コラム

袋井市「おいしい給食課」の
学校給食のあたらしい取り組み

昔は学校の調理室で作られるのが一般的だった給食。今では、給食センターという施設で作られている地域もあり、袋井市もその一つです。そんな給食について袋井市は先進的な取り組みを進められているようです。
今回は特別編として、袋井市教育委員会 おいしい給食課の石塚浩司さんに地産地消の給食とICTについてお話を伺ってきました。


地産地消の取り組み

地産地消の取り組みは、平成17年に食育基本法ができ、その中の食育計画に「どうやって食に関心をもってもらうか」というものが出てきたのが、大きなきっかけとなっています。
袋井市としては日本一健康文化都市という、ひともまちも健康になろうという宣言を平成5年から掲げていて、そのころから「健康になるためには食」という話が会議で出たのです。
そこで、特に食の中でも野菜をたくさん食べようという取り組みが始まりました。

給食についての地産地消が始まったのは平成19年頃が最初です。当時は全然進んでいませんでした。袋井市はお米やメロンの産地として有名ですが、メロンについては高級なため何度も給食で出せる価格のものではありません。
普通の給食で出るような、玉ねぎ、白菜といった野菜の畑はあまりなく、作っている人はいるけれど市場を通るような野菜ではなかったんです。
その頃の袋井市の給食は、袋井市の人口の増加に伴って児童生徒数も増え、給食センターの調理対応が追い付かない状況になっていたのです。冷凍野菜やカット野菜を使って給食を作るという状況で、それらの課題によって地産地消には大きな壁がありました。
ですが、平成25年に給食センターができ、配送や管理を見直すことになり、
当時はお米をメインに、野菜は八百屋さんから仕入れることにしました。ですが袋井市の野菜は市場に出てきにくいという課題があります。そこで、飛び込み営業で声をかけることにしたんです。直接畑で作っている人に「給食で使う野菜をつくりませんか?」と、それが平成26年でそこから徐々に増やしていきました。

私は平成26年に給食を管理する課に配属され、「地産地消」と「アレルギー」をやってくださいといわれただけで、予算もなく何をやるかもわかりませんでした。そこにぽんと二人配属されて「どうする?」という感じです。でも地産地消だから、農家を探すことにして二人で市内を回ることにしたのです。そこで何人かに声をかけているうちに逆に紹介を受けたりし、紹介によって増やしていくことができました。
とりあえず一回やってみてよ、とお願いをして割に合わなくて辞めた方もいます。配送時間や納品時間、量が一つの課題としてあるからです。たとえば玉ねぎだと一度に300kgと量が多いので、高齢の方は遠くまで配送するのが大変だし、運転するのが怖いというのもあります。玉ねぎなどは夏前に収穫を迎えるため、夏休みの保存に悩んだこともあって、その場合は給食センターで加工して冷凍保存してそれを二学期に出すというのもやっていました。これからだと12月に大根が過剰にとれるので、地元の企業と連携して野菜乾燥機をつかって、切り干し大根を作ったりします。そうするとまた来年に使えるようになります。
そうやって工夫しながら地産地消率を年々上げていっています。

給食とICT

袋井市の学校の給食時間に今日のテーマというものがあります。そこで地場産物の話を多くすることによって地域の知識や農業の理解を深めるという取り組みをやってきました。
動画をいれたり、iPadを直接つないだり、ICTを使って浸透させていきたいなと思っています。
コロナ前までは栄養士や私が直接学校に行って話していました。「今日の給食に何が入っている?」というところから「袋井市の誰が作っているんだよ。」という話です。でも、今は黙食でみんな前を向いて食べているので、静かに見られるような動画を流しています。
給食中に見る動画は大体一分半でおさまるような動画を作っていきました。
他にも地元の民間企業で作っているタルタルソースの紹介動画を流したりもしています。
良い面としては、今はみんな前を向いて黙って食べているから動画を見ることのできる環境であることです。(コロナ前は机をつけて食べていたので画面を注目しにくかった。)給食に関するクイズを付けると、クイズの答えを聞きに来る子どもたちもいて、給食に興味を持ってくれている子どももいると聞いています。ただ毎日違う動画を作る余力がなかったり、全クラスが見てくれるわけではないので、そこは課題としてあります。

ただ、食物アレルギー対策やコロナ感染対策の動画については全クラスで見てもらうことができ良かったです。食物アレルギー対策については実際に学校に行って全職員へ研修していたのですが、去年からは動画配信をして、それを見てもらうという形に変わりました。
他にはレシピコンテストで給食のレシピを募集して子どもが考えて紙やスマホで送ると、優秀なレシピは翌年の給食に採用されるというような取り組みも行っていました。

給食と遠隔授業について

学習指導要領で体験を通じた学習を重要視されるようになったので、収穫体験に力を入れています。触ってにおいをかいで最後収穫したものを給食で味わうという、五感を使ったトータルの体験学習をしていましたが、コロナ禍によって昨年と今年は回数が激減してしまったのが残念です。
農家さんも作物の植え付けを遅らせることができないのでと諦めていましたが、
ふとオンラインで繋げるのではないかと思い立って、農家さんと学校をオンラインで繋ぎインスタライブで配信しました。急遽用意したにしてはうまくいって、農家さんの話を聞いて、手植えと機械植えの二種類の植え方を見たり、苗の実物を学校に持っていくなどして学習を行うことができ良かったです。こういったオンライン学習は今後も続けていきたいと思っています。
また、給食センター化にしたことで、子どもたちが調理風景を知らないという事態が生じています。なので、調理現場と学校を繋ぐというのはずっとやりたいと考えていて、まだ実現はできていませんが、見たこともないぐらい大きい窯を混ぜたりするといった場面を給食前に見せたいと思っています。調理場にもカメラはありますが古くて画質が悪いのでiPadを調理場と学校において、常に中継できるようにしたいです。
オンラインのデメリットとしては、やはりクラスの反応がわからないところにあります。
ですが実際に現地に出向くよりも圧倒的に手はかからないですし、仕切る人がしっかりしれば割とうまくいきます。
子どもたちの反応としては逆にZoomだとよく聞いてくれるという話もありました。記憶に残りやすいのかもしれませんが、それが通常になると慣れていってしまう懸念もありますね。

先生へのアレルギー事故防止の研修などはオンラインでやることで、より多くの人に聞いてもらえるようになりました。小児科の先生も病院から出席いただいたりできましたし、保護者の方も前は学校にきていただいていましたが、スマホ等で参加できます。
以前は、学校に訪問していたので、学校との日程調整も大変でした。アレルギー事故については全員に聞いていただきたい話だったため、大変でしたがオンラインにしたことで、学校側で調整いただくことで済むのが大きいです。

今後ICTを活用してやりたいこと

調査やアンケートをICTでやっていきたいと思っています。
また、袋井市はアレルギー対策にもとても力を入れていて、160人のうち100人に代わりのメニューを提供しています。
例えば通常メニューが「卵焼き」の場合で卵アレルギーの子どもには「厚揚げのあんかけ」など別のものを提供するといった対応を行っています。
卵を除くとならタンパク質が不足するので代わりに厚揚げを使うなど、栄養価についても意識しながらメニューを作っています。
普通の学校なら、給食で食べられないメニューがあれば、代わりになるものを家からもってくるなどの対応をしているところもありますよね。
他にも、アレルギー診断書をもとに保護者との面談もやっていて、今紙でやっている書類等もあるでこちらについてもICTを使いたいと思っています。
面談は保護者、養護教諭、給食課のセンター職員で行っていて、ほぼ毎月「代わりのメニューに何を出すか」等といったことを確認しています。これもとても時間がかかるのでICTを活かしたいなと思っています。面談もオンライン化していきたいです。
最終的には子どもの健診データと食のデータを連携することができれば、個人への食へのサポートが継続的にできると思っています。
偏食、食物アレルギー等の悩みをもっている子どもたちへの個別アプローチも一人一台環境でなら行うことができるのではないかと思っています。

2021.12.17

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE