施設管理の未来を変えるDX戦略
日本国内の多くの施設内の設備は、高度成長期に設置・導入されてから老朽化が進んでおり、
さらには、それらを管理し、保守する熟練技術者の減少と若手人材の不足を原因に、
従来型の目視点検と紙に記録する管理手法では、この課題への対応が難しくなっています。
本記事では、こういった状況を打開するための施策としての
施設管理におけるDX戦略について解説いたします。
<目次>
■アナログな施設管理の課題
■DXが施設管理にもたらす変革
■IoTが実現するスマートな施設管理
■データ活用によるコスト削減と効率化
■e-Platchのご紹介
■まとめ
■アナログな施設管理の課題
前述の通り、施設管理においては、
高度経済成長期に整備されたインフラや設備の老朽化に直面しています。
しかし、これらの施設管理を行うための手法は、
紙ベースの記録や目視による巡回といったアナログな手法からの脱却が難しいケースも多く、
こういった手法が業務効率とコスト構造に課題をもたらしています。
このような点検を続けていくと、さらに深刻な課題を引き起こす可能性があります。
1. 深刻化する人手不足と技術承継の危機
従来点検作業を担っていた熟練の作業員の退職や若い労働力の不足により、
施設管理の担い手不足、知識不足が進むことが予測されます。
このようなベテラン社員は、経験値から点検・修理のノウハウを多く保有していますが、
こういった知識は言語化が難しいようなものも多く、
正確にノウハウを伝達するためには長い時間をかける必要があります。
一方で、紙や目視に頼った点検作業は、限られた人員の時間を浪費しており、
ノウハウの伝承にかける時間を奪っている側面もあります。
2.目視点検による異常発見の遅延
目視点検を行っている以上、点検頻度に制限がかかってしまうため、
異常が発生してから対応するまでにタイムラグが発生します。
このようなタイムラグは施設の故障や、環境事故、エネルギーの無駄遣いに繋がるため、
膨大な経済的損失につながります。
3. データ利活用の難しさ
点検データが紙やローカルファイルに分散しているため、有効活用が難しいです。
紙ベースで施設管理を行われている場合は、グラフ化も進んでいないケースもあり、
傾向監視や、改善活動に向けた動きを進めにくい側面があります。
このように、人が現場に赴いて点検を行う施設管理は、
効率性と持続性の観点から改善の重要性が高くなっています。
■DXが施設管理にもたらす変革
DXシステムの導入を進めることにより、
このような人に依存した作業から起きる課題を根本的に解決し、
施設管理業務を効率的に変革することができます。
DXシステムにも様々なものがありますが、
ここでは、システムの導入により改善可能な一般的な課題をご紹介します。
1. 施設管理における業務負荷の軽減
施設管理業務は、広大な敷地を一元管理している場合も多く、
これらの点検項目を人手で網羅するためには、移動時間もかかってしまいますが、
データを自動収集するDXシステムを導入することができれば、
従来は現場で確認していた情報が遠隔で確認できるようになります。
2. 施設管理における点検内容のばらつき是正
DXシステムの導入により、業務の手順や作業内容を標準化することができます。
目視で点検項目を確認しているような現場であれば、
データを自動収集することで、他業務の影響を受けることなく、
点検タイミングを平準化することができますし、
五感に頼っている点検項目なども数値化が可能になるケースもあります。
3. 異常の早期発見による無駄の削減
DXシステムの導入により、
施設内の設備状態を遠隔で確認することができるようになるため、
施設で異常が発生した場合も、より早期に発見することができるようになります。
また、遠隔監視により、異常の予兆を把握することも可能になるため、
事故の発生を未然に予防することができるケースもあります。
■IoTが実現する施設管理DX
前述したような改善を目指していくうえで、有効な手段がIoTによるDXの実現です。
IoTセンサーの導入は、これまで現場でしか見えなかった設備の「状態」をデータ化し、
施設管理に革新をもたらします。
例えば、モーターの振動、圧力値、設備の電流値、水質などの各種データを、
センサーが自動で収集することで、現場に巡回せずとも、設備の状態監視を実現します。
また、無線通信を通じて収集したデータをプラットフォームに集約することで、
異常の予兆を検知した際には即座に管理者へアラートが届くようなシステム構築も可能です。
このような遠隔でのデータ収集は、
さらなる改善を実現する「データ活用」に進む基盤を整えることにもつながり、
単なる点検の効率化に留まらない、コスト削減と新たな価値創造を実現します。
■データ活用によるコスト削減と効率化
IoTによって蓄積したデータを活用することで、
さらなる施設管理におけるコスト削減と効率化を目指すことができます。
より高頻度に収集したデータを活用して、データの傾向を洗い出すことができれば、
無駄が発生しているタイミングの特定、無駄が発生している設備の特定などが可能になり、
コスト削減とエネルギーの無駄遣いの予防を実現することができます。
例えば、TOPPAN熊本工場においては、
コンプレッサーの電力の使用量を遠隔モニタリングした結果、
本来は電力使用量が減るべきである生産を停止している時間帯においても、
電力の使用量が変動していないことが判明しました。
5台あるコンプレッサーの稼働量を見ると、うち1台の稼働率が悪いことが分かったので、
稼働率が落ちている1台の稼働を止め、正常な残りの4台の稼働量を上げることによって、
電力使用量を落としながら、従来と同じ稼働量を実現することに成功しました。
■施設管理を改善するDXサービスe-Platchのご紹介
TOPPANが提供するe-Platchは、温湿度・水質・漏液・コンプレッサーの稼働・圧力など、
ユーティリティ設備の各種データを遠隔で見える化する点検支援サービスです。
現場の課題に対し、以下の特長で導入・運用のハードルを下げます。
① 安定通信が可能な専用ネットワーク
スマートメンテナンスを進める際に通信環境が確立できる課題となるケースもありますが、
こういった課題に対してもe-Platchであれば解決可能です。
e-Platchは、見通し10kmの通信が可能な無線通信を使用しているため、
電波の不感地帯においても問題なくデータを収集することが可能です。
また、無線通信を活用するため、有線ネットワークで必要な配線工事が不要です。
② 簡単に設置・導入が可能
e-Platchは現場に設置されている圧力計や電力量計に
後付けでセンサーを設置することで無線化を実現します。
既存設備を有効活用するため、多額な投資を必要としません。
現場の計測器を無線化することで、現場での作業を軽減し、
データの自動収集による設備の稼働状況などを正確に把握することが可能になります。
また、現場状況をセンシングするための多種多様なデバイスを実装しており、
その多くが電池駆動、屋外設置可能であり、場所を選ばずに簡単に導入することが出来ます。
電池駆動であるため、電源工事の必要もありません。
③ すぐに運用開始できるWEBアプリケーション
クラウドアプリケーションによって、
誰でも、どこからでも、簡単に設備の状態について確認することが可能になります。
自動でデータを記録し、表示するため、データの傾向監視を通して、
今後の改善に向けた施策の検討もサポート可能です。
さらには複数の通知先に対して異常のアラートメールを送る発報機能など、
ユーティリティ設備の稼働において有効な機能を実装しています。
このように、どこでも繋がる後付け設置可能なe-Platchで、
安価にスマートメンテナンスを実現し、施設管理をサポートします。
■まとめ
施設管理は様々な課題を抱えており、
これらの課題はDXの実現によって改善を目指すことができます。
e-Platchは、後付けの無線通信を活用した機器と、
クラウドアプリケーションで記録の一元化と遠隔監視を実現し、
効率化・安全性向上・省エネを実現可能です。
施設管理・巡回点検についてお悩みの方は、TOPPANにご相談ください。
2025.10.30