コラム

延焼ラインとは|建築基準法の定義と防火規定・緩和措置をわかりやすく解説

建物の外装デザインを検討するうえでキーワードとなるのが「延焼ライン」です。

延焼ラインについて、建築基準法に基づき関連するルールが定められています。

そこで今回は、「延焼ライン」の定義から、関連規定が適用する地域、関連する防火ルール、緩和措置についてまで、1900年創業のTOPPANが詳しく解説します。

延焼ラインに関して多くの方からいただくご質問や、防火規定を受ける建物の外装に採用できる不燃意匠材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


■ 延焼ラインとは|「延焼のおそれのある部分」の定義

延焼ラインとは、正式名称を「延焼のおそれのある部分」とし、隣地境界線・道路中心線もしくは同一敷地内に2つ以上建つ建築物※相互の外壁中心線から、1階は3m以下、2階以上は5m以下の範囲に含まれる建築物の部分(外壁・軒裏・開口部)を指します。

※延べ面積の合計が500㎡以内の建築物は、1つの建築物とみなされる

延焼ラインの範囲内に含まれ各種境界線からの距離が近い部分は、周囲で火災が発生した時の延焼防止における重要度が高いため、特に高い防火性能が要求されます。

1階よりも2階の方が広範囲に指定されている理由は、炎の上昇気流によって高くなるほど広がる性質にあります。

ちなみに、母屋とは別棟で「附属建築物※」がある場合は、一定の防火性能を有していれば延焼ラインは発生しません。

※物置・ガレージ・独立型自転車置き場・平屋建ての小規模な倉庫・ごみ置き場・受水槽や浄化槽の上屋・ポンプ室など(詳細は建築主事などにご確認ください)

■ 延焼ラインの対象となる地域・建物と関連する防火規定

延焼ラインに関するルールが適用されるのは、すべての地域・建物ではありません。

敷地のあるエリアや建物の規模によって防火規定の対象となるかどうかが決まり、建築確認申請に伴う建築主事の審査で確認されます。

※下記は概要です。詳細は法令の本文などでご確認いただくか、建築主事にお問い合わせください。

防火地域・準防火地域・法22条区域における構造規定

都市計画法および自治体の条例によって定められる防火地域・準防火地域・法22条区域にある建物は、耐火建築物・準耐火建築物・防火構造・準防火構造のいずれかにすることが義務付けられています。

防火地域

  • 市街地における火災の危険を防除するために指定される地域
  • 主に、駅前や繁華街、建物密集地、幹線道路の周囲が指定される

準防火地域

  • 防火地域と同じく、市街地における火災の危険を防除するために指定される地域で、防火規定は防火地域より緩い
  • 防火地域の周囲に位置する商業地域や業務地区、居住地区が指定される

法22条区域

  • 正式には、建築基準法第22条指定区域と呼ぶ
  • 防火地域・準防火地域に指定されていない区域のうち、自治体が火災への配慮を求めると指定される地域
  • 火災の飛び火による延焼リスクを防止するために、主に屋根に防火規定が適用される

※火災によって発生した火の粉が、熱気流や風によって空に舞い上がり、離れた場所で二次火災を引き起こす現象

上記地域内の建物は、延べ面積・階数に応じて、以下の構造とする必要があります。

上記にある耐火構造・準耐火構造・防火構造・防火措置の違いは以下の通りです。

耐火構造

(建築基準法第2条第7項)

    • 建築基準法で定める耐火性能(加熱開始から1〜3時間以上、加熱に対する非損傷性・遮熱性・遮炎性を維持できる性能)を持つ構造
    • 主要構造部※1が「告示で定められた例示仕様」もしくは「性能実験の結果に基づき、国土交通大臣認定を受けた仕様」であること(不燃材料などの使用が必要)
延焼ラインの範囲に含まれる外壁に設けられた開口部には、防火設備※2を設けることが義務

準耐火構造

(建築基準法第2条第7項の2)

  • 建築基準法で定める準耐火性能(加熱開始から45〜60分以上、加熱に対する非損傷性・遮熱性・遮炎性を維持できる性能)を持つ構造(45分以上の準耐火性能を持つ=45分準耐火構造)
  • 主要構造部が「告示で定められた例示仕様」もしくは「性能実験の結果に基づき、国土交通大臣認定を受けた仕様」であること(不燃材料などの使用が必要)
  • 延焼ラインの範囲に含まれる外壁に設けられた開口部には、防火設備※2を設けることが義務

防火構造

    • 外壁(耐力壁)が、非損傷性・遮熱性を加熱開始から30分以上維持できる(不燃材料などの使用が必要)
    • 外壁(非耐力壁)・軒裏が、遮熱性を加熱開始から30分以上維持できる(不燃材料などの使用が必要)
延焼ラインの範囲に含まれる外壁・軒裏が、「告示で定められた例示仕様」もしくは「性能実験の結果に基づき、国土交通大臣認定を受けた仕様」であること

(一定の)防火措置

  • 隣地境界線等から1m以内の外壁に設けられた開口部に、防火設備を設置する
  • 外壁の開口部面積は、隣地境界線等からの距離に応じた基準以下にする
  • 外壁を防火構造とし、屋内側から燃え抜け※3が生じない構造にする
  • 軒裏を防火構造にする
  • 柱・梁が一定以上の小径であるか、防火上有効に被覆されている
  • 床と床直下の天井は、燃え抜けが生じない構造にする
  • 屋根と屋根直下の天井は、燃え抜けが生じない構造にする
  • 3階部分とそれ以外の部分を間仕切壁や戸で区画する

※1:建築基準法第2条第5項で定める「壁・柱・床・梁・屋根・階段のうち、構造上重要でないものを除く部分」

※2:この場合は、建築基準法で定める「防火戸・防火シャッター・網入りガラス・ドレンチャー」など、開口部から出入りする火炎を遮る装置を指す

※3:屋内で火災が発生した場合、天井や上階の床、周囲の壁を焼き切り、周囲に火炎や熱が伝わる現象

特殊建築物における開口部への防火設備規定

建物の用途が建築基準法で定める「特殊建築物※」に該当する場合、すべての地域において、一定規模以上であると主要構造部と外壁にある開口部が防火規定の対象になります。

※建築基準法第2条第2項で定める「学校・体育館・病院・劇場・観覧場・集会場・展示場・百貨店・市場・ダンスホール・遊技場・公衆浴場・旅館・共同住宅・寄宿舎・下宿・工場・倉庫・自動車車庫・危険物の貯蔵場・と畜場・火葬場・汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物」

規定の対象となる建物は、延焼ラインの範囲に含まれる外壁にある開口部に、防火設備の設置が求められます。

防火地域・準防火地域内の外壁における開口部への防火設備規定

防火地域・準防火地域内では、建物の用途や規模を問わず、延焼ラインの範囲に含まれる外壁にある開口部に、防火設備の設置が求められます。

◎◎

■ 延焼ラインにおける緩和措置

延焼ラインについて、建築基準法ではその定義に加えて緩和措置も明記されています。

以下の条件に該当する場合は、「延焼のおそれのある部分」には含まれず、各種防火規定の対象から除外されます。

  • 「延焼のおそれのある部分」のうち、防火上有効な公園・広場・川と、その他の空地・水面に面する範囲(敷地の1方向がこれらに面している場合、その方角面のみ延焼ラインが発生しない)
  • 「延焼のおそれのある部分」のうち、耐火構造の壁と、その他これらに類するものに面する範囲(外壁にある開口部を防火上遮れるものがある面のみ、延焼ラインが発生しない)
  • 「延焼のおそれのある部分」のうち、建物の外壁面と隣地境界線などの角度に応じて、周囲で発生する通常の火災時における火熱による燃焼のおそれがないものとして国土交通大臣が定める範囲

ただし、水路や緑道に面しているなど、一見緩和対象になりそうな場合でも延焼ラインが発生するケースもあるため、事前に所轄の建築主事まで詳細をご確認ください。

■ 延焼ラインに関するよくある質問

ここでは、延焼ラインについて、多くの方からいただくご質問を紹介します。

Q. 延焼ラインの制限を受けない建物はある?

A. 耐火建築物の一部(法27条で定める建物)や、防火地域・準防火地域内にある建物、法22条区域内の木造建築物は、延焼ラインの制限を受けない可能性があります。

なぜなら、これらの建物は全体に一定の防火性能が備わっているためです。

Q. 延焼ラインは建物をセットバックすれば回避できる?

A. 建物を道路などから離してセットバックすると、延焼ラインの範囲から外れるため、各種関連規定の対象外になる可能性があります。

ただし、防火地域・準防火地域などの建物や大規模建築物は、延焼ラインの有無とは関係なく主要構造部や仕上げ材に不燃材料などの使用が求められる可能性がありますので、詳細は建築主事などにお問い合わせください。

Q. 延焼ライン内の範囲は、前面道路の幅員によって変わる?

A. 建物の前面道路に面した方角について、延焼ラインの起点は道路中心線となるため、幅員が広いほど延焼ラインに含まれる建物の範囲は限られます。

そのため、フロントヤード(前庭)などがある場合は、それに面した外壁や軒裏は、関連規定の対象外になる可能性があります。

Q. 延焼ライン内の外装仕上げに木材(木質建材)は使える?

一定の基準を満たせば外壁や軒裏の仕上げ材に木材(木質建材)を採用できますが、設計の工夫や材料コストなどについて注意が必要です。

その理由は以下の通りです。

  • 防火性能が認められる不燃木材や準不燃木材は、材料コストが高い
  • 防火性能が認められる不燃木材や準不燃木材は、雨がかかると不燃薬剤が流出し、白華現象が起こり、意匠性が落ちる(不燃塗装で軽減できるが、定期的な塗り替えが必要)
  • 防火性能が認められる不燃木材や準不燃木材は、水溶性不燃薬剤により大気中の湿気を引き寄せ、反りなどの変形が起こりやすくなる(不燃塗装で軽減できるが、定期的な塗り替えが必要)
  • 羽目板(外装用無垢材)は、単体では防火性能が認められないため、国土交通省が防火・準防火性能の技術的基準に適合する仕様(不燃材との二重構造にするなど)にしなくてはならず、コストアップ・工期長期化をもたらす

※内部に浸透していた不燃薬剤が表面ににじみ出て結晶化し、粉状に付着する現象

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■ 外壁・軒裏の防火規定に対応できるTOPPANの「内外装不燃アルミ意匠材」

FORTINAは、高意匠・高性能で環境負荷の少ない※オレフィン系化粧シートとアルミニウムを組み合わせた内外装不燃アルミ意匠材です。
※塩ビ系材料と比較した場合、原材料調達段階+生産段階+流通段階+廃棄・リサイクル段階の二酸化炭素排出量を60%も抑制できる。(当社比)

最先端の印刷技術によって、自然素材が持つ風合いをリアルに表現した人気シリーズとして、多くの事例にご採用いただいています。

【FORTINAの特長】
・長年培った高度な印刷技術によってリアルな質感を再現(外装用は15種類以上の木目柄、内装用は45種類以上のメタル・木目柄・石目柄から選択可能)
・内外装で統一感のある仕上がりを実現可能
・外装用はSWOM※にて、15,000時間の耐候性試験をクリア(化粧シート表面のクラック・各層の密着低下・絵柄の退色を抑制)
・長期間、メンテナンスフリー(通常使用環境では30年以上の耐用年数)
・内装仕様・外装仕様のどちらも、国土交通大臣による不燃認定取得済み
・形状の多彩なラインナップによるトータルコーディネートが可能

※SWOM:Sunshine Weather-O-Meter(促進耐候性試験装置)を用いた性能試験で、屋外環境(紫外線・温度・湿度・雨)に対する劣化を評価できる

FORTINAのラインナップは以下の通りです。


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■ まとめ

「延焼ライン(延焼のおそれのある部分)」とは、建築基準法で定める建物の特に防火・耐火性能が求められる範囲を指し、いくつかの制限を受けます。

対象範囲では、国土交通大臣認定の不燃材料の要件を満たし、さらに意匠性の高い仕上げ材を採用することが重要です。

TOPPANでは、耐久性とデザイン性に富んだ環境配慮型・不燃内外装意匠材を製造しております。

「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

2026.06.25

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