【お客さまインタビュー】
デジタル通知を活用した自治体DXの
先進事例
EngagePlus®の導入で、特定健診の
受診率向上と業務効率化を実現!
美しい自然と独自の文化が共存する奄美大島。2021年には生物多様性の豊かさが評価され、世界自然遺産にも登録されました。そんな奄美大島の中核を担う自治体が奄美市です。
奄美市では、生活習慣病の悪化を未然に防ぐための「特定健診」の受診率の低さが長年の課題となっていました。そこで2023年、同市はTOPPANエッジの提供する「EngagePlus®」を導入し、受診率向上と業務効率化の両立を進めています。
はたして、「EngagePlus®」は奄美市の市民と職員にどのような価値をもたらしたのでしょうか。その背景、運用開始までのプロセス、そして導入後の成果について、国保年金課の久保和代氏、中屋博次氏、上田真紀子氏からお話を伺いました。
鹿児島県 奄美市 ・「EngagePlus®」導入時期:2023年2月 ・「EngagePlus®」導入用途:特定健診受診勧奨通知 |
「EngagePlus®(エンゲージプラス)」とは、SMSや「+メッセージ」の送信と紙媒体の郵送を組み合わせた、マルチチャネル・メッセージ配信サービスです。お客さまが希望する手段で通知を送ることにより、顧客体験を向上しつつ、郵送コストの削減や他チャネルとの相乗効果をもたらすことができます。
自治体DXを推進する奄美市、特定健診の受診率向上を目指す
―「EngagePlus®」導入前に、どのような課題があったのかお聞かせください
中屋さん:奄美市では、特定健診(※1)の受診率が低いという課題がありました。そのため、職員が残業をし、一人ひとりに電話をかけたり、夜間に訪問したりと、さまざまな取り組みで受診を勧めていたものの、なかなか思うように結果が出ず、悩んでおりました。
※1 40歳~74歳までの医療保険加入者を対象とした保健制度。生活習慣病を早期発見し、早期対策に結びつけることを目的としている。
上田さん:お仕事をしている方は昼間に会うことが難しいため、夜間に訪問をするのですが、不審がられてしまうこともしばしばありました。病気が重症化すると、医療費も保険税も高額になってしまいます。健康で長生きしていただくためには、大病になる前に、未然に気づいてもらうことが重要です。より良い受診勧奨の方法は無いだろうか、と模索をしていました。
―新たな通知サービスを採用するに至った経緯を教えてください
久保さん:本市は、2023年にトッパンフォームズ(現 TOPPANエッジ)(※2)と『デジタル社会推進に関する包括連携協定』を締結しており、市全体でDXに取り組んでおります。この協力体制のもと、包括連携協定の窓口であるデジタル戦略推進課が各部署の業務を調査し、ピックアップされたのが国保年金課の『特定健診受診勧奨通知』業務でした。この業務をより良いものにするためにと、「EngagePlus®」が提案されたのです。
※2 トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名を変更。
綿密なサポートによってスムーズに導入
―導入過程においては、不安な点などありましたでしょうか?
中屋さん:TOPPANエッジさまには、2015年から紙での通知にあたるDPS(※3)業務を委託していました。高いセキュリティ性や厳密な個人情報管理で、安心できる契約先だと判断しました。また、以前から郵便料金の値上げなどが懸念材料としてありましたので、新たな通知方法の提案はちょうど良いタイミングでした。
※3 TOPPANエッジの提供するデータ・プリント・サービスの略。印刷から印字、封入・封かん、発送までを一貫しておこなう。
―運用開始までの具体的な流れについて教えてください
上田さん:大まかな流れはDPS業務と一緒でしたので、スムーズに始めることができました。
具体的には、まず、TOPPANエッジさまで用意していただいた告知用イラストの確認や、SMSで送るための案内文の作成、市のHPへの利用開始告知、といった流れで進めていきました。
―TOPPANエッジからは、どのようなサポートがありましたか?
久保さん:今までは封書による通知でしたので不慣れだったのですが、『開封率の良いこの時間帯に送るようにしましょう』『デザインはナッジ理論(※4)を活かして分かりやすいものにしましょう』と、アドバイスを頂けたのが本当に助かりました。ご年配の方にも分かりやすい配色や文字の大きさとなっており、その中で受診期間が『3月31日まで』など目立たせたい部分が強調されています。
※4 人々の意思決定に選択の自由を保ちつつ、より良い方向に誘導する行動経済学の実践方法論のひとつ。健康や環境など、ポジティブな決断を促進する手法として用いられる。
「メッセージを見て予約しました」と反響、デジタルへのシフトで受診率向上と業務効率化を実感
―現在はどのようなタイミングで、特定健診の受診勧奨を通知しているのでしょうか?
上田さん:今は年に3回、「EngagePlus®」でメッセージを送っています。特定健診・がん検診の集団検診前の2回と、年度末の1回です。はがきでの通知と重ならないように、健診を後押しするようなタイミングにしています。
―「EngagePlus®」を使ってみての感触はいかがでしょうか?
上田さん:正直なところ、送る前は、怪しいメールだと思われてしまうんじゃないか? 年配の方は見ないんじゃないか? といった心配もありました。
ところが実際は、『スマホに届いたから見ました』『メッセージがあったから予約しました』といった前向きな意見が多いです。
電話の場合、つながらなければ案内ができないまま終わってしまいますが、「EngagePlus®」の+メッセージやSMSなら、自分のタイミングで開封できるのが良いのだと思っています。
―奄美市として、「EngagePlus®」による特定健診受診勧奨通知の実施をどのように評価されていますか?
久保さん:これまで、職員が大きく時間を割いて電話をかけたり訪問したりしても、受診率は目立って向上しませんでした。しかし、デジタル通知によって若い世代が見てくれるというメリットもあったのか、「EngagePlus®」導入後は、受診率が向上しています。
通年で活用したあとの効果測定はこれからですので、引き続き効果測定をしていきます。
上田さん:電話による案内は、国保年金課全体にとって大きな負担となっていました。保健事業の担当ではない職員まで巻き込んで、一人あたり100~150名に対して何度も電話をかけていました。電話をかけないことで受診率が下がる心配もしましたが、むしろ前年度より受診率は上がりました。
また、これは別部署の担当領域ですが、通知と集団検診予約システムを連携することで、電話予約を受ける負担も減らすことができています。
―最後に、今後の展望をお聞かせ下さい
久保さん:「デジタル化の目的は、受診率向上と業務効率化の両立ですから、さらに「EngagePlus®」の活用と工夫を進めていきたいと思います。また、国保年金課としては、税の未納に関する催告や督促についても「EngagePlus®」が使えないか検討をしているところです。
成果・効果がはっきりしていけば、他部署でも波及していくことでしょう。
奄美市は「EngagePlus®」の導入により、市民サービスの向上と職員負担の軽減を同時に達成するという、自治体DXの大きな一歩を踏み出しました。多くの自治体・機関にとって参考となる事例です。
デジタルとアナログのバランスを取りながら、すべての市民に届くサービスの提供をTOPPANエッジと共に目指していきましょう。
※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
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2024.03.29