コラム

【ルーバーの間隔】違いによるメリット・デメリットとデザインを決めるコツを解説、成功事例も

ルーバーは、日射や外からの視線を適度に遮ることのできる建築材料で、住宅・非住宅問わず様々な建築物へ採用されています。ルーバーを取り入れる材料を検討する際に重要となるのが、「間隔」です。

そこで今回は、ルーバーがもたらす効果や間隔の違いによるメリット・デメリットについてお話しします。ルーバーを天井・壁・目隠しとして採用した事例や高耐久なおすすめ建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


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<目次>

■ ルーバーとは|特徴と効果
■ ルーバーの間隔とは|それぞれのメリット・デメリット
■ ルーバー間隔を決めるポイント・注意点
■ 「事例で見る」ルーバー間隔の違い|天井・壁・目隠し
■ 縦ルーバー・横ルーバーの違い
■ ルーバー選定のポイントは間隔以外にも
■ TOPPANの環境配慮型「木目調アルミルーバー材」
■ まとめ


■ ルーバーとは|特徴と効果

ルーバーとは細長い板材や角材を、一定間隔で地面に対して平行もしくは垂直、斜めに並列するように施工する建築部材です。近年は住宅だけではなく公共性の高い非住宅、中大規模の建築物において、内外装材として多く採用されています。

窓などの開口部前に設置すると、通風を確保しながらも日射を遮蔽し、外からの視線を妨げられます。近年は、日射遮蔽による暑さ軽減・空調効率アップ、ひいては省エネを目的として、環境配慮型建築にルーバーが用いられるケースは珍しくありません。

■ ルーバーの間隔(ピッチ)とは|それぞれのメリット・デメリット

ルーバーは、一般的に40〜200mmスパンで並列して施工するケースが多く、材料の間隔(ピッチ)によってメリットとデメリットは異なります。

・間隔が広いほど採光量・通風量は増えるが、日射遮蔽の効果は落ちる
・間隔が狭いほど採光量・通風量が減り、日射遮蔽の効果は高まる
・間隔が広いほど清掃・メンテナンスしやすい
・間隔が狭いほど清掃・メンテナンスしにくい
・間隔が広いほどルーバーの本数が減り、トータルコストを抑えられる
・間隔が狭いほどルーバーの本数が増えて、トータルコストが高くなる

ちなみに、使用するルーバー材の太さ(幅)や形状によって、バランスが良く見える間隔は異なります。そのため、デザイン的な観点からルーバーをプランへ取り入れる場合は、ルーバー材の形状と間隔を変えて数パターンでプランを比較検討する方法がおすすめです。

■ ルーバー間隔を決めるポイント・注意点

ルーバーの間隔を決める際は、以下6つの観点から検討しましょう。

コスト・予算

同じ施工面積でも、ルーバー材の間隔によって必要となる材料の本数が変わります。

そのため、プランニングの際にはまず予算を把握して、その範囲内でおさまるようにルーバーの間隔を決める方法もあります。

設置・固定方法

ルーバーは、主にルーバー材を固定するための受け胴縁が必要なストリンガータイプと、壁などに直接設置できる直付けタイプがあります。

【ストリンガータイプ】

【直付けタイプ】

ストリンガータイプは、通気や採光を確保したい場合や、施工効率性を重視する場合におすすめです。

対して直付けタイプは、デザインに凹凸をプラスしたい場合や、通気・採光は必要ない場合、できるだけルーバーが空間に出てこないように納めたい場合、余分なパーツを無くしてすっきりとしたデザインに仕上げたい場合におすすめです。

【ポイント】
TOPPANのアルミルーバーは、ストリンガータイプ・ルーバー上下固定タイプ・直付けタイプを製造しております。ルーバーを直付けしたような仕上がりにできるリブパネルも取り扱っておりますので、設計デザインや納まりを検討中の方は、お気軽にご相談ください。

ルーバーの断面形状

ルーバー材には様々な断面形状があり、どれを選ぶかによって日射遮蔽量や採光量、デザインが変わります。TOPPANのアルミルーバーは、主に角材形状と円柱形状、角度をつけられるガラリ(羽板)形状からお選びいただけます。

※それぞれ多数のサイズ展開があります。
※施工方法によって選択できる断面形状が制限されます。

これらのどれを選ぶかによって、ルーバーを正面から見た時の印象や適切な間隔は異なります。

風圧力

建設地の気候特性や建物(ルーバー設置)高さによって、ルーバー材の受ける風圧が変わります。受ける風圧によってストリンガーの設置場所やルーバー材の間隔、選べる断面形状・サイズが異なるため、まずは建築予定地が基準風速における地域区分のどちらに該当するか確認しましょう。

ガラリタイプや幅が薄く奥行きの大きい板状タイプは風圧を受けやすく、断面が小面積の細い部材ほど風の影響を受けにくいのが原則です。

※基準風速:全国の気象観測データに基づいて算出された指標で、日本建築学会荷重指針などの基本風速図を参考にしている。

開口率

ルーバー材の太さや間隔によって開口率が変わります。そのため、建築基準法に基づく有効採光面積を算出する際は注意が必要です。

ちなみに、TOPPANのアルミルーバー(THE-2060)は、間隔が40mmの場合に開口率37.5%なのに対して、200mmスパンにすると開口率87.5%になります。つまり、同じルーバー材を用いても、間隔によって有効採光面積を確保できるかどうかが異なるということです。

意匠性・デザイン

ルーバーの間隔によって正面から見た時のバランスが変わります。

間隔が狭いと重厚感がでる一方で、ダークカラーを選ぶと圧迫感のある印象になるので注意しましょう。対して間隔が広いと、軽やかですっきりとした印象に仕上がります。

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■ 「事例で見る」ルーバー間隔の違い|天井・壁・目隠し

TOPPANのアルミルーバーは、建物の用途や規模、施工場所を問わず、様々なデザインへ採用されています。その中からいくつか抜粋し、デザインのポイントと間隔の違いによる効果を紹介します。

屋内

同一カラーで形状の異なるルーバー材を部位ごとによって使い分けている事例です。円形カウンターの上は円柱形状のルーバー材を、天井・壁には薄い板状のルーバー材を施工しています。

軽やかで明るい印象に仕上げるために、ルーバーの間隔は広めに取り、直付け部分は下地となる天井・壁をホワイトで統一しました。

こちらは展示室という特性から、ブラウンの下地が見えるように薄細いルーバーを広めのスパンで施工した事例です。間隔を空けることでダークカラーでも圧迫感を軽減できます。

また、ルーバーの奥に設置した照明器具から発せられる光によって演出性が増す点もポイントです。

こちらはオフィスの入り口に目隠しとしてルーバーを配置した事例です。目隠しのためにルーバーを取り入れる場合は、間隔を狭くして視線が通りにくくすることがポイントになります。断面形状があまり薄くないルーバー材がおすすめです。

屋外

こちらは形状が同一でカラーの異なるルーバー材をランダムに組み合わせた事例です。工場という特質上、無機質な建物を温もりある印象に仕上げるために、間隔は狭めに設定し木目の印象を強くしました。

明るいカラーのルーバー材を基調とすることで、間隔が狭くても重い印象になりません。

こちらもルーバー材の間隔をかなり狭くした事例です。駅のファサードにデザインアクセントとしてルーバーを取り入れています。ルーバーは部材の凹凸によってデザインに深みが増す点も人気のポイントです。

こちらは曲面が印象的なファサードにルーバーを採用した事例です。間隔はルーバー材とほぼ同幅でベランダの通風を確保していますが、遠目から見ると奥にいる人の様子があまりよく見えないように工夫されています。

■ 縦ルーバー・横ルーバーの違い

ルーバーのデザインを検討する際、縦(垂直)・横(水平)のどちらにするかでメリット・デメリットが変わります。

縦(垂直)ルーバー

・シャープな印象に仕上がる
・斜めからの視界を妨げ、和風な雰囲気を演出できる
・外から室内が見えにくくなり、逆に室内からは外が見える
・壁面などに採用してもルーバーの上にホコリが溜まりにくい

縦ルーバーは、高い建物の窓やガラスカーテンウォールの前など、日射を遮りたい場所や、間仕切りパーテーションなど視線を遮りたい場所におすすめです。

横(水平)ルーバー

・柔らかく優しい印象に仕上がる
・見上げる(見下ろす)方向からの目隠し効果が高い
・壁面などに採用するとルーバーの上にホコリが溜まりやすい
・よじ登れてしまう

横ルーバーは、清掃性や衛生面・安全面の観点から、不特定多数が使用しメンテナンスが行き届きにくい公共的な建築物の壁面にはあまり採用されません。ホコリの影響を受けにくい天井に採用されるケースが大半です。

■ ルーバー選定のポイントは間隔以外にも

ルーバー材を選定したりデザインを検討したりする際のチェックポイントは、間隔(設置スパン)だけではありません。以下の点も踏まえてプランを検討しましょう。

・材質は木製かアルミ製か(アルミ製の方が高耐久・高耐候でメンテナンス手間がかからない)
・品質・寸法安定性(木製は品質ムラがあり、温度・湿度の変化によって変形しやすい)
・アルミ製は、木目調かアルミ仕上げか
・塗装が必要かそうでないか(木目調アルミルーバーは工場や現場で塗装する必要がなく、数年後の再塗装も不要)
・建築基準法の防火規定に適合するか(不燃・準不燃・難燃材料)
・コストパフォーマンスは良いか(不燃木材はコストが高く不燃突板化粧板仕上げは耐候性が低いが、アルミルーバーは長寿命で20〜30年メンテナンスフリー)
・環境に配慮された建材かどうか

【ポイント】
TOPPANのアルミルーバーは、アルミニウム基材に木目調の外装用シートやオレフィンシートを接着しており、耐久性と意匠性の両方を兼ねた環境に優しい人気製品です。

内装仕様・準外装仕様・外装F仕様に加えて、さらに耐候性の高い外装R仕様がございますので、ぜひ詳細は製品ページをご確認ください。

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■ TOPPANの環境配慮型「木目調アルミルーバー材」

TOPPANは、環境配慮とデザイン性を兼ね備えた内外装用不燃アルミ意匠材・フォルティナを製造しております。印刷会社として培った技術を活かし、リアルで多彩な木目のラインナップを取り扱っているため、高いデザイン性が求められる事例にも多数採用されている製品です。

【FORTINA(フォルティナ)の製品ラインナップ】
・ルーバー
・フラットパネル
・スパンドレル
・リブパネル(フォルティナレッジ)

【FORTINA(フォルティナ)ルーバーの特長】
・最新の印刷技術によって再現したリアルな木目と質感
・工場製造による高い品質安定性
・フラットパネルやスパンドレルとのトータルコーディネイトが可能
・ストリンガータイプとストリンガー不要の直付けタイプの選択が可能
・角材・円柱・羽板など多彩な断面形状(ストリンガータイプ43種・直付けタイプ26種)
・専用オプション部材によってシンプルで多彩な納まりに対応可能
・トレンドを押さえた厳選された20種類以上の木目ラインナップ(内装用は80種類以上)
・低汚染なオレフィンシートによる環境配慮性(準外装・内装用のみ)
・耐候性をアップさせ屋外環境でもシート表面のクラック・各層の密着低下・絵柄の退色や変色を長期間抑えられる外装R仕様

【ポイント】
TOPPANでは、意匠性だけではなく施工性・耐候性の高い環境配慮型建材を多数開発・製造しております。設計におけるデザイン・納まり・環境配慮に関するご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

■ まとめ

ルーバー材を取り入れた建築デザインのメリットは、閉め切らずに日射や外からの視線を遮断できる点です。ただし、材料を設置する間隔(スパン)によって機能や見た目が変わります。また、どのような断面形状のルーバー材を選ぶかによっても適した間隔が異なりますので、複数の組み合わせを比較検討してみましょう。

どの程度の間隔にすればいいかお悩みの方は、TOPPANまでご相談ください。現場の状況やデザイン、ご予算に合わせて、適切なプランを提案いたします。

2025.06.24

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