コラム

調達業務フローのDX化による効率化とは?受発注業務をペーパーレス化

調達業務フローを煩雑にしている原因の1つが、取引先との間で何度も交わされる受発注書のやり取り。手書きのFAXや、書式がばらばらなメールの添付ファイルに悩まされることも多いのでは?特に紙ベースでの管理は受発注に関する情報が共有されにくく、一部の担当者しか状況を把握できない属人化も課題です。

このコラムでは、ペーパーレス化を進めることで、調達業務フローに関わる負荷を軽減する「調達業務フローのDX」について、基礎的なポイントをご紹介します。


ー 調達業務とは

まず、「調達業務」とはどのような業務なのかを簡単にご紹介します。 「調達業務」とは、企業が製造を行う上で、必要となる資材を仕入れる業務のことを指します。調達業務においては、仕入れる側、受注する側があり、発注や受注を行う上で、在庫の管理や見積書の作成など、様々な業務が発生します。これらの調達業務の各フローの多くは紙で行われており、管理に手間がかかったり、ミスが発生しやすくなったり、属人化しやすいなど、現状、多くの課題があります。これらの調達業務フローをDX化することで、管理の手間を削減し、ミスを減らし、業務の効率化をすることが期待されています。


ー 調達業務フローの「手間・面倒・無駄」を減らすDX

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉がよく聞かれるようになりました。

DXとは、一般的には「デジタル技術やデジタルデータを活用した、変革・変容」を意味します。暮らしや社会のしくみについても使われる言葉ですが、ビジネスシーンにおいては、どのような取り組みを指すのでしょうか。

「デジタル化」されたデータ、技術を活用するDX

これまで進められてきた「デジタル化」は、紙の書類や電話などによるやり取りを「デジタルに置き換える」ことが中心でした。パソコンやスマホを使ったメールでの連絡、ファイルのやり取りはすでに身近なものになっています。

またテレワークの広がりにともなって、チャットやWebミーティングに使用するコミュニケーションツールの導入が進められた企業も多いのではないでしょうか。

そしてビジネスにおけるDXは、デジタル化されたデータや、より多様な使い方が可能になったデジタル技術を活用して、さらに変革を図るものです。

イメージとしては、クラウド(インターネット)上のシステムにデータを集約して効率的に情報共有や企業間取引を行ったり、顧客データを解析することでニーズを発見し、新しい事業開発につなげたりといった取り組みです。

1.業務の改善・課題解決:
デジタルデータ・技術の導入による業務の効率化と生産性の向上、コストの削減

2.新しいビジネスの創造と展開:
顧客や取引に関するデータを活用した新ビジネス、インターネットを活用したサービスの拡大

調達業務はDXの効果が最も期待される業務のひとつ

特にメーカーなど、受発注業務が多い業種では現在でもFAXによる書類のやり取りが多く、ペーパーレス化が進められていない企業が少なくありません。テレワークが導入されているにも関わらず「FAXを確認するために出社しなければならない」といった不満をお持ちのご担当者も多いのではないでしょうか?

調達業務は、DXの効果が最も期待できる業務の1つといえます。受発注に関わる書類をデジタル化し、さらにデータとしてクラウドに集約していくことで、これまで悩まされてきた調達業務フローにまつわる「手間・面倒・無駄」の削減が期待できます。

受発注書の「ペーパーレス化」が調達業務フローのDX化の重要なポイント

調達業務のDXにおいて、最初の重要なステップとなるのが「ペーパーレス化」です。

ここで押さえておきたいポイントは、DXを視野に入れた「ペーパーレス化」の目的が「それぞれの書類に記載される情報を、デジタルデータとして活用できる状態にすること」だという点です。

単に「紙の書類を、PDFなどに変換する(≒電子ファイル化する)」だけではないところが、いわゆる「デジタル化」との大きな違いです。


ー 調達業務フローのDXで得られる5つのメリット

では、調達業務フローのペーパーレス化を進めDXを実現することで、どんなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、特に5つのメリットをご紹介します。

メリット1:確認の手間と転記ミスを減らせる

注文書や納品指示書など、調達業務に関わる書類に記載される情報をデジタルデータ化(≒ペーパーレス化)すると、クラウドで共有し、オフィスの外からでも確認できるようになります。受発注書を確認するためだけに必要だった「FAX出社」はなくなります。情報が集約・一元化されることで、部署内での共有・連絡もより効率よく、手元のパソコンやスマホで行うことができます。

またペーパーレス化は、受発注に関わる情報の「転記ミス」防止にも役立ちます。

受発注業務においてFAXでやり取りされる紙の書類と、メールでやり取りされるPDFなどの電子ファイルが混在している場合には、どこかの段階で内容をまとめる(転記する)ことが必要です。しかしデジタルデータでのやり取りだけに統一されれば、転記する手間はもとより、転記内容に間違いがないかを確認する作業も省略・効率化することができます。

デジタルデータは紙の書類に比べて、ファイリングなど管理・保管にかかる手間や物理的なスペースを減らせるという点も見逃せないメリットです。

メリット2:業務の効率化と生産性の向上が図れる

調達業務の各フローに関する情報を集約し、社内外や関連企業と調整を行う際のメッセージやチャットの記録も含めてクラウドに一元化することで、業務の効率化を図り、無駄な作業を減らして生産性を高めることができます。

ペーパーレス化を進め「受発注業務に関わる情報をデジタルデータに統一する」ことは、調達業務に関する書類の情報が画一化されることでもあります。整頓されたデータをクラウドに集約するとパソコンなどで検索・利用しやすくなるため、在庫数や注文内容、変更事項、出荷状況など調達業務の各フローの確認にかかる時間と手間を減らし、効率化を図ることができます。

それぞれの調達業務に紐づいた連絡や手続きの記録も一箇所にまとめて残されるので、途中経過が確認しやすく、引き継ぎの際のモレや行き違い防止にもつながります。

メリット3:属人的業務プロセスから脱却できる

調達業務のボリュームが増えれば、それにともなって在庫管理や、受発注状況、出荷・配達状況などを確認する手間も増えていきます。

納期や数量の変更などが重なって臨機応変な対応が求められる状況では、処理はさらに複雑なものに。FAXだけでなく電話やメールなど複数のツールを使って行き交う連絡事項を、間違いなく管理・共有し、業務を完遂するにはたいへんな手間と注意が必要です。そうした状況を的確に捌いて関連部署・企業間を調整するスキルはもちろん評価されるべきですが、誰もが持ち得るものではありません。

しかし、在庫管理や受発注状況、そして変更内容などがデジタルデータとして集約されていれば、各調達業務フローを分担・共有することができ、特定の担当者だけに情報や負担が偏ることを避けられます。受発注情報に紐づけられたチャット(メッセンジャー)を利用すれば記録が残り、業務の引き継ぎにも役立ちます。

データは集約し、業務・負担は分散させる。ペーパーレス化(デジタルデータ化)を進めて属人化を防ぐことは、ビジネス上のリスクを抑え、スピードと安全性、さらには正確性を高めることにもつながります。

メリット4:情報セキュリティを適正化し、災害対策も進められる

インターネットを介した情報漏えいなど、情報セキュリティに関するニュースを目にするたびに、デジタルデータ化やペーパーレス化に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし書類や顧客とのやり取りを紙で保管している場合でも、保管状況によっては誰でもアクセスすることができてしまいます。情報の重要度や役職に応じて扱える書類を区分しようとすれば保管作業の負担が大きくなり、継続することが難しくなりがちです。

いずれにしても重要なことは、必要なときに素早く情報を取り出すことができ、業務に関わりのない情報へのアクセスには制限をかけられる「適切なセキュリティ体制」をつくることです。

そうした観点からすれば、内容や種類ごとに情報が整理されて確認しやすく、社内の特定のメンバーのみが閲覧できるようにするといった制限も可能なデジタルデータにはメリットがあります。

また、万が一地震や火災などによる被害がオフィスに及んだ場合でも、クラウドにデータが保存されていれば消失する可能性は低く、復旧までの時間を短くすることができるでしょう。

メリット5:「電子帳簿保存法」への対応もスムーズに

2022年1月に「電子帳簿保存法」が改正・施行され、電子取引に関わるデータの保存が義務化されました。見積書・発注書などがPDFなどの電子ファイルで発行されている場合、印刷して紙媒体にするのではなく、電子ファイルのまま適切に保存しなければなりません。

紙の書類と電子ファイルを別々に保存することも可能ですが、煩雑な作業になることは明らかです。むしろ今回の法改正は、調達業務に関わる受発注業務のフローをデジタル化・ペーパーレス化することで得られるメリットに注目すべきタイミングではないでしょうか?

テレワークの普及が急速に進んだここ数年で、FAXなどで行っていた紙での業務の非効率さが明らかになりました。2022年1月の電子帳簿保存法(電帳法)の改正は、これまでの業務を見直し、デジタル化・ペーパーレス化・業務効率化に取り組むにはちょうど良い機会ともいえます。改正電子帳簿保存法に対応したシステムやプラットフォームも多くありますので、そういったものを活用することでよりスムーズに法律対応と業務効率化を進めることができます。


ー プラットフォーム導入による調達業務フローのDX化の進め方

多くのメリットがあることは明らかですが、FAXやメールへの添付データのやり取りを中心にした従来の調達業務務フローをデジタル化・ペーパーレス化し、さらにデータを活用するDXを実現するにはいくつかのステップがあります。

ここでは、トッパンの企業間調達支援プラットフォーム「SDNECT®」を例に、調達業務のDXに向けた流れを整理してみましょう。

SDNECT®は、これまでの企業間取引で発生していたFAXや電話での受発注情報、調整や例外処理業務をデジタルデータとしてクラウドで管理。連絡・調整に必要なチャット機能を備えるほか、取引データの分析を可能にし、調達・発注業務フローの効率化を実現します。

1.業務フローの課題整理:
まずは現状のオペレーションを整理し、解決すべき課題の設定を行います。調達業務のフローにおいて、特に負荷が高い業務や、属人化が進んでしまっている業務を洗い出します。

2.社内・取引先との調整:
調達業務に関わる社内の各部署のほか、取引先にも、受発注業務のデジタル化・クラウド化を進める旨を共有。特に、これまでFAXやメールへの添付ファイルなどでやり取りを行っていた取引先には、変更点やメリットを説明し、手順の変更を周知する必要があります。

3.プラットフォームの選定:
ペーパーレス化をスムーズに進めるには、使いやすく、自社の課題と業務に合ったプラットフォームを選定することが重要です。また導入・運用にかかるコストはもちろん、導入後のサポート、セキュリティ管理といった視点からも比較検討します。

4.運用テストと最適化:
それまでとは異なる手順での業務へスムーズに移行するためにも、プラットフォームの利用・操作方法を確認し、社内外の関係者にとって使いやすいものであるかを確認します。ITスキルのレベルはさまざまであることから、実際の運用の際にも不都合が起きないよう、操作説明とともに運用のルールについても検討しておくと安心です。


ー 調達・発注業務フローを効率化するSDNECT®とは

SDNECT®は、これまでの企業間取引で発生していた、注文と同時に発生するFAXや電話での詳細な調整や例外処理業務をデジタル化し、調達・発注業務を効率化できる企業間調達支援プラットフォームです。企業間取引において必要な注文情報をデジタル化して管理しながら調整業務などをチャットで行うことができ、また一元管理により取引データの分析を可能とするなど、調達・発注業務の効率化を実現します。

詳細は、関連サービスページをご参照ください。

2023.10.20

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