コラム

SDGs実現を叶える“内装デザイン”|エコフレンドリーな内装材の種類と選び方

店舗などの内装デザインを検討する際、コストやデザイン性に加えてSDGsに配慮した事例が増えています。

そこで本記事では、「サステナブルな内装デザイン」について、その定義やメリット・デメリット、材料選定のポイントを解説します。おすすめの環境配慮型内装建材も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


<目次>

■ 持続可能(サステナブル)な内装デザインとは
■ 環境に配慮した内装デザインのメリット・デメリット
■ 環境に配慮した内装デザインにする際のステップと注意点
■ サステナブルな内装デザインの手法と材料種類・選定基準
■ TOPPANの環境配慮型内装建材と内装デザインの成功事例
■ TOPPANのSDGsに関すると取り組み
■ まとめ


■ 持続可能(サステナブル)な内装デザインとは

サステナブル(サスティナブル)は、日本語へ直訳すると「持続可能な」という意味になります。
デザインにおいては、地球環境・人々の暮らし・文化を将来まで維持できるものを指し、以下の開発目標が特に深くかかわります。

目標3[保健]
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標6[水・衛生]
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標7[エネルギー]
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8[経済成長と雇用]
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標9[インフラ、産業化、イノベーション]
強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標10[不平等]
国内及び各国家間の不平等を是正する
目標11[持続可能な都市]
包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標13[気候変動]
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

エコフレンドリーでサステナブルな内装デザインは、以下の要素を備えているものを指すのが一般的です。

・建物利用・運営において、エネルギー効率が良い(省エネルギー性が高い・温室効果ガス排出量が少ない)
・地球環境への負荷が少ない(資源の節約やロス削減・ライフサイクルにおけるエネルギー消費量が少ない)
・地球環境の持続可能性を向上させる(森林活性化・水源維持など)
・健康的な室内環境が整っている(身体的健康の実現)
・その地域や人々の文化に配慮したデザインである(心理的健康の実現)

サステナブルな内装デザインを実現させるためには、空間インテリアの設計デザインに加えて、家具の選択や建設後の建物運営や管理、メンテナンスに至るまで、これらのポイントを意識することが重要になります。

■ 環境に配慮した内装デザインのメリット・デメリット

サステナブルやSDGsなどのキーワードは、幅広い産業において最も重要視されているスローガンと言っても過言ではありません。

建築・建設業界も例外ではなく、SDGsをプロジェクトコンセプトの軸にすることで、いくつものメリットを得られます。

・地球環境保全への効果(温暖化対策や地球全体の持続可能性向上)
・企業のCSR(社会的責任)の実現
・企業としての環境への配慮を社会へアピール(企業価値向上)
・建物の存在価値向上(利用者への印象を高められる)
・競合他社との差別化
・デカップリング(※)の実現(ビジネスチャンスの拡大)

※デカップリング:環境面と経済面の取り組みを切り離し、一定の経済成長や利便性を維持しながら、エネルギー消費を減らしていく手法。例えば、資源の再利用・循環利用を行う、エネルギー多消費の産業構造を改める、これまでにない手法で省エネすること。

このように、サステナブルを意識した内装デザインは、環境面のメリットに加えて、経営面においても検討する価値があるとされています。

ただし一方で、サステナブルな建材や設備を導入すると、どうしてもコストが割高になる点は否めません。しかし近年は、政府も建築のサステナブル化に多額の予算を充てており、今後より一層GX(※)化が進むことは不可避と言えるでしょう。

※GX:Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略で、温室効果ガスを排出する化石燃料にはできるだけ頼らず、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの活用へ転換する取り組みを指し、カーボンニュートラルの軸とされている

■ 環境に配慮した内装デザインにする際のステップと注意点

サステナブルな内装デザインを検討する際には、各ステップで押さえるべきポイントがあります。

建築プロジェクト起案

1.初期段階での建物本体と周囲環境の持続可能性考慮
2.デザインコンセプトの作成(持続可能性をどのようにデザインへ落とし込むか検討)
3.コスト算定(サステナブル化することで発生する予算の整合性とパフォーマンスを確認)
4.ステークホルダーへの協働意思確認・理解の獲得

このように、段階的にサステナブルな要素を取り入れることで、より現実味のあるプロジェクトにまとまります。

具体的な設計・デザイン・施工

1.関連法規チェック(内装制限など不燃仕様の範囲確認)
2.建物や空間用途ごとに適切な手法・材料を選定(持続可能性・意匠性・コスト面、メンテナンスの容易性へ配慮)
3.材料ロス・廃棄物の削減について検討する(設計デザイン・工程作成)
4.効率的な工程管理・現場監理により現場の消費エネルギー量・人工を削減

設計計画がある程度まとまったら、関連法規との兼ね合いや具体的な工程作成、現場監理によって主に消費エネルギーの削減を意識しましょう。

ただし、省エネ性だけに着目しすぎると、肝心の建物利用者の居心地やデザイン性が損なわれてしまう可能性があります。そのため、多方面から内装デザインを検討することが重要です。

建築後の運用・メンテナンス

1.定期的な保守点検と性能評価の実施
2.点検・評価の結果に基づく効果的な改善の実施
3.定期的かつ計画的なメンテナンスによる建物の長寿命化
4.建物の利用価値を高めるためのサービス運用の徹底

これらのポイントは、店舗・オフィス・ホテル・マンションなど、どのような用途の建物へも共通します。そのため、サステナブルな内装デザインを実現させるためには、順序立ててプランを検討しましょう。

■ サステナブルな内装デザインの手法と材料種類・選定基準

では、サステナブルな内装デザインの具体的な手法と材料の種類・選定基準を紹介します。

サステナブルな内装デザインの手法

・環境配慮型内装材の積極的な選定
・長寿命・高耐久な内装材の選定(特に壁・天井・床などの仕上げ材)
・部分的な交換・メンテナンスが可能な設計
・タスク・アンビエント照明(※)
・高断熱仕様(ガラス・建具など)
・利用者に愛着を持たれる工夫(国産材・地域材の利用など)

※タスク・アンビエント照明:オフィスなどの作業環境において、デスクの手元や会話している人の顔、店舗の陳列などの「視対象物(タスク)」と、天井・壁・床などの「周辺環境(アンビエント)」それぞれを適切な照度・色温度で照らし、安全性・快適性・省エネ性を高める照明計画の手法

サステナブルな内装建材の種類とトレンド

・天然素材(木材、石材、セルロース断熱材、羊毛断熱材、珪藻土などの塗壁材)
・再生素材(リサイクル木材、リサイクルガラス、リサイクル金属など)
・合成素材(バイオプラスチックなど)
・低VOC塗料(※)
・断熱材(セルロース、羊毛など)
・高性能ガラス(断熱・遮熱・防音)

※低VOC塗料: VOC(揮発性有機化合物)の含有量が少ない塗料。VOCは、室内の空気汚染の原因物質となるだけではなく、大気中に排出されると光化学オキシダント(光化学スモッグ)や微小粒子状物質(PM 2.5)の生成原因にもなるため、人体や自然環境へ悪影響を及ぼす

サステナブルな内装建材の選定基準

・高い耐久性(耐用年数、耐キズ・耐汚・耐候性)=長寿命な材料
・維持管理性(メンテナンスと清掃の容易性)
・コストとパフォーマンスのバランス
・LCA(※)やLCCO2(※)などのライフサイクル評価
・FSC(※)LEED(※)など環境認証への適合有無

※LCA:ライフサイクル・アセスメントの略で、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取・製造生産・流通・消費・使用・廃棄・再利用)における環境負荷を評価する指標

※LCCO2:ライフサイクルCO2の略で、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取・製造生産・流通・消費・使用・廃棄・再利用)で発生するCO2量

※FSC:森林管理に対する制度であるFM(Forest Management)認証と、加工・流通過程の管理に対するCoC(Chain of Custody)認証の総称

※LEED:ビルト・エンバイロメント(運用される建物に対して、センサーやアプリケーション、収集されたデータによって、適切化する仕組み)を作るための施策とその実現性を評価するグリーンビルディングの認証制度

■ “TOPPAN”の環境配慮型内装建材と内装デザインの成功事例

TOPPANでは、環境に優しくデザイン性も高い建築材料を数多く製造しています。「本町オフィスビル 地下2階スペース改修(上写真)」は、再生可能エネルギーの導入など環境への配慮に特化しており、壁面パネルやルーバーには塩ビと比較して製造過程におけるCO2排出量の少ないオレフィン素材を用いたTOPPANのオリジナル建材であるローバルとフォルティナをご採用いただきました。

ローバル

「ローバル」は、環境にも人にも優しいオレフィンシートを表面材とし、さらに抗ウイルス・抗菌機能をプラスした不燃化粧パネルです。

環境や人への配慮だけではなく、高い意匠性もローバルの特長です。最新のデザイントレンドを分析して厳選した木目調・石目調・メタル調など45点ものラインナップから、設計デザインのイメージに合うパネルをお選びいただけます。

※抗菌・抗ウイルス仕様の色柄はカタログなどでご確認ください。

また三角形・六角形・矢羽形・風車形など、空間のアクセントとなる異形貼りにも対応していますので、オリジナリティのある内装デザインをご検討中の方にもおすすめです。

フォルティナ

「フォルティナ」は、ローバルと同様に環境と人に優しいオレフィン素材とアルミ材を合わせた内外装用不燃意匠材です。高い耐候性に加えて、ルーバーやスパンドレルなど様々な形状ラインナップをご用意しています。また、国土交通省による不燃認定を取得しており、内装制限の対象となる建物へもご採用いただける点もポイントです。

TOPPANマテリアルウッド

「TOPPANマテリアルウッド」は、廃木材と廃プラスチックから作り出した、アップサイクルな建築材です。耐候性に優れており、天然木の欠点である節などによる強度のばらつきが大幅に抑えられています。

また、押出成形品であることから最長4,000mmまで対応でき、寸法安定性が高いことから、大規模なウッドデッキや雨風にさらされるベンチの材料として多くの物件でご採用いただいています。そして、SDGsの観点において大きな魅力は、使用後に粉砕して何度もリサイクルできる点です。

※実験レベルで10回使用しても初期の強度と外観が変わらないことが確認されています

■ まとめ

建物の内装デザインを検討する際、その意匠性やコストはもちろん大切ですが、それに加えて重要視され始めているのが「持続可能性(サステナブル)」です。地球環境にも建物を使う人にも優しい内装デザインが求められています。

TOPPANでは、環境に配慮したデザイン性を豊かにする建材を開発・製造しております。「環境に優しい建築」を目指している方や、材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

■ 内装デザインの参考に!事例集のご紹介

2024.09.12

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