コラム

ホテルにおけるデザインの重要性|魅力的なホテルの事例や近年のトレンドを紹介

集客・売上アップにホテルデザインが大きな影響をもたらすことをご存知でしょうか。近年では、「ライフスタイルホテル」という新しいコンセプトのホテルが登場しており、そこでは独自性の高いデザインを重視しています。

今回は、ホテルデザインの重要性、ライフスタイルホテルの特徴・事例、さらにホテルデザインのトレンドについて紹介します。

最先端のデザイントレンドを取り入れることで、SNS上での拡散から集客・売上アップも期待できるでしょう。


<目次>

■ ホテルにおけるデザインの重要性
■ ライフスタイルホテルとは
■ ライフスタイルホテルと一般的なホテルの違い
■ ライフスタイルホテルが注目されている理由
■ デザインが魅力的なライフスタイルホテルの事例
■ 近年のホテルデザインのトレンド
■ まとめ


■ ホテルにおけるデザインの重要性

ホテルのデザインは、集客や売上に影響します。

近年では、他の宿泊客が投稿した口コミを参考に、ホテルを選ぶユーザーが増えてきました。口コミの中で料理やサービスに加え、重要な判断要素となるのがデザインです。InstagramやYoutube、TiktokといったSNSに、ホテルのデザインを撮影し、画像や動画コンテンツを投稿するユーザーもいます。

料理の味やサービスは画像や動画では良し悪しが分かりにくいかもしれませんが、内装デザインはビジュアルで良し悪しを判断できます。

フロントや客室などの内装デザインがおしゃれなだけで、宿泊したいと思うユーザーは多くいるでしょう。逆に、時代遅れのインテリアや塗装の剥がれ・汚れが目立っていると宿泊を避けられるかもしれません。

つまり、ホテルのデザインにこだわることが、集客や売上の向上にもつながるのです。

ホテルのデザインを考える際には、ブランドイメージの確立とお客様の快適性を重視することが重要です。独自のテーマやコンセプトを明らかにし、それをデザインに反映させることが集客の鍵となります。

また、お客様の快適性を考慮した機能的なデザインにすることも大切です。「おしゃれだが使いにくい」ホテルでは、リピートを期待できないでしょう。

■ ライフスタイルホテルとは

ホテルのデザインを決める上で知っておきたい概念が「ライフスタイルホテル」です。ライフスタイルホテルとは、デザイン性に優れた内装や設備を重視したホテルのことです。

個性的なデザインや独自のサービスが用意されており、お客様に特別な体験を提供することを目的としています。ホテルが観光スポットの一つとも言えるでしょう。

例えば、南国をコンセプトにしたホテルなら、観葉植物やアロハシャツを用意したり、プルメリアやハイビスカスなどハワイアンな内装デザインにしたりと、一貫したホテル作りをすることが大切です。

日本でも、こうしたライフスタイルホテルが人気を集めるようになっています。

■ ライフスタイルホテルと一般的なホテルの違い

ライフスタイルホテルと一般的なホテルとの違いは、「デザイン性の高さ」や「付加価値の提供」を重視している点です。

一般的なホテルは、清潔感や快適性を重視したデザインとなっています。シンプル・シックなデザインで、誰が宿泊しても心地よい空間となっていますが、独自性のあるデザインとは言えません。

また、一般的なホテルは宿泊を目的としているのに対し、ライフスタイルホテルの目的は宿泊だけではありません。宿泊以外の付加価値を提供しています。

日常で体験できないような独特のサービスやアクティビティを楽しむことが可能です。例えば、ホテル内でのアート体験やアフタヌーンティー、エステなどのサービスが含まれることも。また、ディナーや朝食でも、コンセプトに合わせたユニークな食事が提供されます。

このように、一般的なホテルは画一的な宿泊体験を提供してくれますが、ライフスタイルホテルは「そこでしか体験できない」独自性のある宿泊体験を提供しています。

■ ライフスタイルホテルが注目されている理由

ライフスタイルホテルの人気に火をつけているのが、1980年代〜1990年代半ばに生まれた「ミレニアム世代」です。ミレニアル世代はデジタルネイティブで、個性や多様性を重視し、モノよりコト(体験)を重視するという特徴があります。

ライフスタイルホテルは、単なる宿泊施設を超えて、個性的でユニークな宿泊体験を提供します。これは、モノよりもコトを好むミレニアル世代にピッタリです。

また、多様な価値観を持つこの世代は、ライフスタイルホテルの独自のテーマやコンセプトに魅力を感じることが多いです。たとえ同じ地域であっても毎回違いを楽しめ、非日常感を演出してくれます。

同時にデジタルネイティブでSNSを使いこなす彼らに、宿泊体験を発信してもらえれば、広告費をかけずに集客や売上につなげられるでしょう。

■ デザインが魅力的なライフスタイルホテルの事例

デザインが魅力的なライフスタイルホテルとして、以下の事例を紹介します。ホテルはすべて、独自性のあるデザインやコンセプトで注目され、「グッドデザイン賞」を受賞しました。

なお、グッドデザイン賞とは、60年以上の歴史を持つ日本で唯一の総合的デザイン表彰制度です。製品・建築・ソフトウェアなど有形無形を問わず、優れたデザインを評価しています。

ザ シェア ホテルズ クム 金沢

「ザ シェア ホテルズ クム 金沢」は、金沢の伝統文化と現代デザインが見事に融合したリノベーションホテルです。金沢市に目立つ遊休不動産をリノベーションし、投資を抑えながらも収益効率を高めて、ホテルへと再生させるプロジェクトになっています。

【デザインのポイント】
・立体構成や和室等の客室プランにより収容人員を高め、収益性の確保と広い共用部の確保を両立
・天井格子をガイドとするパーティションシステムにより、多様な地域イベントに柔軟に対応
・既存躯体を活かした空間に茶室のディテールや現代アートを掛け合わせ、地域性をコンテンポラリーに表現

1F共用部は天井格子を用いてパーティンションを配置でき、トークイベントや音楽パフォーマンス、会議室利用といったシーンごとに空間を可変させることが可能です。

また、金沢市という地域性を表現するために、コンクリートのさび的空間に、茶室や現代アートを組み合わせています。

ウェスティンホテル横浜

横浜みなとみらいにある「ウェスティンホテル横浜」は、ライフスタイル型ホテル「ウェスティンホテル横浜」と長期滞在型ホテル「アパートメントベイ横浜」の2つで構成されます。街とのつながりを意識し、横浜の国際競争力を高めるホテルとなることを目指しました。

【デザインのポイント】
・屋上庭園や壁面緑化を施設全体に点在させた緑と光に溢れるウェルビーイングな環境で豊かな宿泊体験を提供
・高層部をキャンチレバーとして保存した足元の既存樹をさらに拡張し、緑豊かなオープンスペースを実現
・深い軒庇による日射遮蔽で高い環境性能を実現、SDGsに取り組むホテル運営とデザインが融合した事業推進

ウェスティンホテルのブランドビジョンは「ウェルビーイング」です。ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に満たされた状態のこと。緑と光に溢れた空間で人々のウェルビーイングに寄与します。

また、省エネや食材の地産地消、徹底した廃棄物削減など、SDGsの取り組みも進めており、地域に根ざすホテル運営を進めています。

ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園

「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」は、北海道産の木材を多用した日本初の「高層ハイブリッド木造ホテル」です。

【デザインのポイント】
・「北海道を体感する」をコンセプトに究極の地産地消を目指す、国内初の高層ハイブリッド木造ホテル
・木材使用量(うち8割強が道産材)は1200㎥を超え、RC造と比較して約1,385tのCO2削減を実現
・地元アーティスト・メーカーの活躍の場を提供する、地域に開かれ文化を発信するライフスタイルホテル

国内林業の活性化や地方創生を踏まえ、北海道産の木材を使用するだけでなく、食材にもこだわり、「究極の地産地消」を目指しました。

木造階客室にはあえて柱・梁を使わず、タモ材をあしらい、山小屋をイメージしたデザインになっています。一方で、RC造客室では、トドマツを使ったコンクリート型枠を木質化し、温もりと開放感のある空間に仕上げています。

■ 近年のホテルデザインのトレンド

近年、ホテルデザインのトレンドは、大きく2つの特徴を持っています。トレンドを知ることで、ライフスタイルホテルのデザインの参考にもできるでしょう。
以下では、2つのトレンドに焦点を当て、その理由や具体例を紹介します。

インスタ映えを狙う

映える景色・人・物を撮影する「インスタ映え」は、Instagramを中心としたSNSでユーザー投稿の拡散を狙えます。ホテル業界では、客室や共有スペース、レストランなどのデザインでインスタ映えする要素を取り入れることがトレンドとなっているのです。

例えば、プロジェクションマッピングを用いてロビーの壁面を飾ったり、独自のコンセプトやブランドからイメージしたアートを飾ったりしています。また、それらのデザインをグッズ化し販売することも特徴です。

ホテルの利用者は、こうした「インスタ映え」スポットで写真を撮影し、SNS上で他のユーザーに共有してくれるので、ホテル側の負担なしに認知を広められます。

日本文化の魅力をアピールする

特に、コロナ禍で減ったインバウンド需要は回復傾向にあります。日本独自の伝統や美学を取り入れたデザインは、海外からの旅行者に新鮮かつ印象的な体験を提供できます。

具体的には、以下のようなポイントで「和」の要素をアピールできるでしょう。

・各部屋に様々な和の要素を取り入れたデザインや日本らしい優美な色彩
・自然な風合いを活かしたシンプルなデザイン
・藍染の壁掛けや、和紙を使った照明

ライフスタイルホテルのコンサプトに「日本文化の魅力」を据えれば、統一感のあるデザインにすることも可能です。

■ まとめ

今回は、ホテルのデザインが集客や売上に与える影響、ライフスタイルホテルの特徴と事例、さらには「インスタ映え」と日本文化の魅力を取り入れたデザイントレンドについて解説しました。

そこでしか味わえない非日常体験が、ライフスタイルホテルの提供価値です。最先端トレンドを交えることで、SNS上での拡散から集客・売上アップを期待できるでしょう。

■ ホテルにおすすめな不燃化粧パネル

2024.06.05

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE