コラム

AIによる「予測を活用したパーソナライズ」の3つの視点と手法

はじめに:マーケティングが効かなくなった?

スマートフォンが普及し、顧客の行動データは増え続けているのに、マーケターが「施策が以前ほど響かない」と感じることがあります。
その原因は、顧客の期待値の変化にあります。
成功している企業の多くは、もはや単に商品をレコメンドするだけではなく、顧客が「次に何を見たいか」「次に何を買いたいか」を先回りして予測し、顧客自身が気づいていないニーズを掘り起こしているのです。
これは、従来の「パーソナライズ」の範囲を超えています。個々の顧客の行動データから、まるで未来を読み解くかのように、一人ひとりに最適化された体験を創出する。それが、これからのマーケティングに不可欠な最新のパーソナライズの形です。

事例:「予測」のマーケティング

すでに、高度なデータ分析とAIを駆使し、顧客エンゲージメントを劇的に向上させている事例が存在します。

•A社
「この商品を買った人はこちらも買っています」というレコメンドだけでなく、過去の閲覧履歴やカート放棄のタイミングから、ユーザーが次に購入する可能性の高い商品をAIが予測し、最適なタイミングでリマインドメールを配信。
売上の約35%がこのようなレコメンドから生まれていると言われています。

•B社×TOPPANエッジ
B社顧客へのキャンペーンDMにおいて、キャンペーンに申し込みしやすい顧客をAIを活用して予測。
また、季節性を加味した予測を行うことで、送付時期ごとに対象者の選定を実施。
これにより、過去のキャンペーン実施時の約5倍の申し込み率を達成。定期的にメンテナンスしDMを送付することで、申し込みの維持にも寄与しています。

•横浜銀行さま×TOPPANエッジ
一般生活者へのアンケートを基に作成した、人のデザイン嗜好性クラスターを実際の顧客データに当てはめることで、
ATMに表示する広告画面を、その人が好むであろうデザインへと出し分けを実施。
これにより従来の約4倍の資料請求数となりました。

これらの事例に共通するのは、「データの力で顧客の行動を予測し、まだ見ぬニーズにまで応えている」という点です。

未来への羅針盤:予測活用のパーソナライズを実現する3つの分析手法

では、どうやって予測をパーソナライズに活用すればいいのでしょうか?ここでは、その核となる3つの視点と、それを支える具体的な分析手法をご紹介します。

1. 「最適なタイミング」を予測する:トリガー分析

顧客の行動(Webサイトの訪問、商品閲覧、カートへの追加など)をトリガーに、購入やリピートにつながる最高のタイミングをAIを使って予測します。単なる「購入後〇日後にメールを送る」という画一的な手法から脱却し、顧客一人ひとりに合わせた「最高のタイミング」で次のアクションを促します。
この手法は「トリガー分析」と呼ばれ、SFA(Sales Force Automation)などでもよく使われます。顧客の行動に合わせて情報を届けることで顧客体験を向上させ、画一的なアプローチでは得られない深い関係構築を可能にします。

2. 「次に欲しいもの」を予測する:レコメンド分析

購入履歴や閲覧データから、次に顧客が興味を持つ可能性の高い商品をレコメンドするだけでなく、顧客のライフステージの変化や季節トレンドなども加味して、より精度の高い提案を行います。
これはデータマイニングにおける代表的な「レコメンド分析」という手法です。この分析により、企業が売りたいものを見せつける「押し売り」的なコミュニケーションから、顧客が本当に「欲しがる」ものを提案する「コンシェルジュ」的なコミュニケーションへと変化させることができます。これにより、「かゆいところに手が届く」体験を提供できるのです。

3. 「響くメッセージ」を予測する:ペルソナ分析

同じ商品でも、訴求ポイントは人によって異なります。「専門家の意見」に動かされる人、「口コミ」に共感する人、「インフルエンサー」に影響される人など、顧客のペルソナをAIで深く分析し、一人ひとりに最も響くメッセージを予測します。
そのために有効なのが「ペルソナ分析」です。クラスターリングといった手法や、Webサイト・メール内での行動ログ(文章の滞在時間、動画の視聴時間、クリック率など)を解析することで、顧客の興味関心を推定します。こうして推定されたペルソナに基づき、同じ内容でも違う角度から情報を発信することで、一人ひとりに深く訴求することが可能になります。

まとめ:あなたのビジネスに「予測」の力を

単なるパーソナライズから一歩進んだ「予測」のマーケティングは、企業の競争力を決定づけるでしょう。この波に乗り遅れないようにマーケティング手法を検討する必要があります。
TOPPANでは、これら「予測」に基づいたパーソナライズ戦略を、お客さまのビジネスに合わせてご支援しています。膨大なデータから顧客のインサイトを導き出し、売上向上とLTV(顧客生涯価値)の最大化を実現するサポートします。
上記でご紹介した3つの分析手法に加え、お客さまの課題に合わせたデータ活用・分析手法をご提案いたします。

また、弊社で実施したAI活用のパーソナライズについての事例はダウンロード資料に掲載しておりますので、是非ご覧ください。
「具体的に何から始めればいいかわからない」「自社のデータは活用できるのか?」といった疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

2025.10.15

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