コラム

【事例対談】
SOMPOひまわり生命×インテグレート×TOPPAN
ウェルビーイング視点で取り組む
健康行動促進に向けたCRM施策<前編>


~3社が共同で仕掛けたお客さまの健康行動促進施策と
 そこから見えてきた企業とお客さまとの新たな関係値とは~

SOMPOひまわり生命様では、従来の生命保険会社の事業の枠組みを超え、お客さまの健康を応援する「健康応援企業」への変革を目標に、事業活動を展開しています。TOPPANはインテグレート社と協働で、SOMPOひまわり生命様のDX推進部が取り組む「お客さまの健康行動の促進とその実現のためのノウハウづくり」に向けたプロジェクトをパートナーとして伴走支援。顧客体験の設計から施策実行や効果検証までCRM施策全体をサポートしています。プロジェクトのこれまでの軌跡や今後の展望について担当者のリアルな声を対談形式でお届けします。


◆スピーカー&モデレーター紹介

上段(左から)
山下 陽 氏  SOMPOひまわり生命保険株式会社 DX推進部 健康応援CXグループ 課長
佐野 清貴 氏 SOMPOひまわり生命保険株式会社 DX推進部 健康応援CXグループ 課長代理
髙橋 基 氏  SOMPOひまわり生命保険株式会社 DX推進部 デジタル・データ企画グループ 課長代理
白井 俊行 氏 株式会社インテグレート 戦略コンサルティング事業本部 アナリティクス&データ部 部長

下段(左から)
中尾 教子  TOPPANエッジ株式会社 営業統括本部 第一営業本部
八木 彩紗  TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメーションセンターエンゲージメントサービス本部
木邨 綾子  TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメーションセンターエンゲージメントサービス本部 グループリーダー
太田 洋芳  TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメーションセンターエンゲージメントサービス本部 部長

※所属企業名・部署名は2025年1月時点

◆施策の取り組み背景

―SOMPOひまわり生命様が推進されている健康行動促進に関する取り組み「Insurhealth®(インシュアヘルス)」について、概要をお聞かせください。

山下氏:当社は、SOMPOグループのパーパス「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」という考えのもと、「健康応援企業」への変革を進めています。その中で生まれたのが、「Insurhealth®(インシュアヘルス)」という新しいコンセプトです。これは、生命保険の伝統的な役割である「万が一」への備え(Insurance)と、「毎日」に寄り添って健康をサポートする機能(Healthcare)を組み合わせた造語です。我々は「インシュアヘルス」をお客さまへ提供し、豊かな人生や夢の実現をサポートしていきたいと考えています。
その実現のためのインシュアヘルス機能の1つが「健康☆チャレンジ!制度」です。これは、保険加入後に喫煙状況やBMI(体格指数)、血圧などが改善した場合、「健康チャレンジ祝金」を受け取ることができ、さらに、保険料が割安になる制度です。制度を導入して6年程経ちましたが、「家族のためにタバコをやめたいけれどやめられない方」や「体型を改善したいけれど踏ん切りがつかない方」などにご利用いただいています。チャレンジ成功者は1万5千人を超え、さらに、成功者は、成功後の入院率が成功していない方と比べ50%低いというデータも出ており、インシュアヘルスがお客さまの健康に貢献していることを実感しています。

―インシュアヘルスの取り組みの1つである、「MYひまわりアプリ」導入の背景と、その役割についてお聞かせください。

山下氏:この数年間、インシュアヘルスを通して健康増進のお手伝いをしてきましたが、もっと多くのお客さまが確実に、より楽しく健康になる方法を模索しています。人が健康になるためには、
①健康になりたいという気持ち
②その気持ちを行動に移すこと
③その行動を継続すること
この3点が必要です。我々が持つデータやテクノロジーを活用して、押し売りではなく、
お客さまに、より自然でスムーズな形でご体験いただきたいと考え誕生したのが「MYひまわりアプリ」です。このアプリでは、「見える」「つながる」「変えられる」の3つをコンセプトにしています。

―インシュアヘルスの推進に向け、DX推進部のミッションや目標をお聞かせください。

山下氏:我々はDX推進部の中でもマーケティング活動を主とする部門で、ミッションは大きく2つあります。1つは、当社のお客さまの健康行動促進。もう1つは、それらの健康行動促進に向けた施策をより効果的に実施するための社内ノウハウをつくることです。
目標については、中期経営計画で2026年度末までに、お客さまの健康行動回数55万件を掲げています。アプリやメールなどのデジタル、そして当社社員や保険代理店からのリアルなチャネルを通じてお客さまにサービスをご利用いただくことを、健康行動と定義しています。

―55万件という目標の達成は、決して簡単なことではないと思いますが、現状の課題をお聞かせください。

山下氏:前中期経営計画の最終年度である2023年度の実績は、10万件に届きませんでした。それを3年間で55万件にしようというのですから、これまでのやり方では太刀打ちできません。アプリやメールを中心にデジタルを活用して、コミュニケーションを進化させる必要があると感じました。そのためには、どのようなお客さま(セグメント)に、どのタイミングで、適切な案内(クリエイティブ)を届けることが効果的かを明らかにする必要がありましたし、その上で、インシュアヘルスを掲げる当社ならではの「健康応援の勝ちパターン」をつくらなければなりません。つまり、デジタルマーケティングと行動変容を促すメソッドを融合させる必要があったわけです。
しかし、私や佐野は元々保険代理店営業、髙橋はデータエンジニア。マーケティングや行動変容の専門家が我々の部にはいませんでした。これまでの施策は経験や勘を頼りにしてきたのが実情で、一連のプランニングから実行・効果検証までのPDCA運用を体系化できていなかったのが課題でした。そこで、こうした課題へともに取り組める伴走パートナーを募集しました。


◆TOPPANの選定理由

―伴走パートナーとして、TOPPAN・インテグレートさんを選定されたポイントをお聞かせください。

髙橋氏:TOPPANさんのCRM施策における実績・実行力の高さ、そして、インテグレートさんの顧客の態度変容を促すパーセプションシナリオの設計力とデータ分析力の高さです。ご一緒することで、プロジェクト推進を加速できると考えました。

山下氏:他社とは異なり、典型的なパターンに当てはめたプレゼンではなく、しっかり当社の課題を理解した上で、課題解決に資する提案をいただいたことが印象的でした。実際、プロジェクト開始から1週間後の定例会で、すでにしっかり施策の内容を考えてくださっていて、期待に応えていただきました。


◆施策内容

―今回の取り組み内容をお聞かせください。

佐野氏:まず、「健康行動をしやすそうな人」を明確にするため、TOPPANさん、インテグレートさんにご協力いただき、アンケートやインタビューによる顧客調査と、当社が持つデータの分析を進めました。その上で、セグメントごとのパーセプションシナリオの構築、シナリオに基づいたコンテンツを制作していただきました。実際にお客さまにご案内し、その反応を踏まえて、セグメントやシナリオ、施策内容のブラッシュアップをしていきました。

木邨:今回のプロジェクトのゴールは、顧客体験設計の中で、SOMPOひまわり生命様がやりたい行動変容、その手前にある、お客さまが態度変容をするポイントを明らかにすることです。そこで、お客さまへ態度変容を促すパターンを創出するためにPoC(概念実証)を実施しました。我々はプロジェクトマネージャーとしてPoCのゴールを設定、いわゆる「勝ちパターン」となるターゲットやコンテンツを見つけていくためのステップを整理しました。(下図参照)
ステップ1、2のデータの分析とパーセプションシナリオ設計部分は主にインテグレートさんに主導いただき、ステップ3以降の施策の実行と効果検証――ここが我々の強みでしたので、その部分をTOPPAN主導で進めさせていただきました。また、TOPPANエッジの中尾が以前よりSOMPOひまわり生命様のDM施策などを担当させていただいておりましたので、そのあたりの知見も活かしながら、今回のプロジェクトを進めました。

白井氏:ステップ1、2のパーセプションデザインでは、細かなデータ分析を実施しました。具体的には、SOMPOひまわり生命様の持つお客さまのデータと、健康意識を測るためのアンケートデータに、一般社団法人ウェルネス総合研究所が発信している「7つの健康セグメント」のロジックを掛け合わせて分析を実施。施策に活用できる顧客セグメントを設計しました。
この7つの健康セグメントは、健康への行動や意識で生活者を7つの層に分類したものです。チューニングが必要ではありますが、SOMPOひまわり生命様のお客さまを理解する上で、切り口として使いやすいのではないかと思い、採用しました。
その上で、机上の空論で終わらせず、ターゲット別にパーセプションシナリオの初期仮説を構築し、実際にお客さまへのデプスインタビューで検証しました。その結果をさらに分析して分かったこともあります。ターゲットを明確にして、どうやって態度変容させるかというロジックについては、我々からもアドバイスさせていただきました。

八木:今回実施したPoCにおけるコンバージョンの設定は、「MYひまわりアプリ」のダウンロード、健康診断結果のアップロード、がんリスク検査の申込としました。自分ごと化しにくい行動に対して、段階的に意識を変えるためにどのような情報をインプットしたらよいか、仮説を立てた上でお客さまにデプスインタビューを行い、インプット情報の確からしさを検証していきました。


◆後編につづく

施策効果やポイント、今後の展開やウェルビーイング視点でのCRM施策の重要性についてお伝えしています。


SOMPOひまわり生命保険株式会社
先進的な商品・サービスを提供し、SOMPOグループの成長を牽引する生命保険会社。「健康応援企業」として、保険本来の機能(Insurance)に健康を応援する機能(Healthcare)を組み合わせた、新たな価値Insurhealth®(インシュアヘルス)を提供している。
株式会社インテグレート
IMC(Integrated Marketing Communication:統合型マーケティング)を専門的に実践するマーケティングエージェンシー。独自のインサイト抽出と顧客体験設計プログラムにより、従来の戦略コンサルティング会社、広告代理店、PR会社ともまったく違った新しい業態を創り出している。

2025.02.18

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