社内規程の管理方法-ペーパーレス化で文書管理の課題を解決
2020年の新型コロナウイルスのまん延により、テレワークという働き方が一般企業にも広く浸透するようになりました。そんな中、業務の効率化やコスト削減のために社内規程のペーパーレス化を進める企業が増えています。
今回は社内規程のペーパーレス化を進める理由やメリットについて詳しく解説。併せてペーパーレス化の成功ポイントを三つご紹介します。
社内規程こそペーパーレスに
近年DXが進む中、多くの企業でペーパーレス化の動きが活発になっています。ですが、社内外の資料のペーパーレス化を進める企業の中でも、社内規程や業務マニュアルなどは依然として紙で保存しているという企業は少なくありません。社内規定のような紙資料のペーパーレス化が進まない背景としては、請求書や契約書など迅速な処理が求められるものと比較して社内規程のような社内文書は業務効率の向上が見えにくいこと、社内規程のペーパーレス化自体に多くのリソースが必要になるため、規程のデータ作成や改訂作業が進まないことなど複数の要因が挙げられます。
中でも社内規程は、社内ルールや企業理念など従業員全員が把握しておくべき事柄を記した書類であり、企業全体でのナレッジ共有や業務の効率化に欠かせない重要な役割を果たしています。DXやテレワークが進む今だからこそ、社内規程や業務マニュアルのペーパーレス化は必要不可欠といえるでしょう。
コスト削減だけじゃないペーパーレス化のメリット
ペーパーレス化のメリットのひとつとして「コスト削減」を挙げる方も多いのではないでしょうか。実はペーパーレス化を行うことにより、コスト削減以外にも作業スピードの向上やリアルタイムでの情報共有が可能になるなど、さまざまなメリットが得られます。
ここでは、社内規程のペーパーレス化に関して代表的な5つのメリットをご紹介します。
作成・改訂・更新などの作業が容易:
ペーパーレス化を導入することで、過去に作成された社内規程を電子化し、データベース上で改訂・更新を行うことができます。こうすることで、社員全員がいつでも最新の社内規程を確認できます。社内規程の改訂・更新作業は従来、複数の担当者が手間と時間をかけて行う必要がありましたが、既存の規程集を電子化することで改訂・更新作業もすべてデータベース上で完結します。そのため、担当者が複数であっても、常に最新の規程集情報をリアルタイムで共有しながら改訂・更新作業が行えます。こうした社内規定の改訂・更新作業が容易に行えることは担当者にとって大きなメリットといえるでしょう。
保管・管理が容易:
紙ベースで作成された社内規程資料には、保管スペースや郵送のコスト、長期間の保存による汚損や紛失などのリスクといったデメリットがあります。万が一、汚損や紛失が発生した場合、新たにこれらの社内規程資料を作成し直す作業が必要になります。こうした作業には手間とコストがかかります。
また、社内ルールを記した規程集や業務マニュアルの中には、機密情報が記載されているケースも少なくありません。外部へ情報が流出する可能性も高くなります。ですが、電子データによる保管・管理はすべてデータ上で行うため、規程集の汚損や紛失のリスクを大幅に低下させます。
社内での情報共有が容易:
社内規定やISO文書など、社員全員が共有しておくべき社内文書情報を電子データ化することで、いつでも・誰でも・どこでも容易に閲覧できるのもペーパーレス化のメリットです。各部署で必要な業務手順やルールを、必要なときにPCやタブレットなどの各デバイスから素早く確認できます。
また、遠隔からの閲覧や、同時に複数人で閲覧することも可能なため、社内規定やISO研修などの各種研修、作業手順の共有・確認などが行えるので効率よく業務が進められます。
社内規程や文書の共有が可能となり、業務の属人化を防ぐことができる:
作成した社内文書データが個人での保管になっている場合、他者はデータの把握も確認もできず、その作業ができるのが作成者のみになってしまいます。それが社内規程など会社の重要文書などだった場合、とても大きなリスクがありますが、電子データ化し保存することで、権限を持っていれば、誰でも閲覧できるようになるため、業務の属人化を防ぐことができます。
また担当者が長期で休職したり、退職したりした場合に、重要データが引継ぎされていない、紛失してしまったというような事態も防げるため、ペーパーレス化を進め、業務の属人化を防ぐことが重要になります。
ペーパーレス化によるテレワーク推進:
ペーパーレス化の推進は、会社のテレワークの推進にもつながります。紙媒体で書類を管理している場合、書類の提出のため、また書類への押印のためにわざわざ出社する必要が発生し、業務効率の悪化を招いてしまいます。
しかし、ペーパーレス化を進め、電子データでのやり取りに切り替えることで、テレワークでも業務に影響がなくなり業務改善につながります。テレワークは業務効率化を促進し、会社の働き方改革の一環にもなるので、社員の離職率の低下などさまざまな点でメリットがあります。
ペーパーレス化の成功ポイント
社内規定やISO規定などを電子データに取り込み、管理することで業務の効率化やコスト削減が可能です。ですが、急激な社内規程のペーパーレス化は現場の混乱を招く一因にもなりかねません。スムーズなペーパーレス化を進めるために以下の三つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
現状把握:
既存の各種社内文書の紙資料を一度に電子データ化してしまうと、かえって社員の負担が大きくなり。現場の混乱を招くことにもつながりかねません。結果、規定違反や業務効率の低下を起こしてしまう可能性もあります。
ペーパーレス化を始める際は、現在、紙ベースで保管されている社内文書の種類や量がどのくらいあるのか、どの資料を優先的に電子化するべきかなど、正確な現状把握とそれに応じた検討を行うことが重要です。まずは必要最低限の資料の電子化を行い、その後、徐々に段階を踏んで電子化を進めていくとよいでしょう。
ガイドラインの策定:
ペーパーレス化以降、文書の編集・閲覧権限をどうするかといった、管理・運用に関するルールを策定しておきましょう。社内規程やISO文書などは、長期にわたり多くの社員で共有することになります。ペーパーレス化を実施する際、電子データへの移行方法や実施スケジュールなどのガイドライン策定を行いましょう。ガイドライン策定と併せて、プロジェクトの目的や運用開始までのスケジュールを含めた概要説明を行えば、電子化の開始後もスムーズな運用が可能になります。
また、将来的に改訂や編集が必要になる場合も踏まえ、文書の編集権限はどの部署で行うかというようなルールも取り決めておくとよいでしょう。
実施結果の検証:
ペーパーレス化の実施後は、作業結果の検証を行います。検証すべき項目として、ペーパーレス化によりどの程度紙資料の削減が実現できたか、運用開始後どのくらい業務効率が向上したかなどが挙げられます。社内規程のような企業の運営に関わる資料のペーパーレス化は、担当部署以外にも社内全体で取り組む必要があります。
そのため、実施後どのくらいの効果があったのか、都度検証を重ねることで、より効果的な運用が可能になります。
社内規程のペーパーレス化を実現する規程管理システム
規程管理システムとは、社内規程のペーパーレス化を実現するためになくてはならないシステムです。規程管理システムの主な機能としては、文書の全文検索・タイトル検索、規程文書の編集機能、編集履歴や改訂前後の変更箇所を比較できるバージョン管理機能、社員への共有、公開機能などがあります。
規程管理システムを活用すれば、社内規程だけでなく、職務規程、各種マニュアルや、社内管理文書、ISO 文書など社内のさまざまな規程、文書を電子化し会社全体のペーパーレスを推進することができます。
また今までの紙媒体での規程管理は、誤記があった場合、その個所を修正しその都度印刷し直す必要があり、文書によっては、印刷した後に社員に配布する必要があるといった点、また、紙での社内規程等の保管は、紛失のリスクが高いという点が大きな課題としてあげられていました。しかし、規程管理システムを導入し、従来の紙ベースの文書管理から電子化へと移行することで、このような課題を解決できるとともに、無駄な作業がなくなることで大幅な業務効率化を図ることができます。
規程管理システムは、業務効率化を進めるのに効果的なシステムですが、導入前にはいくつかの注意しなければいけない点があります。まず自社の業務やニーズに合った規程管理システムがどれかを検討し、最適なシステムを選ぶことが重要です。また導入後の運用方法、運用管理者の選定、教育が必要なため、事前に準備を進める必要があり、社内規程に関しては全社員が閲覧するものになりますので、社内の閲覧体制を整える必要もあります。
上記注意点をふまえ導入をすることで、規程管理システムは、ペーパーレス化、業務効率化に大きく貢献します。
まとめ:管理・運用が容易な管理システムで ペーパーレス化の実現を
テレワークの普及が進む中、あらゆる文書が電子データなどで管理されるようになり、それに伴い社内規程も電子データでの管理運用が求められるようになりました。社内規程のペーパーレス化は業務効率化や組織全体でのナレッジの共有などを可能にし、円滑な企業運営を行う上で非常に重要といえるでしょう。
ペーパーレス化を行うには、現在の運用状況や課題を十分に把握した上で、必要な従業員全員が管理・閲覧を容易に行えることを最優先事項として進めていきましょう。綿密なガイドラインの策定をはじめ、適切な管理ツールの導入など今後のスムーズな運営管理を見据えておくことも大切です。
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社内インタビュー
2022.09.27