自ら考える力を伸ばす探究学習
~テーマ設定方法をご紹介~
2022年度から施行されている高校の新学習指導要領では「古典探究」など「探究」と名前のついた科目が数多く導入され、中でも「総合的な探究の時間」は必修科目となっています。「探究」という学び方が今後ますます求められるようになっていますが、探究学習を取り入れたくても難しいのが「テーマ設定」なのではないでしょうか。今回は探究学習のテーマ設定についてポイントをお伝えしていきます。
目次
1.探究学習のプロセス
2.探究学習のテーマ設定のポイント
3.探究学習のテーマ事例
4.探究的な学びをサポートする「navima(ナビマ)」
1.探究学習のプロセス
文部科学省の「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」によると、探究学習は、次の4つのステップで進めていきます。
1.課題の設定・・・体験活動などを通して、課題を設定し課題意識を持つ
2.情報の収集・・・必要な情報を取り出したり収集したりする
3.整理・分析・・・収集した情報を、整理したり分析したりして思考する
4.まとめ・表現・・・気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する
「課題の設定」は一番最初に取り組むステップであり、ここで設定するテーマがその後の授業展開や児童・生徒のモチベーションを左右するともいえるでしょう。また、日常生活や社会に目を向け、児童・生徒が自ら課題を設定することが前提になっています。
2.探究学習のテーマ設定のポイント
次に探究学習のテーマ設定をするうえでポイントになるところを見ていきます。「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」には、課題の設定において次のような点に配慮することが大切だと述べられています。
・人、社会、自然に直接関わる体験活動を重視し、学習対象との関わり方や出会わせ方などを工夫すること
・事前に児童(生徒)の発達や興味・関心を適切に把握すること
・これまでの児童(生徒)の考えとの「ずれ」や「隔たり」、対象への「憧れ」や「可能性」を感じさせるように工夫すること
また、学習指導要領では、総合的な学習の時間で取り組むべき探究課題について、
「国際理解、情報、環境、福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題、地域の人々の暮らし、伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題、児童の興味・関心に基づく課題などを踏まえて設定する」
出典)文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」
と記載されています。
つまり体験的・横断的で児童・生徒が興味関心を持ちやすいテーマであり、現代社会で解決すべき課題や、地域や学校の特色に応じた課題であることが重要だといえそうです。
ただ、あまりに抽象的すぎたり、児童・生徒がイメージできないような高尚すぎたりするテーマだと「考えたい」「調べてみたい」と感じられません。入り口は身近で興味を引くような問いで、調べたり検討したりしていくにつれて社会課題につながるなど、深く広がりを感じられるテーマであることが重要だといえます。
3.探究学習のテーマ事例
具体的にどのような問いを設定するとよいのか、実際のテーマ設定とアプローチ方法について見ていきます。
「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」には課題の設定の事例として、
・二つの祭りの参加体験を通した課題の設定(体験学習での気付きを深める)
・提示した二つの写真資料からの課題の設定(二つの資料の違いから原因や背景などを考える)
・提示したグラフからの課題の設定(今後の動きを予測したり、その原因となるものや課題を考えたりする)
・自分の住んでいるまち(○○市)についてのブレインストーミングを通した課題の設定(テーマに対して自由にアイデアを出し合うことで新しい気付きを得る)
などの具体的な取り組み例が提示されています。これらも参考に、自分たちの住む地域社会に関連が深いテーマや、外国語や理科・社会などの授業で学んだ知識を活かせるもの、学校や伝統行事などの生活に身近なものに関する疑問や、フードロスやエネルギー問題などの環境に関するテーマなどを設定し、まずは身近な疑問を立てて、そこから「なぜだろう」「どうすればいいだろう」と深掘りさせていくことが大切です。
4.探究的な学びをサポートする「navima(ナビマ)」
デジタル学習サービス「navima」には、探究学習をサポートする学び合いツールも搭載しています。理科と社会の教科書の内容に準拠した問い形式の教材「問いカード」を用意しているので、探究学習のテーマ設定に悩む必要はありません。「問いカード」をタブレットに配信し、まず一人ひとりが自分なりに考えて意見を書いた後に、クラスやグループで共有して話し合いをすることで、自分とは異なる意見に気付くことができます。
また、先生用コンテンツとして、子どもの自発的な気付きや対話を促す声かけ例や学びのポイントなどがまとめられた「ファシリテーションシート」も用意しています。
「navima」についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひお問い合わせください。
2024.06.12