コラム

ホテルの浴室ドアに着目して豊かな空間づくりのポイントを探る

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ホテルの空間づくり

ホテルはどのような場所でしょうか。
ホテルの歴史は古く、時代や文化背景によって異なる発展を遂げてきました。
中世においては旅行者や巡礼者のための宿泊施設として、修道院や宿屋で基本的な寝室と共同の食事が提供されていました。
富裕な階級が旅行をするようになり、それに伴い高級な宿泊施設が登場しました。
個々の客室にはベッドや家具が整えられプライバシーが重視されるようになります。
18世紀から19世紀にかけては、ヨーロッパやアメリカで近代的なホテルが登場し、客室にベッドや家具が備え付けられ、専用の浴室やトイレも完備されるなど現代の一般的なホテルのイメージに近づいていきます。
現代のホテル客室は、従来の旅行時の宿泊施設という枠から飛び出し、
ホテル滞在を目的として快適性とデザインに重点を置いたものや、ビジネス旅行の増加に対応して仕事をするためのデスクやインターネット接続設備の拡充など異なるニーズに対応するために、スイートルーム、バリアフリールームなどさまざまなタイプの客室が提供されています。

さらに「ホカンス(ホテル+バカンス)」といったホテル滞在を目的とした楽しみ方が生まれるなど、ホテルの存在意義の幅が広がったのではないでしょうか。
つまり、お客様は単なる”場所”ではなく、”空間”や”エンターテインメント性”を求められる空間となってきています。

このように存在意義が広がりサービスが増える中でも、変わらずホテルという建物の面積の大部分を占めるのは客室になります。
客室はそのホテルに対する評価に大きく影響する場所であり、ホテル側にとっては自らの理念・想いを伝えられる場所でもあるのではないでしょうか。

客室における浴室の存在感

一概にホテルと言っても、高級ホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルなどがあり、様々な利用シーンを想定した客室が提供されています。
ホテルの浴室は宿泊者に快適でリラックスした環境を提供するための重要な空間として存在します。
ホテルの浴室デザインにおいて考慮すべきポイントをいくつかあげます。

■清潔で衛生的な環境
  浴室は清潔感があり、衛生的である必要があります。
  定期的な清掃や、明るく質感の良いタイルや浴槽、シャワーなどの水栓器具を使用することが
  一般的です。

■開放的なデザイン
  浴室が広々としていると、宿泊者はよりリラックスした雰囲気を楽しむことができます。
  ガラスパネルによるシャワールームや寝室との透明な間仕切り、
  大きな鏡や十分なパウダールームを提供することで使いやすい浴室が作られます。

■適度なプライバシー対応
  宿泊者が浴室でリラックスするためにも、安心感とプライバシーを確保することが必要です。
  室内の音が漏れにくいような防音対策や、複数の利用者を想定したバスルームの適切な仕切りや
  ブラインドの設計が求められます。

■バリアフリー設計
  バリアフリーなデザインは、身体的な制限がある宿泊者にも利用しやすい環境を提供します。
  手すりや床の段差を避け、車椅子の利用者でも安心して利用できるようにすることが重要です。

■エコフレンドリーな取り組み
  持続可能性を考慮した設計が求められます。
  節水設備や再生可能素材の使用、エネルギー効率の向上に寄与する取り組みが必要です。


続いては、ホテル浴室のデザインにおいて開放感とプライバシーを成立させるため『扉』に注目して空間づくりのポイントを探ります。

ホテルの浴室のイメージ図
ホテルの浴室イメージ図

■ホテルの雰囲気づくりで浴室ドアが重要な理由

ホテルの客室において、浴室のドアは単なる機能的な要素以上の役割を持っています。以下がその主な理由です。

〇デザインと一体感
浴室のドアが客室全体の雰囲気とマッチしていることでより豊かな雰囲気を作り出すことができます。
〇空間の拡張
透明ガラスのドアの採用は、空間を広く見せる方法の1つです。特に小さな客室では、透明なデザインによって、豪華な雰囲気を演出することができます。
〇視線の遮断
浴室はプライベートな空間であり、適切なドアを使っていることで客室内から見られることを防ぎ、安心感を提供します。ドアの質や設計がプライバシーをしっかりと保護できるかどうかは、客室の快適さを大きく左右します。

上記等の点から、ホテルの客室における浴室のドアの選定と設計は、宿泊体験全体の質を高め、客室の豊かな雰囲気作りに不可欠であると言えます。

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浴室ドアの構造・材質をご紹介

■ドアの構造
 ドアには折れ戸・開き戸・引き戸の3種類の構造があります。
  1) 折れ戸:折り畳むことで開閉するドアです。
       ユニットバスで活用されており、スペース節約に繋がることで一般的な住居に
       適しています。
  2) 開き戸:通常の内開きのドアは、部屋の内側から外側に開きます。
       これは一般的な設計で、取り付けや使用が簡単なものになっています。
  3) 引き戸:横にスライドして開閉するもので、通常は壁に埋め込まれたレール上を移動します。
       バリアフリー設計でのポイントとなります。

■ドアの材質
 浴室向けのドアには、湿気や水分に強い材質が必要となります。
 一般的には、錆びにくく、湿気に強いアルミニウムやステンレススチールをフレームとして使用します。
 これらの素材は浴室の湿度や水しぶきに対して非常に耐性があります。
 開口部には、軽量かつ破損の場合も破片が飛び散りにくいポリカーボネートが一般的ですが、
 表面にキズがつきやすく透明なパネルにすることが難しくなっています。
 開放感を求める場合、強度・耐久度の高い強化ガラスを使用することが望ましいです。

 従来、浴室ドアでプライバシーを確保する場合はポリカーボネートなどの樹脂ガラスや強化ガラスにすりガラス調や、乳白調のフィルムを貼る必要がありました。
 一方で、透明なガラスドアにすることで浴室に開放感を持たせ、おしゃれで広々とした空間を演出したいというニーズも生まれ始めています。
 その解決策として、調光フィルムの活用についてご説明します。

調光フィルムで開放感と高級感の両立

ホテルの浴室に開放感と高級感を持たせるため、調光フィルムの活用がポイントになります。
調光フィルムを組み合わせたガラスドアを用いることで、スイッチのON/OFFで瞬時に透明⇔不透明を切り替えることができ、相反するニーズを両立させ高級感を演出することができます。
浴室をガラス張りにし、客室全体を広々とさせ開放感を持たせる設計は以前からありましたが、
プライバシー確保のためのブラインドにより使用が煩雑になったり、清掃、メンテナンスのしづらさや、衛生面で問題がありました。
調光フィルムによりスイッチ一つで空間を切り替え、かつ今まで通りのお手入れで設備維持が可能になりました。

調光フィルムは電気製品になるため水回りでの使用に課題がありましたが、
LC MAGICは合わせガラスとして調光フィルム2枚のガラスで貼り合わせることで防水性を高め、各種安全装置と組み合わせていただくことで導入が可能になりました。

また、LC MAGICはプロジェクターの投影スクリーンとしても利用いただくことが可能です。
浴室の中で大画面での映像鑑賞など、非日常感を味わえる客室空間を作り出すことができます。

活用事例紹介

TOPPANが提供する調光フィルム「LC MAGIC」は水回りでもご採用いただけます。

【ニッコー株式会社様 バンクチュール大阪ショールーム】
大阪ショールームの浴室向けガラス窓とガラスドアへご採用いただきました。
また、プロジェクターとの組み合わせにより綺麗な映像を映し出すことで、お客さまとお風呂の『時を仕立てる』心地よい落ち着いた時間を過ごせる空間として高い評価をいただきました。

ホテルの浴室のイメージ(LC MAGICの採用事例) ホテルの浴室のイメージ(LC MAGICの採用事例:透明、不透明)

他にも、LC MAGICが採用された水回りの事例をご紹介します。

【AGC株式会社様・株式会社乃村工藝社様道頓堀の宿 今昔荘 庭風呂別邸】

ホテルの浴室のイメージ(LC MAGICの採用事例) ホテルの浴室のイメージ(LC MAGICの採用事例:透明、不透明)

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2024.07.04

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