オレフィンシートとは|用途とメリット・デメリット、塩ビ・ポリサンドシートとの違いを解説
オレフィンシートは、環境に優しくデザイン性の高い建築材料として注目されています。
そこで、今回はオレフィンシートの用途とメリット・デメリット、塩ビシートやポリサンドシートとの違いについて詳しく解説します。1900年創業のTOPPANが自信を持って提案するおすすめの内外装材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
■ オレフィンシートとは|用途とメリット・デメリット
■ 塩ビシート・ポリサンドシートとの違い
■ オレフィンシートを表面材にした「オレフィン化粧板」
■ 内外装に使えるデザイン性・環境配慮性に優れた“TOPPAN”のオレフィンシート意匠材
■ まとめ
■ オレフィンシートとは|用途とメリット・デメリット

オレフィンシートとは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの樹脂を主原料としたシート材です。
用途
オレフィンシートは主に建築用仕上げ材に用いられますが、それ以外にも私たちの生活に身近なシーンに用いられています。
・キッチンや洗面化粧台、家具などの収納仕上げ材や扉面材
・内装ドアの面材
・ルーバー・格子など造作部品の表面材
・屋内外の天井・壁仕上げ材
・食品パッケージ・梱包材・医療用滅菌バッグなど
メリット
オレフィンシートが多分野において使われている理由は、性能面や環境面においていくつものメリットがあるためです。
・印刷によって様々なカラーやパターンを表現できる
・塩ビ系シート材と比べて製造過程のCO2排出量が少ない
・原料に塩素を含まないため、燃焼時に塩化水素などの有害ガスが発生しない
・VOC※の一因とされている可塑剤を含まないため、PM2.5などの大気汚染物質を防げる
・耐寒性に優れ、マイナス温度の環境下でも変質(硬化)しにくい
・表面コーティングによって、耐久性・耐摩耗性・耐キズ性・耐水性・抗ウイルス抗菌性などをプラスできる
・耐薬品性に優れているため、薬品工場や食品工場など使用可能である
※VOC:揮発性有機化合物の略称で、光化学オキシダントやSPM、PM2.5などの大気汚染物質を引き起こす原因物質のうちの1つ。
デメリット
オレフィンシートはメリットが多い反面、採用する前に知っておいていただきたいデメリットもあります。
・耐火性や耐熱性は低い
・表面の耐水性が低い
・雨や紫外線に当たると褪色や表面の風化が現れる
【ポイント】
TOPPANのオレフィンシートを用いた内外装材は、何層もの高品質コーティングによって耐水性・耐候性を高めています。外装R仕様は従来の外装F仕様よりもさらに長期にわたる屋外での使用に耐えられるため、直射日光が当たる建物ファサードなどの仕上げ材におすすめです。

■ 塩ビシート・ポリサンドシートとの違い

オレフィンシートと同様に内外装の仕上げ材に用いられる塩ビシートやポリサンドシートですが、それぞれ特徴に違いがあります。
塩ビシートとの違い
塩ビシートとは、塩化ビニル(PVC)を主な材料とし、CF(クッションフロア)やビニル床シート、Pタイル、金属化粧板、外壁用サイディングなど様々な建築材料が該当します。
オレフィンシートと塩ビシートとの違いは主に5点です。
工場加工 |
塩ビシートはウエルダー加工※しやすく、安定した温度で溶断・溶着できる点が特徴で、オレフィンシートは溶解温度が高いため、ウェルダー加工しにくい。 ▶︎ウェルダー加工はあくまでも工場作業で、建築材料としての加工性に大きな違いはない。 |
断熱性 |
ポリ塩化ビニルの熱伝導率※は0.13〜0.29W/m・Kなのに対して、オレフィンシートは0.1W/m・K程度 ▶︎どちらも熱を通しにくいが、オレフィンシートの方が少々断熱性は高い |
燃焼時の発生物質 |
塩ビシートは燃焼時に刺激臭を放つ塩化水素ガスが発生するが、オレフィンシートは燃えても水(H2O)と二酸化炭素(CO2)などになる ▶︎周辺環境へ悪影響を及ぼさない |
重量 |
塩化ビニルの比重※は1.2〜1.6程度なのに対して、オレフィン系プラスチックの比重は1以下と水より軽い ▶︎建築材料へ加工した場合も重量を抑えられるため、施工効率が高く建物の荷重も少ない |
経年変化 |
塩ビシートは紫外線や熱、雨などの影響で黄変※・変色・ひび割れなどの変化が起こりやすいが、オレフィンシートは黄変が起こりにくい(接着剤の劣化やひび割れは発現する) |
※ウエルダー加工:加熱により柔らかくなるプラスチック素材などを溶解して接合する加工方法。
※熱伝導率:熱の通しやすさを表す値で、数値が低いほど熱を通しにくい物質であることを意味する。
※比重:一定体積の物質量を、同体積の標準物質(固体の場合は水)の質量と比較した値
※黄変(おうへん):黄色く変色する現象
ポリサンドシートとの違い
ポリサンドシートとは、防湿性のあるポリエチレン樹脂を挟んだ複層シートで、主に内装ドアの表面材に使用されます。
オレフィンシートとポリサンドシートとの違いは「温度・湿度の変化による反りの発生リスク」です。ポリサンドシートは両面に防湿性の高い樹脂シートを貼るため、温度や湿度変化による反りを抑えられます。そのため、主に内装ドアの仕上げ材に使用され、反りのリスクが少ない壁や天井にはあまり施工されません。
■ オレフィンシートを表面材にした「オレフィン化粧板」

オレフィンシートを表面材とし、基材(きざい)となる合板やパーティクルボード、MDF、アルミ板などと貼り合わせ、さらに表面保護コーティングを施した建築用パネル材が「オレフィン化粧板」です。JAS(日本農林規格)においては、特殊加工化粧合板に該当します。
オレフィンシートとオレフィン化粧板はそれぞれ特徴や施工部位が異なります。
オレフィンシート |
|
オレフィン化粧板 |
|
このように、オレフィンシートとオレフィン化粧板は表面の見た目は似ていても、適した施工部位は異なります。
【ポイント】
TOPPANは最先端の印刷技術を活かし、木材や石材など天然素材の風合いをリアルに表現したオレフィンシート・オレフィン化粧板を製造しています。

内装制限などの防火規定をクリアできる不燃材料の認定取得済みの製品や、耐候性が特に高い外装仕様の製品もございますので、オレフィン系建材の採用をご検討中の方はお気軽に弊社までお問い合わせください。
■ 内外装に使えるデザイン性・環境配慮性に優れた“TOPPAN”のオレフィンシート意匠材

TOPPAN(トッパン)は1900年の創業以来、デザイン性・耐久性・環境配慮性を追求した建築材料を手掛けています。オレフィン系素材を使用した様々な建築材料を製造しておりますので、ぜひ採用をご検討ください。
【内外装用】環境に優しい不燃意匠材「フォルティナ」

FORTINA(フォルティナ)は、環境負荷の少ないオレフィンシートとアルミニウムを組み合わせた不燃認定取得済みの内外装意匠材です。
ルーバー・フラットパネル・リブパネルなど多彩な形状を取り揃え、カラーラインナップはリアルなテクスチャーにこだわった木目調・石目調・メタル調からお選びいただけます。耐候性の高い外装仕様もございますので、屋内外で統一感のあるデザインにしたい方にもおすすめのプロダクトです。
【内装用】抗ウイルス・抗菌機能付き不燃化粧パネル「ローバル」

LOVAL(ローバル)は、環境に優しいオレフィン系表面材に抗ウイルス・抗菌機能をプラスした内装用不燃化粧パネルです。
40種類を超える豊富なカラーバリエーションと、長方形・矢羽形・五角形などの異形貼りに対応できるパネルラインナップにより、多彩なデザインを実現できます。天井や壁の仕上げに加えて建具・家具の面材にご採用いただけるタイプもございますので、統一感のある内装デザインにおすすめです。
【内装用】抗ウイルス・抗菌機能付き化粧シート「101エコシート」

101エコシートは建具・収納扉・造作材用として開発したオレフィン系オリジナル化粧シートで、最新のインテリアトレンド情報を元に、多彩なカラーレパートリーを取り揃えております。
スマートナノ技術によって、しなやかさと透明感のある質感を保ちながらも日焼け・擦り傷・えぐり傷に強い製品です。

■ まとめ
オレフィンシートは環境に優しく多彩なカラーラインナップが魅力の仕上げ材で、パネル材であるオレフィン化粧板も人気です。材料を選ぶ際は、トレンドを押さえたレパートリーと不燃性の有無を確認しましょう。
TOPPANでは、施工性・デザイン性の高い環境配慮型内外装用建材を開発・製造しております。「人に長く愛される建物」や「環境にやさしい建築」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
2025.09.09