コラム

ユニバーサルデザインの意味
~事例やSDGsとの関係を含めて解説

私たちの身の回りに多く存在し、普段、何気なく接しているユニバーサルデザイン。そのユニバーサルデザインの意味は、正しく理解しておきたいものです。なぜなら、いま多くの企業で注目されているSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)に密接に関係しているからです。そこで今回は、ユニバーサルデザインの意味やSDGsとの関係、事例をご紹介します。


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ユニバーサルデザインとは?

ユニバーサルデザインとは、「ユニバーサル=普遍的」なデザインのことです。つまり、誰もが使いやすいように設計された、あらゆるすべての人のためのデザインを意味します。あらゆるすべてとは、年齢や性別、国籍や人種、障がいの有無などにかかわらずすべての人を指します。
ユニバーサルデザインは、私たちが生活する社会をより良くするための重要な考え方となり、すべての人が等しく、そして自由に生活できる環境を作り出すための、強力なツールといえ、建築、インテリア、製品設計、ウェブデザインなど、幅広い分野で応用されています。

また急速な技術進化の中で、ユニバーサルデザインの重要性はますます高まっています。ウェブサイトの設計においても、ユーザビリティやアクセシビリティを重視し、多様なユーザーのニーズに対応することが求められています。

ユニバーサルデザインは、社会全体が取り組むべき課題であり、それぞれの分野での専門家だけではなく、私たち一人ひとりが理解し、実践することで、より良い社会を作り上げていくことが可能です。

ユニバーサルデザインは、1980年代に、米国ノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス氏によって提唱されたといわれています。その際、「7つの原則」が提唱されました。日本でもこの原則が参考にされ、デザイン設計などが行われています。

ユニバーサルデザインの7つの原則とは

ユニバーサルデザインの7つの原則とは、あらゆる人が利用しやすい製品や環境を設計するための指針です。それぞれを詳しく説明します。

1.誰でも使えて手に入れることができる(公平性) 
特定のユーザーグループを特権付けることなく、すべての人が同等に利用できることが含まれます。

2.柔軟に使用できる(自由度) 
利用方法の選択や自己表現の自由、ユーザーのペースやスキルに合わせた利用が含まれます。

3.使い方が簡単にわかる(単純性) 
直感的な操作やシンプルな手順、効果的な情報伝達が含まれます。

4.使う人に必要な情報が簡単に伝わる(わかりやすさ) 
視覚、聴覚、触覚など、多様な感覚を通じた情報伝達が含まれます。

5.間違えても重大な結果にならない(安全性) 
エラー防止のためのガイダンスや、エラーからの回復を容易にするメカニズムが含まれます。

6.少ない力で効率的に、楽に使える(省体力) 
労力を必要とする操作の最小化や、ユーザーの体位や体力に配慮した設計が含まれます。

7.使うときに適当な広さがある(スペースの確保) 
ユーザーの体のサイズ、姿勢、可動域などに対応できるよう、利用者の身体的な制約や環境への適応性を考慮した設計が含まれます。

バリアフリーとの違い

ユニバーサルデザインは、バリアフリーと似ているため、よく混同されますが、バリアフリーとユニバーサルデザインは似て非なるものです。

バリアフリーは、高齢者や障がい者などの「一部の人」を対象とする考え方です。道具や設備に障壁があることによって、何らかの制限を受ける一部の人を対象に、その障壁を取り除くこと、もしくは取り除いたものを指します。
一方、ユニバーサルデザインは、はじめからすべての人に使いやすいようにという前提に立ってデザインすることであり、対象は「すべての人」という点で異なります。

バリアフリーは、障壁を取り除いただけで、すべての人々の多様な関係や平等性、見た目の自然さ、使いやすさには配慮されていないということが問題視され、それを補填するためにユニバーサルデザインが取り入れられるようになったといわれています。

ユニバーサルデザインの普及で期待できること

ユニバーサルデザインの普及は、SDGs達成に向けた重要なステップとなります。

SDGsとユニバーサルデザインの関連性は、 “誰一人取り残さない”という共通の理念にあります。ユニバーサルデザインの普及により、社会全体がより包括的で公平なものになり、SDGsの目標である「全ての人々が持続可能な開発の恩恵を受けられる社会」を実現する上で欠かせない要素です。

ユニバーサルデザインの普及は、製品やサービスの利用者を増やすだけでなく、社会参加の機会を全ての人々に提供することで、社会全体の生産性や創造性が向上し、経済的な利益も生まれます。また、ユニバーサルデザインは、多様なニーズを満たすためにイノベーションを促進し、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性もあります。

ユニバーサルデザインの普及は、SDGs達成への道のりを加速するだけでなく、社会全体が持続可能な未来を共有するための重要な手段となり、ユニバーサルデザインの普及から期待できる大きな可能性です。


ユニバーサルデザインのわかりやすい例

ユニバーサルデザインと一口に言っても、さまざまなものがあります。具体的にイメージするために、身の回りのユニバーサルデザインの例をご紹介します。

シャンプー容器に施されているギザギザ

セットで購入することの多いシャンプーとリンスやトリートメントなどは、たいてい同じようなサイズと形状の容器が使われています。そこで、シャンプーとリンスなどと区別するために、シャンプー容器のみ表面を加工し、触るとギザギザしているのがわかるようになっています。
並べて置かれたシャンプーとリンスを見たとき、どちらがシャンプーなのか、パッと見ただけではわからなくなることもあります。また、髪を洗っているときは、誰でも目をつぶります。そんなときに、容器を手で触れたときにギザギザを確認できれば、それがシャンプーだと分かります。目が不自由であってもそうでなくても、誰にとっても便利なデザインです。

多機能トイレ

多機能トイレは、体の不自由な方ばかりでなく、お年寄り、赤ちゃん連れ、ケガをしている人などにとっても利用しやすいトイレです。実際、どんな人が使ってもかまいません。内部が広く、手すりがついていたり、ベビーシートが設置されていたりします。

駅のエレベーター・エスカレーター・階段

駅では、ほとんどの場所にエレベーターとエスカレーターと階段すべてが設置されています。これらの設備を平等・公平に設置することで、利用する人の状況に応じて使うことができます。

センサー式蛇口

センサー式蛇口は、蛇口のハンドルやレバーをひねらなくても、手を差し出すだけでセンサーが反応し、水やお湯などが出てくるものです。握力の弱い人や手に障がいがある人も問題なく使えます。新型コロナウイルス感染症などの感染対策にもなります。


ユニバーサルデザインとSDGsとの関係

ユニバーサルデザインとSDGsとの関係

ユニバーサルデザインは、SDGsと密接に関係しています。どのように関係しているのでしょうか。

SDGsは、地球上の「誰一人取り残さない」という考え方をもとに、国連加盟国が17の目標を掲げ、2016年から2030年の15年間で達成することを掲げたものです。つまり、SDGsのコンセプトそのものが、ユニバーサルであるといえます。

そのためSDGsは、すべての人が利用しやすいデザインを目指すユニバーサルデザインと多くの共通点を持っています。

そして、SDGsの目標の中でも特に、次の3つの目標にユニバーサルデザインが密接に関係しているといわれています。

目標4「質の高い教育をみんなに」
人種、性別、立場、経済力などに関わらず、誰もが教育を受けられるような環境を整えることを掲げた目標です。すべての人が教育を受けられるように学習環境や教材などを設計することは、ユニバーサルデザインの一種といえます。

目標10「人や国の不平等をなくそう」
性別や年齢、国籍、人種、宗教、性的マイノリティ、障がいなどのあらゆる不平等がある中で、多様性を認め、すべての人が活躍できる社会を目指すことを掲げた目標です。達成のためには、まちや学校、公園、公共施設などにおいてユニバーサルデザインが施され、誰もが平等に生活を送ることができる環境を構築することは必要不可欠です。

目標11「住み続けられるまちづくりを」
誰一人取り残さない、持続可能なまちづくりを掲げた目標です。安価な交通機関を設置し、安全で災害に強い都市を作ること、緑地や公共スペースを提供することなどを達成するには、ユニバーサルデザインが欠かせません。


国内のユニバーサルデザインの事例

近年、日本国内においては、さまざまなユニバーサルデザインに関する取り組みが実施されています。その事例の一部をご紹介します。

商品パッケージのユニバーサルデザイン

TOPPANでは 1999年に「パッケージUDコンサルティング事業」を開始、2001年に「トッパンユニバーサルデザイン6原則」を制定し、各事業分野で多様性に配慮した製品・サービスを開発・提供してきました。
2010年には「トッパンユニバーサルデザイン宣言」を制定し、「6原則」も「7原則」と改訂するなど、時代に合わせてユニバーサルデザインのアップデートを進め、コミュニケーション、パッケージデザインの両領域で「対応指針」を定めています。
そのような取り組みの中で、「使用性と環境に配慮した食用油用紙容器」や「軽い力で絞り出しやすいパッケージ」など、多くの商品でユニバーサルデザインの考え方が取り入れられたパッケージが生まれています。

電化製品のユニバーサルデザイン

ある家電メーカーは、高齢化、少子化、多様性、働き方改革、グローバル化、災害等の非常時など、様々な社会課題に適応するユニバーサルデザインの電化製品を開発しています。
例えば、高齢化社会を支えるユニバーサルデザインとして、「白内障の見え方を再現するゴーグル」や、「ゴミを自動収集する機能があり、月1回程度、紙パックを交換するだけで済む掃除機」などを手掛けています。

住宅や生活環境におけるユニバーサルデザイン

建材・設備機器や住関連サービスを提供するある企業は、住宅・生活環境におけるユニバーサルデザインに取り組んでいます。例えばトイレはコンパクト化し、動作空間を広げる設計にしているほか、便器の前に立つと自動で便フタが開閉する設計なども行っています。

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ユニバーサルデザインの実現の際の注意点とは

ユニバーサルデザインとは、前述で説明した通り、全ての人が利用しやすい設計を目指す考え方です。しかし、実現には注意が必要です。
ユニバーサルデザインの注意点を詳しく解説します。

ユーザーの意見を反映させる

実際の使用者の声を聞くことで、見落としていたニーズを発見したり、新たなアイデアを得ることができます。
例えば、ユーザー参加型のデザインプロセスを導入することで、より質の高いユニバーサルデザインが生まれます。

時代や技術の進化に対応する柔軟性

新しい技術を取り入れることで、使いやすさを向上させることが可能です。しかし、新しい技術を導入する際は、その技術がすべての人にとって使いやすいものであるかを確認したうえで、判断することが求められます。

「改善」を続ける

ユニバーサルデザインには、完璧なデザインは存在せず、常に改善の余地があります。
デザインは一度完成したら終わりではなく、ユーザーのフィードバックを元に改善を続けることが大切です。

ユニバーサルデザインの今後の展望

今後のユニバーサルデザインの展望は、デジタル化と共に進化します。スマートホームやAI技術の発展により、より使いやすく、アクセスしやすいデザインが求められています。また、持続可能な社会を目指す上で、エコロジーとユニバーサルデザインの融合も重要な課題となります。

ユニバーサルデザインは、社会全体の利益を追求すると共に、個々のユーザー体験を向上させることを目指しています。そのため、今後もその重要性は増すばかりです。
ユニバーサルデザインの進化は、私たちの生活を豊かで快適なものにします。そして、それは、誰もが平等に生活できる社会を作り上げるための重要なステップです。ユニバーサルデザインの今後の展望を理解し、その重要性を認識することで、より良い社会を共に創造できます。


まとめ

ユニバーサルデザインは、SDGsへの取り組みが推進されるなか、改めて脚光を浴びていると考えられます。そのユニバーサルデザインは、SDGs目標も加味され、より工夫が緻密になっており、優れた製品や設備も増えています。ぜひSDGsを踏まえた新たな視点で、ユニバーサルデザインを設計してみてはいかがでしょうか。

TOPPANでは、SDGsや具体的な取り組みについての理解を深めるのに役立つ資料をご提供しております。ぜひご一読ください。

2024.02.01

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