コラム

IoTを活用したビルメンテナンスを解説

近年、環境規制の強化やエネルギーコストの上昇を背景に、
ビルのメンテナンスにおいてZEB(ゼロ・エネルギービル)や
BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)の導入が加速しています。

ZEBは建物の省エネ性能を最大限に高め、エネルギー消費を抑える設計コンセプトであり、
BEMSはビルの電力・空調・水道などの消費量を管理・最適化するシステムです。
これらの実現のためにはビル設備の状況や異常の兆候を管理する必要があります。

少子高齢化が進み、人手不足に直面しているビルメンテナンス業においては、
ZEBやBEMSを目指すためにIoTを活用することで、
メンテナンス業務やエネルギー管理の効率化が可能です。
本コラムでは、ビルメンテナンスをIoTによって効率化する方法をご紹介します。


<目次>
■ビルメンテナンス業とは
■ビルメンテナンス業の課題
■ビルメンテナンスにおけるIoT活用例
■ビルメンテナンスにおけるIoT導入のステップ
■ビルメンテナンスをサポートするサービスe-Platchのご紹介
■まとめ


■ビルメンテナンス業とは

ビルメンテナンス業はビル設備の維持管理にまつわる
清掃管理、衛生管理、設備管理、管理サービス、保安管理などの業務を担っており、
様々な種類の作業を実施する必要があるため、多くの人手を必要とします。

「ビル管理法」で定められている通り、
多くの利用者がいる建物は衛生管理について多くの義務が課されており、
点検業務のデジタル化を進めることは、安心・安全なビル運営において重要です。

また、近年は建築物省エネ法への対応、ZEB、BEMSに向けた取り組みとして、
ビルの省エネ化も求められています。
このような省エネを実現するためには、まずは現状把握が必要になっており、
電力量などの使用エネルギーを正確にデータ化することが求めています。


■ビルメンテナンス業の課題

ここまでご紹介した通り、ZEBやBEMSの推進が必要となっていますが、
実現に向けてはいくつかの課題が存在しています。
ここでは、ビルメンテナンス業が直面している課題についてご紹介します。

①人手不足

ビルメンテナンス業は多くの人手を必要としますが、
少子高齢化が進み、今後も労働人口が減少することが予測されるため、
効率化を実現することが重要となっています。
また、効率化を実現することが出来れば、勤務環境の改善も見込めるため、
従業員のモチベーションの向上や採用に向けたアピールにもつながります。

②点検項目の多さ

物件にもよりますが、高層建築、広範囲な敷地である場合も多く、
こういった場合は特に点検項目が多く、さらにはそれぞれの点検箇所が離れているため、
従業員の移動や作業に際して負荷がかかっているケースがあります。

③ネットワーク構築の難しさ

利用者が使用するスペースにおいてはWi-Fiや携帯回線が届くように設計されていますが、
ビルメンテナンスが行われる地下や屋上、バックオフィスに関しては
高速通信が届かないケースもあります。
高層、広範囲なビルにおける高速通信をバックオフィスに引き回すのは難しいケースも多く、
通信の選定、ネットワーク構築に課題を抱えがちです。


ビルメンテナンスにおける設備管理業務においても、
ZEBやBEMSの推進が期待されていますが、こういった課題を抱えているケースも多く、
電力や空調設備などをIoT化することが出来れば、
作業負担を軽減しつつ、エネルギー管理の効率化を目指すこともできます。


■ビルメンテナンスにおけるIoT活用例

前項では、設備管理においてIoTが有効であることを説明しましたが、
ビルでメンテナンス・管理している設備として以下のようなものがあります。

・空調設備(エアコン・換気システムの状態管理)
・電気設備(照明・ブレーカー・分電盤の点検)
・ 水処理設備(貯水槽・給排水設備の監視)
・昇降機・防災設備(エレベーター・火災報知器など)

これらの設備が問題なく稼働し、
利用者が安心して使用することが出来る設備を維持することが重要なため、
専門の知識を持った管理者の細やかな管理が必要になりますが、
一部をIoT化することによって、大きな効率化を図ることが可能です。

例えば、ビルメンテナンスにおいて下記のような課題があります。

・ 規定通りの設定にしているが、一部の機器が想定以上のエネルギーを消費している
・水処理設備や空調機器の異常が点検時にしか発見されず、対応が遅れる
・エネルギーの無駄を削減したいが、運用データが細かく取れていない

こういった課題に対してIoTを導入することで、設備の状態についての傾向監視が可能になり、
異常の早期発見、想定と異なる設備の稼働を細かく確認することができるため、
効率的なビル運営が可能になります。


■ビルメンテナンスにおけるIoT導入のステップ

ビルメンテナンスにおいてIoT導入のメリットや事例などをここまで紹介してきましたが、
IoTを導入する際の一般的なフローを紹介します。

① ビルメンテナンスにおける課題の洗い出し
② 実現したい内容・目的の確認
③ 目的を達成することのできるサービスの検討
④ 費用の確認・費用対効果の算定
⑤ 導入
⑥ 導入後の効果検証
⑦ さらなる改善の実施

このように導入時には目的を明確にしたうえで、
導入するサービスや導入箇所を検討することが有効です。

目的を明確にしないまま導入を進めてしまうと、
当初の目的を見失ってしまったり、そもそも効果の測定が難しくなるため、
最初の段階で課題を洗い出すことが非常に重要です。

また、導入スタート時は、場所を絞って導入するようなケースも多く、
拡張性の高いサービスを選定しておくことができれば、
追加で新しい課題が発生した場合も対応が容易になります。


■ビルメンテナンスをサポートするサービスe-Platchのご紹介

TOPPANが提供するe-Platchは、空間の温湿度、電力量計、液漏れ、
排水設備の稼働状況などのデータの遠隔監視を実現し、
様々な施設の遠隔監視をサポートするサービスです。

ここまでご紹介してきた通りビルメンテナンスの効率化には、
IoTを導入することで改善が可能ですが、
e-Platchはメンテナンスの改善に特化したサービス設計を行っているため、
手軽に導入でき、尚且つ課題の解決も可能です。
ここではビルメンテナンス作業をサポートするe-Platchの特徴について紹介します。

①広範囲のカバーが可能な専用ネットワーク

前述の通りビルにおいては、電波が届かない場所が存在するケースもありますが、
こういった課題に対してもe-Platchであれば解決可能です。

e-Platchは、見通し10kmの通信が可能な無線センサーを使用しているため、
電波の不感地帯においても問題なくデータを収集することが可能です。
専用の無線ネットワークを使用しているため、安定した通信が可能であることに加えて、
利用者が使用している通信と混線することもないので、
ビル利用者の利便性を損なうこともありません。

②簡単に設置・導入が可能

e-Platchはビルに設置されている圧力計や電力量計に
後付けで設置することで無線化が可能です。
また、様々なデバイスを実装していますが、その多くが電池駆動、屋外設置可能なため、
場所を選ばずに簡単に導入することが出来ます。
ビルにおいては屋上などに設備があることも多く、
電源工事が難しいケースもありますが、e-Platchであれば問題なく対応可能です。

③使いやすいWEBアプリケーション

誰でも、どこからでも、簡単に設備の状態について確認することが可能な
クラウドアプリケーションを実装しています。

直感的に見やすいグラフ画面、ビルのフロアマップ画像などを取り込み、
センサーの設置位置を確認できるマッピング機能や
複数のアドレスに対して以上のアラートメールを送る異常発報機能など、
ビルメンテナンスにおいて有効な機能を実装しています。


このようにe-Platchは、
ビルメンテナンスに関連するデータの収集をサポートするサービスです。
e-Platchを活用することによってデータの傾向監視、異常の早期発見、
人手不足・作業負荷などの課題を解決することが出来ます。


■まとめ

今回はビルメンテナンスのIoTの重要性、ビルメンテナンスの課題、
それらの解決策についてご紹介させていただきました。

ビルメンテナンスにおける設備管理は非常に重要であるにもかかわらず、
人手に依存しているケースも多い状態です。
IoTの導入を進めることでZEBやBEMSに向けた活動の推進、業務効率化が可能です。

ビルメンテナンスにおける設備管理や点検の効率化でお悩みの方は
TOPPANまでご連絡ください。

2025.04.14

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