経理業務の正確性を保ちながら効率化を進める最適な方法とは?
企業の経済をコントロールする拠点である経理部門は、バックオフィス業務と見なされるために、業務改善を後回しにされることがあります。しかしながら、定型的な業務以外にも多岐にわたる仕事が押し寄せる経理部門だからこそ、効率化を迅速に進める必要があります。
今回は経理の効率化に向けた施策として、アウトソーシングとIT化を中心に解説します。
経理の効率化が求められる理由
初めに、企業において経理の効率化が必要とされる理由を解説します。
お金関連を一手に担う経理部門
経理部門で効率化を必要とする理由の一つに、経理に関わる業務が多岐にわたるという点があげられます。
経理業務は、資金の管理、現金・預金の取り扱い、決算、資産管理、給与計算・年末調整、税務申告など、幅広い内容をカバーしなければならず、そのいずれにおいても正確性が要求されます。
一方で、経理業務には専門的な知識を要求される場面も多く、担当できる人材が限られます。
しかしながら経理業務はバックオフィスというカテゴリーであり、直接的に企業利益に関わらないため、社内優先度は低く見られがちです。企業の経済に関連する業務を一手に引き受け、重要度が高いわりには体制整備が後回しにされることも少なくありません。また、業務のこうした立ち位置により、人材を多く割けないという企業も見られます。
経理関連はこまごまとした作業が日々発生する上、定期的に処理をしなければならない作業も多数あり、人手不足から業務が滞る場合もあります。
このような現状から、経理の効率化を進めないと業務遂行が難しくなる状況にあることが理解されます。
コストセンターという経理部門の立ち位置
企業の部門はプロフィットセンター(利益を生む部門)とコストセンター(経費をかけるが利益を生まない部門)に分けられます。
先にあげたように、経理を含むバックオフィスはコストセンターに含まれます。
企業経済の根幹を担う立場でありながら、プロフィットセンターと比べると、コストセンターの方が効率化を求められる傾向があります。
ただ、経理業務は企業から、効率化と正確性という要件の両方を満たすことを求められる立場にあるため、単純に業務を圧縮するわけにはいかないのが実情です。
正確性を高めつつ業務効率化を実現するためには、アウトソーシングとIT化を大きな柱に据えて検討していくことが現実的な方法として考えられます。
経理が抱える課題
経理業務の効率化を阻む課題について解説します。
業務の特殊性:
経理業務は専門的な知識とスキルが必要であり、その特殊性から一般的な業務効率化手法が適用しづらいことがあります。一方で、お金の出入りは日々発生するため、一つひとつの案件としては単純な作業が、膨大な数量となって押し寄せる特殊性もあります。
セキュリティ要件:
経理業務は機密情報や個人情報を扱うため、高いセキュリティ基準が求められます。このセキュリティへの配慮が、効率化を安易に進められない要因の一つとなります。
複雑なプロセス:
経理業務は多くの手続きやプロセスから成り立っており、これらを簡素化して効率的に運用することは、一般的な企業内の業務と比べて容易ではありません。
レガシーシステム:
企業内の経理業務で、すでに長期間にわたり使用されてきた古いシステムやソフトウェアが存在する場合には、新しいテクノロジーへの移行が容易ではなく、効率化を妨げる原因となります。
人的リソースの制約:
経理業務を担当する人員が限られている場合、業務改善をしたくても日々の業務をこなすのに時間を取られ、新たな施策に向けた余裕が無いというケースもあります。
属人化:
経理業務は専門的な知識や経験が必要となりますが、特定の担当者がその知識を保持しており、共有の手段が無いとノウハウが伝えられず、属人化・ブラックボックス化する場合があります。
課題解決策(1)アウトソーシング
上記で述べた課題の解決策の一つは、外部への業務委託です。経理においてアウトソーシングできる業務には、給与計算、年末調整、会計帳簿・決算書作成、請求書発行などがあります。これらの業務のアウトソーシングにより、効率化と正確性の両立が図られることが期待されます。
人員管理負担の軽減
業務を外部に委託することで、実務担当者の不足や繁忙期の人員不足への補充などの調整が不要となります。これにより、新たな雇用や教育にかかる人材コストを軽減できる可能性があります。
業務品質の均一化:
アウトソーシング事業者の専門スキル、業務ノウハウを活用することで、作業の迅速化、品質の均一化が期待できます。専門的な知識や技術が担保されており、作業者による業務品質の不均衡への心配が無くなります。
社内リソースのコア業務への集中:
単純作業やルーチンワークに割かれる社内人材を、優先順位の高い業務に振り分けられるようになります。社内の人的リソースをコア業務に集中でき、人材の有効活用が実現します。
属人化の回避:
ワンオペレーションや少人数に任せきりにすることが無くなり、業務の属人化・ブラックボックス化防止に役立ちます。不正処理のリスクを回避でき、社内統制の強化に貢献します。
アウトソーシングのデメリット
経理のアウトソーシングのデメリットとしては、以下があげられます。
コスト高の可能性:
外部事業者への委託費用が、社内で軽減されるコストを上回る可能性があります。
情報漏洩(ろうえい)のリスク:
機密情報が外部に漏れる恐れが生じます。
一部の業務が非効率になる可能性:
業務の性質によっては、社内でこなす以上の時間や手間がかかり、逆に非効率な結果を招くことがあります。
ノウハウの蓄積ができない:
外部へ委託する業務について、社内でノウハウを持った人材を育てることができなくなります。
課題解決策(2)IT化
経理業務のIT化は、業務の効率化やコスト削減を目指す働き方改革の一環としても重要です。経理業務は複雑で多岐にわたりますが、他の分野と比べてIT化が進んでいるとは言い切れません。IT化の障壁としては、経理業務の属人化、システム導入コスト、教育時間の問題が存在しています。
働き方改革や環境問題を受けて、IT化とペーパーレス化が進む中、経理業務もIT化の必要性が高まっており、企業としての対応が急がれます。
IT化のメリット
経理関連業務においてIT化を推進するメリットは、以下のとおりです。
業務時間の短縮と大幅なコスト削減:
これまで各所に散在していた領収書のような経費関連の書類およびデータ類を、一括で管理、自動計算処理できるようになります。確認や入力にかかる手間と時間を削減し、関連各所での情報共有が可能となります。
ヒューマンエラーによるトラブルの防止:
請求書発行時の封入ミスや紛失などの物理的なミス、それぞれが管理するファイルでの入力ミスやデータ移行時のミスなど、IT化されることで防止できる事故は多いと考えられます。人為的ミスによるトラブル、業務処理の遅れを軽減できます。
データの管理がしやすい:
一律の形式で管理することにより検索性が向上し、履歴の表示ができるなどデータの扱いが楽になります。
IT化のデメリット
IT化することによるデメリットとしては、以下があげられます。
導入コスト:
新たなシステムやツールの導入、データ移行、整備にかかるコスト負担が発生します。
見直しと移行における作業負担:
アナログからデジタル、既存システムからの移行など、作業フローおよび新体制への移行に膨大な作業が発生することで、通常業務に遅れが出る可能性があります。
中長期的視点の必要性:
経理部門は直接的な利益として成果が出ないため、結果が見えるまでに時間がかかります。
従業員のスキル向上:
IT化により、従来の業務スキルでは対応できなくなる可能性があります。その場合は従業員に対して、スキル向上のための教育や支援が必要となります。
経理を効率化する流れ
経理を効率化するためのプロセスを解説します。
現状の評価と課題の特定
初めに現在の経理業務プロセスを評価し、どの部分が効率的でないか、どの部分で手作業が多いか、どの業務がアウトソーシングやIT化に適しているかを特定する必要があります。
課題を具体的に洗い出し、アウトソーシングやIT化によって改善が期待できるか検討を行います。
課題の内容によっては、作業フローの変更や、適切な人員配置でも改善できる可能性もあるため、慎重に現状把握を行うことが重要です。
アウトソーシングの検討
上記で導き出した課題解決策として、アウトソーシングが有益かどうかを検討します。内部で維持するものと委託するものの切り分けを行い、業務内容に適したアウトソーシングパートナーの選定を実施します。
IT化の検討
上記と並行してIT化の導入範囲を決定し、どのツールやシステムを利用するかを検討します。
例えば経費精算、請求書発行、給与計算などの業務を自動化・デジタル化できるかを確認し、それによって得られる期待値を具体化していきます。システムの選定は、使いやすさ、セキュリティ、カスタマイズ性などを考慮して行う必要があります。
導入計画の策定
アウトソーシングとIT化の導入計画を策定します。内容としては、具体的なスケジュール、予算、役割分担、必要なリソースやトレーニング、変更管理などがあげられます。
アウトソーシング事業者との連携
アウトソーシングに関し、機密情報に関わるセキュリティを含め、委託事業者との間で綿密な打ち合わせを行います。依頼範囲、成果物の受け渡し、トラブル発生時の対応など、契約内容や細かな取り決めに注意を払うことが大切です。
システムの導入とカスタマイズ
選定したITツールやシステムを導入し、必要に応じてカスタマイズを行います。システムの設定やデータの移行などを進めながら、実務に即時適用できるよう従業員へのトレーニングを実施します。
まとめ:課題を明確化し効率化の有効策を実施しよう
経理の効率化を進めるためには、まず非効率な業務となる要因を突き止め、それに対する確実な手立てを考える必要があります。主な方法としては今回ご紹介したアウトソーシングとIT化がありますが、どちらか一つということではなく、適宜必要に応じて導入していくことがより良い効率化につながります。
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お客さまインタビュー
2023.11.10