販促ツールとは?種類と活用のポイント・最新の事例も紹介
- TOPPAN CREATIVE編集部
販促ツールは、消費者のニーズを刺激し、販売促進を図る上で欠かせないアイテムです。
ここでは、販促ツールを活用するポイントや種類について解説していきます。
販促ツールとは
販促ツールというと特別な営業ツールのように感じるかもしれませんが、実は誰もが日常の中で目にしているものです。
企業活動や商品の魅力を社会に伝えるための手段はみな「販売促進」のためのツールです。
販促の意図とツールとの関係
まず、販促の概要をおさらいし、販促ツールとどう結びつくのかを整理しておきましょう。
販促とは、商品・サービスの購入を消費者に促すための、一連の手立てのことをいいます。
販促のパターンには、次のようなものがあります。
| 認知の拡大:意義や魅力をアピールし、新しいニーズを掘り起こす
| 消費者の拡大:新しい顧客層へ商品・サービスの魅力を伝える
| 購買の拡大:新商品・新サービスを既存の顧客に訴求する
| リピーターの拡大:商品・サービス・企業へのエンゲージメントを高める
販促ツールは、これら販促の一連の流れを後押しする具体的な手段として制作します。
販促ツールに期待される効果
販促ツールは手段ですから、その活用によって期待される効果があります。ここからは、販促ツールで具体的にどのような効果を狙うのか見ていきましょう。
<商品への注意や関心、注目を促す>
販促における第一歩は、商品やサービスの存在を消費者に知ってもらうことです。情報があふれかえっている現代において、目にとめてもらうためには目立つ形での情報発信が必須。その上で商品に対する印象は好意的なものでなければ、購買行動にはつながりにくいでしょう。
過去に「アサヒスーパードライ」などの、様々なヒット商品のパッケージデザインを担当したコピーライター伊吹卓氏は、自著「パッケージ戦略110カ条」の中で、ヒット商品を生み出す「メリコの法則」を提唱。目立ち、知ってもらった上で好意を抱いてもらうことの重要さを説いています。
| メ:目立つか
| リ:理解できるか
| コ:好感がもてるか
<共感を呼ぶ商品の魅力を伝える>
消費者が商品・サービスに気づき、良さを理解した後、「購入したい」という動機づけにつながる大きな要因が共感と期待です。
共感は、五感に何らかの刺激を受けたとき、過去の体験の想起や追体験による想像などにより感情が揺さぶられ、行動変容を起こす情動です。自分ごととして受け止められているため、対象への関わり方が強くなり、期待値も上がります。共感を呼ぶ要素には次のようなものが挙げられます。
| 商品・サービスを利用することで得られる消費者にとってのベネフィット
| 実際に使っている状態、使用感
| 利用によって得られる新しい価値観
<購入のメリットを想像させる>
共感し、期待した消費者を購入へと導くのは、実際にお金を支払ったことで得られる価値の理解です。購買の行動には、見えない価値も含め損得の勘定が働きます。このため、「購入するとこれが得だ」というひと押しがあると、購入の動機づけが強化されるのです。メリットとしては次のようなものが考えられます。
| 今でなければ得られないメリット(期間限定、数量限定など)
| 単価が割安になるメリット(複数購入での割引など)
| 付加価値がつくメリット(関連商品・サービスのおまけつきなど)
<既存顧客の満足度を高め、リピートにつなげる>
購入後の満足感が顧客単価を向上させます。一度購入・利用した顧客は、すでに関心を持っている確度の高い消費者といえます。興味を拡大させることでさらなる購買につなげるアフターフォローは効率のよい販促です。次のようなアプローチで既存顧客のつなぎとめを図りましょう。
| 定期的に優良な情報提供を行い、信頼度を高める
| ポイント制度で顧客情報を可視化し、顧客ロイヤリティを高める
| 会員制度を設け、ホスピタリティを高める
<企業のストーリーを伝える>
近年は、商品・サービスを提供する企業の姿勢にも注目が集まっています。企業が掲げるビジョン・ミッションに対する賛同や、社会問題に取り組む姿勢への共感度から、利用する商品・サービスを選ぶ動きが活発になっています。
企業としての思いをストーリーに載せて伝え、その具現化のひとつの形が商品・サービスなのだと訴求しましょう。既存の顧客層のエンゲージメントが高まるだけでなく、従来とは異なる消費者層の共感をも喚起し、新しい販売の開拓にもつながります。
販促ツールの種類
販促ツールは「プッシュ型」と「プル型」の2種類に大別することができます。それぞれの特徴を見てみましょう。
プッシュ型
プッシュ型の販促ツールは、企業側から消費者に対して積極的に情報を届ける手段です。
顧客が自分からアクセスするものではないため、いかに気づかせ、興味をもたせ、情報を読み取る気にさせるかが重要になります。
<メルマガ・DM>
メルマガ・DMは、既存顧客のほか、会員登録やキャンペーンへの応募で連絡先を得た個人に対し、直接情報を伝える方法です。優良なお役立ち情報で信頼度を上げるほか、新商品やキャンペーン、セール情報で購入メリットを訴求します。
頻度は媒体によって様々ですが、定期的に送付することで単純接触効果を狙います。返信できるようにすると双方向のコミュニケーションも図ることができます。
メルマガ(メールマガジン)は、メールアカウントへ送付する情報で、通常はテキスト情報で訴求します。画像や動画を組み合わせたリッチ形式のメルマガもありますが、あまり容量が大きいと敬遠されます。
はがきなどの郵送によるDM(ダイレクトメール)は、広告物の作成と送料がかかるため、メルマガほどは頻繁に発行できません。こちらは主に商品・サービスの新規案内や再来店を促すアピールに用います。手にとって内容をじっくりと確認できるため、一定の年齢層の消費者には効果が高いといえます。
<チラシ>
チラシは、商品・サービスの案内を1枚の紙面にデザインし、配布する販促ツールです。紙媒体が主体となるため、手に取りやすく、内容がひとめでわかります。クーポンやアンケートとセットにすると、コミュニケーションツールとしても利用できます。
店頭や街頭での手渡しのほか、駅や主要な施設への配架、各戸へのポスティング、新聞への折込み、定期購入物への同梱、ティッシュへの挿入など、配布方法が豊富な点も利点です。
近年は、スマートフォンのアプリやインターネットで確認できる電子チラシも普及。こちらは印刷費用や管理コスト、折込・配布費用などがかからない上、これまでの配布エリアを超えて広く訴求できるため、ユーザー拡大にもつながる方法として注目されています。
<ノベルティ>
ノベルティは、キャンペーンやイベント、展示会などに参加した人へ配布する物品を指します。企業名や商品・サービスを想起させるため、名前やアクセス先などが常に目に入るよう、記名入の日用品や小物を制作し、配布します。
代表的な例では、ボールペンなどの文具、メモや付箋、カレンダーなど、印刷しやすいものがあります。日用品では、ウェットティッシュなどの衛生用品、小物入れなど複数所持しても便利に使えるもの、SDGsを意識したマイバッグやマイボトル、充電器なども人気があります。
品物のオリジナル性やデザインがイメージと直結しやすいため、配布対象と訴求効果をよく検討して企画しましょう。制作費用や納期、在庫管理コストもかかりますから、発注の数量とタイミングにも注意が必要です。
プル型
プル型の販促ツールは、消費者側から自発的に情報へアクセスすることを狙い、きっかけをつくる手段です。
いわゆる「待ちのツール」ですから、関心をもって情報を探している消費者に対する信頼を高め、興味をひく新しい情報を提示して購入へ導く導線が重要になります。
<Webサイト・ブログ>
インターネットが普及した現代において、企業公式のWebサイトやブログは、販促の主力となるツールです。ユーザーは自ら関心のあるキーワードを入れて検索し、有益な情報を求めてサイトに来ています。その期待に応える形で、的確な情報を提供するユーザビリティと、滞在時間を増やして満足度を高めてもらうホスピタリティが重要です。Webサイトやブログに載せると良い情報は以下のようなものです。
| 商品・サービスの詳細な説明、使い方
| 使用感やメリット・ベネフィット(ユーザー体験)
| 不安感や疑問点を払拭する根拠ある情報(Q&Aなど)
| 関連分野の最新情報
| 双方向のコミュニケーションの場(フォーラム、問い合わせ、チャットなど)
公式ブログは、高い更新頻度で情報提供を行う場となるため、新着情報やお役立ちコラム、商品・サービスの裏話など、親近感や信頼性を高め、活動力をアピールすることで、ユーザーの満足度が上がります。
<カタログ>
商品・サービスの仕様やバリエーション、導入例などを並べ、一覧にしたカタログは、事業の全貌を俯瞰し、その価値が明示的に伝わる販促ツールといえます。
配布対象者や配布方法、目的ごとにシリーズ化したり、総合とジャンル別に分けたりするなどの工夫を施すと、より効果的に活用できます。
<店頭POP・のぼり>
店頭のPOPやのぼりは、通りすがりの人の興味をひくための販促ツールです。多くの場合、ちらっと目にするだけで視認時間が短いため、注目を集めるインパクトや、ひとめで訴求内容が理解できるデザインが必要です。
| スイングPOP:ゆらゆら揺れる動作でアイキャッチにも適している
| 現物POP:試供品に解説をつけて魅力をアピールする
| フロアPOP:床に貼り付けて視線を誘導する
| ジャンブルBOX:商品を盛り上げてディスプレイし楽しさを演出する
| タペストリー:面積の大きいものが多く、遠目からでもわかりやすい
POPやのぼりは、形状・大きさ・デザインを自由に設定できる上に、製作コストも安く抑えられるので、シーズンごとに適切なものを配置しやすいメリットがあります。
アイディアが光る最新の販促ツールを紹介
最近の販促では、アナログツールとデジタルツールを融合させた魅せ方でアピールする方法も増えてきています。その中から2つの事例を紹介しましょう。
<訪日外国人向け販促ツール>
外国人向けの販促ツールには、異文化への理解が不可欠です。言葉だけではなく、その背景にある価値観や伝わり方にも大きな違いがあるからです。
近年は来日前の外国人客を対象に、WEBサイト上でコミュニケーションを取ることで、来日後の販促活動を強化するデジタルプロモーションに注目が集まっています。
Webサイトを利用した販促では、以下のようなコンテンツの組み合わせで、商品・サービスの告知や事業アピールを行います。
| キャンペーンやイベントの企画
| チャットボットなどでの自動応答
| サイト内のアクションに応じたタイミングでの情報発信
| CV計測、クリック計測など複数の計測結果をクロス分析し、行動の可視化
| ユーザー・購買客情報に基づくセグメント配信
<タッチパネル型デジタルサイネージを使った販促ツール>
これまでのデジタルサイネージは、電子チラシや電子ポスターのような「見るだけ」の販促ツールでしたが、タッチパネルの技術を搭載したことにより、ユーザーが能動的に検索して「必要なものを探す」ための情報提供を行う販促ツールとなりました。
高機能のデジタルサイネージでは、WebサイトのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)や、ユーザーの持つスマートフォンとも連動。バーチャルとリアル会場の融合や、多言語・24時間対応のコンシェルジュのような働きにも注目が集まっています。
販促ツールを効果的に活用するポイント
これまで紹介した販促ツールを効果的に活用するには、目的をしっかり定めて最適な販促手段を選ぶこと、そして結果を次につなげる検証をセットで行うことが重要です。
実際に販促ツールを使って販促活動する際に気をつけたいポイントを概説していきます。
販促のターゲットとゴールを明確にする
販促は企業として打ち出すマーケティングの手段ですから、必ず販促ツールを用いる意図や目的を定める必要があります。また、誰に届けるのかで最適なツールが変わるため、ターゲットの明確化も重要です。
次のような販促方針をしっかりと定めておくと、途中で仕様変更が必要になったときもぶれずに進めていくことができます。
| 販促の目的
| 目標期間、目標水準
| ターゲット(対象者)
| ターゲットのペルソナ
具体的な検討は5W1Hで
大きな方針が決まったら、具体的な販促の企画を進めます。企画を組み立てる際には、次のような視点を意識すると良いでしょう。
| What:何のツールをつくるか
| When:いつそのツールを使うか
| Where:どこでそのツールを使うか
| Who/Whom:誰が/誰に働きかけるか
| Why:(その働きかけは)何のために行うか
| How:どんな方法でツールを使うか
また、アイディアが迷走したときは、目的に立ち戻って方向修正しましょう。
スケジュールと予算で最適化を
ある程度アイディアが固まったら、それが実行可能なものかを検証していきましょう。販促の実行日から逆算してスケジュールを組み、工数を算出。納期や企画内容、予算によって自社内で行うのか外注するのかが変わります。
アイディアと実現可能性が相反する場合は、もういちど最初の目的に立ち戻り、優先度を確認しながら最適な対策を立てていきましょう。
記録と結果の検証が次の販促につながる
販促ツールを使って販促活動を行うときは、企画・制作の工程もすべて含めて記録をとり、実際の販促活動の結果がどのくらいの効果があったのかを検証しましょう。いくら力を入れて販促活動を行っても、売上に結びつなければ効果があったとはいえません。
販促ツールを制作し、活動を実施した際の物理的・人的コストと、目的・目標としていた成果とを明らかにし、今後に生かしていきたいところと改善していきたいところを整理して、次の販促に役立てましょう。
販促資材の管理は「販速部長」におまかせ!
販促ツールは、消費者に対して具体的なアピールを行う上での強力な武器になります。一方で、取れる選択肢が多岐にわたるため、「ぶれない戦略」と「効果検証」を軸に、しっかりとマネジメントを行う体制がなければ、単に「やりっぱなし」の状態になってしまいます。
TOPPANが提供する「販速部長」は、販促ツールの効果的な活用をサポートするマネジメントシステム。
テンプレート型可変編集を採用しているため、色味や書体など、全体のブランドイメージを統一させつつ、ターゲットに応じて個別にデザインすることができます。
また、発注業務や在庫管理もシステム内で統合管理できるため、販促の機会ロスも軽減します。さらに、データを販促の効果検証に活用し、販促活動の効率化を図ることができます。
販促ツールを効果的に活用するためのしくみやノウハウが詰まった「販速部長」を、ぜひお試しください。
2022.03.09