が訪れます。

リニューアルでは現状の課題の解消や、さらなる成果の向上が求められるため、一からECサイトを構築する場合とは異なる取り組みが必要です。

本記事では、ECサイトをリニューアルするタイミングや進め方、注意点を詳しく解説します。業界・業種別のリニューアルのコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


ECサイトリニューアルのタイミング

企業にもよりますが、ECサイトをリニューアルするタイミングには次のようなケースが考えられます。

● 売上が伸び悩んでいるとき
● EC事業拡大に伴い業務が煩雑化しているとき
● 新しい施策を実施したいものの機能不足で対応できないとき
● 競合サイトとの差別化が図れていないとき
● システムやセキュリティの老朽化に悩まされているとき

このような課題を放置していると、日々の業務に支障をきたすほか、販売活動における機会損失が生じる恐れがあります。リニューアル時にはその必要性を十分に検討することも大切ですが、手遅れにならないよう早めに手を打つことも重要です。

ECサイトリニューアルの業種別ポイント

一概にECサイトのリニューアルといっても、業界や業種によって取り組み方には違いがあります。そのため、業界・業種ごとのポイントを押さえることが大切です。

ここでは、アパレル・量販店・食品メーカーを例に挙げ、リニューアル時のポイントを解説します。

アパレル

アパレル業界では、InstagramやLINEなどのSNSを活用して、商品のPRやファン育成を行うケースが多いため、ECサイトとSNSとの連携は必須といえるでしょう。現状のサイトでSNSとの連携が不十分なのであれば、リニューアルのタイミングで改善したいところです。

たとえば、Instagramの投稿から商品を購入できる機能があれば、チャネルの間口が広がり、販売効率が向上します。

また、ほかの業界に比べ、ブランドイメージが業績に影響しやすいのもアパレル業界の特徴です。ブランドの世界観を表現するためにも、デザインの自由度の高さに着目すると良いでしょう。

量販店

量販店でもアパレルと同様、SNSが重要な役割を果たします。リニューアルのタイミングで、SNSとの連携を見直してみると良いでしょう。ユーザーとのコミュニケーションを取りやすいSNSの利点を活かすことで、消費者との関係構築やエンゲージメント率の向上に寄与します。

加えて、量販店の事業拡大には、実店舗とECサイトを連携させたOMO(Online Merges with Offline)の推進が鍵を握ります。

たとえば、家電量販店では商品単価が高いことから、実店舗で実際に商品に触れた後、Webで情報収集をしてECサイトで商品を購入するケースも珍しくありません。だからこそ、実店舗とECサイトの在庫連動や、Web注文&店頭引き取りのような仕組みがあれば、UXの向上に大きな効果を発揮します。

食品メーカー

食品メーカーがECサイトで売上を拡大するには、いかにリピート購入を促進できるかがポイントです。そのためには、定期配送やサブスクリプションに対応できるECサイトを構築することが肝心です。リピート購入の度に面倒な手続きが発生しないよう、会員制度やキャッシュレス決済の仕組みを整えるのも一案です。

また、リピート購入を後押しするために、会員登録やポイント制度などのサービスを導入した囲い込みも欠かせません。このような点を踏まえ、リニューアル時の要件定義を固めましょう。

ECサイトリニューアルの手順・流れ

ECサイトをリニューアルする際は、次のようにやるべきことが数多く存在します。

以下で、それぞれの手順について解説します。

1.現状のサイトの課題や改善点の整理

ECサイトのリニューアルでは、新しくサイトを構築するときとは異なり、これまでの実績が存在します。その実績をもとに現状の課題や改善点を探れるのが利点です。

現状分析には、アクセス解析ツールの一つである「Googleアナリティクス」を活用するのがおすすめです。Googleアナリティクスでは訪問ユーザーの属性や行動傾向が可視化されます。

たとえば、サイトのアクセス数が多いのにもかかわらず離脱率が高いのであれば、サーバーがアクセス数に耐えきれずページの表示速度が遅くなっているなどの可能性が見えてきます。事前にしっかりと現状分析を行うことで、リニューアルの方向性や目標が明確になるでしょう 。

2.サイトリニューアルの目的・目標設定

明確な目的がなければ、方向性が定まらず、問題が起きた際に上手く軌道修正を行えず、思ったような成果が出ない可能性があります。そのため、誰が見てもわかりやすい目的と目標を設定しましょう。

目的・目標設定には、KGI(最終的なゴール)とKPI(中間目標)を用いるのが一般的です。「6ヶ月間でCVRを10%上昇させる」といった形で、定量的な目標を設定することで効果検証を行いやすくなります。

3.依頼するベンダーの選定

リニューアル業務を任せるベンダーを選定する際は、3~5社程度の企業をピックアップし、相見積もりを取るのがおすすめです。複数社を比較すると、価格やサービス内容の違いが浮き彫りになります。

見積もりを依頼する際には、目的や予算、納期などの条件を伝えましょう。その後の相手からの反応や提案内容も、ベンダー選びの検討材料になります。

4.サイト・システムの要件定義

ベンダーがある程度絞り込めた後は、先方の担当者とともに要件定義を進めます。要件定義は社内でも行えますが、サイト制作に関するプロと一緒に進めれば、客観的かつ専門的なアドバイスが得られるでしょう。

要件定義ではまず、ECサイト全体のコンテンツを整理したうえで、必要な機能を洗い出します。機能といってもさまざまな種類があるため、UX向上につながる機能・運用効率を高めるための機能・セキュリティ機能といった形で分類すると良いでしょう。

導入後の機能変更は難しいケースが多いので、必要な機能は確実にリストアップしておきたいところです。

【決めておきたい機能】
● ギフト対応
● 商品レコメンド機能
● 商品レビュー機能
● 商品お気に入り機能
● CRMなど各種サービスとの連携
● 定期購入
● ポイント対応
● SNS連携
● マルチチャネル対応
● 決済方法

5.ECシステムの選定

必要に応じて、ベンダーとともにECシステムを選定します。

「Shopify」や「EC-CUBE」など、ECシステムには幅広い種類があります。それぞれ特徴や強みが異なるため、ベンダーの意見も参考にしつつ、複数の製品をしっかりと比較することが重要です。

なかには無料トライアルに対応している製品も存在するため、テスト環境で納得できるまで機能性や操作性を検証すると良いでしょう。

6.デザイン・コンテンツの制作

要件やコンセプトに沿ってデザインやコンテンツを制作し、システムへ実装します。制作会社に依頼する際は、必ず事前に企画案やラフ案を見せてもらいましょう。また、可能であればプロトタイプを作り事前に評価を行うことで、デザインやコンテンツを最適化するのが理想的です。

7.ECシステム初期設定

ECサイトの外観が整った後は、内部システムを整備します。その際の作業は、新規ECシステムへのデータ移行や商品登録、アカウント作成・権限設定などの初期設定が中心です。

導入支援サービスを提供しているベンダーであれば、初期設定を一任できるケースも珍しくありません。ただし、後から設定内容を変更する可能性も考えられるため、基本的な設定方法に関してはアドバイスを受けておくことをおすすめします。

8.運用テスト

テスト環境でECサイトを運用し、問題点がないかを検証します。運用テストを通して、事前に解決すべき課題やボトルネックを特定します。テスト環境で発生した課題を改善すれば、よりスムーズに本番環境を迎えられるでしょう。

9.リリース・PDCA運用

運用テストを行った後は、いよいよリニューアル後のECサイトをリリースします。

リニューアル後のサイト運用で最も重要なのが効果検証です。ECサイトを無事リニューアルできたとしても、「思うような成果が出ない」「事前イメージと異なる箇所が見つかった」といった問題が発生することがよくあります。そのため、KGIやKPIと照らし合わせ、繰り返しPDCAサイクルを回しましょう。

ECサイトのリニューアルを行う際の注意点

ECサイトのリニューアル時に注意すべきポイントは次の通りです。

● 現場の意見を取り入れる
● 将来の事業規模も考慮する
● リニューアルの目的をベンダーと十分にすり合わせる
● 見た目のデザインではなく使いやすさを重視する
● 新サイトへのリダイレクト処理を忘れずに行う

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

現場の意見を取り入れる

リニューアルの企画・設計段階では、経営層や管理職だけでなく、現場の意見も取り入れることが重要です。

現場スタッフは日々サイトを運営し、ユーザーの声を直接聞いているため、より実態に近いニーズや課題を把握しています。これらの意見を取り入れることで、ユーザー視点に立ったECサイトのリニューアルが可能です。

将来の事業規模も考慮する

ECサイトをリニューアルする際は、将来的な事業規模をイメージしておくと良いでしょう。

たとえば、この先ECサイトと実店舗のマルチチャネルでの運営を予定しているのであれば、データを一元管理できる「Shopify Plus」のようなECシステムが選択肢に浮上します。そのほか、将来的な事業規模の拡大が見込まれる場合、より大量のデータを処理できるサーバーが欠かせません。

中長期的な事業規模の拡大・縮小は予測が難しいからこそ、いつでも柔軟な対応ができるシステムや周辺ツール、ベンダーを選定することが肝要です。

リニューアルの目的をベンダーと十分にすり合わせる

ベンダーとの間で十分に目的を共有していないと、機能の不備やUIの使いづらさなど、後から問題が起こりがちです。ベンダーの比較・検討をおこなう前にリニューアルの目的を明確にして、それをヒアリング時にしっかり要望として伝えましょう。

ベンダーの担当者と打ち合わせを行う際に、既存サイトの課題を洗い出してもらうのも一案です。ベンダーとともに課題特定・目標設定と作業を進めることで、互いの認識が一致しやすくなります。

見た目のデザインではなく使いやすさを重視する

ECサイトのユーザーが求めているのは、あくまで検索性や購入の容易さといった利便性であり、外観のデザインではありません。利便性の低さは離脱のきっかけとなり、売上の低下にもつながりかねないので注意が必要です。

ECサイトのリニューアル時には、ブランドコンセプトが一目でわかるデザインや、視認性の高いレイアウトを意識することも重要です。ただし上記の理由から、デザインばかりを重視するのではなく、UI/UXを最優先に全体の構成を考えましょう。

リダイレクト処理を忘れずに行う

旧サイトと新サイトでURLが異なる場合は、必ずリダイレクト処理を行いましょう。リダイレクト処理をしないと、旧サイトをブックマークしていたユーザーや、検索結果上の旧サイトをクリックしたユーザーが、リニューアル後のサイトにアクセスできない事態に陥ります。

「301リダイレクト」で処理することで、アクセスが新しいURLに恒久的に転送されるためユーザーの利便性を損なわず、さらにSEOにおけるページ評価も引き継げます。
予め新旧のページリストを作成し、転送が適切に行われているか確認しましょう。

ECサイトリニューアルに関するご相談はTOPPANへ!

ECサイトをリニューアルする際は、適切な進め方や注意点を理解することが大切です。なかでもベンダー選びは、その後のECサイトの成果に大きく影響するため、慎重に検討しましょう。

TOPPANでは、設計から開発までワンストップで支援が可能な、ECサイトリニューアル・運用サービスを提供しています。オンラインストアのマーケティング、商品開発、システム開発、業務設計、管理、実行、最適化など、eコマース事業の成果を最大化するための全体課題解決を一気通貫で支援します。

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2024.05.27