横行するニセモノを「イルミグラム®」で抑止!
ホログラムによる模倣品対策で
キャラクター製品のブランドを保護
株式会社メガハウス(以下、メガハウス)は、1997年、当時同じバンダイグループであった(科研・エンジェル・ビーアイ)が合併し設立。同社の主力製品の1つが、キャラクターなどを精密かつリアルに再現したハイクオリティフィギュアだ。しかし、近年模倣品が諸外国で発見される頻度が増加してきた。このまま放置すれば、同社のブランドが毀損するばかりではなく、高品質のフィギュア製品を期待して購入したユーザーの期待を裏切る結果になってしまう。
そこで同社はさまざまな模倣品対策を検討。TOPPANの独自技術による模倣品対策ホログラム「イルミグラム®」の採用を決めた。具体的にどのような経緯でイルミグラム®採用に至ったのか、またイルミグラム®導入によりどのような効果が期待できるのか、株式会社メガハウス 取締役 林 伸介氏、生産統括部 執行役員 小林 卓未氏、経営企画部 デピュティゼネラルマネージャー 禰冝田 玲子氏にお話を伺った。
『好き』を極めた製品を脅かす、模倣品の脅威
『好き」を極めるものづくり
メガハウスではフィギュア事業、一般ゲーム含めたトイ事業、ODM事業といった複数の事業を展開しており、設計から製造まで一貫して対応でき、ものづくりにおけるクオリティの高さが強みだ。それがメガハウスのハイクオリティフィギュアなどに現れている。
「『好きを極めるファンクリエイト』、というのが当社のビジョンです。『ファン』という言葉には、楽しい(FUN)という意味とユーザーとしてのファン(FAN)という2つの意味が込められています。当社社員には、特に強いこだわりを持って、自分の好きなものに打ち込んでいる者が多いんです。ユーザー=ファンが好きなものにしっかりと寄り添いながらも、自分の『好き』も極めているような者が大勢います」と、禰冝田氏は自社のビジョンや独自性についてこう説明した。
模倣品被害が招くブランドの危機
同社の主力事業の1つが、キャラクターなどを対象にしたフィギュア事業だ。中でも国内外で人気の海賊アニメ・キャラクターを題材にした「Portrait.Of.Pirates(ポートレートオブパイレーツ)」シリーズなどのハイクオリティフィギュアは、世界中で大きな支持を得ている。しかしながら、ブランド力の高い製品ほど模倣品発生のリスクが高くなってしまう。
「諸外国での生産技術向上に伴い、それと並行して模倣品製造の技術も上がってしまいました。見た目だけでは即座に偽物かどうかの判断がつかないようなものも増えてきており、お客さまが購入したものが実はよく見ると偽物だった、ということも起こり得る状況です。
数年前には、お客さまからのクレームで不良品を回収したところ、当社製ではなく偽物だったことが判明したこともありました」と、小林氏は模倣品発生の状況を語った。
「模倣品増加の要因の1つとして、新型コロナなどの影響によって一時的に景気が低迷し稼働していない工場が増加したことで、工場の稼働率を上げるために、そこで模倣品を作ってしまう流れもあったのではないかと推察されます。加えて、諸外国の中には版権に対する知識や意識が十分に浸透していない地域もあり、こうした環境も模倣品の流通を助長する一因となっている可能性があります」
「当社では、キャラクター関連製品の売上が海外販売全体の90%程度を占めています。そこで偽物が出てくると、知らないうちにその分の売上が削られていくことになります。従って、模倣品対策は当社にとっては必須なんですよ」と、林氏は模倣品対策の重要性を訴えた。
偽造困難なホログラムシールで模倣品対策を実施
ハイクオリティ製品の偽造被害がブランドを毀損する
模倣品生産の技術がどれだけ向上したとしても、”好きを極めた”メガハウス製品の品質には当然遠く及ばない。たとえ見た目を巧妙に真似できたとしても、肝心のフィギュアとしてのつくりが違う。
壊れやすかったり、動きを完全に再現することもできない。だからこそ、メガハウス製だと思って模倣品を購入してしまったユーザーは、そのチープさにガッカリしてしまうだろう。
このように模倣品には、対象製品の売上が削られていくことのほかにも、オリジナル製品のブランドを毀損する恐れがあるのが厄介なところだ。
「特にハイクオリティな高額製品に関して、何とか模倣品の流通を食い止める方法がないのか、というのが模倣品対策を検討する出発点でした。最初は商品そのものに何か手を加える、という方法も考えたのですが、なかなか良い方法が見つかりませんでした。
そこで今度は、パッケージに本物と偽物を区別できる模倣品対策シールを貼りつけよう、ということで各メーカー様に相談し始めました」と、小林氏は具体的な経緯を振り返った。
独自技術を用いた「イルミグラム®」が有力候補に
模倣品対策の検討を始めたタイミングで出会ったのがTOPPANの模倣品対策ホログラム「イルミグラム®」だった。
「以前に別件でTOPPAN様と仕事をさせていただいたことがあり、同社の印刷技術のレベルの高さはその時から認識していました。模倣品対策シールはさまざまなものが世に出回っていますが、そのほとんどが簡単なホログラムシールであり、『ホログラムを貼って偽造防止に取り組んでいますよ』という、いわば模倣品に対する企業の姿勢を示すのが目的のようなケースも見受けられます。
しかしそのようなシールだと、偽造されやすいという課題もあり、業界内でも『そもそも貼る意味があるのか?』といった声が聞かれることもありました。
そうした背景もあり、偽造が難しいようなものが無いかと色々と調べているうちにたどり着いたのが今回採用したイルミグラム®でした」と、小林氏はイルミグラム®に出会うまでの経緯をこのように説明した。
イルミグラム®採用までには、海外のメーカー / 印刷工場など関係各所に、簡単に偽造できないようなものが作れないか相談。ホログラムシールのサンプルなども確認したが、やはり従来のホログラム技術では、簡単に偽造されてしまうと思えるものばかりだった。そこで、独自技術を用いたイルミグラム®を検討することになった。
『他では真似できない技術』が決め手。偽造を許さない特許構造
偽造困難な技術で本物を証明
模倣品対策ラベル自体が偽造されてしまうと対策としての意味をなさない。従って、偽造が難しい技術を探すのが当然の流れだ。イルミグラム®はTOPPANが独自開発したホログラム技術だ。
三次元の特殊な構造を有するので通常の技術ではそもそも偽造が非常に難しく、特許も取得済だ。また、特別な機器を使わなくても、スマートフォンのライトなどで真贋判定ができるため、一般消費者の方でも簡単かつ正確に偽物と本物を見分けることができるのも特長。これにより、模倣品の流通を水際で防ぐことができる。
「とにかく諸外国などでは真似できないような技術、という点が大きかったですね。偽造技術は日々進歩しており、通常だとすぐに偽物が出回ってしまいます。今回、『模倣品対策ラベルが偽造されてしまう』というような事態は何としても避けたかったんですよね」と、このように小林氏は、イルミグラム®に対する期待を口にした。
今回はイルミグラム®に加えて、モノトーンに輝くホログラム技術「S-White」も同時に採用。さらに偽造耐性や意匠性を高めている。
「イルミグラム®という技術を基本に、当社の模倣品の発生状況や意図を汲んで、そこにさまざまな機能を追加する形でご提案いただきました。我々もどうせやるなら最大限効果のある方法を選択しようと思っていたので、今回のTOPPAN様の提案はとてもありがたかったですね」
「一般的なホロシールよりも多少コスト高にはなります。しかし、お客さまが誤って低品質の模倣品を購入してしまうことを防ぎ、同時に当社品質への信頼を守ることができると考えれば、むしろ費用対効果は高いと考えています」と、小林氏はTOPPANの提案と今回の施策を評価した。
『本物にはイルミグラム®が付いている』お客さまへの周知徹底が今後のカギを握る
今年9月に発売された商品を第一弾としてイルミグラム®による模倣品対策をスタート。当面は特定のハイターゲット向けホビー・フィギュア商品を対象にイルミグラム®による正規品証明シールを貼付し、対策を講じていく。
順次対象製品を広げていき、最終的には全商品にイルミグラム®を採用することが理想だ。しかしそのためには、イルミグラム®の存在やその効果について、さらに広く認知されることが必要になるとメガハウスでは考えている。
「イルミグラム®が付いている製品が正規品である」という認識が広く浸透することは、模倣品の抑止につながる重要なポイントだと考えています。現時点では、対象となる製品を限定して導入を進めていますが、今後さらに対象を広げていくことで、より高い効果が期待できると考えています。
そのためには、当社でも対象製品のWebサイトで告知するだけではなく、改めてイルミグラム®導入に関するプレスリリースを出したり、サステナビリティへの取り組みの一環として、イルミグラム®による知的財産保護について積極的に広報活動をしています。
加えてTOPPAN様でも、イルミグラム®を『誰もが知るような存在』になるようにブランド力強化を図っていただけると、活用が進むと同時に模倣品抑止の効果も上がるわけです。そのためには当社も協力を惜しみません」と、林氏はイルミグラム®活用における広報活動の重要性を訴えた。
さいごに
TOPPANでは、さらなる技術の向上を進め、
お客さまの要望に寄り添いながら、最適なホログラムによる模倣品対策を提案いたします。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
2025.10.15