コラム

飲料OEMを委託する際に見るべき5つのポイントと基本的な流れ

飲料の製造を他社へ依頼することを検討する際、どのように委託すれば良いのか分からないご担当者さまは多いでしょう。目的やコンセプトに応じた委託ができなければ、理想の商品に近づけられません。今回は、飲料OEMにおいて委託先を選ぶ際のポイントや、飲料OEMの基本的な流れ、ODMとの違いについて解説します。飲料OEMをご検討の際は、参考にしてください。



そもそも飲料のOEMとは?メーカーとの違い

そもそもOEMとは何か?メーカーとは何が違うのかについて説明します。

OEMとは、Original Equipment Manufacturerの略語になります。本来の意味としては、自社の製品を自社で製造する会社を指す言葉でしたが、日本ではこちらの意味が転じ、ある企業が自社製品を、製造能力のある他社へ製造委託し、完成した製品を自社ブランドの製品として販売することを指します。

OEMとメーカーの具体的な違いは主に製造プロセスの管理にあります。OEMでは、製造を委託した企業が定めた設計や品質基準にのっとり、製造を受託した企業が厳しい品質管理のもと工場での製造を行います。一方、メーカーでは、製品の設計から製造時の品質管理、販売まで全て自社で行い、製品の全てに対する責任が求められます。

飲料に限ることではありませんが、OEMを活用することで自社では飲料の製造を行うための設備や技術、ノウハウを持たずに、自社ブランドとして飲料を製造し販売できるため、新規参入のハードルを大きく下げることが可能になります。

OEM・ODMの違い

OEMと同じような用語でODMもよく聞きますが、具体的な違いとはどのような点なのか、違いが曖昧になっている方もいるのではないでしょうか。これらの用語の違いが分かるよう解説します。

OEMは前述の通り、委託元の設計・品質基準にのっとり、受託企業が製造を行う方式です。委託元は、製品の開発・設計と製品全体の品質保証を行い、納品された製品の販売を行います。

ODMは、Original Design Manufacturerの略で、受託企業が製品の開発・設計、製造までを受託し、製品に対する品質保証も受託企業が行います。委託企業は製品の販売のみを行います。このことから、ODMは「相手先ブランドでの製品設計・生産」とも呼ばれます。


飲料OEMを委託する3つのメリット

OEMで生産される商品は、自動車・電化製品・化粧品など数多くあります。飲料OEMは委託企業にどのようなメリットをもたらすのか、チェックしてみましょう。主なメリットは以下の通りです。

1.初期投資(設備・人)に費用をかけずに製品化ができる

自社で製造する場合、設備投資や人材投資が必要です。外部の製造業者に依頼すれば、設備や人材に多額の費用をかけることなく、目的の製品を作ることができます。日頃から品質管理を徹底し、ノウハウを持った製造業者に任せることも可能です。飲料OEMの実績がある製造業者に依頼すれば、衛生面や安全面においても安心です。製造業は通常、設備投資に加え、人件費や家賃などの固定費がかかります。しかし飲料OEMであれば、委託企業が固定費を負担することもありません。

2.新規事業として参入しやすい

新規参入しても、売上不振により投資した費用や労力が無駄になってしまうケースはよくあります。しかし、飲料OEMは設備投資や固定費の負担がないため、飲料分野参入の障壁が低くなるのがメリットです。OEM企業に任せることで、知識や経験のない事業に労力をかける必要がなくなります。飲料業界の知識やノウハウを熟知したOEM企業を利用することで、開発や生産もスムーズに進みます。飲料OEMは参入リスクを軽減できるだけではなく、自社は製品の企画・設計・マーケティングなどに注力することが可能です。

3.オリジナリティのある飲料を作れる

自社でオリジナル商品を開発・販売する場合は、製品の売れ行き予測がつきにくいため、在庫発生のリスクに備えなければなりません。しかし、小ロットから委託注文ができる飲料OEMを利用すれば、様子を見ながら少しずつ生産数を増やすことができます。飲料をOEM製造することでイメージに近い商品づくりにも柔軟に対応でき、中身やパッケージにオリジナリティを出したり、今までチャレンジできなかったような飲料にチャレンジしたりすることも可能です。


飲料OEMの委託先を選ぶ際に見るべき5つのポイント

飲料OEMの委託先を選ぶ際に見るべき5つのポイント

飲料OEMに製造を依頼する場合は、委託先選びが重要です。ここからは、信頼できる飲料OEMを選ぶ際に重視したい5つの選定基準をご紹介します。

1.企画から一緒に考えて製造してくれるか

企画の経験豊富な飲料OEMであれば、委託企業が専門的な知識を持ち合わせていなくても、企画開発にも良いアドバイスやヒントをくれるはずです。飲料OEM企業の中には、自社でオリジナル飲料を企画・製造している企業もあります。オリジナル飲料を開発していない飲料OEM企業でも、長年の経験や豊富な実績があれば、自社では気付けないヒントや欠点を指摘してくれることもあり、目的に応じた飲料をスムーズに開発することができます。

2.納品までが計画的に進むか

依頼から納品までの期間を逆算し、製造が計画的に進むかも事前に確認しておきましょう。余裕を持ったスケジュールで依頼するのが第一ですが、場合によっては予定が変更になることもあります。依頼前に不明な点がある場合は必ず確認し、万が一トラブルが起こった場合のスケジュール変更はどうなるのかを確認しておくことも大切です。

3.高品質なものを作るためにどんな品質管理を行っているか

企業として、安全・安心な製品を消費者に届けることが第一です。特に飲料は、口に入る商品のため、衛生面や品質保証は徹底しなければなりません。飲料のOEM会社を選定する際には衛生管理体制、認証取得の有無、衛生管理方法などは事前にチェックしておくことが重要です。さらに、品質管理のために、どのような分析を行っているのかも合わせて確認しておきましょう。

4.実績を豊富に持っているか

飲料OEMの委託先を検討する際には、飲料OEMの実績がどのくらいあるかを必ず確認しましょう。長年の経験や実績件数が多ければ多いほど、信頼度は上がります。自社と同じような飲料OME製造の支援実績があれば、さらに安心です。

5.予算に合わせて柔軟な対応ができるか

価格面も、飲料のOEM委託先選びの重要なポイントです。他社に比べて妥当な価格で受託しているかどうか、生産ロット数はどのくらいから可能かも確認しておきましょう。小ロットからでも対応可能な飲料のOEM委託先であれば頼みやすく、シーンを選ばずに依頼できます。売上次第で生産数を変更していくことも可能です。ただし、小ロットから製造可能な委託先でも、単価が高ければ、リピート発注を続けることで委託費用が高額となる場合もあるので注意しましょう。また、製造中に何らかの問題が発生したときに変更を余儀なくされるケースもあるでしょう。万が一を考慮し、予算に合わせて柔軟な対応ができるかどうかも、あわせてチェックしておくことが大切です。


飲料OEMを依頼するまでの基本的な流れ

飲料OEMを依頼するまでの基本的な流れ

委託先によって多少の違いはありますが、飲料OEMを依頼するまでの基本的な流れをチェックしてみましょう。パッケージのみを委託する場合は、もう少し簡易的な流れになることもあります。

ヒアリング

企業の商品開発担当者と委託先の担当者によるヒアリングを行い、以下のような内容を確認します。詳細な内容が決まっていなくてもヒアリングは可能ですが、決まっていたほうがスムーズに進むでしょう。

・商品開発の目的・コンセプト
・内容物や内容量
・パッケージの形態
・販路
・納期
・おおよその予算

内容液の検討

実際に飲料にどのようなものを入れるのかを決定します。この工程で内容液の試作が行われることもあります。内容液を選定する際に「この材料を使いたい」という要望があっても、材料の必要数が多かったり開発が難しかったりする場合は、コストが上乗せされる場合もあるので注意が必要です。商品コンセプトや目的をよく考えて、価格とのバランスを取りながら考えていきましょう。

容器選定

一般的に飲料には以下のような容器があります。飲料の種類によって容器が異なり、容器の種類によって製造工場も異なります。ヒアリングした内容や要望を参考に、中身に応じてどのような容器が最適かを考え、パッケージや容器の選定を行いましょう。

・缶
・ペットボトル
・瓶
・ボトル缶
・カートカン
・スパウトパウチ
・スティックゼリー

試作

中身を選定したら、実際にどのようなものになるか簡単な試作を行い、イメージを固めます。試作を行って改良し、納得できれば、最終見積もりを出してもらいます。試作の段階で充填テストが行われることもあります。使用する原料によっては、試作段階で試作費が必要となるケースがあるので事前に確認しておきましょう。

見積もり

試作の内容に問題がなければ、ロットや内容量などを決定し、概算の見積もりが作成されます。見積もりは1つのパターンだけではなく、数量や仕様などのパターン別に作成してもらえるケースもあります。いくつかのパターンで見積もりを出してもらいたい場合は、委託先の担当者に希望を伝えておきましょう。

デザイン企画

パッケージデザインは、消費者が思わず手に取りたくなるような見た目や工夫が必要です。パッケージのちょっとした違いで大きく印象が変わり、売上にも影響します。商品の目的やコンセプト、売り出したいイメージなども加味し、理想のデザインにすり合わせていきましょう。

自社がデザインを担当する場合は、データを提出します。委託先にパッケージデザインを依頼する場合は、デザイナーに商品の目的やコンセプト、売り出したいイメージなどを詳細に伝えましょう。商品の内容によっては、エネルギーやたんぱく質をパッケージに表示するために、栄養分析を行う必要があります。栄養分析の費用は別途必要になることもあるので、事前の確認が必要です。

容器やデザインにこだわるのも大切ですが、近年は環境配慮やSDGsなど、環境意識が高まっています。飲料のOEM製造をする際は環境にやさしい容器やデザインであるという視点も、商品を作るうえでは大切です。

契約

見積もりに納得できたら、正式な発注を行います。発注の際には、今後のスケジュールの調整や流れを確認する打ち合わせも必要です。見積もり時に確認できなかった内容や疑問点があったら、必ず質問しておきましょう。

製造開始

実際に商品を製造し、希望の場所に納品するまでの工程です。発注から納品までの進捗確認などもできる体制を整えておくと安心できます。

飲料OEMの活用パターン

飲料をOEM委託する場合、どのような場面で委託されるのかいくつか飲料OEMのケースをご紹介したいと思います。

1.展示会のノベルティや来賓用の飲み物を自社オリジナルの飲料として提供
自社のロゴやマスコットなどをパッケージに入れた飲み物を配布することで自社の認知や印象付けに活用することがあります。こういったケースでは水やお茶などの飲料をOEM委託で製造することが多くなっています。

2.プライベートブランドとして
自社のオリジナル飲料としての販売を目的にOEM製造をします。自社製品になるので価格設定も自ら決めることができ、メーカー品と比較して安価に提供できるため競争優位性を築くことができます。

3.ギフト提供や社員への福利厚生として
顧客へのギフトや、自社の社員への福利厚生の一環としてオリジナル飲料をOEM製造し配布するケースもあります。この場合も自社のオリジナルラベルやパッケージで提供することで印象付けや従業員エンゲージメントの向上としての効果が期待できます。


飲料OEMとODMの違いを理解することも大切

OEMと似たような言葉にODMがあります。いずれも生産コスト削減を目的とした方法ですが、混同されやすい言葉です。こちらでは、飲料製造を委託する際のOEMとODMの違いやメリット・デメリットについて解説します。どちらの特徴も十分理解したうえで、依頼することが大切です。

OEM:製品を企画して仕様やデザインを決めて製造は受託業者に任せる

一般的なOEMでは、製品を販売する「委託企業」と、製造する「受託企業」が存在します。OEMとは、受託企業が自社設備を使って委託企業の製品を製造する仕組みです。受託企業は委託企業の依頼を受けて、製品を生産します。

先にもご紹介した通り、委託企業は設備投資や固定費の負担がないため、飲料分野への参入の障壁が低くなるというメリットがあります。一方で、製造ノウハウが自社に蓄積されないというデメリットもあります。

ODM:受託業者が製品の企画・開発から製造までを一貫して行う

ODMとは、製品の企画や開発・設計から製造まで、全ての工程を受託企業が一貫して行う仕組みです。OEMでは委託企業が企画や容器・中身・パッケージの選定まで関わりますが、ODMでは販売のみを行います。自社で開発した商品を他社に製造してもらって販売したい場合はOEMを選択し、企画から製造までを全て他社に任せたい場合はODMを選択すると良いでしょう。ODMは、飲料分野のノウハウがなくても飲料分野に参入できるのがメリットです。ただし、企画や設計から製造、品質管理など全てを任せてしまうので、自社にノウハウの蓄積ができません。また、商流として「製品仕入」となる形が多く、コストアップの可能性がある点がデメリットといえるでしょう。


飲料のOEMをするならTOPPANの「カートカン」がおすすめ

飲料の製造は任せたいけれど、自社にはOEMとODMのどちらが向いているか分からないというケースもあるでしょう。そのような場合は、OEMとODMのどちらにも対応可能な企業がおすすめです。ヒアリングの際に、どちらの方が自社にとってメリットになるか相談してみましょう。TOPPANは、長年にわたってお客さまと商品開発を共にし、OEM・ODMのどちらにも対応可能な企業です。こちらでは、昨今の環境配慮やSDGsにも対応可能な環境にやさしいTOPPANの飲料容器「カートカン」について解説します。

容器製造だけでなく飲料製造もできる

TOPPANは、創業以来さまざまな商品開発や製造活動を行ってきました。包装資材のみにとどまらず、環境適性の向上やデジタル化の実現においても技術開発やサービス拡大を図っています。そこで注目されているのが、環境配慮型紙製飲料容器「カートカン」です。カートカンとは、円柱状の紙製飲料容器で、TOPPANが開発しました。酸素バリア性が高いため、常温流通でも長期保存性に優れているのが特徴です。一周に切れ目なくデザインでき、四角柱型の容器とは違った高級感も演出できます。さらに、TOPPANは東西2拠点の工場でさまざまな業許可を取得しており、クリーンな環境で調合・殺菌・充填が行えます。既に実績のある充填工場(インフラ)が整っているため、委託企業は設備投資することなく、安心な環境で飲料製造を依頼することができます。

環境配慮もできるエコな容器が使用可能

近年は、容器やデザインと同じくらい企業として環境配慮やSDGsの意識が大切です。カートカンは、森林全体を健全な状態に保つための間伐材を含む国産材使用の用紙を、国内で唯一使用しています。容器にアルミを使用していないので、「紙パック」として牛乳パックと同様にリサイクルが可能です。さらに、TOPPANでは、カートカンの売上の一部を「緑の募金」として寄付しており、森を育む紙製飲料容器普及協議会(もりかみ協議会)の活動も行っています。カートカンを利用することで、企業のサステナビリティ向上にもなるでしょう。

紙製で手触りが良く高級感がある

カートカンは、独自の円柱形状と紙ならではの質感、グラビア印刷による美粧性の高さから、製品に高級感や付加価値を与えることができます。贈答用飲料のパッケージのデザインや製造の提案も可能です。カートカンの内側には、アルミを使用せず独自開発した「GL BARRIER」を使用しています。酸素バリア性が高く、おいしさをキープしながら常温の流通でも長期保存性に優れた容器に仕上げているのが特徴です。

コンセプトから製品化までサポートできる体制

TOPPANの「カートカン」は、清涼飲料水のカテゴリにおいて、企画から製品製造・販売まで、一貫したサポート体制が整っています。試作の際には、レシピを実際の充填機でカートカン容器に充填し、ライン適性の確認や賞味期限設定などに活用できる経時評価も行います。評価期間中には、商品コンセプトや販路に合った容器デザインを提案することも可能です。


まとめ

今回は、飲料OEMを委託するメリットや委託先選びのポイントについて解説しました。TOPPANは長年、多くの商品開発に携わり、OEMとODMのどちらにも対応可能です。環境配慮やSDGsで注目を集めている環境にやさしい飲料容器「カートカン」は、容器の製造だけでなく、充填作業にも対応しています。飲料レシピをお持ちでない企業さまには、レシピの提案も可能です。十分なヒアリングを行い、希望に添った提案を行います。お気軽にお問い合わせください。

2023.12.13