検収業務とは?業務の流れから検収書に記載すべき項目などを解説
商品やサービスを客先に納品すると、よく「検収を上げる」や「検収書を発行する」という言葉を聞きますが、検収とはどのような行為なのでしょうか? また検収が完了すると発行される検収書は、どのような意味のある書類なのでしょうか? 納品書や請求書、検収書などは、普段あまり意味を気にすることなくやりとりをしている書類かもしれませんが、これらはすべて国税関係書類と呼ばれ、保存が義務づけられています。
今回は検収の概要から検収書に記載すべき事項、検収書の持つ意味などについて解説していきます。
検収とは?
検収とは、発注した商品やサービスが発注した条件(発注数量や仕様、動作状況、納期、梱包(こんぽう)など)通りに取引相手から納品されてきたのかを確認する行為です。納品物が仕様通りに作られているか、また正常に動作するかなどについては検査工程でチェックされますが、検収は検査工程も含め、その商品やサービスが納品物としての条件をすべて満たしているかを確認します。
例えば発注数量に対して納品された数が足りなければ不足分を要求することになり、仕様や動作に問題があった場合は検収前に修正を求めることになります。ほとんどの場合、検収後に発覚した瑕疵(かし、傷や不良)は発注者側の責任となることが契約によって定められているので、検収はとても重要なプロセスとなります。※隠れた瑕疵は除く
では検収とは、一般的にどのような流れで行われるのでしょうか?
一般的な検収業務の流れ
企業によって若干の違いはあるかもしれませんが、一般的には商品やサービスを受領すると以下のような流れで検収業務が行われていきます。
納品:受注者 → 発注者:
受注者から発注者に、納品書と共に商品やサービスが納品されます。受注者は発注者が指定した場所に、指定の日時を守って商品やサービスを納めなくてはなりません。発注者側にとっては、ここが検収業務のスタート地点となります。
受領書発行:発注者 → 受注者:
指定した場所と日時で確かに商品やサービスを受領したという証しとして、発注者側が受領書を発行します。ただし受領書は単に「受け取った」という証拠なので、まだ商品やサービスは検収されていません。
検査:発注者:
商品やサービスを受領した発注者は、それらが条件(仕様)通り作られ、指定通り動作するかを検査します。一般的に検査方法は事前に受注者に伝えられており、受注者は検査合格を前提に商品やサービスを作り込みます。また、検査期間は法律などで厳密に定められてはいませんが、90日以内に検査を終え検収完了とする場合が多いようです。また、検査の結果不合格となった商品があった場合には、発注者側は追加の納品を受注者に求めるか、発注金額の減額を行うことになります。
検収完了:発注者:
上記の検査に合格し、数量や梱包などにも問題がなければ検収合格となります。
検収書発行:発注者 → 受注者:
受領した商品やサービスが所定の検査に合格した証しとして、受注者宛てに検収書が発行されます。検収業務と呼ばれる工程はここまでのことをいいます。
請求書発行:受注者 → 発注者:
検収が完了し検収書を受領した後、受注者側は請求書を発行します。請求書には発注者の名前や宛先、請求日付、商品名、数量、合計金額などが記載されています。
支払通知書発行:発注者 → 受注者:
請求書に記載された合計金額をいつまでに、どの振込先に支払うのかなどが記載された支払通知書を発行します。定期的に取引をしている場合などは、この支払通知書が省略される場合もあります。
支払い:発注者 → 受注者:
事前に取り決めた支払い条件(月末締め翌月末現金支払い、など)に従って、受注者に支払いを行います。
領収書発行・受領:受注者 → 発注者:
支払通知書通りに対価が支払われれば、受注者側は領収書を発行します。この領収書を発注者側が受け取れば取引は完了です。
検収完了後に発行されるのが検収書
上記のような流れで発行される検収書には、どのような内容が記載されているのでしょうか? 法律で厳密に定められているわけではありませんが、検収書に記載すべき項目をここで確認しておきましょう。
検収書に記載すべき項目
宛名(受注者)の情報:
検収書の宛先です。発行された検収書が、誰に宛てられたものかを明確にします。また、同じ日付で同じ宛先に発行されるようなことがある場合には、見分けのつく番号などを記載します。
発行者(発注者)の情報:
検収書の発行者(発注者)に関わる情報です。一般的には社名や事業部名、住所、連絡先などを記載します。
検収担当者:
必須項目ではありませんが、企業によっては検収を担当した担当者の印が押される場合もあります。誰が検収合格を確認したのか明確になるので、受注者側から問い合わせをする場合などに便利です。
検収日:
納品した商品やサービスが検査合格となり、検収された日です。契約書や受領書には検収日より**日以内に支払いを行うなどという条件を載せることもあるので、検収日は正確に記載する必要があります。また当然のことながら、請求書の発行日付は検収合格日の後にならなければいけません。社内で監査があるような場合には、このような日付のずれは不正行為として疑われることもあるので重要なのです。
商品・サービスの情報:
いつ納品された、どのようなもの(商品・サービス)が検収されたのか、個数、単価、合計金額などを明示します。
このような内容で発行された検収書は、国税関係書類として受注者側で保管(保存)されることになります。検収書の保存期間は法人の場合原則7年間で、欠損金の繰り越しがある事業年度は10年間の保存が必要になります。また個人事業主の場合は、青色・白色申告を問わず5年間の保存が必要です。保存期間の起算日は、当該事業年度の確定申告提出期限翌日で、検収書の発行日ではありません。国税関係書類を保存する場合には、この点に注意が必要です。
検収書と他の国税関係書類はどう違う?
前章で検収書は国税関係書類だと書きましたが、他の国税関係書類にはどのようなものがあるのでしょうか? 国税関係書類には「証憑(しょうひょう)」と呼ばれるさまざまな書類があります。これらもすべて、上述の期間での保存が必要です。
納品書:
受注者が、発注者の注文通りに商品やサービスを納品したことを示すための書類です。納品した商品名や個数、日付、納品場所(指定場所)、納品した会社名などが記載されています。
受領書:
注文通りに商品やサービスを受領したことを、発注者が示すための書類です。受領した商品名や個数、日付、受領場所、発注側の会社名、発注番号などが記載されています。
支払通知書:
「この取引内容に関わる代金を、いつまでに、いくら、どこ(支払先)に支払います」と通知する書類です。支払通知書は発注者が発行し、取引の日付や内容、支払金額、支払期日、支払先(振込先)などが記載されています。
請求書:
納品した商品やサービスが検査に合格し、発注者から検収書が発行された後に対価を請求するための書類です。納品した商品名や個数、単価、合計金額、発注番号、支払い条件、支払先(銀行口座など)、日付、納品した会社名(受注者)などが記載されています。
領収書:
送った請求書の通りに支払いがされたことを証する書類です。領収書は受注者が発行し、支払われた金額、ただし書きとして商品名や個数、発注番号、入金を確認した日付、会社名などが記載されています。
まとめ:検収書は発注した条件通りに物やサービスが 納められた証拠
検収書は、発注した物品やサービスが発注した条件通りに納品され、発注側が確認したという証拠書類です。検収書を発行し請求書を受領すれば、発注側には支払いの義務が生じます。検収書は、検査や検査結果の確認など、しっかりとした手順を経て発行しましょう。
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お客さまインタビュー
2023.05.23