企業がITパスポート試験の合格を目指して
従業員に学習させるメリットとは?
近年、多くの企業では、従業員に対して国家試験であるITパスポート試験の合格のために研修を強化する取り組みを推進しています。ITパスポート試験合格に向けた学習を進めることは、企業にとって、また従業員にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は、ITパスポート試験の概要や、企業が活用するメリット、ITパスポート試験合格のための教育を効率的かつ効果的に行う方法をご紹介します。
■ITパスポート試験とは
ITパスポート試験とは、2009年に開始した経済産業大臣が実施する情報処理技術者試験の一区分である国家試験です。情報処理技術者試験の中でも対象者は「ITを利活用するすべての社会人」と「これから社会人となる学生」であり、合格することで、社会人として備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できます。
試験実施団体であるIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)は、どのような業種・職種でも、ITと経営全般に関する総合的知識が不可欠と述べており、ITパスポート試験は社会人が共通して身に付けるべき知識を網羅しています。SE(システムエンジニア)などの専門技術が求められる職種が身につける知識とは異なり、次のような総合的知識が問われます。
・新しい技術(AI、ビッグデータ、IoT など)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識
・経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識
・IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識
・プロジェクトマネジメントの知識
など
試験内容は、ストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系(IT技術)の3つの区分に分かれています。
企業においては、採用や従業員の人材育成に幅広く活用されています。特に情報・通信業界のメーカーの中には、ITパスポート試験の合格を新卒採用試験のエントリーシートで確認しているところもあるほか、入社後も人材教育に活用している企業は多くあります。ITパスポート試験の公式サイトでは企業の活用事例が多数掲載されています。
ただITシステムを利用管理する知識だけでなく、マネジメント系やストラテジ系といったビジネスに利活用できる経営戦略やマネジメント、企業コンプライアンスの知識が問われ、どのように業務に落とし込むか、どのように有効活用するかという知識が試される試験となっています。
例えば、「社内の課題解決のために新しいシステムが必要になった」というシーンにおいて、システムを導入する段取りについての知識を問われます。既存の業務をどのようにしてシステムに落とし込むのか、その際にどのような手法があるのか、その流れとしてシステム化計画から要件定義、調達計画、導入までどのように進めていけばいいのかなどの知識を身に付けることができます。
●ITパスポート試験への注目が高まっている背景
IPAによれば、2021年度のITパスポート試験の応募者数は過去最多の24万4254人で、前年度比約1.7倍となりました。2021年度で特に増加したのは、非IT企業に勤める会社員からの応募で、前年の2倍以上の応募がありました。
増加の背景として、近年、デジタル活用による業務変革を意味するDX(Digital Transformation)を急速に進める必要があることや、時代の変化に対応するための「学び直し」を意味するリスキリングが進んでいることなどが挙げられます。これらのことから、ITパスポート試験はDX推進やあらゆる学びのベースとなりうる、社会人としては必須の試験といえます。
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■企業がITパスポート試験を活用するメリット
企業が従業員に対して、ITパスポート試験合格を推進する取り組みを行うことで、次のようなメリットが期待できます。
【生産性向上】
●ITリテラシーの向上による業務効率化
ITパスポート試験への合格を目指して複数の従業員が学習を進めることで、社内全体のITリテラシーが向上し、業務効率化につながります。
例えば手作業に頼っていた業務のフロー全体をシステム化する際には、システムの導入がよりスムーズに進められます。そしてただ導入するだけでなく、IT基盤と経営戦略とを結び付け、ビジネスが円滑に進むように調整するファシリテーションの視点で行えるようになることで、より生産性の向上につながるでしょう。
●経営戦略、財務などの経営全般の知識向上
ITパスポート試験では、社会人として備えておきたい経営全般に関する知識のほか、財務諸表・損益分岐点分析など会計・財務に関する知識も問われます。経営戦略、財務などの知識を習得することによって、ITを活用した業務の課題把握力や課題解決力が養われ、業務改善および生産性の向上につなげることができます。
●情報システム部門とのコミュニケーション向上
ITをより活用していくためには、情報システムやネットワーク、データベースなどにまつわる幅広い基礎知識を持っている必要があり、これらの知識を習得することで、社内のITを専門的に取り扱う情報システム部門などや社外のITシステムを手がけるベンダー各社との円滑なコミュニケーションに役立ちます。
実際、IPAには、ITパスポート試験を取り入れたことにより「社内の情報システム部門とのコミュニケーションが円滑になった」、「顧客とのコミュニケーションが円滑になった」などの声が寄せられているといいます。
【リスク回避】
●情報セキュリティのリスク回避
近年、インターネットやネットワークなどを活用することは、円滑なITコミュニケーションやデータ通信を進める上で欠かせません。一方、通信においては機密情報や個人情報の漏えいリスクが高まっています。
漏えいの主な原因は、従業員のシステム誤操作や部門内での確認漏れ、管理不徹底などの人的ミスやルールが存在しないことなどであるといわれています。ITパスポート試験合格のための学習を進めることで、情報セキュリティに関する基礎的な知識を習得でき、漏えいリスクを低減することができます。
●コンプライアンス・法令違反のリスク回避
ITパスポート試験では、企業コンプライアンスや法令順守に関する知識も問われます。従業員がITパスポート試験合格のための学習を推進することでコンプライアンスや法令知識が培われ、情報漏えいの防止のほか、就業規則や行動規範、ハラスメント防止などのコンプライアンスを主体的に遵守していくことができるようになると考えられます。それにより、組織としてはリスク回避につながります。
【企業の成長】
●DX推進の第一歩を踏み出せる
DXは、データやデジタル技術の活用により、単に業務効率化を進めるだけでなく、業務改善およびビジネスモデルそのものの変革を実現することを意味します。DXを推進できる人材の育成が求められている昨今、専門人材を育成するのと同時に、DX推進に必要なベースとなるIT全般の知識を固めておくために、社内でITパスポート試験合格を推進することは有効といえます。
【従業員の成長】
●従業員のスキルアップ・モチベーション向上
ITパスポート試験合格を推進することにより、従業員自身はITリテラシーを高められるほか、経営戦略や財務、コンプライアンス等に関する業務に必要な基礎的な知識を総合的に身に付けることができます。
これらの知識はただ学んで終わりという類のものではなく、実際の業務に役立てられるものです。従業員は培った知識やスキルを業務に生かせるようになることで、効率よく業務に当たることができ、業務の成果も出しやすくなるでしょう。その結果、以前よりもモチベーションが向上するものと考えられます。
さらに、これまで携わってこなかった業務分野についても挑戦することができるようになったり、社外の関係各者とのコミュニケーションの幅が広がったりすることで、活躍できる場も広がると考えられます。
こうした従業員のスキルアップやモチベーション向上、機会の増加などは、企業の生産性向上および利益につながることは言うまでもありません。
【社外との関係性向上】
●顧客や取引先への提案に活用できる
ITパスポート試験は国家試験であることから、知名度が高く、権威があります。試験合格を顧客や取引先などに示すことで、知識やスキルを示す証明として活用することができます。実際に提案や意見を述べる機会においては、培った知識やスキルを活用することができるため、良い結果につながりやすくなるでしょう。
■eラーニング「ITパスポート試験対策」で合格のための学習を有意義なものにする
ITパスポート試験合格を社内で推進していくにあたっては、企業側が効率的かつ効果的な教育を提供することが重要です。
テレワークやモバイル端末の業務利用が浸透する昨今、場所や時間を問わず学べるeラーニングは、効率的な教育方法として重要視されています。
TOPPANの企業向け完全習得型eラーニング「CoreLearn®(コア・ラーン)」であれば、「ITパスポート試験対策」のプリセットコンテンツをご用意しており、効率的かつ効果的な試験合格対策をご提供できます。
「CoreLearn®」はこれまで、金融・製造など様々な業界で導入され、約40,000名の学習を支援してまいりました。学習者の完全理解を助けるため、効果的な反復学習を促します。また管理者は学習者の進捗状況を確認し、フィードバックなどにより知識・スキルの習得を支援できます。このように「CoreLearn®」には学習効果を高める仕組みがあります。
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■まとめ
ITパスポート試験は、企業にとっても、従業員にとっても数多くのメリットが期待できる試験です。より効率的かつ効果的に試験合格に向けた教育を進めるために、ぜひ「CoreLearn®」の「ITパスポート試験対策」をご検討ください。
詳細につきましては、ぜひお気軽にお問い合わせください。
2024.05.22