パフォーマンスマーケティングサービス コラム

【完全ガイド】フルフィルメントとは?
サービス提供内容やメリットまで解説

ECや通販事業における「フルフィルメント」とは、商品が注文されてからお客さまの手元に届くまでの一連の業務を指します。この物流業務の効率化は売上や顧客満足度に大きな影響を与える重要な要素ですが、フルフィルメントサービスでは、受注から配送、カスタマーサポートまで幅広い業務を支援し、業務の効率化や生産性の向上を実現しています。
本コラムでは、フルフィルメントの基本からそのサービス内容、メリット、デメリット、導入時の注意点までを詳しく解説します。


<目次>

1. フルフィルメントとは
2. フルフィルメントサービスの提供内容の例
3. フルフィルメントサービスのメリット
4. フルフィルメントサービスのデメリット
5. フルフィルメントサービスを導入する際の注意点
6. まとめ


フルフィルメントとは

はじめに、フルフィルメントとは何か概要を解説していきます。

フルフィルメントとは

英単語の「Fulfillment」は、「履行」や「遂行」、「実現」、「達成」といった意味を持ちます。この言葉が示す通り、フルフィルメントは、顧客の期待に応え、ビジネスの目標を達成するためのプロセス全体を包括しています。
ECや通販事業における「フルフィルメント」とは、商品が注文されてからお客さまの手元に届くまでの一連の業務を指します。そして、注文受付、入荷、保管、在庫管理、検品、梱包、出荷管理といった物流業務が中心でした。しかし、近年では決済処理や購入者からの問い合わせ対応、返品交換対応など、バックヤード業務も含むようになっています。このように、フルフィルメントは単なる物流の枠を超え、ビジネス全体の効率化と顧客満足度の向上を図るための重要な要素となっています。

フルフィルメントサービスとは

フルフィルメントサービスとは、前述のような一連の業務を代行するサービスのことです。業務範囲には明確な定義がないため、外部業者に委託する際は、対応可能な範囲を事前に確認することが重要です。サービスの内容は業者によって異なり、物流業務だけでなく、カスタマーサポートや決済処理の代行までを含むことがあります。

従来、フルフィルメントサービスは主に物流会社によって提供されていました。しかし、近年ではAmazonの「フルフィルメント by Amazon」をはじめとするEC事業の大手企業が、自社のノウハウを活かしてパートナー企業向けにサービスを展開するケースが増えています。小規模なEC事業者でも、大手と同等の物流インフラを活用できるようになり、競争力を高める手段になっています。


フルフィルメントサービスの提供内容の例

続いて、フルフィルメントサービスの提供内容を例として解説していきます。

注文受付

注文受付はフルフィルメントの最初のステップです。顧客からの注文を正確に受け取り、処理することが求められます。このプロセスでは、電話やメール、オンラインショッピングカートなど、さまざまなチャネルを通じて注文を受け付け、注文内容の確認とともにデータを正確にシステムに反映し、次のプロセスへとつなげる役割を担います。特に、セールやキャンペーン期間中の注文増加に対応するためには、効率的なシステムが不可欠です。

受注/決済処理

受注および決済処理が行われます。受注処理では、顧客からの注文内容を確認し、出荷指示を行います。決済処理は、クレジットカードや銀行振込、電子マネーなど、顧客が選択した支払い方法に基づいて行われます。最近では、決済手段の多様化に伴い、決済代行会社との連携が欠かせません。

カスタマー対応

カスタマー対応もまた、フルフィルメントサービスの重要な要素です。購入者からの問い合わせや注文の変更、キャンセル対応など、顧客とのコミュニケーションを円滑に行うことが求められます。これには、インバウンド対応(問い合わせ・注文受付)やアウトバウンド対応(フォローコール・販促活動)などが含まれ、電話対応やメール、チャットボットでのサポートを通じて、顧客とのコミュニケーションを円滑に行います。

入荷/保管/在庫管理

商品が倉庫に到着したら、入荷処理が行われます。商品の品質と数量を確認し、問題がないことを点検した上で、適切な場所に保管します。在庫管理システム(WMS)を活用することで、リアルタイムで在庫状況を把握し、適切な在庫レベルを維持することが可能になり、欠品や過剰在庫を防ぎ、効率的な在庫管理を実現します。

検品/梱包/出荷管理

商品の出荷前には、検品が行われます。商品に欠陥がないか、注文内容と一致しているかを確認することで、顧客への誤配送を防ぎます。検品後は、商品の特性に応じた梱包を行い、配送中の破損を防ぎます。出荷管理では、配送業者との連携を図り、商品の迅速な配送を実現します。

返品交換対応

返品や交換は、EC事業において避けて通れないプロセスです。商品に問題があった場合や、顧客が返品を希望する場合には、迅速に対応することが求められます。返品された商品の状態を確認し、再販可能であれば在庫に戻し、再販不可能であれば適切に処分します。

返金対応

返金が必要な場合には、迅速かつ正確な処理が求められます。顧客に対して返金手続きの進捗を報告し、信頼を維持することが重要です。返金業務は、顧客との信頼関係を築くための重要なプロセスであり、ミスを防ぐためのシステムとプロセスの整備が不可欠です。


フルフィルメントサービスのメリット

続いて、フルフィルメントサービスのメリットについて解説していきます。

EC通販のコア業務に集中

まず、企業は商品開発やマーケティング施策といったコア業務に集中することが可能になります。通常、EC事業では販売や受注、出荷といった多岐にわたる業務が発生しますが、フルフィルメントサービスを利用することで、これらの業務を外部に委託し、リソースをより戦略的な領域に振り向けることができます。その結果、商品の競争力や顧客へのアプローチを強化できるといった効果が期待できます。

販売・受注・出荷のリードタイムを短縮

販売から受注、出荷までのリードタイムを短縮できる点も魅力です。顧客からの注文が入ると、迅速に商品を出荷することが求められますが、これを効率的に行うためには、在庫管理や物流の最適化が不可欠です。フルフィルメントサービスを活用することで、大手会社と同様の物流インフラが活用でき、これらのプロセスをスムーズに行うことが期待できます。

業務プロセスの改善に繋がる可能性も

フルフィルメントサービスは業務プロセスの改善にも繋がる可能性があります。例えば、TOPPANのように、フルフィルメント業務をビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)から運用支援まで幅広くサポートする企業もあり、このようなサービスを利用することで、業務の効率化やコスト削減が図れるだけでなく、業務の透明性や柔軟性が向上します。


フルフィルメントサービスのデメリット

続いて、フルフィルメントサービスのデメリットについても解説します。

ノウハウが社内に蓄積されづらい

まず一つ目のデメリットは、ノウハウが社内に蓄積されづらいという点です。フルフィルメントサービスを利用することで、企業は物流や在庫管理といった業務を外部に委託しますが、その結果、これらの業務に関する知識やノウハウが社内に蓄積されにくくなります。

顧客の声がくみ取りにくい

顧客の声がくみ取りにくいという点も挙げられます。フルフィルメントサービスを利用する場合、顧客対応の一部が外部に任されることが多くなります。これにより、顧客からのフィードバックや要望を直接受け取る機会が減少し、商品やサービスの改善に向けた貴重な情報を逃す可能性があります。顧客との距離が遠くなることで、顧客満足度の低下を招くリスクも考慮する必要があります。

商品や顧客対応の品質は実際に確かめることができない

商品や顧客対応の品質を実際に確かめることができない点もデメリットです。外部に業務を委託することで、商品の梱包や配送、顧客対応の品質を自社で直接管理することが難しくなります。外部業者の品質管理に依存することになり、万が一問題が発生した場合には、迅速に対応することが難しくなることも考えられます。そのため、信頼できる外部業者を委託先として選定することが求められます。


フルフィルメントサービスを導入する際の注意点

最後に、フルフィルメントサービスを導入する際の注意点をご紹介します。

業務の対応範囲

フルフィルメントサービスを選ぶ際には、まず業務の対応範囲を明確にすることが重要です。サービス提供者によって対応できる業務範囲は異なります。注文受付や在庫管理、出荷業務のみならず、カスタマーサポートや決済処理までを含むことがあります。自社のニーズに合ったサービスを選定するためには、事前にどの業務を委託するのかを明確にし、対応可能な範囲を確認することが必要です。

検品の基準や自社が求める応対品質の確認

フルフィルメントサービスを利用する際は、検品の基準や応対品質についても確認が必要です。商品や顧客対応の品質を直接確認することが難しいため、信頼できるパートナーを選定することが重要です。
自社が求める品質基準をサービス提供者にしっかりと伝え、これに応じた対応が可能かどうかを確認しましょう。

対応の柔軟性

顧客のファン化を目指すためには、フルフィルメントサービスの柔軟性も重要な要素です。ブランドを大切にした梱包の個別対応やギフトの追加など、顧客のカスタマイズ要望に応えられるかどうかを確認しましょう。特に、顧客体験を重視する企業にとって、これらの柔軟な対応は競争力を高めるポイントとなります。

サポート体制

フルフィルメントサービスを選定する際には、サポート体制も重要な要素です。フロント業務だけでなく、バックヤード業務もサポートしてくれることが望ましいです。例えば、TOPPANのように、課題に応じて業務全体を一括で委託することも、必要に応じて部分的に委託することも可能な会社を選ぶことで、業務の効率化を図るだけでなく、業務の透明性や柔軟性を向上させることが期待できます。


まとめ

フルフィルメントサービスの活用は、EC事業の業務や生産性の効率化を実現するための有効な手段です。本記事で紹介した注意点を踏まえ、自社に合ったフルフィルメントサービスを選択しましょう。

TOPPANが提供するフルフィルメントサービスは、「フルフィルメントのノウハウが自社にない」「自社に合ったシステムがどれか判断できない」「どうやって売上を拡大していけばいいのか」など、EC事業のフェーズに応じた課題の解決に向けて伴走支援します。
顧客応対強化に加え、EC事業戦略立案やEC基盤リプレイスなど、マーケティングからカスタマーケアまで一気通貫でサポートします。また、全体最適の視点からカスタマイズされたソリューションの提案も可能です。ECサイトの基盤を強化したい方や、パフォーマンスを向上したい方は、ぜひ一度お問い合わせください。

2025.02.28