コラム

コールドチェーンとは?
概要からメリット、課題、解決策まで
一挙解説!

通年、冷凍食品や中食の需要は高い状況がありますが、インターネットの普及やパンデミックを背景にEC物流量が増加したことで、さらに冷凍・冷蔵食品の流通は活発になっています。また医薬品においても適正な温度管理が必要なものもあります。

そのような低温管理が必要な食品や医薬品などの物流を担うために、近年、発展しているのがコールドチェーン(低温物流)です。今回は、コールドチェーンの概要から重要性、メリット、課題、課題解決策までご紹介します。


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■コールドチェーン(低温物流)とは

コールドチェーンとは、低温の温度管理が必要な商品・製品を生産、輸送、保管などの流通プロセス全体において、一貫して適切な低温の温度に保つ物流を指しています。

物流や製造業界において、サプライチェーンという言葉は身近ではないでしょうか。サプライチェーンとは、商品の原材料などの調達から製造、在庫管理、流通、販売、消費に至るまでの一連の流れを指します。これらのすべての工程において、最適な低温管理を実現するのがコールドチェーンです。

なぜ、近年、コールドチェーンが注目されているのでしょうか。以前は、サプライチェーン全体で統一された低温管理ができていませんでした。しかし技術の進歩により、輸送トラック内や倉庫において低温管理が可能になるなどして、一貫した低温状態の保持が実現できるようになりました。

現在では冷凍食品や生鮮食品、医薬品などの物流にコールドチェーンが活用されており、食品産業や飲食業界、医療分野などにおいて社会を支えています。

近年は、ますます国内物流はもちろん、海外向けの輸出分野でも需要が高まってきています。特に昨今のパンデミックを背景としたライフスタイルの変化は、冷凍・冷蔵食品の消費を押し上げており、コールドチェーンの必要性がさらに増しています。

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■コールドチェーン(低温物流)がないとどうなる?

コールドチェーンは、現在、私たちの生活や事業に欠かせない存在となっており、重要性が増しています。その主な理由を見ていきましょう。

●食品の鮮度を保って遠くまで配送することができる
コールドチェーン技術の発展は、輸送エリアの拡大という大きなメリットを生み出しました。

コールドチェーン技術が生まれる前は、低温管理が必要な商品について適切な温度管理を保つことがむずかしく、品質劣化のリスクがあったことから、必然的に一定距離以上の遠方への輸送がむずかしい状況でした。

例えば、冷凍食品は最低でも-15℃以下を保つ必要があります。それ以上の温度になると有害微生物の繁殖の恐れがあり、食品衛生の観点から品質保持に問題が出るためです。

そのため、生産地から一定の範囲内のエリアにしか輸送ができませんでした。エリアを拡大するには、中継となる地点に冷凍・冷蔵倉庫を備えることもできましたが、リードタイムが長くなってしまいます。また倉庫建設コストもかさみます。

コールドチェーンは、トラック輸送時にも低温を保つことができるため、新たに倉庫の設置の必要もなく、全国各地、および海外輸送も可能です。

●医薬品の輸送でも重要な役割を担っている

コールドチェーンは、食品のみならず、医薬品やワクチンなどの輸送においても重要な役割を担っています。

特にワクチンやバイオ医薬品は、厳密な低温管理が必要な有効成分が含まれているものもあり、製造から輸送、医療機関などへの輸送までの流れにおいて、一定の低温状態を保つ必要があります。

万が一、ワクチンに温度の管理ミスが発生した場合、ワクチンの効果面に懸念が生じ、結果的に健康被害につながるリスクがあります。

人の命にかかわる医療分野におけるコールドチェーンの役割は大きいものといえます。

そして今後のコールドチェーンの技術革新は、より広いエリアに、より多くの種類の医薬品輸送の可能性を生み出します。そして同時に、医療の提供の拡大につながるという意味でも、その役割は重要といえます。

■企業がコールドチェーンを導入するメリットとは?

物流を伴う事業を進める企業は、コールドチェーンを導入することで、次のようなメリットが得られます。

●コスト削減につながる可能性がある
コールドチェーンは、トータルコストの削減につながる可能性があります。初期の導入コストや温度管理コストは当然、必要ですが、食品の品質を保ちながらより広域エリアへ運ぶことができるようになれば、供給できる範囲が広がる可能性があるためです。

さらに、これまで必要だった中継地点の倉庫などの配送拠点を減らすことができれば、コスト削減につながります。このことから、必ずしも「コールドチェーン導入はコスト増」になるとは限らないのです。

一方で、冷凍・冷蔵倉庫の管理コストは、継続的に発生するため、倉庫の運用を効率的に行う方法をしっかりと検討する必要があります。

●食品ロスの削減につながる
コールドチェーンは、近年、問題視されている食品ロスの削減に寄与します。

食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄されている食品が多い問題を指しており、令和3年の国内の食品ロス推計値は523万トンにも上り、そのうち、事業系の食品ロスは279万トンを占めています。削減のために国内外で取り組みが進められる中、コールドチェーンは大きな可能性を秘めています。

コールドチェーンにより、食品の鮮度維持の時間を大幅に伸長させることで、品質劣化のリスクが低減することから廃棄ロス削減につながります。

食品ロスの削減により社会貢献が実現するほか、事業者にとっては食品ロスによる廃棄コストの削減にもつながります。

■コールドチェーン導入にあたっての課題

コールドチェーンの導入はメリットが大きい一方で、課題もあります。

●初期コストが大きくなることがある
コールドチェーンを導入するためには、新たに冷凍・冷蔵倉庫を設置したり、冷却装置を備えるトラックである低温冷蔵冷凍車を導入したりする必要があります。そのため、これらの導入の初期コストがかかります。

また、コールドチェーン全体においては、保管管理などの専門知識を有することから、人材確保の観点からコストがかかることがあります。運用コストも考えると、新たに投資すべきコストは大きくなることがあります。

ただし、前述の通り、トータルコストで見ればコスト削減につなげられる可能性はあります。最も効率的な方法を模索することも検討しましょう。

●レンタルでの倉庫の調達がむずかしい
初期コストを低減するためには、倉庫をレンタルする方法も考えられます。しかし近年、倉庫需要が高まっており、特に冷凍・冷蔵倉庫は需要が高く、供給面では十分と言えない状況です。場所や時期によっては倉庫の空きがほとんどないこともあります。レンタル倉庫の調達が必ずしも容易にできるとは限らないという点は課題といえるでしょう。

レンタルに限らず、コストパフォーマンスを加味して、アウトソースすることも一つの方法といえます。

■まとめ

コールドチェーンは、現在の私たちの生活や事業を支える重要な役割を担う物流といえます。そのメリットの大きさもあり、事業者にとっては導入を進めたい一方で、課題はあります。

そうした課題解決の一助となるのが、TOPPAN BPOの「冷凍・冷蔵倉庫サービス」です。これまで培った全国の冷凍・冷蔵倉庫企業とのネットワークを活用し、スピーディーな冷凍・冷蔵倉庫の立ち上げと高品質な倉庫のご提供をしております。

需要が高まる冷凍・冷蔵倉庫市場において、高品質な冷凍・冷蔵倉庫をスピーディーに提供いたします。

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2023.10.31

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