コラム

【e-Platch導入事例】
愛媛県産業技術研究所・佐藤真珠株式会社

愛媛県産業技術研究所は、愛媛県内の企業の新技術や新製品の創出を支援することで
愛媛県経済の持続的な発展を目指しています。

このような背景から、スジアオノリの陸上養殖に取り組んでいる佐藤真珠の養殖場において、
スジアオノリの陸上養殖の給餌作業を自動化する事業に取り組んでおり、
自動給餌を実現する上で必要となる気温・水温・水質などのデータの自動収集を通して
施設の管理をサポートする「e-Platch」を活用していただいています。

今回は、愛媛県産業技術研究所と、佐藤真珠株式会社に、
e-Platchの導入理由、導入を通して実現したいことについてお話をお伺いしました。

佐藤真珠株式会社専務取締役佐藤和文様（左）愛媛県産業技術研究所技術開発部　清家翼様（右）

愛媛県産業技術研究所 HP

佐藤真珠 HP

―現在、取り組まれているスジアオノリの養殖事業について教えて下さい。

佐藤様:
先代より真珠養殖を行っておりましたが、
愛媛県では2019年ごろから現在まで原因不明のアコヤ貝の大量死が続いており、
現在の生産量はピーク時の1/2～1/3にまで減少しています。

2019年頃からこの兆候はあったので、このままでは仕事量も半分になり、
雇用している従業員の仕事もなくなると考えました。
地域の雇用を守るため、何か新規事業をしなければいけないと思い、
取り組んだのがスジアオノリの陸上養殖です。
当時、天然・海面養殖のスジアオノリの生産量が低下していたこともあり、
養殖技術で特許を取得した高知大学にご協力いただきながら、
青のりの中でも香り高い高級食材の事業化に参入しました。

―スジアオノリの養殖を行う中で課題等はございますか？

佐藤様:
生育には窒素、リン、微量の鉄が重要で、
成長期にこれらの栄養成分が不足すると色が薄くなってしまうため、栄養素の管理が重要です。
また、珪藻はスジアオノリの成長を阻害しますが、風や海水から侵入してしまうため、
養殖用プールの上からビニールをかけるなどの対策を実施しています。

清家様:
愛媛県産業技術研究所としては、これらの栄養素を管理し、
給餌作業を自動化することが出来ればと考えています。
自動給餌を行う上で現在の水質の管理が必要であるため、
水質管理用に使用しているセンサーのデータ収集に、無線通信の環境整備が必要でした。

―e-Platchを選んだ理由を教えて下さい。

清家様:
佐藤真珠様のプラントはリアス式海岸の沿岸部に点在しており、
狭い湾が複雑に入り込んでいることに加え、海と山の距離が近いことから、
無線通信のエリア確保に悩んでいました。

e-Platchであれば、中継器を使うことで容易に通信エリアを拡張することが可能であり、
加えて実証地（西予市）のセンサーデータを
愛媛県産業技術研究所（松山）の遠隔地で確認することも出来るのが導入理由です。

―e-Platch導入後の感想を教えて下さい。

清家様:
マルチセンサーとZETABOXを導入し、気温と、水質を計測していますが導入手続きから設置まで、
丁寧にサポートいただき、非常にスムーズに通信環境を構築することができました。
設置場所が沿岸部ということで、塩害等のリスクもある中、安定してデータを取得できています。
今後はカメラ映像を使用した画像処理を実施することも検討しており、
大容量通信を行えるよう、衛星通信等の導入も検討しています。

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―今後の展望を教えて下さい。

佐藤様:
スジアオノリ事業としては、JAS有機認証の取得を目指しています。
JAS有機認証制度が適用されればスジアオノリの養殖業者のなかで佐藤真珠が初めてとなります。
また、真珠・スジアオノリの養殖ともに自然相手の仕事であり、
安定した生産は常に課題としてあります。
販売面でも市場価格に左右されるところが大きく不安定です。
これらの課題を解決し、安定した生産、安定した価格を維持することで事業として継続し、
後継者も増やしていければいいなと考えています、

清家様:
e-Platchのようなデータ自動収集、AIなどの様々な技術を活用することで、
愛媛県の養殖産業をサポートすることが出来ればと考えています。