コラム

脱プラスチック:代替品で最適なものは?
完全な脱プラが難しいなら減プラから始めるのもおすすめ!

脱プラスチック(以降は「脱プラ」で表記)の取り組みは環境問題が注目され続けている現代において、重要な取り組みの一つとして考えられています。脱プラではレジ袋の有料化などのように使用量を抑えるケースもあれば、紙ストローのように他の素材を代替品として使うことで使用量を抑えるケースもあります。しかし、これらのような取り組みはどの企業でも実行できるものではなく、製造量の削減や素材の置き換えができずに、頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか?

そこで当記事では脱プラの基本的な情報と、脱プラがうまくいかない企業向けに減プラスチックの詳細を解説していきます。社会貢献として脱プラスチックを効果的に取り組めるように、当記事の内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。


<目次>
■脱プラスチックとは
■脱プラスチックが重要視されるようになった背景
■脱プラスチックにおけるプラスチックの代替品例
 ・紙素材
 ・木材
 ・バイオマスプラスチック
 ・生分解性プラスチック
■脱プラスチックを目指すうえでの問題点
 ・変更に手間やコストがかかる
 ・プラスチックが便利・高性能すぎる
■初めての脱プラスチックは減プラで負担軽減!
 ・プラスチック+αでプラスチックの使用量を削減する方法
 ・プラスチック製品の形状自体を変更してプラスチックの使用量を削減する方法
■TOPPANの高耐性包材なら特定のプラ容器をフィルム包装に変更可能
■まとめ


脱プラスチックとは

3R

脱プラスチックとは、プラスチック製品の製造や利用を制限してプラスチックの使用量を減らそうとする取り組みのことです。海洋汚染の原因として考えられているプラスチック製品は、日本だけでなく世界中で問題視されており、多くの企業が脱プラを推進しています。

日本は、政府が令和元年に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、「3R+Renewable」の基本原則と6つの野心的なマイルストーンを目指すべき方向性として掲げました。脱プラはその中でも、無駄に使われるプラスチック資源を減らす「Reduce」に該当します。プラスチック資源循環戦略における「Reduce」に関する詳細は以下の通りです。

【プラスチック資源循環戦略におけるReduce等の重点戦略】
・ワンウェイプラスチックの使用削減
・石油由来プラスチック代替品開発・利用の促進

脱プラの取り組み例としては、紙ストローの導入やレジ袋の有料化などがあり、実際に普段の生活の中で体感している方も多いのではないでしょうか。


脱プラスチックが重要視されるようになった背景

脱プラスチックが重要視されるようになった背景

脱プラが重要視されるようになったのには、毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算や、1950年以降に生産された83億トン超のプラスチック類のうち63億トンがごみとして廃棄されたといった背景があります。(*1)

また、プラスチックごみの増加以外にも、プラスチックごみを焼却処分する際に発生する悪影響が懸念されています。例えば、プラスチックごみを焼却処分すると、CO2(温室効果ガス)が発生して、地球温暖化に繋がるおそれがあります。

以上のように、不要なプラスチックが製造され続けることは環境の悪化に繋がるため、脱プラは環境問題に取り組むための方法の一つとして重要視されているのです。


脱プラスチックにおけるプラスチックの代替品例

脱プラスチックにおけるプラスチックの代替品例

脱プラはプラスチックの利用を減らす取り組みであり、既存のプラスチック製品を他の素材で代替する取り組みが行われています。紙ストローが良い例で、従来はプラスチックのストローが多くの飲食店で利用されていましたが、最近では紙ストローを導入して脱プラに取り組んでいるところも増えてきています。以下では、紙ストローの素材である「紙」のように、プラスチックの代替品としての活用が期待されている素材をピックアップしました。

【脱プラスチックにおけるプラスチックの代替品例】
・紙素材
・木材
・バイオマスプラスチック
・生分解性プラスチック

紙素材

紙素材は素材としての汎用性が高く、厚みや紙質などを調整することで様々な製品を作れます。紙ストローはもちろんのこと、段ボールやトイレットペーパーなど日常生活でも多く利用されているため、いまある代替品候補の中でも有力視される素材です。従来に比べて耐水性や耐油性に優れた紙素材製品が開発されるなど、素材としての質を向上させ続けており、プラスチックにも引けを取らない強度を持たせることができるようになってきました。これまでプラスチックでないと難しかったシャンプーやボディーソープなどの水まわり容器、日焼け止めなどの容器としても紙素材が利用されはじめています。


また、紙素材の原料となる木材は成長過程で大気中のCO2を吸収することから、紙素材の使い方や仕様次第で、プラスチックよりも環境負荷の小さい製品になり得るため、今後さらに注目を浴びていくことが期待されています。

木材

木材は削ってあらゆる製品を作り出すのが特徴で、自然に還りやすい代替素材として注目されています。紙素材も実際は木材から作られているので、大きく分ければ木材に含まれますが、木材そのものを素材として用いる場合、用途や汎用性が大きく異なるので、ここでは別素材として扱います。

木材は、スプーンやおもちゃなど実際に様々な製品に利用されており、設計次第では多彩な製品を作り上げることができます。また、木材の種類によってはプラスチックと比べて軽い場合もあるため、プラスチック製品を軽量化するための候補素材として検討されることもあります。

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックとは、石油由来の原料ではなく植物などの再生可能な有機資源(トウモロコシやサトウキビなど)を原料に作られたプラスチック素材です。紙素材や木材と違ってプラスチック素材ではあるものの、石油由来のプラスチックに比べて環境に悪影響を与えにくい特徴があることから、代替素材として注目されています。

環境に悪影響を与えにくい理由として、排出するCO2の量があります。焼却の際に発生するCO2の量は、原料の植物が光合成で吸収した二酸化炭素の量と同じであるため、実際の大気中にあるCO2の増減にほとんど影響を与えないのです。つまり、バイオマスプラスチックは大気中の二酸化炭素の増減に大きな影響を与えない比較的環境に優しい素材として認識されています。

生分解性プラスチック

生分解性プラスチックとは、微生物が働きかけることによって水とCO2に分解されるプラスチック素材を指します。バイオマスプラスチックと同様にプラスチックではありますが、生分解性プラスチックは水とCO2に分解される性質を持ち、ごみとして残らないという大きなメリットがあり注目されています。

ただ、この素材は処理方法によっては分解されて完璧に自然へ還るまで数ヶ月から数年かかったり、加工後の物性の安定性が低かったりといった課題点があるため注意が必要です。


脱プラスチックを目指すうえでの問題点

脱プラスチックを目指すうえでの問題点

現在、脱プラは世界的に注目される取り組みとして認識されてはいるものの、多くの企業が実際には取り組めていない現状があります。取り組めていない要因は企業により様々ですが、一般的な要因として考えられる2つの問題点を以下では解説します。

【脱プラスチックを目指すうえでの問題点】
・変更に手間やコストがかかる
・プラスチックが便利・高性能すぎる

変更に手間やコストがかかる

脱プラを進めようとすると、必然的に様々な部分での変更が求められるようになります。変更にかかるコストは決して低いものではなく、設備や材料の変更をすれば数百万円といった規模では収まらない場合もあるでしょう。
環境のことを考えて企業運営を行うことはとても重要なことではありますが、脱プラに取り組んだことによって経営状態が悪化してしまっては本末転倒です。企業の運営を健全な状態で脱プラに取り組むためにも、無理のない脱プラの方法を模索することが求められます。

プラスチックが便利・高性能すぎる

プラスチックが世界にこれだけ普及している要因は、利便性の高さと性能の高さを兼ね備えているからにほかなりません。家電やゲーム機、車などあらゆるところでプラスチックが利用されており、それら全てが無くなった世界を想像できるでしょうか?

企業としても考えることは同じで、既存の製品をプラスチックから別の素材に変更したり、プラスチック使用量を抑えるために製造量を減らしたりすることで、もし自社製品の需要を低下させてしまったら、かえって商品や事業の持続可能性を損ねる結果になりかねません。そのため、脱プラを本格的に企業が取り組める状態にするためには、既存の製品のクオリティをなるべく維持できる素材や新しい代替案が求められます。


初めての脱プラスチックは減プラで負担軽減!

減プラ

脱プラスチックの必要性を理解してはいるものの、実際に取り組むとなると上記で説明したような問題点が足かせとなるケースも少なくないかと思います。そこでおすすめなのが脱プラの取り組みの一つである「減プラ」です。

減プラは、既存のプラスチックの使用量を少しでも減らすことを意味しており、上記で取り上げた問題点による自社への影響を最低限にして脱プラを目指せる取り組みとして当記事ではおすすめしています。減プラの方法は様々ですが、当記事では「プラスチック+αでプラスチックの使用量を削減する方法」と「プラスチック製品の形状自体を変更してプラスチックの使用量を削減する方法」の2種類をご紹介します。

プラスチック+αでプラスチックの使用量を削減する方法

既存のプラスチック製品の性能や形状を大幅に変化させずにプラスチックの使用量を減らす方法として、プラスチック素材に別素材を混ぜるという方法があります。この方法であれば、プラスチック素材に別素材を混ぜた分だけ使用量を減らすことが可能です。混ぜる素材は主に以下のようなものがあります。
・紙素材
・木材
・バイオマスプラスチック
・生分解性プラスチック

どれも石油由来のプラスチックをそのまま用いるよりは環境に悪影響を及ぼしにくく、様々なメーカーがプラスチックの性能を損なわないような手法を開発しています。例えば「MAPKA®(マプカ)」は、主原料の紙パウダーにポリオレフィン系樹脂を混合させてペレット化した素材で、食品パッケージなどにも使われています。
また、木材は細かいウッドチップにしてプラスチックと混ぜることで食器の原料として使ったり、バイオマスプラスチックを混ぜることでゴルフボールの原料に使ったりと、割と幅広い分野での利用に期待できるでしょう。

プラスチック製品の形状自体を変更してプラスチックの使用量を削減する方法

プラスチックの使用量を減らすもう一つの方法に「製品の形状を変更して使用量が抑えられるようにする」といったものもあります。具体的には、既存の製品の厚みを薄くしたり、不要な部分を形状的に無くしたりといった方法が効果的です。

もちろん、形状を変更することによって耐久性能が落ちすぎたり、製品としての機能を果たせなかったりしてしまっては本末転倒なので、形状変更をする際には念入りな検証が必要となるでしょう。形状変更することにより、1個あたり1gの軽量化が実現できれば、年間10万個の生産する場合で100kgのプラスチック使用量の削減ができるため、その効果は大きいといえます。


TOPPANの高耐性包材なら特定のプラ容器をフィルム包装に変更可能

TOPPANが取り扱う製品に「高耐性包材」というものがあります。高耐性包材は、強酸・強アルカリ・高濃度アルコールなど保存が難しい液体に高い耐性を有する特徴を持つ素材です。

高耐性包材を使うことによって、特定のプラ容器でないと保存が難しいと考えられていた液体を、フィルム包装で保存できるようになります。これにより、容器に使用するプラスチックの量を減らせるため減プラに繋げることが可能です。

TOPPANの高耐性包材



また、TOPPANでは減プラに繋がる製品をほかにも提供しています。

MAPKA®はプラスチックの代替素材として開発された、紙パウダーを51%含有した環境配慮素材です。紙パウダーを主原料にポリオレフィン系樹脂を混合させてペレット化しているため、射出成型などにも対応できる高耐性・耐熱性を併せもつ高機能素材となっています。
※「MAPKA®」は、株式会社環境経営総合研究所の商標です。

内面に透明バリアフィルム「GL BARRIER」をラミネートした紙製の容器です。ラミネートすることで、水蒸気バリア・酸素バリア・保香性を付加しているため、プラスチック容器の代替品として利用されています。

キューブパックは水回りに特化した、ポンプが使える紙製ボトルです。一般的な同容量のプラスチックボトルと比較して、プラスチック使用量を55%削減できる減プラ効果の高いボトルとなっています。シャンプーや化粧品などに活用しやすい作りです。

カートカンは紙製の環境にやさしい飲料容器です。内側には「GL BARRIER」をラミネートしているため、酸素バリア性が高く、常温流通でも長期保存性に優れています。環境にやさしいサステナブルな飲料容器を探している方におすすめの飲料容器です。


まとめ

脱プラスチックとは、プラスチック製品の製造や利用を制限してプラスチックの使用量を減らそうとする取り組みのことを指します。地球温暖化などの環境問題が注目されている現代において、脱プラは環境負荷を低減させる取り組みとして重要視されています。

ただ、脱プラは企業が本格的に行なうにはコストがかかりすぎたり、既存の製品の性能を大幅に低下させたりといった問題点があるため、中々取り組めない企業の方が多いのが現状です。そこで当記事でおすすめしているのが、脱プラの取り組みの一つである減プラという取り組みです。減プラであれば比較的、コストや性能の問題点による負担を最小限に抑えながら取り組むことができるでしょう。

今後、減プラに取り組んでみようと少しでも考えている方は、プラスチックに別素材を混ぜて使用量を減らす方法や、TOPPANの高耐性包材のような減プラにつながる代替素材を利用する方法などを駆使して、まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。

2023.11.14