【展示会レポート】
第38回ものづくりワールド東京 内
第4回製造業DX展
INDEX
- 1.はじめに
- 2. IoT・RFIDによる製造現場の自律化・省力化
- ①死角なし!RFID×AMRで実現する、点検・棚卸しの省人化ソリューション
- ②複雑な出荷・工具管理をデジタル化!RFID活用事例
- ③1日7,000枚の読み取りを高速化!リターナブルかんばんの所在管理システム
- 3. 高度なデータ管理
- ①国際標準仕様「EPCIS 2.0」対応!企業間をシームレスに繋ぐ次世代SCMシステム
- ②高機能・高品質のRFIDタグ
- ③「電池なし・貼るだけ・途切れない」次世代センサー技術
- ④現場発のノウハウが凝縮!製造DXソリューション「NAVINECT®」
- 4.高付加価値ソリューション
- ①アナログ×デジタルの複合提案で模倣品を防ぐ!偽造防止・トレーサビリティ技術
- ②指示書の完全ペーパーレス化!バッテリーレス電子ペーパー「Smart Tag」
- 5.さいごに
1. はじめに
2026年7月1日(水)から3日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて「第38回 ものづくり ワールド[東京]」が開催され、TOPPAN株式会社は「第4回製造業DX展」に出展しました。
今回のTOPPANブースのテーマは、「IDマネジメントが創る、人手に頼らない次世代の現場」。 製造現場の自律化や、製品の高度なデータ管理を可能にするソリューションを多数ご紹介しました。
ブースの中心でひときわ目を引いていたのは、RFIDを搭載したロボット(AMR)の走行デモンストレーション。未来の工場を予感させる具体的な展示に対し、足を止めた来場者がスタッフの説明にじっくりと聞き入る姿が見られました。
本レポートでは当日の様子や展示内容をご紹介します。
2. IoT・RFIDによる製造現場の自律化・省力化
①死角なし!RFID×AMRで実現する、点検・棚卸しの省人化ソリューション
RFIDリーダー搭載自律型ロボット(AMR)の走行デモの様子
人手不足やインフラ構築コストに悩む製造・物流現場の解決策として、ブースではRFIDリーダー搭載自律型ロボット(AMR*¹)の走行デモを実施しました。電波による読み取りが可能な電池いらずのRFIDセンサーとAMRを組み合わせることで、自動点検・棚卸しを実現するシステムです。
AMRによる自動化で24時間365日の運用体制を構築できるだけでなく、従来の画像認識では難しかった「棚の奥などの死角」や、目視では気付きにくい液漏れ点検なども可能となります。
これにより、夜間や立入危険エリアの省人化・安全管理にも貢献します。
モノのロケーションや数量、状態を遠隔地から一元管理できる次世代のシステムとして、デモでは「在庫管理」「液漏れ検知」「温度検知」といった用途の異なる高機能RFIDタグをAMRが自律的に読み取る様子を実演し、個体管理から状態管理までを無人で行える点をご紹介しました。
*¹ AMR...Autonomous Mobile Robotの略で自律走行搬送ロボットのこと。工場や物流倉庫で、センサーやAIを使って周囲の障害物を自動回避しながら荷物を運ぶ次世代ロボット。
②複雑な出荷・工具管理をデジタル化!RFID活用事例
製造現場の効率化を紹介するコーナーでは、川崎重工業株式会社様で運用されている「分解出荷品管理」と「工具持出返却管理」の2つのRFID活用事例を展示しました。
<分解出荷品管理>
大型産業用機械の出荷工程で発生する、製品を分解し数百点の部品を仕分ける複雑な管理を、RFIDによって効率化した事例を紹介しました。
従来の紙のリストで行っていた目視確認と手書きチェックから、RFIDタグの読み取り作業に置き換え、部品と梱包箱をシステム上で紐付けるデジタル管理へ移行しました。これにより、複数台の並行出荷時でも部品の取り違えや積み残しを未然に防ぐ体制を構築しました。
バーコードに比べ読み取りスピードが上がることで、チェック回数を増やして精度を高められるとともに、納品先からの問い合わせ時にも「紙資料の捜索」の手間なくデータを迅速に検索・照会できる仕組みになっています。
<工具持出返却管理>
製造現場では、工具の置き忘れや紛失が重大な品質リスクにつながるため、RFIDによる管理を行った事例を紹介しました。
工具一つひとつにRFIDタグを貼付し、複数の工具を瞬時に一括検品することで現場の負担を大幅に軽減。さらに、読み取りログが自動保存されるため点検の形骸化を防ぎ、万が一の紛失時にも履歴から捜索範囲を絞り、RFIDの捜索機能で素早く特定することが可能です。
③1日7,000枚の読み取りを高速化!リターナブルかんばんの所在管理システム
同じく可視化ソリューションとして、工場内と仕入れ先間で運用される「かんばん」にRFIDタグを追加し、入出荷や棚卸し業務を大幅に効率化した事例を紹介しました。
従来行われていた1日計7,000枚におよぶ「かんばん」のQRコードの読み取りに対し、高額な自動読み取りソーターを導入するのではなく、RFIDハンディーリーダーを採用することで、コストを抑えながら高速化を実現しました。
今回の事例では、金属を含む部品が対象でありながら、高価な金属対応タグではなく、汎用タイプの安価な積層対応のRFIDタグを採用しました。金属が多い条件でも運用可能であることを検証で確認し、特殊なRFIDタグなしでも安定した精度を確保しています。
これにより、初期費用だけでなく運用時のランニングコストも大幅に削減。かんばんを回収した際には重ねたまま一括で読み取れるため、優れたコストパフォーマンスと現場の効率化を両立させました。
3. 高度なデータ管理
①国際標準仕様「EPCIS 2.0」対応!企業間をシームレスに繋ぐ次世代SCMシステム
流通に関する標準化団体GS1が定める国際標準仕様「EPCIS 2.0」に対応したサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)を紹介しました。EPCISとは、サプライチェーンにおけるモノの動きや状態変化の情報を決められた形式で記録・共有するものです。
EPCIS 2.0では、従来のSCMシステムとは違って国際標準に則った語彙・データフォーマット・通信方式を採用しています。そのため、国内外を問わず企業間でスムーズにリアルタイムなデータ共有が行え、製造から販売までの一連のモノの流れを完全に可視化できる仕組みとして紹介しました。
会場では入出荷プロセスのデモアプリを実演し、「入荷/出荷の指示書番号の入力」→「ボックス型RFIDリーダーでの読み取り」→「リポジトリへのデータ送信」までの一連の流れをご紹介しました。
データ送信時にはEPCIS標準に沿ったJSON形式のデータを即座に確認でき、現場のアクションからリポジトリへの格納までタイムラグのない、高い透明性と即時性が伝わるデモ画面をご覧いただきました。
今後は、情報の機密性を担保するため、各種データの公開範囲を制御するアクセス権限管理機能の実装を予定。さらなるデータセキュリティーの強化を目指しています(特許出願中)。
②高機能・高品質のRFIDタグ
RFIDタグのエリアでは、様々なお客さまのご要望や独自の視点から誕生した高機能・高品質の多様なRFIDタグを展示しました。
ブースでは、金属対応タグや高熱や衝撃などの過酷な環境に耐える堅牢なタグなど、現場の物理的な課題を解決する多彩なラインアップをご紹介し、用途や設置場所に合わせて最適なタグを選択できるTOPPANの総合力をアピールしました。
③「電池なし・貼るだけ・途切れない」次世代センサー技術
RFIDタグの展示の中でも次世代のコア技術としてご紹介したのが、「バッテリーレスセンサー」です。
本技術は、2026年2月に標準化されたばかりの新国際規格(ISO/IEC18000-65)によりRFIDリーダーからの無線給電によって、電源不要で連続的なデータ送信(ストリーミング)を可能にする画期的なセンシング技術としてご紹介しました。
強みは「電池交換不要」「貼るだけで使用可能」「高速同時通信」といった点です。
会場では具体的な活用例として、工場内の機器にRFIDセンサーを取り付け、「振動」のデータを連続的に取得・監視する例をご紹介しました。「振動」といった機械のわずかな変化を故障やメンテナンスの“予兆”として捉え、突発的なライン停止を防ぐ「予知保全」の実現を提案する展示となっており、
工場やプラント等の点検、保守、物流、製造現場のあらゆるデータをセンシングする社会の実現に向け、TOPPANでも開発を進めています。
④現場発のノウハウが凝縮!製造DXソリューション「NAVINECT®」
統合型製造DXソリューション「NAVINECT®」のコーナーでは、オハヨー乳業株式会社様へ導入された「稼働監視・異常監視・設備参照」の事例をご紹介しました。
展示では、装置のリアルタイム監視による異常検知や、品質や保全に関する様々なデータの時系列監視による異常兆候の予兆検知、さらには製品番号と各種データを紐付ける製造履歴参照といった機能をデモを交えてご紹介。これにより以下の成果が実現されています。
・突発的な設備停止を減らす「設備統合効率(OEE)の向上」
・事後保全から予知保全へのシフトによる「保全コストの最適化」
・異常の先回り検知で製造プロセスの修正を行うことによる「歩留まり率の向上」
「NAVINECT®」の強みは、TOPPANの自社工場での20年以上の運用ノウハウに基づいた「現場目線のUI/UX」や、「このラインの稼働監視だけ」といった必要な機能に絞って導入できる「スモールスタートが可能」である点です。
実際の工場立ち上げ経験を持つエンジニアが、ソフトの納品に留まらず、システム導入前の「設備レイアウト見直し」や「作業ルール改善」などの様々な課題から伴走して解決する体制が構築されています。
4.高付加価値ソリューション
①アナログ×デジタルの複合提案で模倣品を防ぐ!偽造防止・トレーサビリティ技術
高付加価値ソリューションのコーナーでは、クラウド型ID認証システム「ID-NEX®」と、高度な「ホログラム技術」を組み合わせた、模倣品対策の導入事例をご紹介しました。
部品ラベルのQRコード*²で「真贋判定」と「トレーサビリティ管理」の2つの用途を1つで満たし、高い費用対効果を実現します。さらに、このラベルにTOPPAN独自の偽装防止ホログラムを併用することで、偽造耐性面で非常に盤石な仕組みが構築されています。
TOPPANの模倣品対策は、セキュリティーホログラム(アナログ)からシステム(デジタル)まで幅広い技術を有しており、複数の技術を掛け合わせた相乗効果や、偽造技術の高度化にあわせて別のカテゴリの対策を組み合わせて即座に提案できる総合力をアピールしました。
*²QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
②指示書の完全ペーパーレス化!バッテリーレス電子ペーパー「Smart Tag」
(左) ST1037L 電子ペーパー(3.7インチ)(右) ST1129L 電子ペーパー(2.9インチ)
電子ペーパーの活用事例として、製造工程における製造指示書を、RFID対応の電子ペーパー「Smart Tag」に置き換えた事例をご紹介しました。
従来運用されていた紙の指示書では、製造実績の記録ミスや管理PCへの登録の手間が課題となっていましたが、本製品の導入により完全ペーパーレス化を達成しました。
実績データはCSVで簡単に連携できるため、記録の管理工数が100%撤廃されたほか、入力ミスなどの属人的なリスクも撲滅し、データ精度の大幅な向上が実現されました。
電子ペーパーが書き換えられる様子
会場では、電子ペーパーの情報が即時に書き換えられる瞬間を見ることができるデモを展示しました。電子ペーパーは表示のメモリー性があることから、「バッテリーレス(電池非搭載)」でも、一度書き換えられた内容は、次の書き換えまで消えることがありません。
5.さいごに
今回の「製造業DX展」のTOPPANブースでは、人手不足や、サプライチェーンの透明化といった製造現場が直面する課題に対し、IDマネジメントを活用したソリューションによる具体的な解決策をご紹介しました。
来場された方々から注目を集めたTOPPANグループの次世代ソリューションは、様々な業界向けに応用が可能です。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
2026.07.24