自治体が「地方創生2.0」推進に当たって
求められる対応とは?
周辺業務のBPOの可能性
2014年からはじまった地方創生は、一定の成果を上げましたが、人口減少や東京一極集中の流れを覆すには至らなかったため、現在は「地方創生2.0」として新たな局面を迎えています。しかし、その実行に自治体は多くの課題を抱えてます。
今回は、地方創生2.0の概要から自治体が求められること、地方創生2.0推進に当たって生じる業務課題や課題解決のために有効なBPOの領域について解説します。
■地方創生2.0とは?
地方創生2.0が進められている背景と政策の5本柱をご紹介します。
●地方創生2.0とは?
地方創生2.0とは、日本の成長力を維持し、都市も地方も安心安全に暮らせる持続可能な社会をつくるために、人口減少や東京圏への一極集中などの流れを変えるための社会政策です。
2025年6月13日に「地方創生2.0基本構想」が閣議決定され、これまでの地方創生1.0から刷新されました。
●地方創生1.0との違い
従来の地方創生1.0では、地域産業の発展や関係人口増加などを踏まえた地方企業の誘致、地域ブランド・観光戦略、地域経済の再生、地方への移住定住促進、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築など多様なジャンルで施策が進められてきました。
しかしながら、人口減少や東京圏への一極集中などの流れを変えられなかったこと、好事例の普遍化が進まなかったことが課題として残っています。地方創生2.0では、この課題への対策を講じるために始動しました。
例えばこれまで手薄であった「若者・女性にも選ばれる地方(=楽しい地方)」という視点や、産業・事業の地方起点の成長、デジタル技術の利活用による地方の総生産の向上や地域格差の解消を目指すなどが挙げられます。
●政策の5本柱
地方創生2.0の政策は次の5本柱で構成されています。
1. 安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生
2. 東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散
3. 付加価値創出型の新しい地方経済の創生
4. デジタル・新技術の徹底活用
5. 「産官学金労言」の連携など、国民的な機運の向上
■地方創生2.0で自治体が求められる対応
地方創生2.0で自治体が求められる対応を、市町村、都道府県それぞれについて解説します。
●市町村
市町村は、地方創生2.0の主体となり、地域のステークホルダーや住民を巻き込み、リーダーシップを発揮することが期待されています。そのため、過去の成果と反省を踏まえつつ、戦略の評価・検証を通じて施策を実施していく必要があります。その際、国や都道府県の支援を活用しながら次の施策を進めることが求められています。
【主な対応】
・人口規模や権限、地域特性に応じたAI・デジタルなどの新技術の活用による行政サービスの
高度化やサービス確保
・新たな資金の流れの確保
・若者や女性にも選ばれる地域づくりなどの新しい視点を持った施策
・他の市町村との連携
●都道府県
都道府県は、主に市町村のリソース不足などの課題解決の調整役として、従来よりも重要な役割を担う必要があります。市町村に先行して戦略の評価・検証を進め、将来のあり方を検討することが求められます。
【主な対応】
・統計指標や多様なデータを活用した市町村の状況可視化
・市町村の共通課題に対する解決策や市町村間連携の枠組みの提示
・地域の実情に応じた支援体制の構築、人材育成
・市町村の地域の経済界やメディアなどとの連携促進
・市町村に対する国のさまざまな政策や制度の適切な伝達・展開
■地方創生2.0推進に当たって生じる業務課題
地方創生2.0推進に当たって生じる業務課題として、次の点が挙げられます。
●市町村のリソース不足
人口減少が進むなか、市町村の職員のリソース不足が深刻化しています。地方創生2.0の中核的存在としてリーダーシップをとるためには国や都道府県、民間などの外部からの支援を活用することが求められます。
●市町村の情報・データ不足
市町村が独自に収集したデータのみでは限りがあります。戦略的に有効な施策を進めていくためには、膨大なデータをもとにした分析・活用が欠かせません。また地域には有効活用できるデータの源が豊富にありますが、それらを分析・活用する仕組みが構築されていない点も課題といえます。
●デジタル・AI活用
地方創生2.0では、デジタルやAIの活用が大きな推進力とされています。特にAIは膨大な地域データや市場データの分析が可能であることから課題・ニーズの発見・把握に役立ちます。また生成AIによるコンテンツ作成、地域経済の将来予測、観光の需要予測など多様な分野で利用可能性が広がっています。
しかしながら、もともと人材不足に悩む市町村ではデジタル化やAIの積極的な活用が進んでいないのが現状です。今後はむしろ人材不足に対応する技術として専門家の支援のもと、利活用を進めていくことが求められます。
●マッチング関連事業のニーズ拡大
地方創生2.0は、自治体をとりまくステークホルダーと住民を巻き込みながら進めていく必要があるなかで、地方と事業者や有識者などをつなぐマッチングのニーズと重要性が高まっています。マッチングのための出会いの場の創出と共に、短期間で最適なマッチングを実現できる仕組みづくりが求められています。
■地方創生2.0関連業務でBPO委託の可能性のある業務
自治体の人手不足の有効な解決策として注目されているのが、民間企業へのBPOの委託です。BPOの概要から課題解決が可能な背景、BPOで業務効率化につながる可能性のある業務をご紹介します。
●BPOとは?
BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の頭文字をとったビジネス手法の一種です。企業や自治体が特定の業務やビジネスプロセスを専門の民間企業に委託します。ただのアウトソーシング(=業務代行)の意味合いを超えて、課題解決および業務改善を目的とするものです。
BPOに関する詳細は下記のコラムもあわせてご覧ください。
【関連リンク】
●地方創生2.0関連業務でBPO委託の可能性のある領域
地方創生2.0関連業務でBPO委託の可能性のある領域の一つが「マッチング事業」関連です。
マッチング事業の運営においては、ユーザー登録、情報管理、マッチング後の進捗管理といった多岐にわたる周辺業務が発生するため、BPO利用によって業務効率化を図れる可能性があります。
【主な業務】
・マッチングプラットフォーム運用のための情報管理業務
例)課題・提案・会員情報の管理など
・大規模ユーザー情報の管理業務
・マッチングに関する調整・運用業務
・資材・届け先管理、配送指示・配送などの運用業務
・子育て・福祉・農業・空き家・人材などの特定領域の既存事業において、
効率化目的のシステム導入
例)子育て支援金申請のオンライン化など
●TOPPANの「BRIDGITAL for matching」のご紹介
TOPPANのBPOサービスでは、豊富な自治体業務支援の実績と経験を踏まえ、マッチングプラットフォーム構築サービス「BRIDGITAL for matching」を展開しています。
マッチングプラットフォームの構想策定からシステム構築、事務局サポート、成果最大化のためのコンサルティングまで、フェーズに合わせた伴走支援により成功をサポートします。
構築したプラットフォームには、支援を希望する自治体などのユーザーと、ソリューションやリソースを持っている企業や有識者などのユーザーをつなぐ機能があります。プラットフォームではユーザー管理や課題情報や支援情報、マッチング情報を一元管理でき、スムーズなマッチングを支援します。
地方創生2.0推進においてマッチングニーズが生じた際には、当サービスを利活用することでマッチング促進およびマッチング運用業務の促進につながる可能性が期待できます。
■まとめ
人口減少や東京圏への一極集中が加速するなか、地方創生2.0の取り組みが急速に進められています。特に市町村の人的リソース不足やデジタル化・AI活用の推進課題は、民間企業へのBPOの委託が有効な解決策となります。
BPOを活用すれば、マッチング事業をはじめとした業務の効率化も可能です。
また、TOPPANでは住民からの申請や問い合わせ対応といったアナログな行政事務の代行はもちろん、ITツールやチェックシステムを活用した窓口業務やWeb申請の受付処理といったデジタルとアナログを両立したご支援も可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
2025.08.26