工場における騒音対策への取り組み方法
工場では騒音の問題を抱えるケースが多く、
近隣への騒音対策や従業員の就業環境改善のためにも積極的に取り組んでいく必要があります。
適切な騒音対策を実施しない場合、近隣住民からの苦情、自治体からの改善要請、
従業員の騒音性難聴などの騒音障害の発症などが引き起こされるリスクがあります。
本コラムでは、騒音に関する法規制と、騒音対策の重要性、対応方法等について解説いたします。
■騒音についての規制
■騒音対策の重要性
・騒音の音源への対策
・工場建屋自体への対策
■騒音対策を実施するメリット
■騒音の計測
・音源の特定
・日常的な監視
■騒音対策を実施する際のポイント
■e-platchで騒音監視を実施
■まとめ
■騒音についての規制
日本国内の工場を運営するに際して、国内の騒音に関する規制状況を把握しておく必要があります。
騒音規制法は生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とした法律であり、
対象の分類としては「工場・事業場騒音の規制」の他にも、
「建設作業騒音の規制」「自動車騒音等の規制」などがあります。
「工場・事業場騒音の規制」では、機械プレスや送風機など、
著しい騒音を発生する施設で、政令で定める施設を設置する工場・事業場が規制対象となります。
具体的には時間の区分及び区域の区分ごとに定める基準の範囲内において
以下の表のように定められています。
騒音規制法の基準を超えてしまい、周辺住民の生活や健康が脅かされていると認められると、
市町村長や特別区長から工場などに対して改善勧告が出されます。
・区域について
第1種区域…良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域
第2種区域…住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
第3種区域…住居の用にあわせて商業、工業等の用に供されている区域であって、
その区域内の 住民の生活環境を保全するため、騒音の発生を防止する必要がある区域
第4種区域…主として工業等の用に供されている区域であって、
その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、
著しい騒音の発生を防止する必要がある区域
・音の大きさの目安
80dB・・・うるさい、走行中の電車内 救急車のサイレン(直近) パチンコ店内
70dB・・・高速走行中の自動車内 騒々しい事務所の中 セミの鳴き声(直近)
60dB・・・走行中の自動車内 普通の会話 デパート店内
50dB・・・家庭用エアコンの室外機(直近) 静かな事務所の中
40dB・・・閑静な住宅地の昼 図書館内
■騒音対策の重要性
騒音規制法に従うことは操業を継続するためにも重要ですが、
それだけではなく、周辺住民の生活環境や健康を守るためにも騒音対策は重要です。
工場の騒音対策を大きく2つに分けると、
・騒音の音源への対策
・工場建屋自体への対策
があります。
・騒音の音源への対策
発生音源への防音対策を実施します。音源対策は騒音対策の基本です。
騒音に対しての測定および分析を行い、騒音の発生源の機械が特定出来た場合に実施します。
防音パネルやカバー、緩衝材などを音源に取り付けることによって、
騒音の原因を取り除くことで、防音を実施します。こういった対策によって、
工場から外部へ漏れる騒音レベルの低減及び、工場内の騒音レベルを下げることができます。
実施例としては、
・ 大きな音を発生する機器に防音カバーを被せる事で騒音を減らす。
・ 防音マット・遮音マットを工場の床や機械の足元に敷き込んで、不快な騒音を軽減させる。
等があります。
・工場建屋自体への対策
個別の音源に対策を実施するのではなく、一定区域・建物ごとに広い範囲での対策になります。
天井、外壁、間仕切壁においては遮音環境を整えたり、
室内に置いては吸音素材などを使用することで、騒音対策を実現します。
また、屋外であれば防音壁と呼ばれる壁を建てることで対策を図ることも可能です。
個別の音源対策を実施しても効果が小さい場合、
もしくは音源の特定が難しいなどの要因で音源対策が取れない場合に実施をします。
実施例としては以下の通りです。
・パーテーション・防音壁・防音カーテンなどで工場内で騒音が発生するエリアを区分けする
・工事内の壁面に吸音材/遮音シートを貼り、耳鳴りがしやすい反響音を軽減する
■騒音対策を実施するメリット
また、騒音対策を行なうことで以下のようなメリットが享受できると考えられます。
①従業員の健康と安全性の向上
騒音対策を行うことで、従業員の難聴や耳鳴りなどを防ぐことに繋がります。
②作業効率の向上
騒音レベルが低減されると働く人のストレス軽減に繋がり、
集中して業務に取り組める為全体的な作業効率が向上します。
③企業のイメージ向上
地域社会への騒音公害を減らすことで、企業の社会的責任を果たすことができ、
ひいては企業のイメージ向上にも繋がります。
■騒音の計測
ここまで解説した騒音対策を実施するには、前提として音源の特定が必要になります。
明確に音源が判明している場合は問題ありませんが、
音源が不明な場合においては騒音の計測を行うことによって、音源の特定が可能になります。
また、平時から音の傾向を監視することが出来れば、異常発生前に検知が可能になるため、
仮に騒音が発生した場合も迅速な対応が実現します。
・音源の特定
音源や建屋への対策と合わせて騒音の計測も非常に重要です。
対策を効果的に実施するために適切な防音材・吸音材を選定するためには、
機器の発している音の周波数やレベルを把握している必要があります。
・日常的な監視
機器の発している音が、どの周波数帯で何dBなのか、
どういったタイミングで音が発生するのかを継続的に監視することで、傾向を分析することができます。
日常的に発生音の監視を実施することで、
クレームなどのトラブルが発生してしまう前に対策を検討することが可能です。
■騒音対策を実施する際のポイント
なお、騒音対策を行なう際には騒音源の特定以外にも以下を意識することが大切です。
①運用上の対策
騒音の発生を減らすために可能な範囲で作業プロセスを見直すことが必要です。
②定期的な監視
騒音レベルを定期的に監視・調査し、採用した対策が有効かを評価する必要があります。
②従業員からのフィードバック
現場の声を継続的に収集し、騒音対策の改善点を日々検証することが重要です。
■e-Platchで騒音監視を実施
TOPPANは、工場や施設内での、定常的に発生している音を周波数帯毎に収音し、
音の大きさをデータ化することで騒音を遠隔監視する収音センシングシステムを提供しています。
このシステムは、「収音センサー」と「データ閲覧アプリ」から構成されています。
これらの導入により、設備や機器が発する異常音を、
工場や施設内に定常的に存在するバックグラウンドノイズに埋もれることなく検出します。
また、異常な音、騒音が発生した際にはアラートを発報することや、
異常の履歴をレポートとして出力することも可能となります。
なお、e-Platchであれば、これまでIoTの導入経験がない場合でも後付けによる簡易な導入が可能です。
予算が限られているような現場においても優先して解決したい課題をお聞きし、
限られた予算内での業務を改善の実現が可能です。
■まとめ
今回は工場や工事現場が抱える騒音の問題について、規制や対策、計測の重要性について紹介しました。工場や工事現場では騒音が発生してしまうのは避けられないことでもありますが、
騒音に関する規制を知っていただき、防音対策や騒音の継続的な監視を考えることが重要です。
騒音や異音の監視を含めた工場のIoT化にお悩みの場合はぜひ弊社に相談して頂ければと思います。
2024.10.23