コラム

初任給30万円時代の若手人材採用戦略
IT人材教育がカギ

執筆者:黒川 貴弘



株式会社拠り所 代表取締役
株式会社フロントビジョン 取締役
株式会社AtFilm 顧問
LEC東京リーガルマインド講師

大学在学中に中小企業診断士資格に合格。システムエンジニアとして6年間勤務後、2011年に独立起業。IT導入・DX推進プロジェクトを多数行いながら、IT系企業研修、大学講師、資格取得予備校講師を拝命。その他、自社ブランドのキャンプ用品開発・販売やコーヒー豆の焙煎・販売なども手掛けている。

はじめに

国の賃金アップの取り組みの影響もあり、新卒初任給が30万円に迫る勢いで上昇しています。この背景には、若手人材獲得競争の激化があります。特に大企業においては、優秀な人材を確保し、定着させるために、これまで以上に魅力的な職場環境や待遇の整備が求められています。
年々労働人口は減少していく中、高齢化が進む社会では、若手人材の確保が一層重要になっています。そのためにも、ITパスポート試験の受験サポートなど時代に合わせた人材育成を強化している企業は、就職希望者から魅力的に映ります。本稿では、人材採用面でのメリットについて深掘りしていきます。

IT人材育成が若手人材確保につながる理由

若手人材のニーズ

現代の若手は、自身のスキルアップや自己成長への関心が強いと言われています。年功序列型の企業でじっくり成長していくような価値観よりも、明確に資格取得など目に見える形で成長を実感できることを重視する傾向があります。さらに、時代に合わせた知識や技術を学びたいという強い志向性があるため、IT関連の知識や技術の取得支援は若手人材のニーズと合致します。

採用市場での差別化

若手人材の獲得競争は激しく、特に新卒採用では他社との差別化が不可欠です。企業イメージだけでなく、実際の制度や仕組みが重要視されます。就職活動中の学生は、企業の研修制度や資格取得支援、キャリアプランなどをしっかりとチェックします。
人材育成に消極的な企業は選ばれない傾向があります。一方、ITパスポートなど話題の資格に関する研修やe-ラーニングの受講をサポートしている企業は魅力的に映り、採用活動での優位性を高めることができます。

企業側で具体的に実践すべき取り組みとは

研修制度の充実

全社員共通の基本研修に加え、各自が興味に応じて選択できる多様な研修メニューの提供が理想的です。社内開催や社外研修、オンラインでのe-ラーニングなど、様々な形態の研修制度を用意することで、幅広いニーズに対応できます。また、普段接点のない社員同士が交流できる場を創出することで、新たな刺激と良い影響を生み出すことができます。

資格取得支援

ITパスポートを始めとした資格の取得支援は、若手人材にとって大きな魅力となります。支援内容としては、受験料の補助だけでなく、合格後の報奨金や資格手当の支給も効果的です。難易度の高い資格については、教育機関の講座受講費補助や社内講座の開催なども検討すべきでしょう。
さらに、資格取得者の体験談やキャリアアップの成功事例を社内報や採用情報で積極的にアピールすることで、自社の人材育成への姿勢を明確に示すことができます。

費用対効果の検討

研修費用や資格手当の拡充はコスト増加につながりますが、その評価は収益への直接的な貢献度だけでなく、「何もしないことで失われる収益」という観点からも検討すべきです。
人材教育・育成への投資を怠ることで、優秀な人材を獲得できなかったり、既存の人材が流出したりするリスクがあります。その結果、人材不足による収益の減少という隠れたコストが発生する可能性があります。「投資をしないことによる機会損失」と「投資によって得ら得られるリターン」を比較する視点が重要です。

IT人材育成におススメなITパスポート試験とは

ITパスポート試験の内容

ITパスポート試験は、ストラテジ・マネジメント・テクノロジの3分野で構成されています。企業内でのIT戦略立案から、具体的な技術内容、IT導入時のプロジェクト管理手法まで幅広く学ぶことができます。

基礎的な知識ながら実践的な内容となっており、最近では生成AIなどの機械学習分野も出題されるなど、時代の最先端技術に関する知識も習得できる点が特徴です。これにより、現代のビジネス環境に即した人材育成が可能になります。

まとめ

近年、企業向けのITパスポート研修プログラムは充実しており、各企業の人材育成ニーズに合わせた柔軟な対応が可能になっています。特にAI関連の知識習得を通じて、最新技術を活用した業務効率化や新規事業開発に貢献できる人材の育成が実現できます。
IT人材育成に積極的に投資することで、優秀な人材の獲得と定着の両面で効果を発揮し、企業の持続的な成長を支える基盤を構築することができるでしょう。初任給30万円時代においても、単に給与で勝負するだけでなく、充実した育成環境を提供することが、真の競争力につながります。

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2025.03.14

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