BPOとBPRの違いとは?
BPOを導入するメリットや事例もご紹介
BPOとBPRは、昨今の労働人口減少や働き方改革、デジタル化などのビジネス課題解決には欠かせないものとなっています。しかし、BPOとBPRの概念は似ていることから、意味合いを混同してしまうことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、BPOとBPRの違いについて解説します。また、BPOを導入するメリットや課題解決策、導入事例も合わせてご紹介します。
BPOとBPRとは?
BPOとは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称です。社内の業務を専門業者へと外部委託する経営戦略の一種であり、「業務改善」を目的としています。
アウトソーシングするのは、業務の一部のこともあれば、業務プロセス全体のこともあります。例として、キャンペーンを実施する際に応募を受け付ける事務局業務の委託や、顧客からの問い合わせを受け付けるコールセンターの委託、見込み顧客開拓を担う内勤営業のインサイドセールスの委託などが挙げられます。
その他にも、経理、総務、人事といったバックオフィスの事務作業やDX対応のアウトソースなど、多種多様な業務を委託できるため、幅広い業務を委託することが可能です。
BPOは単に外部に「業務を委託する」といった意味合いに捉われがちですが、実は異なるのをご存知ですか? BPOの本質は「自社の業務改善・業務の効率化」にあります。
BPRとは「Business Process Re-engineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」の略称です。多様な視点で業務フローを見直すことにより、既存の仕組みや習慣を再構築することを指します。既存業務の効率化を図る業務改善ではない、抜本的な「業務改革」を意味します。中長期的に、業務全体の仕組みや非効率的な作業を見直し、改革を目指す経営手法です。
BPRが生まれた背景は、各部門が専門化し、プロセスが分断化された組織の課題解決のためといわれています。職務や業務フロー、管理体制、システムなどあらゆるものをデザインし直すといった意味合いがあります。
BPOとBPR、RPAの違い
では、BPOとBPRの違いはどこにあるのでしょうか。
先述の通り、大きな違いはBPOが「業務改善」の取り組みであるのに対して、BPRは「業務改革」の取り組みであるという点が挙げられます。
その他、「業務改善」という観点からは業務の自動化を目指す「RPA(Robtic Process Automation)」という言葉も良く使われていますが、RPAは「ロボティクス」という言葉の通り、ルーティン業務をロボットやソフトに代行してもらうという「業務自動化」の意味合いが強い言葉となります。
RPAは、BPOやBPRという言葉と合わせて語られることも多く、混同しがちな言葉なので、注意しましょう。
BPOを導入する目的が「業務効率化・生産性向上」であるのに対して、BPRの最終目的は「ビジネスや組織における諸問題を根本的に解決すること」であり、BPRのほうが高い次元の視点となります。つまり、BPRを進める上で取り入れる戦略の一つが、BPOといっても良いでしょう。
またBPOは、自社の業務のうち、ノンコア業務に当たる周辺業務を外注するという考え方がある一方で、BPRはコア業務を視野に入れながら、ノンコア業務(※)を外注したり、自動化したりするなどして抜本的に業務全体の効率化を図る取り組みといえるのです。
例えば、キャンペーン事務局に関する業務について、「対象者にキャンペーンはがきを送付する業務を代行してもらう」形はBPOとなりますが、「はがき送付業務のプロセスの見直し」や、「はがきを取りやめてWebで完結させる様な抜本的な業務改革」を他社へ依頼する形はBPRとなります。
※ノンコア業務とは…その業務自体で利益は生まれないものの、企業のコア業務遂行をサポートするために必要な業務全般を指す言葉
BPOの対象業務
ここで、BPOとBPRの対象業務を具体的にイメージするために、いくつか代表的な例をご紹介します。
BPO対象業務
・コンタクトセンター・キャンペーン事務局
・ロジスティクス(保管・在庫管理・発送業務)
・事務(データ入力等)
・DM制作・発送
・データ運用 集計・管理
・システム開発
BPOは、顧客に対するメールや電話の対応や、バックオフィス、オペレーション支援などの多岐に渡る業務が対象となります。ただ作業が煩雑な業務を時短・リソース不足補填の意味で業務委託するケースだけでなく、自社では実施しづらいセキュアな環境が必要な業務の委託や、プロによる顧客コンタクトでより効果を出してもらうために委託するなど、専門的な経験や知見を期待して委託するケースもあります。
BPR対象業務
・業務フロー全体の抜本的な効率化
・複数業務の再設計
BPRでは、コア業務・ノンコア業務を含めたあらゆる業務を抜本的に見直し、効率化、再設計します。また業務見直しの結果、、BPOを用いてノンコア業務を外注することで業務改革を図るという手法をとることもあります。
BPOを導入するメリット
BPOを導入することにより、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。主なメリットを3つご紹介します。
コア業務に注力できる
BPOでは、ノンコア業務を外部委託するケースも多いですが、その場合、自社ではコア業務に集中しやすくなります。特にリソース不足が課題の場合には、コア業務にリソースを充てることができるようになり、課題解決につながるでしょう。
コスト削減につながる
BPOを実施すること自体、コストはかかりますが、自社のリソースを節約できることから、トータルでみれば、コストを抑えられることもあります。
専門性の活用により効果創出
BPOサービスを提供する企業では、各業務のプロが業務に取り組むのが一般的です。そのため、業務ごとに適した専門性が期待できます。また最先端の技術やシステムを活用したり、法改正への対応などにも柔軟に取り組むことも多く、業績としての効果が生まれやすいというメリットがあります。
BPOを導入する上での課題と対応策
一方で、デメリットもあります。
BPOは外部委託の形態であるため、最も大きい課題として挙げられるのが、個人情報の取り扱いや企業の機密データの外部流出によるセキュリティの問題です。
BPO委託先には信頼のおける業者を選定するとともに、セキュリティ体制についても十分確認すべきといえます。高セキュリティ設備を備えていたりプライバシーマーク・ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認定を受けているなど、技術面や物理面、組織面、人的な安全管理を徹底しているところを選びましょう。
例えば、ICカードと暗証番号による入退室管理や、24時間の監視カメラ運用などによる高い情報セキュリティ体制を備えているかどうかなど、具体的に確認することが重要です。
特にセキュリティが強固な業界である金融、生損保、証券、債権回収などの分野のBPO実績があると、より一層安心です。
セキュリティリスクの他にも、BPOで業務を委託すると、社内に業務ノウハウが蓄積されない点や、委託コストがかかる点も、場合によってはデメリットとなる可能性があります。
このように、BPOを導入するうえで、メリットとデメリットが考えられるため、じっくりと比較して検討することが重要といえます。
BPO導入事例
ここで、実際にBPOを導入して成功した事例を2つご紹介します。
自動車メーカーの「DM+アウトバウンド」委託事例
ある自動車メーカーは、自動車オーナーに対するDM送付後、電話で詳細情報を補足してお伝えするという業務を外部委託しました。DMとアウトバウンドを組み合わせ、「目で見せ、耳で聞かせる」ことによりDMの開封効果を上げ、理解度を深めることにつながりました。請け負ったコンタクトセンターでは、オーナーの属性や生活スタイルに合わせてメリットを訴求し、理解と納得を促すセールストークを展開したため、来店客数がDMのみを送った場合と比較して4倍にアップしました。また、委託元の自動車メーカーの業務負担軽減にもつながりました。
銀行の「お問い合わせ受付・申し込み不備対応」委託事例
ある銀行では、各種申し込みに関する、問い合わせ受付を外部委託しました。請け負ったコンタクトセンターでは、申し込み方法のお問い合わせだけでなく、申し込み内容の不備を確認するアウトバウンドからデータメンテナンスまでを対応しました。また、業務実施に当たって、受付処理とコンタクトセンターが連携できる運用システムを構築し、両者の緻密な業務連携によって大規模で短期間の業務に対応できました。
まとめ
BPOとBPRの違いを中心に、そのメリットや事例をご紹介しました。現在では、どちらも多くの企業が実施しています。
TOPPANではあらゆる業務を請け負うBPOソリューションをご提供しています。
同ソリューションの強みは、トータルソリューションでご対応可能なところです。ものづくりの最初から最後までを担ってきた当社は、その経験の中で培ってきた「企画・設計から運用まで」を行う知見があります。また各業務に専門スタッフを配置しており、高品質なサービスで、お客さまの顧客満足度向上に貢献します。
中でもコンタクトセンター業務では、イベント、印刷物、DM、セールスプロモーション、物流、データ運用、キャンペーン、申込受付などの業務を、アウトバウンドとインバウンド共に、電話・メールにてご対応可能です。
2023.06.05