コラム

デジタルアーカイブの作り方!
作成時の注意点も解説

  • TOPPAN CREATIVE編集部

高解像度のスキャニングをはじめとしたデジタル技術の発展と、大容量の情報処理を可能にしたICT技術の進展により、高品質のデジタルアーカイブが注目を集めています。
デジタルアーカイブを活用することで、技術やノウハウ、文化を後世に伝える知的財産を保管するだけでなく、多様なデータ加工・編集技術を活用し、新たなビジネス展開にも期待が高まります。
本コラムでは、デジタルアーカイブを進める際の具体的な手順と、作成時の注意点を紹介します。



デジタルアーカイブの作成手順

まず、デジタルアーカイブをどのように作成すれば良いのか、手順をみていきましょう。

調査・設計

まずはじめに、デジタルアーカイブ作成の目的と、運用の方針を明確にしておきましょう。
デジタルアーカイブは、知識やノウハウを次世代に継承したり、新たな知識を創発させたりと、さまざまな目的に活用することができます。
目的・方針が決まったら、それに沿って組織内の資料をあたり、どのような情報をアーカイブすべきかを調査します。文書だけでなく、写真、動画、音声、美術作品、設備、商品など幅広く収集しましょう。

デジタル化

次に、実際に資料を収集し、デジタル化していきます。経年劣化などで色調や音声が悪くなっているものや、破損しているものは、可能な限り修復・復元を行います。利用目的に合った精度・品質でデータ化しましょう。セキュリティや著作権、個人情報といったデータ管理も重要です。
収集したコンテンツに関する付帯情報(メタデータ)も整理します。メタデータの具体例としては、タイトル、作者、日付といった一次情報や、カテゴリー、コンテンツの概要などがあります。検索時に効果が高くなるメタデータとなるよう、あらかじめルールを設定しておくとよいでしょう。

DB構築・管理

デジタル化したコンテンツのデータと、目録となるメタデータを整理し、情報の分類項目を設計してデータベースを構築します。
デジタルアーカイブを運用する目的やデータの容量、稼働の安定性やセキュリティの堅牢性などを踏まえ、システム基盤を独自サーバにするのか、クラウドにするのかを決め、各種機能を確定させていきましょう。
システム構築や運用を専門の事業者に外注する場合は、どの範囲までを委託するのかを明確にします。


データの活用

デジタルアーカイブの公開範囲を決め、ユーザー層に応じた利用制限など、運用のルールを整理し、システム環境を整えます。
また、アーカイブしたデータを活用して利用者が新たなデータを作成したり、印刷してコンテンツを再現したりといった利用方法の拡充を図り、保存された資料が生きたデータとして活用できるよう、運営の仕組みを整えます。

現物保管

デジタル化が終わった原資料は、元の状態に戻すことが基本ですが、紙資料など経年劣化が心配されるものは、アーカイブ時の整理を機会に専用の箱に入れたり、調湿調光のできる部屋に移動させたりするなど、原資料がより長持ちする環境に移すとよいでしょう。

「高精細デジタルアーカイブサービス」

デジタルアーカイブ作成時の注意点

ここからは、デジタルアーカイブを作成する際に、特に注意したいポイントをみていきましょう。

著作権・肖像権に注意

いつでも・誰でも・どこからでもアクセスし、情報を活用できるのがデジタルアーカイブの利点ですが、一方で、不適切な利用を行うユーザーが現れることも考えられます。目的に応じ正しく活用されるよう、運用ルールを厳密な仕組みにしておきましょう。
特に、著作権などの財産に関わる情報や、肖像権や個人情報保護などプライバシー関連の情報の取り扱いには注意が必要です。
デジタルアーカイブ学会では、行動指針などを整理した「デジタルアーカイブ憲章」を公開し、定期的に見直しを図っています。また、肖像権のガイドラインも公開しています。



検索しやすさを意識して作成する

デジタルアーカイブを生きた情報として活用するには、検索性を高めたメタデータの整理が重要です。メタデータは、コンテンツを端的に示す情報で、多様な要素があると検索のキーワードにかかりやすくなります。
コンテンツの表題、作者、所有者、データが生成されたタイムスタンプなどの基礎情報のほか、ジャンルなどのカテゴリーやキーワード、社会的文化的な要素など、検索時の切り口となりそうな情報を整理し、コンテンツデータと併せてデータベースに組み入れましょう。

「高精細デジタルアーカイブサービス」


デジタルアーカイブの作り方まとめ

デジタルアーカイブの利活用を促進するには、より高品質で扱いやすい公開情報となるようにしていく必要があります。
コンテンツをデータ化する際に高精細なデータ化を行い、活用しやすいメタデータを整理する、安全なシステムで安定した稼働を行う、原資料の保管の堅牢性を高める、データを紙などへ出力する際には再現度の高い高品質の印刷技術を用いるなど、品質管理には特に注意したいところです。
TOPPANでは、調査・設計からデータベースの構築、データ活用から現物保管まで、デジタルアーカイブの設定・運用に関連する一連のプロセスを、高品質のスキャナ・長年培った印刷技術でサポートします。お気軽にお問い合わせください。

2024.05.23

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE
      関連サービス SERVICE