コラム

医薬品・化粧品物流とは? 
医薬品・化粧品物流の課題と解決策~冷凍冷蔵倉庫管理の重要性

医薬品や化粧品の物流は、特に品質保持が重要になることから、特有の留意点が多く、慎重に行う必要があります。ECの活性化により、ニーズを加味した個包装などの流通加工の柔軟性も求められており、医薬品や化粧品メーカーはさらなる課題に直面しています。
そこで今回は、医薬品・化粧品物流の特徴から課題、冷凍冷蔵倉庫管理の重要性とともに、課題解決策としてのアウトソーシングの有効性をご紹介します。課題解決のヒントとしてぜひお役立てください。


■医薬品・化粧品物流とは?

まずは医薬品物流と化粧品物流について、それぞれの特徴を確認していきましょう。

●医薬品物流とは?
医薬品物流とは、医薬品の物流を指します。主に医薬品、医療機器、治験薬の3種を取り扱います。物流経路は一般的に医薬品メーカーから製造後に倉庫へ届けられて保管され、医療機関から発注があれば保管場所より医療機関まで届けられます。

【特徴】
・品質維持のために薬機法やGMP省令、GDPガイドラインなどへの準拠が求められる
医薬品物流で取り扱われるものは、人命や健康に関わるものであるため、通常の物流と比較し、厳格な品質保持体制が求められます。
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や、厚生労働省によるGMP省令と医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した上で、高水準の品質保証と流通過程における完全性の保証を担保して行う必要があります。 

・医薬品物流業に必要な許可取得が必要
医薬品物流を行うには、許可の取得が必要です。薬機法の対象となる医薬品や医療機器などの保管、梱包、表示は製造の一環とされているため、取り扱う対象に応じて、医薬品製造業、医薬部外品製造業、医療機器製造業などの許可を取得します。

●化粧品物流とは?
化粧品物流とは、化粧品の物流を指します。メイクアップ・スキンケア・ヘアケア製品や輸入化粧品などが対象となります。物流経路は一般的に化粧品メーカーから倉庫に届けられ、発注により倉庫から一般消費者や小売業者などのもとへ届けられます。

【特徴】
・化粧品の品質管理が求められる
化粧品は温度変化に対してデリケートであり、人の肌に直接触れることから、厳格な品質管理が求められます。

・化粧品製造業許可取得が必要
化粧品は薬機法の適用対象であるため、保管、梱包、表示を行うためには、化粧品製造業許可の取得が必要です。

■医薬品・化粧品物流の課題

医薬品・化粧品物流は、通常の物流と異なる点が多いことを背景として、特有の課題も多くあります。主な課題として次のことが挙げられます。

●適切な温度管理や品質管理などの厳格な品質保持体制の整備
先述の通り、医薬品・化粧品は品質保持が欠かせないことから、適切な温度管理や品質管理などの厳格な品質保持体制が求められます。
特に温度管理については、輸送中のほか、保管中は冷凍冷蔵倉庫での繊細な管理が重要になってきます。医薬品などの安全性を守るためにガイドラインに沿った対応が必要です。

●法令やガイドライン、業許可への対応
薬機法やGMP省令、GDPガイドラインなどへの準拠が求められます。国による保管条件を満たした品質管理を行うためには、法令やガイドラインの内容熟知と現場での実践に関する専門知識が必要になります。
また該当する製造業許可の取得についても求められることから、始める際には対応が必要です。

●盗難や不正加工対策
医薬品は特に盗難による不正利用や部外者侵入による不正加工などのリスクが高いことから、予防策が必要です。医薬品は保管場所を区分けし、限定するなどのセキュリティ対策を行わなければなりません。

●トレーサビリティへの対応
流通工程におけるトレーサビリティ(追跡可能性)については、医薬品や化粧品の信頼性を保証するためにも必要です。誰がどのように関わったのか、透明性を高める仕組みづくりへの配慮が求められます。

●化粧品はギフトラッピングなどの流通加工が必要
化粧品は、ギフト需要が大きいことから、ギフトラッピングなどをはじめとした流通加工が求められます。そのため、通常の包装や梱包のみならず、特殊な対応が必要となり、対応に苦慮するケースも多くあります。

■冷凍冷蔵倉庫管理の重要性

特に医薬品・化粧品の倉庫管理においては、冷凍冷蔵倉庫における管理を適切に行うことが重要です。その重要な理由と近年、重要度が増している背景を見ていきましょう。

●冷凍冷蔵倉庫管理が重要な理由
医薬品の温度管理の目的は品質保持です。医薬品の化学的安定性に関わることから指定の温度範囲を超えると劣化や変質のリスクがあります。そのため、GDPガイドラインに基づく管理が必要となります。
医薬品の保管温度帯については15~25度の室温保管、2~8度の冷蔵保管、-15度以下の冷凍保管に分かれ、医薬品の種類によって異なります。

●冷凍冷蔵倉庫管理の重要度が増している背景
近年、医薬品・化粧品に限らず、冷凍冷蔵倉庫管理の重要度が増しています。
その背景には、単身世帯向けの個食商品や名店監修商品などの消費者需要に合わせた商品開発が進んでいることなどにより、冷凍食品の需要が拡大していることが挙げられます。さらにトラックドライバーの時間外労働の上限規制が強化されたことから生じている「物流2024年問題」を背景に、倉庫不足や倉庫管理の効率化の必要性、コールドチェーンの強化などが求められていることが挙げられます。

自社では対応しきれないケースも多く、適切な温度管理と物流効率向上のために、冷凍冷蔵倉庫管理も含めた3PLなどのアウトソーシングの利用も進んでいます。

3PLとは、「Third3rdParty Logistics(サード・パーティ・ロジスティクス)」の略称で、自社や運送事業者以外の、第三者に物流業務を包括的にアウトソーシングする手法です。詳細については「3PLとは?メリットや市場規模を解説」のコラムをご覧ください。

■医薬品・化粧品物流のアウトソーシングで課題解決

近年、医薬品・化粧品物流においてもアウトソーシングが進んでいます。アウトソーシングを通じて課題解決ができる理由には主に次のことが挙げられます。

●物流品質向上に寄与する
品質保持が求められる医薬品・化粧品物流は、冷凍冷蔵倉庫管理も含めて厳密な品質・衛生管理体制が必要です。セキュリティやトレーサビリティにまで幅を広げた際に、自社ではまかないきれないケースが多くあります。そのようなケースにおいて、医薬品・化粧品物流を専門的に請け負うアウトソーシングサービスを利用することは、品質保持・向上に寄与します。

●物流量の増加への対応が可能
平時にも医薬品・化粧品の需要は決して少なくない現状、繁忙期は対応しきれないケースもあります。そのようなときにアウトソーシングであれば柔軟に人員の拡充が可能であるため、コスト効率の面でも自社で行うよりも優位となります。

●コスト削減につなげられる可能性
アウトソーシングを利用することで、結果的にコスト削減につながることがあります。医薬品・化粧品物流に求められる厳格な管理体制を築くにはコストがかかりますが、アウトソーシングすることで管理・設備コストがかかりません。専門的知見と経験をもとに運用してもらうことができるため、品質・安全面でも向上し、余計なコストがかかるのを回避できる点もコスト削減につながる理由です。

■まとめ

医薬品と化粧品の物流の特徴から課題、解決策までご紹介しました。さらに品質向上が求められる中、いかにコストを抑えながら効率的な物流を実現できるかという点についても検討の余地があります。

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2024.12.13