コラム

オフィスの空間デザイン|9つのデザインポイントと事例、エコフレンドリーな内装材について

会社のイメージだけではなく働く人の快適性やモチベーションも左右するのが、オフィスの空間デザインです。最近は、これらだけではなく環境への配慮という社会貢献性も求められます。

しかし、「空間デザイン」という言葉では少々イメージが漠然としてしまいますよね。そこで本記事では、空間デザインの概念やオフィスの内装をデザインする際のポイントや流れ、事例を紹介します。1900年創業のTOPPANが提案する「サステナブルな内装建材」についてもお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください。


<目次>

■ 空間デザインとは
■ オフィスの空間デザインにおける9つの重要なポイント
■ オフィス空間デザインの流れ
■ オフィス空間デザインの事例とSDGsに特化した内装建材
■ まとめ

■ 空間デザインとは

「空間デザイン」とは、その場所を使う人の生活や居心地の質を高め、快適な環境を創り出すためのデザインを総合的に指します。オフィスにおける空間デザインは、働きやすさ向上や会社・商品・サービスのアピール、購買意欲の向上が目的です。

空間デザインにはいくつかのアプローチがあり、上質な空間デザインを実現させるためにはそれぞれの知識が必要になります。

・カラーコーディネート
・配置計画(間仕切壁・家具・パーテーションなど)
・照明計画
・環境工学(空調などの温度環境、音響・遮音・吸音、衛生設備、省エネルギー性など)
・内装材選定(コスト・納まり・テクスチャー・環境配慮など)

空間デザインは「建築設計」や「インテリアデザイン」と同じ意味合いで使われることがありますが、これらには違いがあります。

建築設計

建築の構造や形状、間取りに重点を置く

インテリアデザイン

できている空間の仕上げや家具のみをデザインする

空間デザイン

建物の内部や周囲環境、運用快適性に重点を置く

建築設計とインテリアデザインの中間的作業が空間デザインと言えるでしょう。

■ オフィスの空間デザインにおける9つの重要なポイント

オフィスの空間デザインを検討する上で重要となる9つのポイントがあります。まずはこれらのポイントに沿ってデザインコンセプトを決めましょう。

企業の社風・コンセプトを表す

オフィスはその企業の社風やブランドイメージを最も表す場所と言っても過言ではありません。企業のコンセプトをオフィスのデザインへ反映させることで、社外的なアピールだけではなく、社員の一体感・チームワーク向上をもたらします。また、近年は就活生の多くがオフィスの快適性を重視する傾向も見られるため、空間デザインは有能な人材を確保する上でも欠かせないポイントと言えるでしょう。

社員の働きやすさと生産性を向上させる

オフィスの効率的な動線や集中できる環境、ストレスの緩和、創造力を掻き立てる工夫は、社員(従業員)の働きやすさと生産性を向上させます。スペースの広さと社員数のバランスが悪いと、いくら業務に必要な設備が整っていても働きやすさや生産性にはつながりません。

事務所衛生基準規則(第2章「事務室の環境管理」第2条(気積)※では、社員一人につき必要な空間容積を10㎥(床面から4m超の空間を除く)と定めており、これを仮に天井高2.6mの空間に当てはめると「約1.2坪/人」の床面積が必要になる計算です。

※気積:床面積 × 天井高さで求める空間容積

これに加えて、ラウンジなど社員のくつろぐ場所を設ける場合は、さらに広いスペースを要します。

社員の満足度を向上させる

社員の働きやすい環境づくりに加えて、生産性や効率を上げるために欠かせない“息抜き”のスペースも必要です。これまでは勤務中の小休憩は主に喫煙者にだけ許された時間とされてきましたが、非喫煙者も同様にリフレッシュしたり社員間でコミュニケーションを取ったりするための短い休憩時間を推奨する会社が増えています。

軽く運動できるスペースやカフェスペースなど、働く人の満足度を高められる空間をオフィスへ取り入れると、モチベーションアップや離職者減少の効果も期待できるでしょう。

コミュニケーションを取りやすい環境づくり

多くの企業が重要視しているのが「社員間でのコミュニケーション」です。オフィスへ自然に働く人が集うフリースペースや気軽に使えるミーティングスペースを採用する事例は珍しくありません。社員が自由かつこまめにコミュニケーションを図れるエリアがあると、意見交換や部署の垣根を超えた業務連携がスムーズになり、業務効率性や創造性アップにつながります。

予算・工期の徹底管理

オフィスの空間デザインに欠かせないのが、「工事予算・工期の徹底管理」です。

いくら魅力的なオフィスでも、予算オーバーでは企業の利益になりません。また、オフィスの多くは賃貸テナントを利用するため、工期の延長はそのまま空家賃※となり、損金処理の対象となってしまいます。また、来社型のビジネスモデルを展開する企業の場合は、オフィス開業日を早めに社外へ告知しなくてはなりません。

※空家賃(からやちん):貸主と賃貸契約を締結してから入居するまでに発生する家賃で、工期が長引くほど額が増える

そのため、オフィスの空間デザイン計画を検討する際は、予算に沿ったプランニングと入居希望日から逆算した工程組みが重要です。

オフィス移転やレイアウト変更を想定したプランニング

賃貸テナントをオフィスとして活用する場合は、将来的な移転を想定したコスト計画と材料選定が重要です。また、定期的にレイアウトを変更するケースもあるため、フレキシブルなプランにしておくと良いでしょう。賃借契約における原状復帰の条件も事前に確認してください。クライアントから「このオフィスをどのくらいの期間使うのか」十分ヒアリングすることが重要です。

地球環境やSDGsへの配慮

今や、オフィスの空間デザインを検討する際に、地球環境やSDGsへの配慮は欠かせないと言っても過言ではありません。
サービスや商品、企業を選定する際に、その会社の環境配慮性をチェックする人は珍しくないからです。
環境配慮型オフィスには、以下のようなメリットも期待できます。

・企業の社会的責任(CSR)の実現
・企業価値や企業イメージの向上
・落札などにおけるインセンティブの付与
・競合他社との差別化
・デカップリングの実現

※デカップリング:経済成長や便利さと省エネを切り離して考える概念で、環境へ配慮しつつも企業の利益増大につながる仕組み

清掃性・耐久性・メンテナンス性への配慮

きれいで清潔なオフィスは、企業イメージや働きやすさ、快適性に直結します。しかし、オフィスには多数の人が出入りして長時間過ごすことが前提です。そのため、清掃しやすく高耐久で必要に応じてメンテナンスできる空間でなくてはいけません。デザイン重視でお手入れしにくい材料を選定すると、オフィスを長く使い続けられなかったり大掛かりな改修工事が必要になったりするため注意しましょう。

多様性への配慮

2019年4月1日に施行された「働き方改革関連法」やコロナ禍を機に、日本でもリモートワークなどのABW※を導入する企業が増え、社員だけではなく企業側もワーク・ライフ・バランス(=仕事と生活の調和)を重視する動きが加速しています。

※ABW:アクティベティ・ベースド・ワーキングの略で、その時の業務内容に合わせて、働く場所を働く人自身が自由に選べる働き方

このような多様的な働き方へ柔軟に対応できるレイアウトが近年のオフィスには求められており、フリーアドレスなレイアウトを採用する事例が増えています。また、LGBTQに対応できるロッカールームやトイレなどを備えるオフィスも増えています。

■ オフィス空間デザインの流れ

オフィスの空間デザインを検討する際には、全体の流れについても知っておきましょう。

【打ち合わせ・ヒアリング】
デザイナー・設計士がクライアントの要望をヒアリングするところから計画は始まります。

・今のオフィスについて抱えている問題点や課題
・イメージするデザインテイスト
・予算
・スケジュール(オフィス開業希望日)


【現地調査】
現状を細かく知った上でプランニングを始めます。

・スペースのサイズと天井高さ
・空間の形状
・窓や出入り口の位置
・構造躯体の状況
・配管・配線の状況

これらの調査結果を基に、現況図を作成します。


【ラフプランの構想】
空間コンセプトと大まかなレイアウト・デザインプランを固めます。


【詳細なプランニング】
ラフプランを基に、以下の作業を詳細まで詰めていきます。

・プランニングコストの積算
・スケッチの作成
・詳細図作成(平面図・立面図・設備図・照明計画・パースなど)
・模型の作成
・見積もり作成


【打ち合わせ・プラン修正・施工業者の選定・ショールーム見学】
クライアントや施工業者との打ち合わせを重ねて、計画をブラッシュアップしていきます。必要に応じてクライアントと内装材や設備のショールームへ見学しに行くケースもあるでしょう。


【着工・現場監理・現場打ち合わせ】
空間デザインの仕事は着工後も続きます。工程の節目ごとに進捗状況や仕上がりを確認したり、クライアントと現場打ち合わせしたりする必要があります。

【完工・引き渡し・アフターサービス】
社内検査を経て無事に完工・引き渡しした後も、クライアントとの関係は続きます。企業がオフィス改修を依頼する会社を選ぶ際、施工保証や定期点検などのアフターサービスを検討材料にするケースは少なくありません。

■ オフィス空間デザインの事例とSDGsに特化した内装建材

TOPPANは、1900年創業以来培った印刷技術を活かして、高品質でデザインレパートリーに富んだ内装建材を製造しています。多数の弊社製品導入事例より、特徴的なオフィスの空間デザイン事例を抜粋して紹介します。

【事例①】

こちらはオフィス一角に作られたホールの壁とエレベーターホールの天井に「三軸織物」をご採用いただきました事例です。三軸織物は、布のように軽やかで透明感があり自由な形状を表現できる装飾材です。

漏れ広がる柔らかな間接照明の光と、ナチュラルなカラー選定により、来訪者や働く人の気持ちを穏やかにします。

【事例②】

こちらは、オフィスのエントランス正面にダイナミックなルーバー「フォルティナ ルーバー」とライン照明をバランスよく組み合わせた事例です。木目のルーバーは、インパクトがありながらもナチュラルな印象に仕上がります。フォルティナ ルーバーは、アルミ基材へ環境にやさしいオレフィン化粧シートを貼り合わせた製品です。無垢材は重く湿度変化による変形リスクが高いですが、アルミ材は形状安定性と高い精度が特徴です。

【事例③】

こちらの事例では、オフィス通路の壁やドアの面材へ「ローバル」をご採用いただきました。ローバルは燃焼時に有害成分が出ず製造過程の二酸化炭素排出量を抑えた(当社比)オレフィン製化粧シートに抗ウイルス・抗菌機能をプラスした環境と人にやさしい不燃化粧パネルです。

重厚感のあるダークブラウンの木目とダークなメタル・石目調の柄でコーディネイトし、シックモダンな威厳を感じられる雰囲気にまとめました。

【事例④】

来客スペース兼打ち合わせスペース・フリースペースを兼ねた空間の天井へ「フォルティナ ルーバー」をご採用いただきました。装飾的なペンダントライトと組み合わせ、ポップながらも落ち着いた雰囲気です。ルーバーは元々通風や採光を目的とした手法ですが、最近は天井や壁へ取り付け、奥行き感とオリジナリティをプラスする意匠材としての人気が高まっています。

TOPPANは、上記製品以外にも再生複合建材「TOPPANマテリアルウッド」など、環境に配慮したサステナブル建材を多く製造しています。意匠性・施工性を備えた地球環境にも人にもやさしい建材をお探しの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

■ まとめ

オフィスの空間デザインは、企業のブランドイメージを世の中へアピールする手段だけではなく、労働環境や生産性の向上ももたらします。ただし、オフィスの内装を検討する際は、ポイントを押さえてコンセプトを決めることが重要です。また近年は、環境へ配慮した設備や内装材の選定がキーポイントと言っても過言ではありません。

TOPPANでは、環境に配慮したデザイン性を豊かにする建材を開発・製造しております。「環境に優しい建築」を目指している方や、材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

2024.09.17

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE