個性的な内装装飾材「三軸織物」とは|特徴とメリット・デメリット、おしゃれな施工事例を解説
三軸織物とは、その有機的な曲線によって空間のアクセントとなる建築材料です。その他の建築材料とは全く異なる構造・素材で唯一無二の雰囲気を作り出します。しかし、三軸織物の特徴や施工事例はあまり広く知られていません。
そこで今回は、1900年創業の“TOPPAN”が「三軸織物」について、特徴・用途やメリット・デメリットを詳しく解説します。おしゃれな施工事例や、耐用年数などよくある質問も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
■ 三軸織物とは|読み方と特徴、用途
■ 三軸織物のメリット
■ 三軸織物のデメリット・注意点
■ 三軸織物のおしゃれな施工事例
■ 三軸織物に関するよくある質問
■ TOPPANの高意匠でレパートリー豊富な三軸織物
■ まとめ
■ 三軸織物とは|読み方と特徴、用途
三軸織物は“さんじくおりもの”と読み、三方向の糸を編んでつくるメッシュ構造で編まれた素材です。
角度60°の縦糸2方向を横糸に織り込んで正六角形の網目をつくり、水平方向の安定性を高めることによって、方向を問わず安定した強度を発揮します。
通常の縦・横が角度90°に交わる二軸構造の織物は、繊維の縦・横方向からかかる力に抵抗できても、斜め方向には強度を発揮しません。
三軸織物は、主に以下の繊維で編むのが一般的です。
・炭素繊維
・アラミド繊維
・ポリエステル繊維
・ポリアミド繊維
・ガラス繊維
建築分野における三軸織物は、原則としてポリエステル繊維・ガラス繊維が使用されています。
ポリエステル繊維・ガラス繊維で編まれた三軸織物の特徴は、主に以下の4点です。
・レースのような軽やかさと透明感
・繊維方向を問わない強度安定性
・しなり、つぶれなどに強い形状安定性
・折り畳んでから展開しても元の形に戻る高い形状復元性
これらの特徴を活かし、建築分野では以下の用途で用いられています。
・天井の装飾アイテム
・壁面の装飾アイテム
・建物ファサードの装飾
・スクリーンパーテーション
・照明シェード など
■ 三軸織物のメリット
三軸織物には、デザイン性と耐久性におけるメリットがあります。
軽くて安全性が高い
建築材料として用いられる三軸織物は、重量が200~800g/㎡と軽量で、装飾として天井・壁などに取り付けても、建物にかかる荷重負荷を最小限に抑えられます。
また、地震などで万が一落下した場合に、被害を抑えられる点も重要なメリットです。2014(平成26)年に施行された改正建築基準法では、建築物の天井脱落対策に関する規定が追加され、以下の条件に全て当てはまる吊り天井※を「特定天井」とし、細かい設計基準が設けられました。
・床からの高さが6mを超える天井
・水平投影面積が200㎡を超える天井
・天井面を構成する材料の単位面積質量が2kg/㎡を超える天井
・居室・廊下など人が日常的に立ち入る場所に設ける天井
※吊り天井:天井躯体の下に枠組みをハンガーで吊り下げ、そこに天井仕上げ材を取り付ける工法で、ダクト配管や電気配線などの設備を隠蔽でき、原状復帰やメンテナンスが容易なことからビルなどで一般的に採用されている
【ポイント】
三軸織物は軽量で「天井面を構成する材料の単位面積質量が2kg/㎡を超える天井」に当てはまらないため、特定天井に該当せず、細かい設計基準が適用されません。そのため、自由な設計プランが可能です。
ガラス繊維は比強度が高い
建築用三軸織物の原料であるガラス繊維は、比強度※が高く1,300 kN·m/kg程度で、アルミニウムの6倍、木材の10倍程度です。
※比強度:「引張強さ(N/mm²) ÷ 密度(比重)(g/cm³)」で示される数値で、重さの割にどのくらいの強度があるかを判断するための指標(数値が大きい程、“軽い割に強い”)
軽くて丈夫なガラス繊維は、耐キズ性も高いことから、建築材料に適した素材といえます。
自由な曲面を表現できる柔軟性
三軸織物は熱いうちにプレス成形し、その後冷めながら硬化するため、自由な曲面を表現できます。
形状の復元性と安定性が高いことから、高い剛性のボード形状から凹凸形状まで、多様な形状にすることも可能です。
レースのような透過性
ガラス繊維やポリエステル繊維は、強靭性と軽やかでなめらかな見た目の両方を兼ね備えた素材です。そのため、織り目の隙間から照明光や太陽光が漏れて、レースのような透け感を表現できます。三軸織物と間接照明を組み合わせるプランが人気です。
■ 三軸織物のデメリット・注意点
三軸織物には性質的に優れた点がいくつもありますが、設計プランに採用する際には事前に知っておいていただきたいデメリットや注意点もあります。
現場でのカット加工に注意が必要
三軸織物を現場でカット加工すると、端部から細かいガラス繊維が飛散する可能性があるのでご注意ください。
ガラス繊維は皮膚に触れるとかゆみ、吸い込むと喉に刺激を感じます。そのため、現場で裁断・切り欠きなどをする場合は、手袋・メガネなどの保護具を装着して正しく処理しましょう。
ただし、アスベスト(石綿)とは異なり、繊維が体内に入っても溜まらず徐々に分解・排出されるため、発がん性のリスクが低い※とされています。
※ガラス繊維の大半が、国際がん研究機関(IARC)の定める発がん性分類「グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)」に含まれます。
ちなみに、ポリエステル繊維は、繊維が飛散しても人体への影響はガラス繊維よりも少ないというのが通説です。
ホコリが引っかかりやすい・メンテナンス(清掃)に注意が必要
三軸織物は細かい繊維構造なので、ホコリが引っかかりやすい点には注意が必要です。清掃する際には、形状が変わらないように軽く掃除機をかけるか、はたきでホコリを落とす程度にとどめましょう。
たわしやメラミンスポンジ、硬い布で強く拭くと、キズが残るため原則として使えません。
また、水を使用すると、繊維に液体が染み込んで部分変色する可能性もあり、アルコール系・溶剤系の薬剤は脱色や生地の軟化につながります。
三軸織物は形状復元性が高いものの、万が一清掃する際に折り曲げると、シワや癖が残る可能性があるのでご注意ください。
直射日光によって変色する可能性がある
ガラス繊維・ポリエステル繊維は紫外線による変質がほぼありません。しかし、着色に用いる印刷塗料は、退色(色あせ)や変色する可能性があります。
直射日光の紫外線だけではなく、照明光に含まれる微量の紫外線や熱でも部分変色する場合がありますので、照明器具との距離には注意が必要です。
ちなみに、三軸織物は内装用装飾材であり、直射日光が常時照射される場所や雨に当たる屋外への施工はおすすめできません。
■ 三軸織物のおしゃれな施工事例
TOPPANの三軸織物は、様々な用途・規模の建物の内装にご採用いただいております。その中からいくつかの事例を抜粋し、デザインのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
間接照明の光によって立体感のある仕上がりに
こちらは天井の段差に設置した間接照明と三軸織物を組み合わせた事例です。
四方から照らされる光により、三軸織物の陰影が強調されて、より一層立体的に見えます。エントランスの天井に三軸織物の装飾を取り入れると、空間の主役として際立ちます。
ホワイトで統一した天井のアクセントに
こちらも天井に三軸織物の装飾を施した事例です。
コンセプトを「ホテルライク」とし、遊び過ぎない「真面目さ」と「くつろぎ」の両立を目指しました。ホワイトに統一された内装に三軸織物の重なりが浮かび上がって、高級感と品格を漂わせる印象に仕上がっています。
三軸織物から漏れる光で動線を誘導
こちらは、エレベーターホール上に設けた光天井に三軸織物を吊るした事例です。
ブラックのエレベーター扉とダークブラウンの天井、グレーの壁に囲まれたホワイトの三軸織物が、光に照らされて浮かび上がっています。コントラストが強いカラーを組み合わせると、人の視線を惹きつけて動線を誘導することが可能です。
■ 三軸織物に関するよくある質問
ここでは、三軸織物について多くのお客様からいただくご質問を紹介します。
Q.「三軸織物の耐用年数はどのくらい?経年劣化はある?」
A.「三軸織物の耐用年数は、繊維の種類・使用環境(紫外線の量・温度・湿度)・物理的な負荷(擦れ・引っ張りなど)によって大きく異なります。」
天井装飾など、人の手が触れず物がぶつかりにくい場所であれば、経年劣化は退色(色あせ)や変色のみです。長時間、日射を受けない場所であれば、30年以上メンテナンスが不要になります。
Q.「三軸織物はメーカーごとに違いはある?」
A.「メーカーごとで基本的な材質はあまり変わりませんが、カラー展開や特注対応の範囲などに違いがあるので、材料選定の際には詳細を確認しましょう。」
三軸織物はデザインの個性を表現できるパーツであり、設計の自由度が材料選定において重要なポイントです。
■ TOPPANの高意匠でレパートリー豊富な三軸織物
TOPPANは1900年の創業以来、SDGs実現に向けた社会的課題の解決に取り組み、高耐久で環境配慮型の建築内外装材を開発製造しております。
TOPPANの三軸織物には、設計デザインの自由度を上げる3つの特長があります。
多彩なカラーレパートリーと特注印刷
TOPPANの三軸織物は、ガラス繊維・ポリエステル繊維の素材感を活かしたホワイトに加えて、多彩な印刷加飾をお選びいただけます。
ガラス繊維は、マテリアルの素材感を活かした金属調、ポリエステル繊維はビビッドカラーの表現が可能です。
標準色の単色印刷に加えて、グラデーション印刷やご用意いただいたグラフィックイメージを加飾できます。
表裏で異なったイメージ・情報を印刷することもできますので、多彩な表現を実現させたい方は、ぜひ弊社までご相談ください。
モジュールの組み合わせによる多彩な曲面
TOPPANの三軸織物は、4つのモジュールを組み合わせて、多彩な曲面を表現できます。
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モジュールの種類 |
特徴 |
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ノーマル |
緩やかな曲線をいかしたスタンダードタイプ |
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ウェーブ |
ノーマルタイプの中心を吊り上げることで波状を演出 |
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アンブレラ |
隅の頂点を吊り上げることでダイナミックな浮遊感を演出 |
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バタフライ |
二つ折りでシャープさを演出 |
※各形状の詳細図はこちらをご覧ください。
■ まとめ
三軸織物は、有機的な自由曲面と軽やかさによって、内装デザインの主役となる装飾を実現できる特徴的な建築材料です。
ただし、デザイン面でのメリットがある反面、清掃や加工についてなど注意すべき点もあります。三軸織物を取り入れた内装デザインを検討中の方は、TOPPANまでお気軽にご相談ください。
TOPPANでは、高耐久かつデザイン性に富んだ国土交通大臣認定の意匠材を製造しております。「環境に優しい建築」や「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、ぜひ弊社製品をご採用ください。
2026.03.25

