コラム

【板張り風の木目壁】材料の種類やメリット・デメリット、関連法規、おしゃれな事例を解説

最近、内外装のデザインにおいて木目調の壁をアクセントウォールとして取り入れるスタイルがトレンドです。しかし、材料の種類によっては店舗やオフィスなどには採用できません。

今回は、板張り壁の材料種類からメリット・デメリット、関連法規について詳しく解説します。実際の事例で見るデザインのポイントも紹介しますので、建物の内外装デザインを検討中の方はぜひ参考にしてください。


◎◎

<目次>

■ 板張り壁とは|材料の種類
■ 板張り壁のメリット
■ 板張り壁のデメリット
■ 板張り壁に関連する法規
■ 防火規定に対応できる木目の内外装仕上げ材
■ 【事例紹介】おしゃれな木目壁
■ まとめ


■ 板張り壁とは|材料の種類

オフィスでの採用事例写真

板張り壁とは壁の仕上げ材に木材もしくは木目デザインの材料を使用する手法です。最近は壁全面に採用したりアクセントウォールとしてデザインへ取り入れたりする事例が増えています。

板張り壁の仕上げ材に使われる主な材料は以下の3種類です。

・無垢材(不燃木材含む):天然木もしくは不燃木材で作られた板材を壁の仕上げ材に用いる
・クロス(壁紙):木目柄が印刷されたビニールクロス・紙クロスなどを壁の仕上げ材に用いる
・化粧パネル(化粧板):突板・挽板など天然木材が由来の化粧板だけではなく、木目柄が印刷されたオレフィンシートやメラミン化粧板などを表面材とした化粧板を仕上げ材に用いる

これらの材料は「天然の木目」と「印刷した木目」に大別でき、それぞれメリットとデメリットが異なります。

■ 板張り壁のメリット

執務室での採用事例写真

板張り壁最大のメリットは、デザインにナチュラルで温かみのある印象をプラスできる点です。また、シンプルでモダンなカラーが基調のデザインにおいても、質感の違いによって洗練したコーディネートが可能になります。

これらのメリットに加えて材料ごとに独自の利点があるため、選定の際にはチェックしましょう。

材料の種類

メリット

無垢材

  • ・天然木による調湿効果
  • ・天然木の香り成分によるリラックス効果
  • ・唯一無二の木目
  • ・キズや汚れがついても補修しやすい
  • ・耐用年数が長い
  • ・施工中の乾燥期間は不要

クロス

  • ・無垢材・化粧パネルよりもコストがリーズナブル
  • ・細かい場所や複雑な形状、曲面にも施工できる
  • ・部分的な張り替えが容易(ただし、色違いは目立つ)
  • ・施工中の乾燥期間は塗装よりも短い

化粧パネル

  • ・表面の抗菌・抗ウイルス・耐キズ加工
  • ・無垢材より薄く軽量なため施工効率が高い
  • ・部分的な張り替えが容易
  • ・希少な樹種の木目も表現しやすくコストを抑えられる
  • ・クロスよりも木目の再現性が高い(凹凸加工も可能)
  • ・耐用年数が長い
  • ・施工中の乾燥期間は不要

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■ 板張り壁のデメリット

板張り壁のイメージ画像

板張り壁にはデザイン面やコスト面、施工面においてメリットがある一方で、事前に知っておいていただきたいデメリットもあるため注意が必要です。

材料の種類

メリット

無垢材

  • ・材料によっては建築基準法の規定に対応できない
  • ・木材は他の材料よりも重いため、施工効率が低下しやすい
  • ・不燃木材は高価で樹種が限られる
  • ・希少な樹種や部位の木目は高価で、多量の材料を入手しにくい
  • ・経年変色しやすい

クロス

  • ・材料によっては建築基準法の規定に対応できない
  • ・木目の種類が化粧パネルより少ない
  • ・平面的でリアリティが低い
  • ・耐用年数が5年程度と短い
  • ・キズがつきやすい

化粧パネル

  • ・材料によっては建築基準法の規定に対応できない
  • ・表面加工されていない化粧パネルはキズや汚れがつきやすく補修できない

これらのデメリットを踏まえて、公共性が高く不特定多数の人が利用する特殊建築物(※)には、化粧パネルを採用するケースが大半です。

※特殊建築物:不特定多数の人が利用し、火災時の危険性が想定される建築物を指し、建築基準法2条1項2号で定められている。学校や病院、店舗、共同住宅などが該当する。

【ポイント】
特殊建築物に板張り壁を採用する場合、内装制限をクリアできる材料を選定しなくてはいけません。

■ 板張り壁に関連する法規

木目調の板を手元に働いている人のイメージ画像

板張り壁を内装や外装へ採用する場合、建物の用途や規模によっては使用できる材料が制限されるので注意しましょう。

内装制限

内装制限とは、特殊建築物を対象に室内に面する壁・天井の仕上げ材に防火性の高い材料を使用しなくてはいけないという規定です。建築基準法第35条2号および建築基準法施行令第128 条3項2条・ 第129 条で建物用途と延床面積の規模によって細かい仕様が定められています。

【ポイント】
居室と通路・階段で求められる防火性能は異なりますが、大半は壁・天井どちらも「準不燃」以上の性能をもつ材料を選ぶ必要があります。

外装に関わる制限

内装制限と併せて板張り壁に関連する規定が、外装に関するものです。

建築物の規模・高さが一定以上の場合は、主要構造部が火災を受けても一定時間倒壊せず延焼を防げる仕様でなくてはいけません(建築基準法第21条を参照)。外壁は規定の対象である「主要構造部」に該当するため、内装制限の範囲と同様に防火認定を受けた材料を選ぶ必要があります。

【ポイント】
内装制限および外装に係る制限の対象となる壁には、難燃・準不燃・不燃材料いずれかを選ばなくてはいけません。防火性能は「難燃<準不燃<不燃材料」と高くなるため、不燃認定を受けた材料でしたら全ての規定をクリアできます。

防火に関連する規定については以下の記事でも詳しく解説しています。

■ 防火規定に対応できる木目の内外壁仕上げ材

ホテルでの採用事例写真

TOPPANは、印刷会社として培ったプリント技術を駆使し、内装制限や外装に係る防火規定に対応できるナチュラルな木目の化粧パネルを製造しています。

化粧シート+アルミニウムの不燃意匠材「フォルティナ」

オリジナル建材のイメージ画像

フォルティナは、低汚染で環境に優しいオレフィンシートと耐候性・耐久性の高いアルミニウムを組み合わせた不燃意匠材です。ルーバーやスパンドレルなど様々な形状を取り揃えています。内装・準外装・外装と異なる仕様があるため、内壁・外壁どちらにもご採用いただけます。

◎◎

抗ウイルス・抗菌機能付き不燃化粧パネル「ローバル」

化粧パネルのイメージ画像

ローバルは、フォルティナ同様に低汚染で環境配慮型の素材であるオレフィンシートを表面材とし、さらに抗ウイルス・抗菌機能をプラスした不燃化粧パネルです。人がよく触れる室内壁だけではなく、扉やパーテーション、ブースの面材としてもご好評いただいております。

最新トレンドを分析して厳選された45種もの色柄ラインナップがあり、木目に加えて石目調もお選びいただけますので、オリジナリティ溢れるデザインに対応可能です。

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■ 【事例紹介】おしゃれな木目壁

TOPPANの不燃化粧板は、火災への強さだけではなく高いデザイン性が求められる商業施設やオフィスなど様々な建築物の壁仕上げ材に採用されています。その中から特徴的な事例を抜粋し、デザインのポイントを紹介しますので、ぜひ設計デザインの参考にしてください。

天井・壁に同じ木目の化粧板を採用

化粧板の採用事例写真

こちらは壁と天井に同じ木目の不燃化粧パネルを採用した事例です。天井から壁へのつながりが強調され、開放的で広々とした印象に仕上がりました。木目調と石目調の化粧パネルをコーディネートしたり、部分的にルーバーを取り入れたりするデザインもトレンドです。

木目で目立つ外観デザインに

店舗外観の採用事例写真

こちらはテナントのファサードに部分的な板張り壁を採用した事例です。個性を出しにくいテナントの外観デザインにおいても、木目を取り入れることで外を行き交う人の視線を惹きつけます。

壁とドアの木目を揃えて高級感漂うデザインに

化粧板の採用事例写真

こちらは壁仕上げ材とドアの面材に同じ化粧パネルを採用し、高級感のあるラグジュアリーな雰囲気に仕上げた事例です。暗めな木目を取り入れると重厚感があり落ち着いたデザインになる一方で、淡い色の木目でまとめると爽やかで明るい空間になります。

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■ まとめ

板張り壁には木目によって空間の印象を和らげたり、高級感や個性をプラスできたりする効果があります。ただし、公共性の高い建築物は壁の仕上げに採用できる材料が限定されるので注意しましょう。

TOPPANでは、施工性・デザイン性にこだわり環境にも配慮した「不燃化粧パネル」を開発・製造しております。外装・準外装・内装仕様において不燃材料として個別認定を受けているため、幅広い現場へご採用いただける点が強みです。

「環境に優しい建築」や「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

2025.02.04

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