コラム

人手不足時代のビル管理
~「巡回点検」を減らし「異常対応」に注力する新運用~

人手不足や採用難が常態化するなか、ビル管理の現場ではこれまで通りの巡回点検を続けること自体が大きな負担になりつつあります。一方で、テナントの快適性や安全を守るためには、設備の異常を見逃さず、いざという時に迅速かつ的確に対応できる体制こそが重要です。限られた人員で質を落とさずに運用するには、点検を「量」で担保するのではなく、日常の確認作業を効率化し、判断と対応が必要な「異常対応」へリソースを集中させる運用シフトが求められます。
本記事では、巡回点検が抱える課題と効率化が進みにくい背景を整理したうえで、点検内容・頻度の見直しや既存設備を活かした段階的なIoT活用など、現場の実情に沿った改善策を解説します。


<目次>
■ビル管理の現状の課題について
■ビル管理における効率化が難しい背景
■効率的なビル管理を実現する方法について
■ビル管理を改善するe-Platchのご紹介
■まとめ


■ビル管理の現状の課題について

ビル管理の現場では、空調・電機系統・給排水設備など多岐にわたる設備の維持・管理のため、巡回点検・メンテナンス・異常時対応などの業務を日々行っています。
特に、巡回点検はビル管理業務全体の大きなウェイトを占めており、多くの人員と時間を費やしています。巡回点検における主な課題は大きく3つあります。

1. 人手不足

少子高齢化や労働力減少により労働人口が減る中で、現場で働くスタッフ一人あたりの業務負担が増加し、ますます人材の採用や定着が難しくなっています。

2. 属人化したノウハウ

ベテラン中心の現場では、ノウハウや経験の属人化が進み、新人へのスムーズな技術継承が難しい状況が起きています。

3. 人為的ミスや見落としのリスク

数多くの点検ポイントを巡回するなかで、記録ミスや異常の見逃しが発生するリスクもあります。


様々な課題がある中での業務時間の捻出や、勘や経験に頼ったノウハウからの脱却、人為的ミスの削減がビル管理業界における共通の課題として挙げられます。こういった課題に対して、お勧めできる改善方法として、IoTの導入による自動点検があります。


■ビル管理におけるIoTの導入が難しい背景

一方で、効率化の検討が進まないことはビル管理業界共通の課題と言えます。その背景にはいくつもの要因が複雑に絡み合っています。

1. 管理対象設備の膨大さと多様性

大規模な複合ビルでは、制御盤や、エレベーター、空調機、照明、防災機器など、点検ポイントは膨大です。また、施工時期や施工会社ごとに設備の仕様・管理方式がバラバラになっている場合は、効率化の手段もそれらの多様な仕様に適合している必要があります。

2. 五感による確認の重要性

点検記録や管理報告書のため、現地で実際に見る、聞く、嗅ぐといった点検フローが根強くあり、設備劣化や現場の異変を「普段とちょっと違う音がした」「いつもと違う振動を感じた」と五感で感じ取るベテランの経験値に依存する運用となっています。そのため、遠隔監視や自動計測で巡回点検の代替として十分なのか、といった不安や抵抗感が残り、改善が進まないケースも多くあります。

3. イニシャルコストとIoT導入効果の算定の難しさ

IoTやセンシング技術を導入し効率化を図るには、機器購入・ネットワーク敷設、新しい運用フローへの転換などのイニシャルコストがかかります。しかし、IoT導入効果は可視化が難しく、コストの回収見通しを立てづらいという側面があります。


このように様々な原因から、ビル管理におけるIoTの導入などが進みにくい状況が生まれています。


■効率的なビル管理を実現する方法について

ビル管理業務における複雑な設備への対応、IT導入への障壁などが積み重なり、IoTによる効率化が困難になっています。本章ではその障壁を解決するステップについてご紹介します。

1. 巡回自体の内容と頻度を見直し、メリハリをつける

全設備の点検作業の頻度、内容を再度整理してみるところから始めてみましょう。点検の頻度については、比較的安定している点検対象項目であれば減らす、逆に細かく傾向を見たい場合は点検頻度を増やすなどの施策が考えられます。点検の手法については、目視でメーターの数値だけを記録するものと、五感を活用した項目を区別する、など必要なノウハウの程度で区分けすることも有効です。

2.低リスクで始める段階的なIoTの導入

効率化のためにIoTを導入する際、「自動点検が本当に巡回点検の代わりになるのか」「運用フローの変更に対応できるか」といった不安や懸念がある場合は、一部の設備に限定して導入することが有効です。例えば、数値の確認だけで済む項目や、近づきにくいエリアなど、置き換えやすい作業、置き換えるとメリットの出る項目からIoT化を進めると良いでしょう。これにより、従業員の巡回点検の頻度を少しずつ減らしながら、段階的に効率化を進めることが可能になります。


現場ごとの点検内容の見直しや、実践しやすい箇所からの段階的なIoT導入を重ねることで、現場担当者の負担軽減と業務品質を両立できます。このように小さく始めて徐々に対象を広げていく考え方が、ビル管理の効率化を実現するための鍵となります。


■ビル管理を改善するe-Platchのご紹介

こうした課題・要望に応えるソリューションとして最適なサービスがTOPPANのスマート点検支援サービス「e-Platch(イープラッチ)」です。e-Platchは幅広いラインアップのセンサーと既存設備への後付けによる導入で、ビル管理の効率を着実に改善します。ここではe-Platchの主な3つの特徴についてご紹介します。

1. 各種設備・センサーとの高い親和性

電気・空調・ポンプ・温湿度・漏水といったアナログ設備、既設メーターなどの項目にも対応した自動点検が可能で、設備毎のデータ一元管理ができるため、新旧の設備が混在していても運用を止めずに効率化が可能です。

2. スムーズに導入が可能な設計

e-Platchはセンサーのデータ収集に無線通信を利用しており、データの閲覧に用いるアプリはブラウザで動作します。また、多くの機器が電池駆動です。そのため、配線の敷設は不要で、センサーおよび通信機器を配置すれば、データをブラウザ上で確認することが可能です。既存設備を活かした小規模導入にも対応しています。

3. 高い拡張性

e-Platchは上記2つの特徴から「まずは1エリア/1系統/重点設備だけ」といった小規模な規模から導入し、運用が回ること・削減効果が出ることを確認したうえで、対象設備やエリアを段階的に追加できます。大規模導入を前提にしないため、現場の負担とリスクを抑えた拡張が可能です。

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■まとめ

人手不足も進む中で従来型の定常的な巡回点検業務を続けることは、ますます困難になっています。ビル管理の質を維持・向上しつつ、業務効率化を両立させるためには、定常的な巡回の省力化が求められます。
e-PlatchのようなIoTサービスを用いて、業務フロー自体を変革し、異常対応の体制を整えることが、今後のビル管理には求められます。
ビル管理におけるメンテナンスの効率化でお悩みの方はTOPPANへご相談ください。

2026.02.13