自治体の総務事務アウトソーシングとは?委託可能な業務から成功ポイント、事例まで解説
自治体職員の人手不足、業務効率化、DX、住民サービス向上など、自治体の多くは大きな変革を迫られています。こうした現状に対応するべく、注目されている手段が「自治体業務のアウトソーシング」です。特に総務業務に関する負担軽減のために利用が進んでいます。
本記事では、自治体の総務事務アウトソーシングが進む背景から、導入のメリットとデメリット、成功のポイントに加え、TOPPANがご支援した総務事務センター開設の事例をご紹介します。
総務事務アウトソーシングの実施を検討中の方にとって、実践に参考となる内容です。ぜひご覧ください。
■自治体の総務事務アウトソーシングが進む背景
近年、多くの自治体で総務業務を民間企業に委託する動きが広がっています。委託可能な業務は、総務・庶務業務のほか、最近ではデータ入力や封入封緘、申請書チェックなどの定型的な業務も含まれます。
アウトソーシングが求められる3つの要因
自治体が総務業務を率先してアウトソーシングする背景として、次の3点が挙げられます。
●職員不足と住民ニーズの多様化
自治体の職員不足が深刻化する中、子育てや介護を中心に住民のニーズは多様化しています。既存の職員だけでは対応しきれない状況において、外部への業務委託は有効な解決策のひとつです。
●DX推進の必要性
政府からの要請もあり、自治体にはDX推進が求められています。しかし、技術的な側面から外部に専門人材を求める必要性が生じています。また、申請・手続きのオンライン化のニーズもあり、既存のアナログ業務と組み合わせたハイブリッド化も求められ、自治体内で完結させるのは困難な状況です。こうした背景から、BPOやBPRを通じて既存業務を見直しつつ、DX推進も併せて行う効率的な運用が進められています。
●総務事務センターのニーズの高まり
近年、総務事務センターの役割が変化し、ニーズが高まり、業務委託された民間事業者が、総務事務センターで業務を代行するケースが増えています。職員不足や業務負荷の高まり、住民ニーズの多様化などを背景とし、総務事務センターはさらに重要性が増し、拡大傾向にあります。BPOを委託しやすい点も、総務事務センターのニーズが高まる要因です。
単なる外部委託(BPO)から業務改革(BPR・DX)へ
近年は、単なる業務プロセスの外部委託である「BPO」のみならず、「BPR」と「DX」の視点を連動させる自治体が増加しています。BPRは、既存の組織構造や業務フローを抜本的に見直し、ゼロベースでプロセスを再設計する手法です。BPOの業務遂行力に、BPRの分析・改善機能、さらにDXによるデジタル化推進を掛け合わせることで、圧倒的な行政効率の向上を目指す動きが加速しています。
■総務事務アウトソーシングの自治体におけるメリット・デメリット
自治体が総務事務のアウトソーシングを進めることは、次のメリットとデメリットがあります。
導入のメリット
●コスト削減
●業務効率化
●人材不足への対応
●住民サービスの質向上
●属人化の解消
●コア業務への集中
●DXの推進
最も大きなメリットといえるのが、全庁的な総務事務の効率化が飛躍的に進む点です。
人事、給与・福利厚生系業務といった煩雑でミスが許されない総務事務に、BPO事業者の専門ノウハウを導入することで、制度改正への迅速な対応や業務プロセスの標準化が図れます。
これにより、手作業や紙ベースで行われていた事務のスピードと精度が向上し、職員の事務負担を大幅に軽減できます。結果として、総務部門は、庁内の人的資源の最適化や働き方改革の推進、政策立案といった、自治体経営の根幹を担うコア業務へより注力することが可能になります。
導入のデメリット(注意点)
●情報漏洩のリスク
アウトソーシングは、業務を外部に出すという意味で、情報漏洩のリスクをゼロにすることができません。
もっとも、情報漏洩のリスクについては、すでに自治体業務の実績を多数持っている信頼の置ける事業者であることはもちろんのこと、物理面、ネットワーク面共にセキュリティ体制を徹底している事業者を選ぶことで対策を取ることができます。
■総務事務アウトソーシングの活用事例~自治体における総務事務センター開設
自治体の総務事務アウトソーシングの活用事例として、TOPPANがご支援した総務事務センターの事例をご紹介します。
総務事務アウトソーシング導入前の課題
多様化する住民ニーズへ対応するため業務量が増加傾向にある一方、将来的な職員確保が難しくなるという課題がありました。これに備え、職員が本来やるべき住民サービス向上や企画立案に注力できるよう、アウトソーシングを活用した領域横断的な体制の構築が急務となっていました。
総務事務センターの導入内容と具体的な施策
異種業務を集約・実施するため、単なる委託にとどまらず、以下のような業務改善とDXを推進しました。
1. アジャイル型業務設計と徹底したマニュアル化
制度改正等により突発的に業務変更が生じるリスクに対応するため、要件が明確なものから短いサイクルで設計と運用を繰り返す「アジャイル型設計」を採用しました。並行してマニュアルやFAQ、トークスクリプトを整備し、継続的にアップデートすることで属人化を排除し、業務の「見える化」と品質の均一化を図りました。
2.総務事務センターの管理・運営
管理・運営においては、多くの異種業務を集約し、領域横断的に実施する必要があり、季節ごとの繁閑差が大きいことから、推進体制は、審査チーム、サポートデスクチーム、年末調整チームの3つのチームに分けて構築しました。
具体的な業務カテゴリー:給与・報酬事務、旅費・費用弁償事務、社会保険・福利厚生事務、勤怠・休暇事務、人事等庶務事務、年末調整事務
業務の属人化解消のために徹底したドキュメント化を推進しつつ、工数圧縮後の業務の内製化を見据えた業務改善を進めました。
3. 職員の負担軽減とUI/UXの向上(DX推進)
複雑化していた庁内ポータルや申請フォームを、民間企業のノウハウを活かした分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)に改善しました。さらに、年末調整など負担の大きい業務には人事労務システムを導入し、紙による申請や承認作業をペーパーレス化することで、飛躍的な効率化を実現しました。
4. 現状とあるべき姿の2軸による業務改善
現行業務を前提とした着実な改善に加え、将来的な自動化やDXを見据えた高い目標を設定しました。業務量調査による定量的なデータに基づき、局所的な改善にとどまらない全庁的な業務改革(BPR)を提案・実行しています。
5. 高度なセキュリティを備えたオフサイト拠点の活用
庁舎外のBPO拠点(オフサイト)に業務を集約しました。静脈認証による入退管理や監視カメラ、外部から遮断されたネットワーク環境など、強固なセキュリティ環境下で業務を遂行しています。
総務事務アウトソーシング導入後の効果
オフサイト化により、繁閑差や制度変更に強い持続可能な業務運営体制が確立されました。また、申請の電子化やUI改善により、職員が直感的に必要な情報へアクセスできるようになり、事務負担が大幅に軽減され、コア業務への注力が可能となりました。
本事例のポイント
本総務事務センター開設事例のポイントとして、次の2点が挙げられます。
●中長期的な業務改善
単なる委託業務の遂行だけでなく、中長期的な業務改善効果を推進するための業務効率化・DXを提案・実施したことが特徴です。
●持続可能な業務体制を構築
将来的な制度変更にも柔軟に対応できるアジャイル型設計と徹底したドキュメント化により、属人化を解消し、持続可能な業務体制の構築を推進しました。
■まとめ
自治体の総務業務は特に負荷が高まっており、多様化する住民ニーズに対応するためにもアウトソーシングを積極的に利用することがひとつの解決策となります。
ただの一時的な業務代行を考えるのではなく、将来的に業務効率化や持続可能な体制を整えることを視野に入れ、BPO・BPRを実施することは、自治体にとって効率的かつ有効な取り組みです。
TOPPANには、総務事務業務をはじめとした自治体向けのBPOサービスにおける多数の実績がございます。
業務効率化やコスト削減とともに、属人化を解消しながら、持続可能な体制を構築することを目指されている方、また高いセキュリティ環境下でのBPOを求める方は、ぜひTOPPANにお声がけください。
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2026.04.24