データテクノロジー&プラットフォームサービス コラム

CDPとDMPの違いとは?
仕組みからわかりやすく徹底解説!!

今回は、現状の顧客データ管理に業務課題を感じている、顧客データ管理ツール導入を検討している企業のご担当者向けに、CDPとDMPの違いとそれぞれの仕組み・活用方法について比較し、詳しく・わかりやすく解説します。

マーケティング施策を実行する際に欠かせない顧客データ。その顧客データを収集・統合・一元管理する際に用いる「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」と「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」は、いずれも顧客管理データのプラットフォーム(基盤)という点は共通しますが、管理するデータの内容や、活用方法が異なります。

この「CDP」と「DMP」の“違い”を比較し、正しく認識・活用することが、マーケティング施策を成功に導くカギとなります。


<目次>

■ 顧客データ管理が注目されている理由
1|消費者の購買行動の劇的な変化
2|「One to Oneマーケティング」ニーズの高まり
■ DMPとCDPの違い
■ DMPとは?
■ 1st / 2nd / 3rd party データ、3つの種類の違いとは?
■ DMPの2つの種類「オープンパブリックDMP」と「プライベートDMP」の役割
1|パブリックDMP(オープンDMP)とは
2|プライベートDMPとは
■ CDPとは?
■ CDPの3つの機能
1|データの収集
2|データの統合
3|収集・統合したデータの分析
■ まとめ


顧客データ管理が注目されている理由

調査によれば、CDP市場の2019年度売上金額は70億円、前年度比27.3%増と大幅な伸びを示しており、2020年度も同20.0%増と予想されます。市場認知度も向上し、幅広い業種での導入が進んでいます。


こうした市場急伸の背景には、以下のような環境変化があります。

1|消費者の購買行動の劇的な変化

生活におけるデジタル・オンライン化はコロナ禍でさらに加速。消費者の購買行動も大きく変化しました。買い物がリアル店舗からオンラインショップへ移行、キャッシュレス決裁の利用も増加しました。VoDやデリバリーサービスなど、サブスクリプションサービスも広く浸透しました。こうした購買行動の高度・複雑化により、従来のチャネルごとのマーケティング施策では立ち行かなくなりつつあります。

2|「One to Oneマーケティング」ニーズの高まり

ネット・デジタル社会が到来し、個人を起点とした情報収集と発信により、多くのトレンドが作り出されるようになりました。その結果、多様化、複雑化する消費者の価値観やニーズに的確に応えるためには、従来型の大まかなターゲティングで実行される商品中心のマーケティングから「一人ひとりの顧客の趣味嗜好、興味関心に寄り添ったOne to One(顧客中心の)マーケティング」への移行が求められています。

これらを背景として、多くの企業は一人ひとりの“顧客理解”を元にしたきめ細かなマーケティング施策の実施手法を模索し、その実現のための手法としてCDP/DMPを活用しているのです。

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DMPとCDPの違い

前述の通り、CDPとDMPは全く異なるものではなく「顧客データを収集・統合・一元管理・分析してマーケティングに活かすプラットフォームである」という点は同じです。もともとマーケティングにおいてDMPが主流でしたが、後からCDPが登場し、昨今ではCDPが主流になりつつあります。同じような機能を提供するツールも多く混乱しやすいですが、もともとの思想や目的が異なるため、正しく活用するためにはきちんと“違い”を比較のうえ、理解しておく必要があります。

細かな解説の前に、最初にざっくりとCDPがとDMPの違いを説明しておきます。

DMPの主な利用目的は「デジタル広告ターゲティングの精度改善および、広告の最適化」です。そのためDMPの扱うデータは、Webサイト訪問者の年齢や性別など、匿名トラッキングデータがメインです。

一方、CDPの主な利用目的は「顧客理解を元にしたマーケティング施策の実施」です。そのためCDPはセグメントではなく「実在する個人」に紐づけて顧客データを収集し、活用していきます。

それではDMPとCDPについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。


DMPとは?

DMPとは「Data Management Platform(データ マネジメント プラットフォーム)」の略称。インターネット上に蓄積された膨大な情報データを管理し、広告最適化に利用するためのプラットフォーム(基盤)のことを指します。

DMPは取り扱うデータの種類によって「パブリックDMP」と「プライベートDMP」の2種類に分けられます。「パブリックDMP」は3rd party データをメインとするDMP、「プライベートDMP」は1st party データをメインとするDMPです。

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1st / 2nd / 3rd party データ、3つの種類の違い

この2つのDMPを理解するには、その前に1st~3rdのデータ種類を理解しておく必要があります。

1st party データ(ファーストパーティーデータ)とは、自社が直接取得したデータのことです。
2nd party データ(セカンドパーティーデータ)とは、他社から入手・取得したデータを指します。
いずれも、会員ID / 氏名 / 住所 / 生年月日 / メールアドレス / 位置情報 / オフラインでの購買情報 などを扱います(さらに最近では1stデータのうち、許諾のとれたデータをゼロパーティデータと呼ぶようになっています)。

3rd party データ(サードパーティーデータ)とは、オーディエンスデータとも呼ばれ、データ収集専門企業から取得したデータのことです。
ユーザーのWebサイト行動履歴データ / ユーザーの属性データ / ユーザーの興味関心データ などが対象です。

3rd party データには自社が保有していないユーザー情報が豊富にあるため、新規・既存顧客が他社サイトでどのような行動をとっているかの分析や、自社にとって優良な顧客の傾向を把握し似た行動をとる顧客へ類似拡張を行い新規顧客の獲得効率を高めるといった施策で幅広く活用されてきました。しかし、近年ではGDPR(EU一般データ保護規則)や改正個人情報保護法の施行などの個人情報保護強化の動きや、Webサイトのトラッキングにおける3rd Party Cookieの規制(ITP:Intelligent Tracking Prevention) が進んでいることもあり、活用できないデータが増えてきています。

そのため、各社は自社で収集・管理する1st Party データを重視する傾向にあるのです。


DMPの2つの種類「パブリックDMP」と「プライベートDMP」の役割

DMPは主に顧客に対し効果的な広告を最適化して配信するDSP広告(DSP:Demand Side Platformを通じて配信されるディスプレイ広告)で活用されます。そして、取り扱うデータの種類によって「パブリックDMP」と「プライベートDMP」の2種類が存在します。

1|パブリックDMP(オープンDMP)とは

パブリックDMPは、主にさまざまなデータ提供企業が保有している「Webサイトのアクセス履歴」や「年齢・性別、居住地などの顧客の属性情報」などのWebの閲覧(クッキー)データを収集・管理するもので、別名「オープンDMP」とも呼ばれます。

■扱うデータ:主に3rd party データを集積(広告目的で利用するため個人を特定する必要はなく
あくまで匿名のトラッキングがメイン)
■特   徴:自社のみでは取得できない各種データを取得することが可能
■メリット: 自社と直接関係ない場所でのユーザーの行動履歴などを収集管理することで、
より正確な顧客の属性や興味関心が把握できる。
ユーザーのWeb上の網羅的な興味関心・行動情報により、
より最適化されたマーケティングを実施できる

2|プライベートDMPとは

プライベートDMPは、企業が直接手に入れたデータを自社で統合し、管理・分析するもので、自社が収集したデータを格納する点および、オンラインだけでなくオフラインの情報も収集する点がオープンDMPと異なります。

■扱うデータ: 1st party データがメイン
■特   徴:Webサイトのアクセスデータ、会員情報などのオンラインデータに加え、
営業保有の顧客リストや店舗の訪問・購買履歴、POSデータなどオフライン情報も含む
■メリット: 同一ユーザーを特定することができ、セグメントを作成する際に
パブリックDMPと比べ使えるデータが多い
優良顧客を選定してのキャンペーンメール配信、お問い合わせフォームで離脱した
ユーザーだけをターゲットにした広告配信など、既存顧客への施策にも活用できる

「プライベートDMP」は、これからご説明する「CDP」と、ほぼ同義と理解いただいて構いません。

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CDPとは?

CDPとは、「Customer Data Platform(カスタマー データ プラットフォーム)」の略称。日本語で言えば「顧客情報基盤」となります。顧客の属性や行動などのデータを収集・集約・蓄積し、利活用するためのシステム基盤であり「顧客一人ひとりを理解し、最適なコミュニケーションを行うためのプラットフォーム」と言えるでしょう。

■扱うデータ:主に1st partyデータを集積+人単位の情報管理に特化
プライベートDMPよりもオンライン・オフライン問わずより多くのデータソースを持つ
■特   徴:広告配信にとどまらず、顧客との良好な関係を築くために必要な、
さまざまなマーケティングツール(MA・BIなど)との連携に長けている
■メリット :社内で一元化したデータと外部データを組み合わせることで
より成功確度の高い広告施策やマーケティング活動、分析/可視化を行うことが可能

CDPに格納される主なデータは下記です。
・Webサイトやアプリ・デジタルアシスタントなどの媒体を通して実行されたWeb行動履歴
・eコマースやPOSシステムなどで取得された顧客の購買データ
・氏名や生年月日、住所、結婚歴、子どもの有無などの顧客データ

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CDPの3つの機能

CDPを理解するために重要となる、3つの機能を紹介します。

1|データの収集

1つ目の機能は、顧客となりうるユーザー、あるいは顧客の1st partyデータの収集です。
具体的には、オンラインショップにおけるID(会員ID/Cookie)・Web上の行動履歴・購買データなどを収集。そして、商品の関心度や今後のアプローチ方法へ活かすためのデータを蓄積します。
これら施策を実行する際に判断基準となるデータ収集が適切に行えるかどうかが、マーケティング活動を成功させる第一歩となります。

2|データの統合

2つ目の機能は、収集したデータを顧客IDに紐づけ、顧客一人ひとりのデータに統合することです。
顧客ごとの細かなデータを把握することで、顧客の属性やニーズをより的確に把握でき、顧客に合わせた効果的なアプローチが可能となります。

3|収集・統合したデータの分析

3つ目の機能は、商品・サービスに関心を持っている顧客の詳細なデータを分析することです。
CDPは顧客IDと紐づけした年齢/生年月日/住所(地域)/購買履歴/サイト閲覧履歴/アンケート回答などのデータを収集して統合。より個人にフォーカスした分析が可能になります。また、施策の実施後に特定セグメントの顧客エンゲージメントがどのように向上しているかといった、セグメント分析にも利用可能です。

【参考】

プロが選ぶ!オススメCDPツール
~自社に最適なツールの比較と選び方

<DATA CAMP 2019>
“マーケティング”をアップデートするCDPの開発



まとめ

ここまでご説明したCDPとDMPの違いを表にまとめると、以下のようになります。

CDPとDMPは、プラットフォームとしてそれぞれ異なる思想と目的で開発されていますので、導入する際は何を目的としてデータを活用していきたいのかを、しっかり見極めておくことが大切です。

TOPPAN DIGITALは単なるツールの提供とプラットフォーム構築にとどまらず、目的に応じた導入から構築支援の各種コンサルティングや、デジタルマーケティングの人材リソースの提供などでも数多くの実績を誇ります。

CDPやDMP導入によるデータ統合・利活用についてご検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。


2023.08.04

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