コラム

書類チェックをミスなく
効率化する方法とは?

契約書や申請書などの重要書類は、わずかな誤記でも大きな損失や信用低下につながるため、書類チェック業務には「ミスゼロ」と「迅速さ」の両立が不可欠です。しかし現場では、人手不足による確認時間の不足、複数フォーマットの混在、ルールの属人化などが重なり、ヒューマンエラーが生じやすい状況になりがちです。

特に数字や日付の記載間違い、添付書類の漏れ、承認印の押し忘れは頻発する典型例で、発見が遅れるほど手戻りコストは跳ね上がります。

ミスを抑える第一歩は、項目を細分化したチェックリストの作成とダブルチェックの徹底。さらに、過去のエラーを集計し頻出箇所を可視化してマニュアルへ反映すれば再発を防げます。ワークフローシステムによる進捗管理、バージョン管理付きクラウド共有などのデジタル施策を取り入れれば、属人化を抑えつつ処理スピードも向上します。

導入は、①現行フローの棚卸し②リスク評価で優先付け③ツールの選定と試行④運用ルールの定着、の4段階で進めると効果的です。さらに部門横断で共通指標を用いれば基準のばらつきを防ぎ、組織全体の品質を底上げできます。

そこで今回は書類チェックにおける、典型的なミスの要因と防止策、効率化のポイントを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。


書類チェックでミスが起こる要因とは?

書類チェックとは、各種書類の記入漏れやミスがないかを確認したり、データ入力した書類の原稿が元の原稿と相違はないかなどを検査したりする、書類のチェック作業全般を指します。

書類チェックを行うときに、確認漏れや認識誤りなどのミスは、最も避けたいものです。では、書類チェックでミスが起こる要因には何があるのでしょうか? 主に次の要因が考えられます。

チェック者の疲れなどによるヒューマンエラー

人間が行うことにミスはつきものです。確認作業は単純作業であるため、長時間作業を継続すると、集中力の低下によりミスが起きやすくなります。特に目視だけで、手を動かさずにチェック作業を進める場合には、集中力が切れやすくなります。
また、パソコン画面上の書類を検査する場合には、目の疲れや肩や首のこりなどが起きてきます。集中力低下と疲れが合わされば、ミスがさらに増えることは、経験から誰もがご存じのことでしょう。

チェック項目の抜け漏れ

そもそも確認しなければならない項目に抜け漏れがあった場合には完璧にチェックすることができません。確認項目は書類チェックの開始前に洗い出したり、確認したりしておくべきことですが、その洗い出しや確認の時点で抜け漏れがあれば、当然、ミスになってしまいます。

せっかく確認したのに、抜け漏れのあった項目だけ改めてチェックしなければならないといった事態になります。時間の大幅なロスになるため、特に注意しなければなりません。

仕様変更などの共有不足

チェック対象の書類に対して、仕様変更があった場合に、準備していた確認項目では不十分であったり、そもそも確認項目が変わったりしてしまう恐れもあります。原因は、仕様変更の情報共有不足にあると考えられます。
チェック者が複数人いる場合には、そのチェック者同士の情報共有も重要です。一つ抜け漏れがあっただけでも、重要書類の場合は特に損害が大きくなってしまいます。

書類チェックでミスを減らす方法とコツ

書類チェックのミスを減らすためには、先にご紹介したような要因を対策するための、次のような方法やコツがあります。

まずは、①チェックに関わる人員を増やしてダブルチェックを徹底する、②仕様変更が発生した際の伝達フローを見直し最新情報を確実に共有する、③誰が見ても同じ基準で確認できるチェックリストを導入する、④AIやRPAを搭載した書類チェックシステムを活用して人の見落としを補完する、⑤集中できる専用チェックスペースを整備する、⑥チェック担当者に定期的な教育・トレーニングを行う、⑦書類フォーマットと入力ルールを統一するといった環境・人材・仕組み面での3つのコツを加えることで、ミス発生率を一段と下げられます。

本記事では、これら7つの手法・コツについて具体例を交えながら詳しく解説します。自社の課題と照らし合わせつつ、どこから着手すべきかを一緒に整理していきましょう。

人員を増やしてダブルチェックを行う

ダブルチェックとは、その名の通り、二重の確認を行うことを指します。このように複数回、確認することはミスを減らすために有効です。ダブルチェックにはさまざまなやり方があります。

例えば、2人が連続して1回ずつチェックする方法や、1人目が確認した後、2人目は書類の逆方向からチェックしていく方法などがあります。また、同じチェック者が1人で間を空けて2回確認することもダブルチェックに含まれます。さらにダブルチェックをトリプルチェックにする方法もあります。人員が増えれば、確認項目を分担することもできるので、その分負担軽減になります。

しかし、ただ単に人数を増やせばチェックの精度が高まるわけではありません。例えば3人で同じ書類を確認する場合に、「他に2人が同じ書類を確認しているから」と気を抜きがちになるため注意が必要です。

仕様変更の伝達方法を見直す

仕様変更などの共有不足が原因であれば、仕様変更の伝達方法の見直しが重要です。口頭、メール、書類などの伝達方法を最適化しましょう。

チェックリストを取り入れる

PC上のデジタル書類チェックの場合、紙の書類のように「レ点」をつけながら確認することはむずかしいものです。しかし、他の方法を取り入れて、チェック状況を可視化することはミス削減に有効です。 例えば、確認項目をリスト化したチェックリストに対して、検査したらレ点を付けていくという方法があります。これによってチェックしたかしていないかという点や進捗状況がその都度、可視化できるので、チェックの抜け漏れを予防できます。

書類チェックシステムを活用する

書類チェックシステムとは、紙の書類やデジタル書類のチェック業務を効率化できるシステムです。 例えば、書類チェックのフローをあらかじめプログラミングしておき、チェック者はシステムからの「Aという書類はありますか?」などの設問に答えることでチェック業務を進めていけるシステムがあります。このようなシステムを用いれば、確認項目の抜け漏れミスを削減できます。

作業環境の整備と専用チェックスペースの確保

集中できる環境を用意することで注意散漫を防げます。机上の資料を用途別に整理し、照明を十分に確保し、電話やチャットの通知を一時的にオフにするなど、チェック専用スペースを設けると、内容確認だけに意識を向けられ、見落としが大幅に減ります。さらに、チェック中は飲食や来客を控えるルールを設定すると、集中状態を保ちやすくなります。

チェック担当者への定期教育・トレーニング

チェック担当者への定期教育は判断基準のばらつきをなくす鍵になります。最新の法令や社内ルールを盛り込んだ研修を半期ごとに実施し、実際のミス事例を用いた演習で「どこを、なぜ確認するか」を体験的に学ばせます。これにより経験差が縮まり、担当者全体の精度が底上げされ、ミスの再発防止につながります。

書類フォーマットと入力ルールの統一

帳票ごとにレイアウトが異なると、項目を探す手間が増えて抜け漏れが起きやすくなります。入力必須欄や自動計算式を設定した統一フォーマットを作成し、紙・デジタルの双方で同じテンプレートを運用することで、確認すべき位置と順序が固定化され、ミス率を大幅に抑えられます。さらに、バージョン管理を徹底すると旧様式の混在も防げます。

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書類チェックを効率化する方法とは

書類チェックはミスを減らすだけでなく、効率化も目指したいものです。書類チェックを効率化するにあたり、一般的な方法をご紹介します。

書類チェックの経験を積む

書類チェックは、回数を重ねるごとに慣れてきてスピードと質が上がり、業務効率が上がります。 このように経験を積むことが効率化につながります。理由の一つは、確認項目を自然と覚えるので単純にスピードが上がるためです。さらにチェックしていて、エラーの多い箇所がわかるようになるので、チェックの重点を置く場所がわかり、力の配分を調節できるようになることも理由の一つです。経験を積んでいくことはミス低減のためにも重要です。

複数の書類を確認する順番を決める

申請書チェックなどでは、1人の提出者の複数の書類を順次確認していくことがあります。この場合には、確認する順番を決めておくと効率化ができるでしょう。また申請書のうち、不足書類がないかの確認もしやすくなります。複数書類にまたがって同じ項目や類似する項目がある場合、複数書類をまとめてチェックすることで、さらに効率化が可能です。

チェックシートを使ったダブルチェックを行う

先述の通り、確認項目をリスト化したチェックシートの活用は、チェックのミスを低減できる一つの手段といえます。この方法を取り入れつつダブルチェックを行えば、より確認漏れが減り、効率的にチェックできるでしょう。

書類チェックシステムを活用する

書類チェックシステムは、ミスの削減だけでなく、効率化も可能です。書類チェックシステムを用いてチェック業務を行うことで、処理時間の短縮を実現した事例もあります。
あるケースでは、処理時間が従来の120分/件から80分/件と1件あたり40分という大幅な短縮につながりました。業務効率化の効果のみならず、時間短縮や人員削減などの効果も期待できます。

アウトソーシングサービスを活用する

書類チェックの効率化を図るために、アウトソーシングの活用も有効な手段の一つです。アウトソーシングとは、業務の一部を外部の専門業者に委託することを指し、社内リソースを他の重要な業務に集中させることが可能となります。

アウトソーシングの利点には、専門知識と経験を持つプロフェッショナルによる高品質な作業が期待できる点です。特に書類チェックのような細かい作業では、ミスを最小限に抑えることが重要です。専門業者は最新のチェックツールや技術を駆使して、効率的かつ正確に作業を行います。また、業務の繁閑に応じて柔軟に対応できる点もメリットの一つです。繁忙期には外部のリソースを増やし、閑散期には削減することで、効率的なリソース管理ができます。

書類チェック業務におけるアウトソーシングの活用は、書類チェックの効率化への貢献が期待できます。

まとめ

書類チェックは、単純作業でありながら、抜け漏れがあれば大きな損害につながってしまう恐れがある重要な業務です。ミスを削減し、業務効率化を目指すことで、さらに質の高い書類チェックが可能になります。

特にキャンペーン事務局や株主優待事務局の運営においては、書類チェック業務が多発し、その正確性と効率性が求められます。これらの業務では、大量の応募書類や優待申請書の確認が必要となり、ミスが発生すると顧客満足度の低下や信頼失墜につながる可能性があります。

TOPPANの書類チェックシステム「NoEROR(ノエラ)」は、書類チェックの時間削減やケアレスミスの軽減などを通じて業務効率化を実現することができます。急な仕様変更にも柔軟かつ迅速な対応が可能になるので、チェック者にも管理者にもメリットが大きいシステムです。

また、アウトソーシングサービスを活用することで、専門的な知識と技術を持つ外部のプロフェッショナルに書類チェック業務を委託することができ、内部リソースを他の重要な業務に集中させることが可能です。これにより、業務の効率化と精度の向上が図れ、キャンペーン事務局や株主優待事務局の運営がスムーズに進行します。

書類チェック業務について課題を抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

2024.07.25