コラム

マインドフルネス研修で企業の競争力を向上|マインドフルネス研修の導入メリット

マインドフルネスは、大手企業が研修として実施していることを背景に、日本でも個人はもちろん、企業研修としても取り入れられるようになりました。マインドフルネス研修は、企業の競争力を高める重要な取り組みであることもあって、これから導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
今回は、マインドフルネス研修の概要から、導入のメリット、研修事例をご紹介します。


マインドフルネス研修とは?

マインドフルネス研修とはどのような研修を指すのでしょうか。マインドフルネスの概要から確認していきましょう。

マインドフルネスとは

マインドフルネス(mindfulness)とは、現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程を指します。

マインドフルネスという言葉は、米国の大学医学部の教授が広めたとされています。禅の指導者に瞑想をはじめとした修行法とその教えを学んだ教授は、宗教と関係なく誰もが実践できるツールにしようと考え、マインドフルネスの概念と取り組み方を提唱しました。

マインドフルネスの状態に到達するための手段として、瞑想があります。マインドフルネス瞑想には、脳の活性化やストレス予防、仕事のパフォーマンス向上などの効果が認められています。

マインドフルネス研修とは

マインドフルネスはその効果から、企業が研修に取り入れるケースが多くあります。マインドフルネス研修は、一般的にマインドフルネスの理論や方法を学び、ワークショップ形式で実践も行う研修を指しています。

注目されている背景

なぜマインドフルネス研修が世界的に注目されているのでしょうか。

・世界中の企業が次々に導入している
米国のIT大手企業などがマインドフルネス研修を開講してから、世界的な有名企業がこぞって社内研修に取り入れるようになっています。業績を上げているグローバル企業が取り組んでいることから、自社にも取り入れて競争力をつけたいなどの理由から、導入するケースも多いようです。

・VUCAの時代
近年は、VUCAの時代といわれます。VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく状況が変わり、予測困難な状況を意味します。このような状況下では、自分自身で状況を見極め、適切な方向へ進んでいく精神力が問われています。マインドフルネス研修で精神面のコントロールができることは、予測不可能な時代に重要なスキルとなることでしょう。

・メンタルヘルスケア研修の潮流
近年、企業の間では職場のメンタルヘルスに関するサポートによって、離職率の低下や人材流出の防止を目指す潮流が生まれています。メンタルヘルスケア研修を実施することも一つの対応策であり、マインドフルネス研修はその一環としても注目されています。


マインドフルネス研修の一般的な内容

マインドフルネス研修は、一般的に次のような座学とワークショップの2つのプログラムで構成されています。

1.座学

座学では、マインドフルネスとは何かといった概念や実証された効果などの基礎知識を学びます。また実践に役立つ瞑想と呼吸法の技術を習得し、それによって得られる効果やメリットといった知識を養います。

2.ワークショップ

ワークショップでは、マインドフルネスの実践をします。

呼吸による瞑想を基本として、身体感覚を観察するために身体の部位に意識を向ける「ボディスキャン」や、相手の話に全力で意識を向け集中する「マインドフル・リスニング」、心に浮かんだことを紙に書き出す“書く瞑想”「ジャーナリング」といった手法を学び、実践します。これらの手法を身に着けることで、普段の生活の中で、マインドフルネスを自ら実践していくことができるようになります。


マインドフルネス研修の導入メリット

マインドフルネス研修は、企業にとって次のような導入メリットが期待できます。

従業員のモチベーション向上・パフォーマンス向上

マインドフルネスを実践する習慣を持つことで、定期的に「思考をしない」時間を率先して持つことができます。副交感神経が優位に働くことで、自律神経のバランスが整うといわれています。また、マインドフルネスは自分の内面を見つめる時間となり、心の整理ができるため、仕事へ集中しやすくなり、結果的にパフォーマンス向上にもつながるといわれています。従業員はモチベーションアップなどの自らのメンタルをコントロールできるようになるでしょう。やがて従業員満足度が向上し、自社へのエンゲージメント、つまり愛社精神の向上にもつながることが期待できます。その結果、企業の競争力が高まることも期待できるでしょう。

ストレス軽減・集中力アップなどメンタルヘルス向上

ストレスや集中力の低下は業務の生産性を下げる結果につながってしまいます。マインドフルネスはメンタルヘルスにも貢献するといわれていることから、ストレス軽減や集中力アップの効果を通じて従業員のメンタルヘルスケアにもつながります。

ストレス軽減・集中力アップなどメンタルヘルス向上

共感力の向上

マインドフルネスを継続することで、共感力が高まるといわれています。共感力はビジネスや業務遂行においても重要なスキルの一つです。良好な人間関係を構築できるようになることで、円滑なコミュニケーションが促進され、取引先や顧客との信頼関係の構築を促します。

創造力・イノベーションの促進

マインドフルネスを実践することで、頭の中がクリアになり、創造力を発揮しやすくなるといわれています。そうしたニュートラルな状態をつくることができれば、新たな発見や発想が生み出されやすくなり、イノベーションの促進にも寄与できるでしょう。


マインドフルネス研修の事例3選

マインドフルネス研修の事例を3つご紹介します。

インターネット関連サービス企業

あるインターネット関連サービス企業は、企業内大学において、希望者に対してマインドフルネス研修を実施しました。オリジナルのプログラムを設計し、週1回、60分を7週間に渡って行うスケジュールにて行いました。

効果測定を行ったところ、業務のパフォーマンスに違いが表れました。欠勤にまでは至らないものの、心身の健康上の問題によってパフォーマンスが低下している状態の「プレゼンティーズム」の項目では、研修を受けたことのない人に比べて約20%業務パフォーマンスが高い結果となりました。

※企業内大学:企業が社内に設置している研修制度の一種であり、大学のように複数の講座を社員に受講させる形態を取るものを指す。

ITツール開発企業

あるITツール開発企業は、マインドフルネス研修を全部門のリーダー以上の従業員を対象に実施し、数ヶ月後には全社員を対象に実施しました。従業員一人ひとりがマインドフルネスな状態になるプロセスを知ることで、会社全体のパフォーマンスが向上することを期待して実施しました。中長期的な効果を得るために、従業員に対して継続的な実践を促しています。

金融系の企業

ある金融系の企業は、40名の従業員に対して政界の要人も通う都内有数の禅寺「全生庵」にて坐禅とマインドフルネス体験ができる研修を実施しました。この研修を通じて、自己の内省と、他者の理解、傾聴のスキルを身に着けることを目的としています。

プログラムは住職による講話、禅についての解説(禅の修行映像視聴)、坐禅レクチャーの後、実際に坐禅体験を20分2回、行いました。その後、住職との対話や質問、グループワークとして外部講師の下、他者理解や傾聴トレーニングを行いました。


TOPPANの従業員のコンディションを整える研修の取り組み

マインドフルネス研修に関連して、従業員のコンディションを整える研修の事例をご紹介します。TOPPANグループでは、人財開発施策を推進しており、コンディション管理や生産性向上施策に取り組んでいます。
ハーバード大学医学部客員教授の根来秀行氏の専門性の高いアドバイスをもとに、ベストなコンディションを保つ睡眠方法や呼吸法、日々のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方、ウォーキングアプリを活用した健康管理などを実施しています。

新入社員研修では、ウェアラブルデバイスを導入し、新入社員が睡眠状況や運動を客観的に把握することを促すことで、日々のコンディション管理を習慣化させ、一人ひとりの健康と生産性向上につなげる取り組みを行っています。


まとめ

マインドフルネス研修は、企業にとって多くのメリットが見込めるのに加えて、従業員自身のメンタルヘルスやモチベーション向上にもつながることから、企業と従業員がともにメリットのある研修方法です。

マインドフルネスの実践だけでなく、ウェルビーイングやメンタルヘルス、リベラルアーツなどのテーマにも近しいことから、今後はさらに総合的な研修が推進されていくことも考えられます。

TOPPANでは「リベラルアーツ研修」や「ブンカ・ラーン」といった日本文化や幅広い教養を学べる研修をご提供しています。詳細は、ぜひ関連のサービスページをご覧ください。

2024.04.12