コラム

AI時代の企業研修・人材育成に「ITパスポート」を取り入れるべき理由とは?

執筆者:黒川 貴弘



株式会社拠り所 代表取締役
株式会社フロントビジョン 取締役
株式会社AtFilm 顧問
LEC東京リーガルマインド講師

大学在学中に中小企業診断士資格に合格。システムエンジニアとして6年間勤務後、2011年に独立起業。IT導入・DX推進プロジェクトを多数行いながら、IT系企業研修、大学講師、資格取得予備校講師を拝命。その他、自社ブランドのキャンプ用品開発・販売やコーヒー豆の焙煎・販売なども手掛けている。


AI・テクノロジーの時代におけるITパスポートの重要性

ITパスポートとはどのような資格か

ITパスポートは、社会人として必要なITに関する基礎知識を幅広く問う国家資格です。
IT業界だけでなく、あらゆる業界においてITを活用する機会が増えている現代において、ITパスポートはビジネスパーソンにとって必須の資格となりつつあります。
ITパスポートを取得することで、ITに関する基礎知識を体系的に習得でき、ITを活用した業務効率化やデジタル時代の問題解決能力の向上など、今日の職場で求められる基本的スキルを体系的に習得できます。

AIとITの基礎知識の必要性

今の時代、AI技術の進展は目覚ましく、企業においてもAIの導入が加速しています。
しかしAIを活用するためには、ITの基礎知識が不可欠です。ITパスポートで学ぶことができるITの基礎知識は、AIの仕組みを理解し、AI活用などにおいても生かすことができます。
また、AIの活用にあたっては、セキュリティ面のリスクも把握したうえで適切に活用しなければなりません。ITパスポートではセキュリティに関する知識も学ぶため、基礎的なリテラシーだけでなく、実際にITを利用していく際のリスクの把握や注意点、セキュリティ対策の基本的内容も網羅することができます。


ITパスポートを企業研修に取り入れるべき理由

全社員のITリテラシー向上こそが必要な時代

今や企業のどの部門でもITの活用が不可欠です。そのため、一部のシステム関連部門の社員だけがITの知識を持っていればよいというわけではなく、全部門、全社員のITリテラシーの底上げが必要といえるでしょう。
ITパスポートの出題分野は、テクノロジーに関する知識だけでなく、企業経営におけるITの活用やその基本用語、ITを活用するためのマネジメントに関する知識も網羅しています。そのため、ITパスポートの教材・研修は、体系的なITリテラシー研修への活用に最適です。
このことから、ITパスポートのEラーニング講座を全社員に受講させたり、ITパスポート試験を受けるように受験を推奨したりと研修に利用する企業が増えているほか、ITパスポート試験の合格を昇進・昇格の要件にしている企業も数多く存在しております。

企業の競争力強化

ITパスポートの取得は、企業の競争力強化にも繋がります。
ITリテラシーの高い社員が育つことによって、新しい技術への適応力が高くなり、変化の激しいビジネス環境においても柔軟に対応することができるようになります。
また、ITパスポートを取得した社員は、既存ビジネスの業務改善など社員のアイデアなどの創出が促されることも期待できますし、さらにはITを活用した新しいビジネスモデルの創出なども活性化する可能性もあるでしょう。
ITリテラシー研修を実施していない企業と比較すると、今後ますます人的資源上での差が生まれてくると考えられます。

コストメリットと投資対効果

ITパスポートの取得は、企業にとってコストメリットが大きい投資です。
ITパスポートの受験費用自体が安価であり、講座研修費用も難関資格と比較すると圧倒的に安価に収まります。
そういった直接的なコストだけでなく、IT関連のシステム開発時のベンダーとの調整や条件交渉がスムーズにできたり、トラブル発生時にも自社での対応範囲が広がったりするなど、外注コスト削減にも繋がります。
また、ITパスポートを取得した社員は、キャリアアップの機会が増え、企業への貢献度も高まるため、投資対効果も高いと言えます。


ITパスポート導入の具体的なステップ

導入計画の策定

ITパスポートを企業研修に導入する際には、まず導入計画を策定することが重要です。導入計画では、以下の点を明確にする必要があります。
• 導入目的: ITパスポートを導入する目的を企業が目指す目的と合わせて考えます
• 対象者: どのような社員を対象とするか
• 期間: どのくらいの期間をかけるか、年間に複数回で検討するか
• 予算: どのくらいの予算を投入するか
• 評価方法: 導入効果を資格合格だけで見るか、長期的な業績で見るかなど
• 実施形式:eラーニング形式、集合研修形式、オンライン研修

実施形式については、企業ごとに研修目的や時間・場所などの制約条件を確認のうえ、自社のニーズに合った研修実施形態を選択するとよいでしょう。
代表的な形式には以下のようなものがありますが、具体的な方法については研修会社や研修経験の豊富なコンサルタントに相談をしながら決めていくのがスムーズです。

・ e-ラーニング: ITパスポートの基礎知識をオンラインで学習できるe-ラーニングプラットフォームを活用することで、個々の学習ペースに合わせて進めることができます。また、費用的にも集合研修に比べて安価に提供できるメリットがあります。
・ 集合研修: 1日だけ集中的にやる気を引き立たせ、メンバーのコミュニケーションや士気を高めるといった目的での研修に最適です。e-ラーニングとのハイブリッド形式だと、さらに研修効果が高まるでしょう。デメリットとしては、時間や場所の制約が生まれやすいほか、費用面でもEラーニングよりは割高になる傾向があります。

研修実施とフォローアップ、評価

ITパスポートの導入は、研修の実施だけでなく、目的の達成に向けた社員のフォローと評価も重要です。例えば、以下のようなものを計画すると効果的です。

■ 社内座談会:
• 定期的に社内勉強会などを開催し、すでに資格合格している社員からのノウハウを共有してもらうことや、知識の共有や交流の場を設けることで、学習効果を高めることができます。
• 資格取得後の仕事内容や、職務、昇進についてなどの話や、ステップアップしたより高度な資格への挑戦などを促していくこともできます。

■ 早期合格のために:
• 定期的な小テスト: 学習の進捗状況を把握し、理解度を確認します。
• 模擬試験: 本試験さながらの環境で、実力を測ります。
• アンケート: 研修に対する意見や要望を聞き、改善に繋げます。
• 合格のインセンティブ:資格一時金などの制度があれば明確に共有するなどしてモチベーションを高めます


研修実施だけでなく、上記のような方法を組み合わせながら、社員育成を進めていくとよいでしょう。
また企業が経費を負担して研修やeラーニングを導入するのが予算的に難しい場合は、自己啓発支援や試験合格報奨金などの制度を設計し、従業員個人の学習を支援するといったことも効果的です。

まとめ:AI時代のITパスポートの役割と今後の展望

AI技術の進歩に伴い、ITパスポートの試験内容も常にアップデートされています。今後、ITパスポートは、生成AIを含めたAIに関する知識だけでなく、データサイエンスやDX推進などの最新論点に関する知識も問われるようになっています。こうした時代の変化や技術革新へのキャッチアップという面でも、国家資格として質が担保されているITパスポートは信頼に値する資格であり、研修活用に最適です。
企業においては、ITパスポートを単なる資格取得の手段ではなく、社員の成長を促し、企業全体のデジタル化を推進するための重要なツールとして捉えることで、社員のスキルアップを促し、企業全体のデジタル化をうまく加速させていくことができるでしょう。
ITパスポートの導入を通じて、社員のITリテラシーを向上させ、AI時代における競争力を強化していく第一歩を踏み出しましょう。

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2024.10.30

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