働き方改革

健康経営実現に向けた
労働災害防止の取組をご紹介

近年、働く人の健康づくりに注目が集まっているなか、労働災害防止への意識がより高まっています。厚生労働省によれば、年々、労働災害発生件数は減少傾向にありますが、令和2年には、労働災害による死傷者数は約13万人にも上っています。
特に、健康経営に取り組む事業者には、労働災害を防止する施策をよりいっそう、強化することが求められます。
そこで以下に、労働災害を防止して健康経営を実現するための労働災害防止施策の必要性と、その具体的施策をご紹介します。


健康経営実現に向けた労働災害防止の取り組み

近年、健康経営を目指す企業が増えています。健康経営とは、従業員などの健康管理に、経営的視点から戦略的に取り組むことを指します。健康経営は、日本再興戦略・未来投資戦略に位置付けられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つとして、様々な促進政策が打ち出されております。経済産業省では健康経営に取り組む企業の認定制度として「健康経営銘柄」「健康経営優良法人認定制度」を創設、社会的な評価を受けるサポート体制が整えられています。

健康経営に関心が高まっている背景には、主に次の要因があります。

●国民医療費と介護保険給付の増大
高齢化が急速に進むなか、国民医療費、介護保険給付などの社会保障費の増大による財政の圧迫が大きな問題となっています。そもそも、健康が維持できれば、医療や介護が必要となるケースは減少すると考えられます。これを背景に、国を挙げて健康経営が推進されています。

●企業の生産性向上への期待
従業員などへの健康投資を行うことにより、従業員の活力の向上や生産性の向上などがもたらされれば、結果的に業績向上や株価向上につながることが期待されます。

●労働災害へのリスクマネジメント
労働災害は年々減っているといわれていますが、死傷者数には増加傾向が見られます。労働力不足が叫ばれるなか、事業者には、その対策に力を注ぐ社会的責任があります。

健康経営を実現するための労働災害の防止施策とは

健康経営を実現するためには、労働災害防止施策が欠かせません。

労働災害防止の基本は、労働安全衛生関係の法令を守り、法令に従った対策を取ることにあります。労働安全衛生関係法令で事業者に義務づけられている事項には、危険防止の措置、健康管理の措置、安全衛生管理体制の整備、安全衛生教育の実施の4つがあります。

1.危険防止の措置
機械設備を使用して作業を行う場合、機械の動作範囲に身体の部位が入らないようにするため、柵や覆いなどを設けること、また、火災、爆発の危険性のある物を取り扱う場合、換気を行う、火気を使用しないなどの措置をとることが挙げられています。

2.健康管理の措置
事業者は、従業員に対して年に1回、定期健康診断を実施することが義務付けられています。また、従業員を有害な業務に就かせる場合には、6か月以内ごとに1回、特殊健康診断を実施することも義務付けられています。

3.安全衛生管理体制の整備
安全衛生管理体制として、安全衛生推進者または衛生推進者の選任、作業主任者の選任とともに、従業員の意見を聞きながら安全衛生対策を進めることが求められています。

4.安全衛生教育の実施
従業員を雇い入れたときなどには、安全衛生のための教育を行うことが義務付けられています。
教育の内容は、機械、原材料、保護具などの取扱方法、作業手順、事故時における応急措置とされています。また、小型ボイラーの取扱作業など、危険または有害な業務に就かせる場合には、その業務に関する特別の教育を行うことが必要です。

これらの法令を遵守するとともに、安全な作業を定着させるためには、従業員が自ら自発的に労働災害防止の取り組みを実践し、危険に対する認識や安全意識を高めることが重要です。

労働災害防止の具体的な施策と実施のポイント

労働災害防止には、具体的にどのような施策を行うべきか、およびそれぞれの実施のポイントをご紹介します。

効果の出る安全衛生教育を実施する

安全衛生教育が実施されるなか、課題として、従業員に必ずしも積極的に学ぶ姿勢がなく、教育効果が明確に出ていない点が挙げられます。そうしたなか、重要になるのは、いかに一人ひとりが自分ごと化して、危険を実感しながら、労働災害を自ら防止するための取り組みを行うようになるか、ということです。そのためのくふうとして、近年は最新技術を取り入れた教育が実践されています。

例えば、動画を用いて労働災害の危険を直感的に伝える手法のほか、VR(バーチャルリアリティ)を用いた映像手法で、あたかも自身が労働災害を体験しているかのような臨場感のある動画によって教育するといった方法もあります。従業員の学ぶ意欲を喚起し、自ら安全対策の行動を起こさせるために有効です。

リスクアセスメントを実施する

リスクアセスメントとは、作業に伴う危険性または有害性を見つけて書き出し、それらを除去、低減するための対策を考え、実施する手法です。リスクアセスメントに基づき対策を実施することで、確実かつ効果的に災害を防止できるといわれています。
まず、起こりうる危険性または有害性の特定を行い、リスクの見積もりを行います。リスクとは、負傷または疾病の重篤度と発生の可能性を組み合わせたものであり、災害の重篤度、発生の可能性、リスクの程度によって見積もります。その見積もりに基づき、優先度の高いものからリスク低減措置の検討と実施を行います。

従業員による危険予知活動の場を設ける

危険予知活動とは、従業員が作業前に、現場や作業に潜む危険要因と発生する災害について話し合い、危険に対する意識を高めて、災害を防止しようとするものです。作業の状況を描いたイラストなどを用いて、従業員自身で考えることがポイントになります。

まとめ

労働災害を防止する施策を実施することは、健康経営を行う際には欠かせない取り組みです。特に重要になる安全衛生教育には、効果の期待できる「VR教育」が浸透してきています。

トッパングループは、働くすべての人々の安全と健康を確保することを企業の社会的責任と考え、事業活動を行ううえで「安全は全てに優先する」という考えのもと、「安全衛生・防火基本方針」を策定し、取り組んでいます。
そして、「災害ゼロを達成できる職場を目指す」という経営の強い思いのもと、従業員一人ひとりの危険に対する感受性を養うために、埼玉県川口市のトッパングループ研修センターに、体感教育ができる施設「安全道場」を2010年9月に開設しました。「挟まれ・巻き込まれ体感機」「発火・帯電体感機」などの危険体感機の設置や、「安全装置」「保護具」「防火・防災関連用品」などの紹介を行い、従業員一人ひとりの危険に対する感受性向上を図ると同時に、「安全道場」で学んだことが自職場の改善に活かせる教育を行っています。

トッパンでは、この「安全道場」における体感教育を場所を問わず実践できるように、「安全道場VR」を開発し、サービスとしてご提供しています。実際に現場で起こりうる7つの労働災害をVR動画で再現し、ヘッドマウントディスプレイを身につけ、リアルに体験していただくことで、映像や資料では身につかない効果的な安全教育が実現できます。動画は、生産現場に長く携わってきた安全作業のプロフェッショナルが完全監修しているので、現場に即した内容になっています。
すでに建築、機器製造、製紙、印刷、食品などと多様な業界でご導入いただいていて、さまざまな事故の疑似体験を行うことで、新しい気付きが得られたなど、効果をご実感いただいています。詳細については、ぜひサービスページをご覧ください。

出典:厚生労働省「令和2年 労働災害発生状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18226.html

2022.04.04

関連サービス
新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE
      関連サービス SERVICE